講義録4 「論理的文章 許容可能なリスク 公衆の福利」



(文意不明、文末の言い回しミス、誤字脱字は沢山あると思います。ご了承下さいませ。)

 夏の暑さが入り込んできたと感じた頃、立夏でした。
 日本人は自然の動きに繊細な人々だったのですね。
 
 今回の講義の流れ

 「論理的な文章の書き方:題材を原発関係に」
    ↓
 「許容可能なリスク」を判断する「公衆の福利」
    ↓
 「公衆の福利」は数字だけでは表わせない
    ↓
 「公衆の福利」の安全や幸福の曖昧さ
    ↓
次回:幸福の曖昧さは学問の出発点


 GWを挟んだので、2週間開きました。
 浜岡原子力発電所停止要請など数多くの原発関係にニュースがありました。第6回に学生アンケート6枚を出してもらうので、どのくらい出来ているかも知るために、また、前回やった論理的な文章の書き方:三段論法の具体的な書き方として、

 問1 前回(先々週)から原発関係で重要な出来事を2つ(以上)挙げなさい

 どのくらい関心を持って原発に触れているか、や、クラスメイトはどのくらいしているのか、などを知るために、ヒントなしで問1を出す。また、私自身も情報を知りたいので出した。

 クラスによってばらつきがあった。ただし、「浜岡原子力発電所停止要請」は95%以上の人が知っていた。ちゃんとニュースやTVから最重要なニュースは得ているので安心した。

 色々挙がってきたことを(思い出せるままに。全てのクラス一括)
・浜岡停止要請
・福島原発3号機の温度上昇200度を超える (補足:前日に6号機は26度と記憶しています)
・トラック運転手と嘘で募集され、原発関係の作業をした
・原子炉内の空気を換気
・原子炉内に作業員が入る
・水素爆発ではなかった?という疑い (補足:当日の朝のニュースという私は知らず)
・福島県の出荷停止解除
・一時帰宅開始
・小学校の校庭の基準がバラバラ
・汚染水、海へ排出
・放射性物質飛散予測が2000枚中2枚しか公開されず
・作業者の被曝の基準がもどる
などなど

 みなさんが良く調べていて驚きましたし嬉しかったです。また、「浜岡全面停止」のニュースを知らない人?と聞いたところ、一人も手が挙がりませんでした。

 私が補足した事実:福島原子力発電所を下から写した映像がTVで公開されたこと。また、昨日、ニコニコ動画の生放送で、作業員などの方が写した福島原発の現在の写真も公開されたこと。

 コメント:これによって、先週言っていた福島原子力発電の「天災:地震と津波」と「人災:日本人の愚かな行為」とがあるのではないか、がはっきりと判った、ということです。今後、見ていきましょう。また、福島原発4号機は運転停止中でも水素爆発が起こりました。ということは、

 浜岡原子力発電所も運転停止⇒安全ではない

 ということです。これも考えていきましょう。
 
 私の出した問いかけ:「どうして浜岡原発だけ止めて、他の原発は安全」と言ったか分かりますか?
 浜岡は1000ガル以上あり、もっと地震に弱い原発があります。しかも日本は地震多発国なので地震がない場所はない。津波も浜岡は対策が比較的進んでいて、もっと危険な原発もある。でも、どうして浜岡だけ止めるのを要請したのでしょう?と

 答えなくて良いので予測がつく人~知っている人~と聞くと挙手した人は10名くらいなので、約5%でした。

 私は、今年の講義をする時に学生と一緒に考えることにした。すると一生懸命やってきてくれる学生もいるだろうと考えた。その際、本やインターネット、ブログなどは学生と同じ情報源になることがある。私はこれまでのNEWSWEEKで海外の情報源を持つが、これだけでは足らない、教員としての責務を果たせないと思い、お金を払って機密度の高い情報を買うことにした。今後、それをそれとなく言っていくつもりです、とも。

 そうした中、一般のTVでも言っている人がいるが、「浜岡だけ」なのは、米国に害を及ぼすからである。浜岡で原発災害が起これば、神奈川県横須賀を母港とする世界最強の第7艦隊が使えなくなる。そうするとアメリカの世界戦略、つまり仮想敵国である北朝鮮や中国への対抗が出来なくなってしまう。だから、「浜岡だけ停止」でいいのだ。北海道の原発が事故を起こせば札幌の人々は被害を受けるが、米軍は被害を受けないので「安全」というのである。

 技術的に考えれば浜岡よりも危険な原発は沢山ある。いや多くの原発はそうである。けれども「安全で停止しなくてもいい」ということになる。技術的問題ではなく政治的問題として原発は運転されている具体的な例である。この問題は、これまでの原発にずーっと付いてきた問題。


 まず、こうして原発に関わる事実を挙げてもらった。しかし、こうした解答の方法は論理的ではない。原発の是非や安全危険については今度一緒に考えていくこととして、論理的に解答してみたい。

 論理性=単語のつながり

 であった。2000年以上の歴史からさらに幾つもくっついたが、後2,3個、講義でくっつけるつもりである。日常的な論理については問題ないと思う。

 さて、論理性=単語のつながり、である。
どうやって、問1「前回(先々週)から原発関係で重要な出来事を2つ(以上)挙げなさい」を論理的に解答するか。

 単語のつながり、なので単語を抜き出せばよい。この場合は「重要な出来事」。

 そしてこれは、結論に入る。問いと解答が論理的に結びついていないと、トンチンカンな答え、問題を理解していない解答、と言われる。

結論: だから、「C」が、重要な出来事です。

 となる。Cの単語は、論拠に入る。すると結論と論拠が論理的に結びつく。

論拠: 私は、「C」が「B」、と考えます。

 Bは事実に入る。すると、論拠と事実が論理的に結びつく。

事実: 「B」は「A」である。

 論理=単語のむすびつき、を考えると、通常の思考方法と逆になるのが判る。一番最初に考えるのは、事実と考えてしまいがちであるが、本当は結論なのだ。その次に、論拠、結論となる(これは大学受験する場合でも有効で、問題文⇒最終解答⇒使う知識(数学の法則や物理法則、単語の知識、古語の変化形などなど))となる。

 アメリカなどの論文は、結論⇒論拠⇒事実⇒結論
 日本の論文は     事実⇒論拠⇒結論

 となる。勉強ができる、と言われる人は、この流れを言葉にしなくても理解している。

 (以下、補足)
 しかし、なかなか難しい人は、この流れが意識できていないことが多い。先ほどの例でいえば、「重要な出来事とは何か?」と聞かれた時、

 「重要ってどこから重要だろう?」
 「原発関係ってどこから言えるんだろう?」

とか、考えてしまう。しかし、それは「聞かれていない」。「聞かれていない」のに、事実に注目するから、自分で考えてしまうのだ。だから、時間が掛かる。それに人間の頭は同時に2つの考えが出来ないように作られている。今聞かれている「重要な出来事とは何?」と「重要ってどこから?」という2つは答えられない。けれども、事実に注目するから答えようとする。答えようとするように脳に求める。(日本の)勉強の出来る人でも答えられない。勉強のできる人は、問題を2つ以上脳に詰め込まない人なのだ。
 (補足終了)

 さて、文章にしてみよう。

結論: だから、「C」が、重要な出来事です。
論拠: 私は、「C」が「B」、と考えます。
事実: 「A」は「B」である。

 こうするとやることがはっきりする。今、Cを探すことである。Cは先ほど学生が挙げてくれたことを入れればいい。皆が知っている「浜岡全面停止」にしよう

結論: だから、「浜岡全面停止」が、重要な出来事です。
論拠: 私は、「浜岡全面停止」が「B」、と考えます。
事実: 「A」は「B」である。

 次は、Bだけを探せばいい。
 Bは少し考えて「これまでなかったこと」にしよう。

結論: だから、「浜岡全面停止」が、重要な出来事です。
論拠: 私は、「浜岡全面停止」が「これまでなかったこと」、と考えます。
事実: 「A」は「これまでなかったこと」である。

 実は浜岡全面停止はこれまでにあった。もちろん電気を止める必要がなかった。今回だけなぜ中部電力は東京電力などに協力しない、というのだろう。震災に付け込んだ、と見えてしまう。脱線した。だから、C=浜岡全面停止要請 に。

 Aを探そう。理想は、結論に単語を入れることである(意味から無理な場合もある)。Aを「重要な出来事」にしてみよう。

結論: だから、「浜岡全面停止要請」が、重要な出来事です。
論拠: 私は、「浜岡全面停止要請」が「これまでなかったこと」、と考えます。
事実: 「重要な出来事」は「これまでなかったこと」である。

 「」をとって、事実⇒論拠⇒結論の順番に直そう。

重要な出来事は、これまでなかったことである。
私は、浜岡全面停止要請がこれまでなかったことと考えます。
だから、浜岡全面停止要請が、重要な出来事です。

 さて、問1と答え方を比べてみよう。

問1 前回(先々週)から原発関係で重要な出来事を2つ(以上)挙げなさい

解答例1  浜岡全面停止要請です。

解答例2  重要な出来事は、これまでなかったことである。
       私は、浜岡全面停止要請がこれまでなかったことと考えます。
       だから、浜岡全面停止要請が、重要な出来事です。

どちらが良い例になるだろうか。

 私の考えでは「重要な出来事とはこれまでなかったことである」という文は、誰にでも当てはまる事実(客観的事実)が説得力をつける。「私は、浜岡全面停止要請がこれまでなかったことと考えます。」という文は、当人の考えが表れており、しっかりと自分の意見があると考えます。そして最後の、

 「だから、浜岡全面停止要請が、重要な出来事です。」

という文は、重要な出来事、というキーワードが問題文とつながっていて、「問題をきちんと理解している」と思わせる(本当にそうかどうかは当人以外判らない)。

 このように単語のつながりを意識すれば、論理性があり、説得性や自身の考えがあると見えるのである。

 論理的な文章の書き方、の具体的な例である。

 次の、4-1に続きます。これを30分で聞いてもらいました。
概(おおむ)ね好評をもらったので安心しました。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
書いたもの(平成29年度)
哲学(平成28年度)
科学技術者の倫理(平成28年度)
書いたもの(平成28年)
科学技術者の倫理(平成27年度)
哲学(平成27年度)
書いたもの(平成27年)
哲学(平成26年度)
「科学技術者の倫理(平成26年度)
講義録「哲学」
書いたもの(平成26年)
書いたもの(平成25年)
論文(高木健治郎の)
講義録「科学技術者の倫理」(平成25年度)
高木ゼミ『銃・病原菌・鉄』
高木ゼミ全6回『ぼくらの祖国』
教養講座6回分(平成24年度)   講義録21~
講義録「科学技術者の倫理」(平成24年度)     講義録1~15
最新記事
講義録「科学技術者の倫理」(平成23年度)
石上国語教室で行われた講演のレジュメです。哲学が足りなかったのが、福島原発事故の原因の1つではないか、と考えています。

「哲学のススメ2」レジュメ

最新コメント
カテゴリ