福島原発事故による放射性物質飛散推定図

NHKなどのTV、全国紙や静岡新聞で取り上げられた「福島原発事故による放射性物質飛散推定」についての記事です。
出典は、「asahi.com」
http://www.asahi.com/national/update/1114/TKY201111140338.html

先に図を表示します。



放射性物質積算推定図1
補足として県別の図です。
県別放射性物質積算図1
出典は、他のブログです:http://hibi-zakkan.sblo.jp/article/50392168.html



ニュースの本文です


「福島原発の放射性物質、西日本にも」研究チーム解析


セシウム137の土壌中の分布

 東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質が、西日本や北海道にも拡散しているとの解析を日米欧の研究チームがまとめた。15日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。文部科学省は長野・群馬県境で汚染の広がりはとどまったとの見解を示したが、以西でも「わずかだが沈着している可能性がある」と指摘した。

 米宇宙研究大学連合(USRA)の安成哲平研究員らの研究チームは、大気中の汚染物質の拡散を20キロ四方で計算するシステムを使い、事故後の天候や雨による放射性物質の降下を加味してシミュレーション。文科省によるセシウム137の測定値で補正して、3月20日から4月19日までの沈着量を算出した。

 分布状況は文科省の観測の傾向と一致していたが、岐阜県や中国・四国地方の山間部で、原発由来の放射性物質が沈着している可能性が示された。北海道にも広がりがみられた。



この記事と全国図の出典論文です。
「Cesium-137 deposition and contamination of Japanese soils due to the Fukushima nuclear accident」
:http://www.pnas.org/content/early/2011/11/11/1112058108.full.pdf


 考察:
これまで全国の放射性物質飛散図は、ほぼ無かった、と言える。文部科学省が東日本と中部のみの図しかなかった。
文部科学省放射性物質飛散推定図
見比べるためにもう1度
放射性物質積算推定図1

 その意味で、この積算図は推定は含むが画期的である。

 積算図の公開に、私は科学者の良心と倫理を感じる。
 と同時に、福島県産を始めとする食品汚染に対する風評被害が無くなる第一歩だと考える。

 「風評」被害の「風評」とは「科学的根拠なく購買意欲が低下すること」なのである。
 他方、食品1項目1項目についての放射性物質の情報は公開されていたが、消費者が全てを覚えられる訳もなく、情報が錯綜していた。しかも、ヨウ素やセシウム等についても個別の情報は公開されていたが(このニュースもセシウム137に限っているが)、これらも一般国民に覚えられうる情報許容量を超えていた。
 福島原発事故の二次災害に、こうした情報の災害が現れてきた、と考えてきた。

 その状況にあって、全国地図で1枚で見やすい、この地図(情報)は大きな意味を持つ。
 情報伝達だけではなく一般国民の情報消化(理解)に役に立つからである。

 この地図を見た上で、つまり明確に食品汚染を認識した上で、「国民1人1人が購買を選択する決定権を持つ」ということである。
 これまでの原子力政策全般、事故後の政府の対応は、国民が過敏に心配するからいけない、という意味で「国民1人1人が購買する選択する決定権」を情報封鎖によって奪っていた。この意味で、原子力政策は福島原発事故後も一貫していた。原子炉の停止、再稼働等も同じである。

 この意味において、この地図は先ほど述べた情報伝達を情報消化(理解)に換えるだけではなく、「国民1人1人に選択する決定権を持つ」ことについて重大な意義がある。

 技術者倫理では、「インフォームドコンセント」(情報公開と説明責任)が重要視され、「公衆の福利」に直結すると考えられている。
 この地図を元にして、今後の原子力政策全般、事故対応、永久停止あるいは再稼働について説明責任を果たされることを切に希望する。

 
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