属人的組織風土の解消の向けて


 11月19日、大阪学院大学(大阪府吹田市)にて「日本比較生活文化学会」が開催されました。

 阪急阪神ホールディングズの角和夫社長の発表が行われ、その後の懇親会にて直接質問させて頂きました。その中で「属人的組織風土の解消に向けて」のヒントをもらいましたので、記しておきます。

①取締役会議で社の方針を決定する前に、企画会議を開き、A)課長クラスの出席可能、B)発言者、質問者等の全ての記録、C)発言記録の社内にオープンにすること、のルールを採用している。
 具体的例として、オリックスの粉飾決済事件を挙げ、取締役会での数人でのクローズの決定と対比しておられた。
 今後の原子力政策の決定においても、A)課長クラスの技術者の出席可能、B)社長や傍聴者を問わず全ての記録、C) 発言記録を特定の集団の中(大学教員なども含めた集団)でオープンにすること、のルールの採用のヒントをもらいました。原発導入は強い政治的理由によって決定され、情報がクローズしました。この点を改良するのに必要な指針と思われました。組織論の研究者の方にご意見をお聞きしたいです。

②社是の改定を各事業のキーパーソンを呼んで泊まり込みで作った。
「・社会から信頼される企業グループ
 ・持続的成長が可能な企業グループ
 ・従業員満足度の高い企業グループ」
 角社長の考えは、通常時は従業員主体とした企業経営を行い、リスクの高い対応の時にトップが前面に出る、という企業運営である。それゆえ、社是の改定も従業員主体で行われる。それは「会社はだれのためにあるか?」という問いに対する答えでもある。「会社は誰のもの?」という問いは「株主様のもの」と決まっていると言われた。
 A)「会社は誰のためにあるか?」と「会社は誰のもの?」という問題を切り分けること
 B)会社の中心的課題の検討に、各事業のキーパーソンを地位に関わらず採用すること
 C)取締役の役割にリスク対応時の検討を明文化すること(あるいは担当役員を決めること)

 A)から生み出されるのは、発電事業の無責任体制を常に見直すことにつながるであろう。「会社は誰のためにあるか?」という問いは、安全、安心、経済的などにつながるからである。そして最終的には「公衆の福利」につながっていく。カール・ポパーの反証可能性の提案の一側面、「常に誤る可能性を問い続ける」を加えれば、原発導入の政治的理由の消失によって原子力政策の安全対策がもう一度見直せていた。また、現在でも見直すきっかけになる。言葉が足りないが大筋のみ記す。

 B)から生み出されるのは、技術者の専門的意見である。あるいは原発建造時の専門的意見である。あるいは原発周辺からの民間の意見である。原発周辺からの民間の意見は決して一様に反対ではない。ただ、現在、原発再稼働などに反対する人々の一定の割合の人々は、「国民に聞けば反対するに決まっている」から「聞かない」や「国や県で決めてしまえ」という手法に反対している。これは取締役会議のクローズされた人々だけで決めてきた残滓(ざんし)である。この点を改定していけば(防衛上、煩雑さの点で全てオープンにしてはならないのは当然であるが)今後の原子力政策に寄与するであろう。

 C)から生み出されるものは、より危機管理体制の強化である。福島原発事故後では、東京電力の社長の初期の指導力不足、国民からの個人攻撃、リスク対応が終了していないのに辞任となった。また、日本国政府も初期の指導力不足、国民からの個人攻撃、リスク対応の失敗が続いている。一民間企業である東京電力の中に対策本部があることも根本的におかしい。これらは、全て「リスク対応の失敗」と大きく括れる。もちろん要因はそれぞれで異なるが。その「リスク対応の失敗」を教訓とする部署、あるいは担当者を決め、今後の原発事故対策の第一歩として欲しい。このノウハウが、チェルノブイリとは違う教訓として今後の人類の安全に寄与することとなる。チェルノブイリは上からコンクリートを流し込み、「リスク対応」そのものを停止してしまったのである(是非はあるが)。 製造物は必ず壊れる。その事故予防が大切である。原発事故の事故予防のノウハウを作るために、担当部署や担当者を決めて研究を始めなければならない、と考える。 
 
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