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福島原発事故について6コマ分の講義内容

①1954年の導入決定時に原発(原子力発電)は実用化されおらず、安全、経済的優位、他の発電に対する技術的優位は確立していなかった。原発の試験運転は導入決定の10年後、実用化は15年後である。

②しかし、安全、経済的優位、技術的優位はアメリカのデータを基にして主張された。

③技術確立していない原発が日本を含め世界に広がった理由は、米ソ冷戦という国際政治の構造にある。(ソ連の水爆優位を崩すためアメリカ主導のIAEA創設、ソ連は平和利用の名目で原発を世界各国へ、それをアメリカも見習う)

④太古から技術史を見渡すと、社会的理由(政治、軍事、文化、宗教、権力闘争など)で優れた技術が捨てられた事例が沢山ある。(例:最古の凸版技術、造船技術、鉄砲技術など)

⑤日本の原発導入の社会的理由は主に政治的理由であり、米国にとっては世界戦略の1つ、反米感情の鎮静化、日本にとっては冷戦構造の中で朝鮮半島やベトナムのような戦場化を避けること、核兵器を持てない立場での核技術の保持、自主エネルギー確保などである。

⑥原発導入時には利益とリスクの比較(トレードオフ)では利益が上回っていたが(認めない立場も説明)、ソ連崩壊など政治的理由が変化した現在はトレードオフが成立しない((核技術の保持はイデオロギーとして残っている)。

⑦政治的理由で導入されたことが、技術的観点=「許容可能なリスク」や「工学的安全」などが無視され続ける要因となる(属人的組織風土)。

⑧具体的例として、原子炉の圧力抑制プールの水蒸気菅の耐震設計(福島原発事故の原因と1つと考えられる)のデータと考察を、津波や地震の殆どないアメリカからそのまま取り入れ、原子力安全委員会や専門家や設計会社や電力会社が信用したこと、福島原発事故と同じ事故原因で起きた(と考えられる)以前の事故を再発防止対策にいかせなかったことなどがある。

⑨技術者倫理に立つと、50年前の政治的理由が属人的組織風土を生み出し、それにより優れた日本の原発技術の工学的安全が担保できてこなかった一例と考えられる。

⑩本質的に技術は自然科学と異なり、一元化、数値化は不可能である。それゆえ、「許容可能なリスク」に留めるために事故の原因究明と再発防止策は不可欠である。

⑪日本国政府が、総括原価方式で電力会社の利益を担保し、原賠法で補償を担保し、立地探し、研究開発、最終処分などの負担をする意味で経済的合理性のない原発を、電力会社に求めてきた。

⑫原発導入時に正力松太郎(読売新聞の拡大、日本テレビ創設など)氏が、国会議員、国務大臣になり中心的な役割を果たす。同時にマスコミが反原発から原発推進へと世論を動かす大きな役割を果たした。

⑬原発に限らず、米ソ冷戦構造の残滓(ざんし)が憲法、軍事、教育、経済など多くの分野にある。

⑭原発事故の具体例として、静岡県と神奈川県の荒茶の出荷停止問題を取り上げ、基準値を国際基準と比較検討した後、製造物責任法と食品衛生法、原子力安全委員会の安全指針の点から検討した。
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