電気料金値上げと総括原価方式の欠点

 猪瀬東京副都知事が、東京電力と政府の電気料金について鋭い指摘を行った。

 問題となっているのは、「電気料金値上げと総括原価方式」
 
 「子会社、関連会社などの人件費も総括原価方式で電気料金に乗ってきているので、電気料金が上がる」

 のは可笑しい、と指摘。

 道路公団問題で無駄な税金をカットした猪瀬氏が今回も素晴らしい活躍をしている。

 道路公団問題については、猪瀬直樹著 『道路の権力』、『道路の決着』(文春文庫)を参照下さい。

 徹底した情報公開という手法が取られています。講義案を作る時も参考事例の1つとしました。



 以下、猪瀬直樹Blog、より引用。

http://www.inosenaoki.com/blog/2012/03/post-ab38.html

2012年3月 8日 (木)
3月6日火曜日「東電ファミリー企業取引見直しでコスト3割削減」ぶらさがり会見録
日  時:2012年3月6日(火曜日) 18:50-19:10
場  所:経済産業省本館1階ロビー(経済産業省別館側)




猪瀬副知事) 会議で言いましたが、 総合特別事業計画ができるのは、3月末と言われているのですね。その前に、東電が値上げを発表している。これからどのくらいリストラをするかということが、前提になっていない。一応、あたかも、リストラをするから、値上げさせてくださいというが、そこは違う。はっきり申し上げて、政府と東電で株主総会をやっているようなものなのですね。「ちょっと待て」ということを言わないと。

 大事なことは、ここで打ち出したファミリー企業との取引コストの3割削減です。いまのところ、ほとんど随意契約です。子会社の数が膨大でありまして、道路公団のときのファミリー企業と一緒なんですね。

 経営財務調査委員会の報告では、子会社などファミリー企業との随意契約が年間1720億円ある。そのうちの9.6%だから1割を削減目標だとしている。1割削減しても165億円ですが、3割やったら、年間500億円のコスト削減になります。現在、特別事業計画では10年間で2兆6500億円の削減が打ち出されていますが、ここに、あらたに500億円の削減を加えることができる。10年間やったら削減額が5000億円増えます、ですから、3兆円を軽く超える。

 政府と東電の話し合いというのは、どうしても控えめな数字で動いていってしまう。東京都では、こういう東京電力の子会社・関連会社に役員として就任した東電OBや東電からの出向者のデータを全部チェックした。お配りしているが、なかなか出してこなかったんです。何回も何回もやり取りをやって、そして、初めはですね、例えば、OBが“天下り”して、“天下り”といってもいちおうは民間同士ですが、“天下り”と言ってよい。OBが子会社に“天下り”していると。でも最初に出してきた数字はどうも少なかった。

 よく聞いていると、「出向」というのがあるのがわかった。だから、現役の部長が出向というかたちで、子会社の役員になっていると。それを足し合わせていくと、かなりの数になってくるんですが、ただ大事なことは、例えば、そういうときに出してくるデータというのは、ちょっと騙されてはいけない。

 もちろん、東京都は、株主ですから有価証券報告書を見る。有価証券報告書を見ても、東京電力の子会社は168社あるはずが、子会社の名前は40社しか書いていない。「他128社」と書いてある。他128社とは何だ、見せろよと、なりますよね。

 関係会社は膨大な数になります。50%以上の連結子会社だけで、東電の出向とOBの役員は170人。全役員480人のうち東電から送り込まれているのが170人ですね。もちろん、ほとんどが社長とか常務を占めている。そういう会社と、東電が随意契約する。そうすると、東電の総括原価に乗ってきますから、そういう部分で高い電気料金をつうじてツケを回されていると理解していただいていい。

 経済産業省が、総括原価方式の見直しをやると言っています。その見直しをやるときに、すでに最初に、こういう3割削減という目標をきちんと出した上でやっていかないと総括原価方式の見直しができるかかどうか、わからないですよ。電気料金が値上げされますが、昨日(3月5日月曜日)になって中小企業に対する割引案も出てきた。中小企業に対する割引も、「値上げは駄目だ」と強く言って根拠データを要求していくと、東電から割引という話が出てくる。やらなければ、あの発表のまま、行っていましたよ。

 もう一つ大事なところは、総括原価方式を見直して、さらに3割削減をやれば、遡って、払った電気料金の(値上げ分から)還付ができる。100円払ったけれども、見直してみたら、70円でした、だから30円お返しします、となる。そう詰めていくことで実質的に値上げを防ぐというか、させないようなかたちにさせるということですね。

 中小企業はほんとに大変ですから、こういうかたちで具体的に戦い、見せていかないと、政府と東電だけでやってしまうと話が小さくなる。だから、つねにそういう意味では、東京都は、エリアの責任のある行政主体であり、株主でもあるが、やはり需要家でもある。東京都は83万キロワットも契約していますから。きちんとチェックしていきたい。

 東京都水道局は水道を経営していますが、水道料金について、電力値上げしたから水道料金上げますか、上げませんよね。上げられませんよ、こういう時期に。ですから、値上げのコストを全部吸収しなければいけない。防災対策の設備投資も、水道には必要です。投資額を何とか、やりくりしていかなければいけない。

 原発事故から1年も経つ。(東電のコストについて)政府も厳しく追及するべきだったと思いますよ。ここにきて、先程、枝野大臣もこれを認め、指示を出すということになりましたので、多少、よくなるだろうと思っています。

記者) 先程、道路公団民営化の経験から、固定費の削減が一番重要だというふうにおっしゃったんですけれども。




猪瀬副知事) 大事なことは、現状の数字をきちんと見つめ、どこに無駄があるかということ。誰も言えないし、誰も探さないから、東京都が、それを探して言った。先程、言いましたように、たんに株主であるだけならば、有価証券報告書に子会社40社の名前しか書いてありませんと。株主である立場だけなら、それ以上は聞けないし、もちろん聞かなければいけないんだけど、聞かないです。

 この首都のエリアの行政の責任が東京都にあるからこそです。円高で中小企業が苦しくて、利益を出すのがやっとのところに、電力が上がったら、倒産しかねない。倒産すれば、雇用が失われる。少しでも防ぎたいということですね。

記者) 子会社との随意契約などの見直しで、3割削減ということなんですけど、これは、積み上げた数値なんでしょうか。

猪瀬副知事) だからね、積み上げると1割削減になってしまうのです。見えるところしかやらないから。だから、売上目標ではないが、3割カットするんだと水準を示して、その水準からはじめる。随意契約が85パーセントの会社ですよ。必ずできる。

 道路公団のときも、3割削減と定めたら、道路公団も真面目にやるんです。逆に、目標ができると3割削減のために努力するのです。

記者) 目標が大事だということですか。

猪瀬副知事)  そうです。だから、実際に、積み上げたら1割しかでてこない。だけど、随意契約が85%で、これだけ子会社がジャブジャブあるところで、まず1割の積み上げってのは、絶対、違いますね。

 まず、見えるところでやって1割削減は出てきたと。でも、あとは見えないところに入っていますから。そうすると、自分たち自身で探してもらうんです。3割削減やれと言ったらね、3割を探す。3割削減をやっても、この会社は壊れない。道路公団は民営化されましたが、維持管理費を3割削減したら、よくなった。つまり、サービスエリアに、いろんな会社が入るようになって、活性化してくる。

 コスト削減というのは3割という目標を出すことが大事。たぶん、実態としても、3割を超えてるだろうくらい思ってもよい。積み上げ方式は、どうしても、お役人が手堅くやる。その手堅くやるのは、それはそれでよくやっている。しかし3割だと言って、外から積み上げのチェックを1割やるよりも、3割だという指示を出してしまえば、東電の中で3割探さなくてはならなくなる。

記者) 東電への資本注入を巡って、議決権で国と東電がですね、対立しているわけですけれども、副知事のご見解をお願いします。

猪瀬副知事) それは、株主総会で言います。

記者) いまは止めておくと。

猪瀬副知事) はい。

記者) 国と機構と東電で、壁の向こうで株主総会をやっているようだと批判されていましたけれども、政府の対応として、もう一歩踏み込んだところで、どんなところが必要でしょうか。まったく、政府が考える東電の姿というのは出てこないんですが。

猪瀬副知事) 東電だけ問題にしているけども。今日の委員会もそうですが、9電力体制をきちんと前提にして、変えていくということをいまやらないと、東電が原発事故を起こしたから東電が駄目なんだっていうかたちで問題を設定すると、たぶん展望はないと思う。いままさにこの時期に、9電力体制をきちっと見直すというふうなことをやらなければ、新しい電力改革というのは起きない。

記者) そこが、経産省に足りないことじゃないんですか。

猪瀬副知事) 仕組みとか難しいでしょう。先程も枝野大臣が「PPS」(特定規模電気事業者)という言葉がわからないから、「新電力」と言おうと提案していたが、まあ、言っていますけれども、なかなか、仕組みがわからない。だから、9電力体制をとにかく、この間の中部電力がね、東電管内で売ってもよいんだよと。で、買いますよという言い方をすることによって、少しずつ、地域割が崩れていく可能性がある。地域割は、安定供給のためとというけれど、地域割がないほうが、あちこちに独立系の電気事業者が誕生して、ネットワークに接続するようなかたちになってきますから。供給体制はむしろ整うんですよ。

 そういう大きな改革の中で、この東電の問題を位置づける必要がある。皆さんもそういう視点で見ていただければ、このファミリー企業の問題というのも、たんに子会社の問題ではなくて、9電力体制の中でできあがった垢のようなものですから。それを落としていくことを。まず、東電はやると。そして、他の電力会社も、お互いに競争しあうような形になっていけば、とてもじゃないけど、新電力、つまりPPSで3.5%のシェアしかないでしょう。それだけでは、この体制は崩れません。

記者)  そうしますと、この間の中部電力が西への供給の観点から、東京都庁への電力の供給を断ったことについては。

猪瀬副知事)  全然断ってないんです、全然。いま今、できないとって言っただけ。で、将来やりますとって言っているわけ。だから、需給が回復したら、お願いしますと言っていたわけ。それをいいですか、メディアの人は断られたとって書いた。違うんですよ、都庁にわざわざ来たんですよ。そして、副知事室でのぶら下がりのやり取りを、ご本人もいてもらって、そこで一緒にやり取りしましたから。あえて、いてもらいました。そこで、質問している内容を見ていただければ、映像にも残っていますが、東電管内は魅力的な市場ですと、はっきり言っています。

記者)  そうしますと、中部電力の姿勢にはとくに、現段階では問題がないと。

猪瀬副知事)  姿勢というか、関西電力と九州電力は原発5割。それが全部、止まっている。だから、それはどっかで供給しなければ大変なことですよね。

記者)  今回のですね、この3割削減によって、あの東電の17%の引き上げ、これは、止めることは可能と思っていらっしゃるのでしょうか。

猪瀬副知事)  根拠を示さないといけない。総合特別事業計画は3月末に出る。そこで、分析されたものを前提に、いくら値上げしないといけないかと言うなら、筋は、一つの筋なんですね。ところが、その総合特別事業計画、3月末に出ることがわかっているのに、去年の12月に値上げを言い出し、1月に正式に発表した。その値上げの根拠ですね。

 ですから、6800億円分の08年と12年の4年間に、6800億円分の燃料費等が上がってしまったというのを値上げの理由にしている。その際、リストラをやりますと。発表された提案では、1900億円のリストラと書いてある。

 だから、6800億円から1900億円のリストラを引いたら、5000億円くらい困っている。だから、値上げしたいんですと言っている。1900億円をリストラね。それを6800億円まで拡大していけばですね、値上げをする根拠は非常に弱くなって、ある程度、出てくるでしょうけれども、ファミリー企業との取引3割削減でもかなり幅が縮まります。そうすると、中小企業に対する、値上げも違う率になるはず。だから、そういうことを突きつけたことに対して、中小企業向けの値上げの抑制の割引を言い出してきたわけですね。

記者)  そういう姿勢を変えさせるっていうのが大きな目的ということですか。

猪瀬副知事)  変えてきたんじゃないですか、少しね。さらに変えることはまだ、できると思います。それから、秋に総括原価をちゃんと精査して反映した場合に、もう一回振り返って取り過ぎた分を還付すると言っているわけですから。それはやっぱり、そこも誤魔化されないようにしないといけないのではないですか。

記者) すみません、確認なんですけども。今、子会社にOBが行く状態についてって、。その大手企業とかだと比較的あるケースだと思うのですがんですよ。東京電力もやっぱり、その結果、それを電力料金に跳ね返ってきてるところが問題と、お考えなんでしょうか。

猪瀬副知事)  まさに、おっしゃるとおり。ふつう普通はね、大きな会社はみんな子会社がありますよね。ふつう普通に競争してしている中でやっているわけですよね。だけど、東電の場合には、随契が、随意契約が85%でそのコストが。それが、その原価の中に入ってきているということですから。それを絞っていくのは当然ですよね。随意契約の部分が原価に跳ね返ってきて、総括原価として、電気料金の前提になっているわけですよね。そこが一般企業の子会社との違いですよね。

猪瀬副知事)  先程、そこにお渡ししたところで、子会社が9ページあります。それから、関係会社が8ページあります。で、関係会社となると、関東電気工事とかね、そういう、でっかいところも入ってきます。子会社の方は、純然たるほとんどファミリーですね。そのもう一つ外側に、例えば、6割以上、取引しているような、あんまり有名ではない、ほとんど知られていない地域の会社がたくさんあって、そこにもOBがたくさんいます。労働組合の執行委員長が、そこの社長であったりとか、そういうものが、まだその外側に無数にあります。ですから、そういうところまで、全部洗いざらい出てくれば、3割以上のカットもできる可能性があります。で、株主としては、そこまで追いきれないんだけども、もちろん、それがさらにまた、東電に対して要求していきますが。

猪瀬副知事)  今日の例えば、毎日新聞に載っている東京リビングサービスの、社員向け高級クラブみたいな。飲食店みたいな、高級飲食店ですが。ああいうふうなものが出てくるんですよ。まだ、どんどん、どんどんですね。

記者)  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

猪瀬副知事)  はい。どうもありがとうございました。
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