哲学2-2 「真・善・美」を身近で考えよう

 皆様、こんにちは。

 第2回の講義になります。
 今回から日本について3回触れていきます。というのも日本の真・善・美を明確にしておかないと、古代ギリシャの真・善・美がどこまで私達に近く、そして遠いのかがハッキリしなくなるからです。その場合は授業としてのハラキリをしなければならないでしょう。つまり、どこまでも善意であっても責任を取らなければならない、ということです。その責任とは初回にお話しした18歳の時の私(高木)への責任であると同時に、講義を担当する者としての責任です。真剣な覚悟で臨みます。

 それでは第2回の講義録に入ります。

 講義連絡

配布プリント B4で1枚
『聖書』 日本聖書刊行会 創世記3 2-4 9, 出エジプト記19 1-23 22

紹介本
:なし

宿題
:なし


 --講義内容--

 前回の聖書のアダムとエバ(イブ)の話に興味を持ってくれたので、該当箇所をコピーして配付しました。
 前回は、真・善・美の真として以下を示しました。

日本の真:人は先祖から生まれる
大勢の真:神が人を創られる (人は神から生まれる)

 そこに物語=『古事記』と『聖書』の違いを挙げました。物語によって真が決定していたのです。では、今回は残りの、善・美について見ていきましょう。

ー問1 奴隷制度は善いもの?悪いもの?

 学生の皆さんの8割以上が「悪いもの」としました。何故でしょうか? それは『古事記』の中に奴隷制度が悪い、と書いてあるからです。

ー日本における奴隷制度
 日本の建国時に「八紘一宇(はっこういちう)」と「民(おおたから)」の理念を打ち出しています。
「八紘一宇」とは、八つの民族(八紘)が一つの家に住もう、という意味です。つまり奴隷は奴隷の家、主人は主人の家ではないのです。全ての民族を同じく扱おう、その上で八つの民族がそのままで良いですよ、という意味です。また、「民」と書いて「おおたから」と読ませていますから、民衆を大切にしよう、という意味です。ですから私達日本人は奴隷制度は悪い、という善の観念を持っているのです。
 補足として、敗戦後に奴隷があったとか、「八紘一宇」は戦争に使われたとか、学問的には全く正しくない見解が出てきましたが、諸外国の奴隷制度や理念を比べてみれば、日本に奴隷制度がなかったのは明らかです。そうした偏向報道については初回にやりましたので繰り返しません。

ー大勢の奴隷制度
 『聖書』を聖なる本としているのは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などです。『聖書』は古代メソポタミア神話を西暦の紀元前900年頃に編集されました。さらに前500年頃にも編集されるなどで内容がバラバラで矛盾だらけです。それでも聖なる本と見られています。この本の中で、神は奴隷制度を認めています。例えば安息日(日曜日)には主人も女も、男奴隷も女奴隷も、家畜も、在留外国人も全て休まなければならない、と書いてあります。さらに、奴隷の扱い方、奴隷の子をどのように処遇したら良いかも書いてあります。実際に『聖書』を読み上げて学生の皆さんに確認してもらいました。つまり、

唯一の善なる神が、奴隷制度を当然としてお認めになっている =当然である

 のです。ですから、諸外国では奴隷制度が継続しています。1965年に奴隷制度を法律上は止めたアメリカでは、奴隷に替わる奴隷階級をつくり出しています。それは当然(善)である、という観念があるのです。つまり、「奴隷制度は当然の区別であり、奴隷に不当な行為を行うのが差別なのである」という文になります。

ー現代のEUの移民問題

 奴隷制度           =差別ではない
 奴隷に不当な扱いをする =差別

 しかし、現在のEUの移民問題は

 移民を区別する       =差別
 移民に不当な扱いをする =差別

 となっているのです。移民は税金を全く納めていない人々です。この人々を区別しないとどうなるでしょうか。

 国民が例えば3000万円の税金を納めてきて、年金などで3000万円以上を受け取るのは当然です。しかし、移民を区別しないと、この人が受け取る年金が1500万円になってしまいます。それはおかしいのではないか?というのがEUの移民問題の本質です。そして、これは、「差別」と「区別」が混乱して生まれている結果でもあります。「区別」が悪いことでしょうか? 不当な扱いが悪いのです。

 オリンピックで男女が別々に競技するのは区別です
 パラリンピックとオリンピックが別々に競技するのは区別です
 女性が男性と同じ競技をさせろ!差別だ!というのは善でしょうか? 善ではありません。
 女性の競技が男性の競技より劣るから駄目だ、という不当な扱いをするのが悪なのです。

 現代日本でもEUでも、「差別」と「区別」は人間を熱狂させ、混乱させています。2500年前から同じでした。

 ただ、不当な扱い、に物語の影響があります。

日本の学校では、留学生と日本人が同じ学費です。なぜなら、『古事記』にそう書いてあるから。
英国の学校では、留学生が英国人より高い学費です。なぜなら『聖書』にそう書いてあるから。留学生は将来母国に帰って知識を還元するのだから同じ税金を投入するのはおかしい、という公正さからです。ですから、不当な扱い、とは考えなのです。

 また、物語の影響の大きさは、善の規定もしていることが判ります。

 ここで気を付けて欲しいのは、日本の善とは違う奴隷制度を単純に悪とし、そして西欧は悪である、という思考になってしまう点です。彼らは彼らの環境や社会状況や時代性などによって善を生み出してきました。それらを一切無視して、善と悪だけで斬り捨てる方法は、政治的には有効かもしれませんが、学問ではないのです。むしろ、私達と異なる善を、どうしてそうなるか、逆に私達の善の限界はどこにあるのか、を考える良いきっかけにしてもらいたのです。

ーマイケル・サンデル氏の正義と日本の正義の違い

 奴隷制度は日本では馴染みがありませんのでもう少し身近な例を出していきましょう。

 問2 どちらが正義か?

 マイケル・サンデル先生の『これから「正義」の話をしよう』という本があります。バーバード大学の講義録でベストセラーになっている有名な本です。この中で、ハリケーンに遭ったニューオーリンズで屋根が飛ばされて修理(修繕)屋が50倍の価格を吹っ掛けるケースを紹介しているそうです。どちらに正義があるか、という問です。この問の設定は

 高山正之著 『変見自在 サンデルよ「正義を」教えよう』

を引用しています。賛否両論ありますが、描き出した世界は善を欧米と比較する上で恰好なので採用しました。

A:価格は需要と供給で決まるので当然であり、正義である 例えば200万円の屋根の修理費は1億円になります。
B:弱者につけ込む悪徳商法で正義はない。正義は正規の値段で修理すること

 学生の皆さんに聴きました。クラスによりAとBが入れ替わりましたが、総じてそれぞれ4割でした。その他が2割です。ここで高山氏は、この問題設定自体を戸惑う、と言います。同著206頁

「日本では例えば中越地震のとき。道が崩落して救援物資も届かない山村のスーパーが、とりあえず必要な食品や野菜2千円分を詰め合わせた袋を四百円で売った。「こういう時はお互い様ですから」と店の店主は答えた。」

と言います。つまり、AでもBでもなくCを出すのです。

C:価格を下げるのが正義である。

 このスーパーの店主は何もなければそのまま死んでいって名もなき人物で終わったでしょう。決して上流階級や意識の高い層に入りません。ですから、この「お互い様」は日本人全体が共有している真・善・美と考えられるのです。同様の例は阪神淡路大震災でもありましたし、記憶に新しい東日本大震災でも同様の例が沢山ありました。東京では階段の一列を開けて座る人々。自分の睡眠が確保できなくても「お互い様」と道を開ける姿がありました。自衛隊はその身を傷つけるにも関わらずご遺体を重機をなるべく使わずに探して下さいました。平成26年の最近遭った御嶽山噴火でも、火山灰に高熱やガスが噴き出す可能性があるのにも関わらず、ご遺体を肉体で探してくれました。高潔な正義を持っているのです。高山氏は、そういう訳でそもそも欧米の正義と日本の正義は異なる、と指摘します。
 この正義はどこから来るのでしょうか。それぞれの社会が持つ物語(神話)にあると思います。それを見ていきましょう。

ー日本とは何か?

 ただし、物語に基づく真・善・美に入る前に、日本そのものを考えて行きましょう。というのも、敗戦後日本の歴史を教えなくなりました。国の歴史は、国史、ですが、それを日本史と言っています。まるで外国人が日本の歴史を学ぶかのような、言い方です。内容も近現代史をやらず、日本の正統な解釈を教えず、事実の羅列に終始しています。そうした事実を嘆く声が出るのは当然ですが、敗戦後、そうした声は封殺されてきました。それに対する考察は後にするとして、そうした封殺によって日本に歪みがあることを知ってほしいのです。学生の皆さんは直ぐに気が付いてくれる人が出てきました。問を3題だします。

問3 日本は何時できた国?
問4 日本は誰が創った国?
問5 日本は何を目指している国?

 この3題は知っていて当然です。国際化社会などと叫ばれている現在、グローバリゼーション、国際基準などと言われています。では、外国人は何を知りたいでしょう。当然日本の国のことを知りたいのです。留学先でアメリカ人にアメリカのことを聴くように。しかし、この3題に正確に答えられる人がいるでしょうか。残念ながら皆無でした。学校で教えていないからです。そして自分でこうした問題を考えないからです。昨年の講義録を引用しましょう。

「問1は知っていますね? 前も言いましたけれど、日本は戦争に負けたから、日本を弱くしておきたいからですね、アメリカに「日本は何時出来たか教えてはいけない」と禁止されたんです。それ以降も、ずーっと続けているのです。現在では疑問にも思わない人が増えて来ました。皆さん自分の誕生日を知っているでしょう。自分の親を知っているでしょう。同じことですね。アメリカはジョージ・ワシントンが、約300年前に連名で独立宣言にサインをしました。英国は約900年前にイングランドを征服して作りました。では、公式記録で日本は誰が創った国でしょう。教えてはいけないのを続けています。高木も義務教育の中できちんと教えてもらいませんでした。きちっと決まっているのです。
 問3ですけれども、国歌にあるように女王陛下万歳!!女王陛下が世界を支配しますように、というのを目指している国なのです。アメリカは神から与えられた使命を果たすための国なのです。ですから、アメリカ西海岸からだまし討ちをしてスペインなどに戦争を仕掛け、アメリカ東海岸に到達しました。その後、フィリピンやハワイを植民地化して、邪魔な日本をやっつけるように計画し、支那を支配し、ついにエルサレム(イスラエル)に到達するのを国家の目的としています。ブッシュ米国大統領がイラクに戦争を仕掛ける時、「神のために」と言って宣戦布告なしで戦闘行為を始めました。神の支配を広めるのが国家の目的なのです。きちっと国家の目的があるのです。
 問5ですが、沢山あると思いますが、自分の考えで良いです。ちなみに、午前中にインドネシア人などに聞くと「倫理が高いところ」と言われました。
(200人強の内、問1、問2共に正解者は1名のみ、惜しい人、問2のみの人が数人いました。コメントを書く途中、「皆書けないですね~」や「敗戦の影響がありますね~」と声を掛けました。私も大学時代は同じでした。)」

 以上引用終了です。自分の誕生日は知っているのに、日本の誕生日を知らない。何歳か知らない。誰が親か知らない。創った人を知らない。その目指しているものを知らない。異常ですよね。答えます。

問1 日本は何時できた国?   2674年前 今年は紀元2674年
問2 日本は誰が創った国?   神武天皇
問3 日本は何を目指している国? 平和と民の安寧(あんねい)

 敗戦によって日本独自の暦が、西暦に置き換えられてしまいました。紀元と言えば、西暦というイエス・キリストの誕生を基準にした暦になったのです。これはオフィシャルレコード、正式な国の歴史書に書いてあります。日本の正式な歴史を知らない、という異常さを知ってもらいたいのです。真・善・美を日本で考える上でどうしても避けられない問題です。私が大学時代、哲学が全く空虚で、つまり日常感覚に基づかない、と感じた原因の1つでもありました。日本の哲学者と言われる人々が北朝鮮による拉致問題、膨張する中華人民共和国をどうするか、日本が世界に示すべき価値は何か?を問わないできた原因でもあります。もう少し昨年の講義の引用をします。

「日本のオリジナルのカレンダーは「皇紀(こうき)」と言います。多くの社会科の教科書に書いていませんが、きちっと決まっています。日本国の正式な文章として神武天皇が橿原(かしはら:奈良県南部)に建都をしたと記されています。時代制定は下ること1000年以上を経ますが、『日本書紀』初代神武天皇によって日本国が建国されました。敗戦前は学校で教えていたので、皆知っていたのですが、戦争によって禁止されて、それ以降教えられていません。私も大学卒業前に知りませんでした。
 だから皆さん知らなくても良いのです。しかし、「日本とは何か?」を考えていく時にはどうしても日本の本質、日本の真・善・美を観ていかなければなりません。現在の色々な歪みからさらに深くもぐっていかなければなりません。きちっと観ないと「私とは何か」を見ることが出来ません。宮崎の昔の国名が「日向(ひゅうが)」と言い、日が向かう、つまり天照大御神の子孫である神武天皇が出発した場所を意味します。そして大坂に行き、敵に出会ったので反対側の伊勢の辺りから大和(奈良県)に入り、周りを平定しました。そこで、橿原で国家を作りました、と宣言しました。民衆のことを「大宝(おおたから)」と言いました。
 敗戦後、それまでも使っていましたが強く西暦を使いなさい、と言われました。西暦はキリスト教の教祖であるイエスの誕生を基準にしているカレンダーです。しかし、皆さんの内、キリスト教徒の人、90%以上いますかね? でも、使いなさいと強要されてしまいました。キリストの生まれる660年前に日本が出来ました。丁度、講義で扱う古代ギリシャや孔子と同じ時代です。西暦の2013年+660年、として覚えると覚えやすいと思います。私もそうして覚えました。
 平成は、現在の天皇陛下の在位が25年目ですね、ですから、平成は25年。では初代の神武天皇から現在の今上(きんじょう)陛下まで、この「神武」は死後に付ける名前ですから(お隠れあそばされた後の御名)、現在の陛下は「今の上と書いて「きんじょう」」陛下と言います。ここまで何代目でしょうか? 挙手して教えてくれた学生がおりました。

―日本という国の長さ

日本という国が2673年前に出来ました。古代ギリシャと同じ頃に出来ました。古代ギリシャはどうなっていますか、500年経たないうちに、ローマという国、あるいはアラビアの国によって滅ぼされてしまいました。隣の支那大陸では周王室がありました。秦(しん)の始皇帝の秦によって、つまり異民族によって滅ぼされてしまいました。その後、庶民の出である劉邦によって漢という国が出来き、300年間支配しました。その後はまた異民族によって支配されるようになりました。宋の時代にやっと漢人が大きな国を作りましたが、また異民族によって何度も支配されました。現在の、中華民国、中華人民共和国の前の清という国も異民族の支配する国なのです。やっと、約60年前に中華民国と中華人民共和国という自分達の支配する国を作ったのです。アジアの国々は殆ど60年くらいです。
では次に古い国はどこの国かしっていますか? サンマリノ、というイタリア半島に小さな国が約1700年(バチカン公国は除く)。しかし、人口3万の、ちょっと国といえるかどうかの国ではあります。近代国家で言うと国とはいえない単位です。人口を大きく取るとデンマークが約1300年、1400年です。つまり、2番目に古い国の倍以上古い国なんです。世界の中の奇跡的な国なんです。日本は世界最古の国として、載せてもらう必要もないかもしれませんがギネスブックに載っています。次は、900年くらいの英国です。デンマークも英国も王家と民衆との血は違います。英国はドイツ系で、英国の庶民はアングロ人、サクソン人、後は他国のウェールズ人、スコットランド人などです。こういう人々とは結婚することがありませんでした。だからダイアナはそれを超える存在として愛されたのです。けれども、日本では美智子皇后陛下のように皇室に入ることが出来ます。皇室と民が一体であるから結婚できるのです。

―問3の答え 民の安寧(あんねい)

神武天皇が「大宝(おおたから)」と民のことを呼び、鎮めることを宣言しました。その理由があるのですが、先にイザナキとイザナミの話をしておきましょう。『古事記』の最初にただ1柱(神様は柱で数えます)の神が出てきて、その後2人組みで出てきます。その後、地上を作るためにイザナキとイザナミという男性を象徴する神と女性を象徴する神が出てきます。ちなみに、「イ」とは見えないけれど大切なものを表すとの説があります。イノチ、イキ、イネ、などに「イ」がついています。「ザ」とは「サ」の強調形。「さわさわ」が「ざわざわ」になると強くなります。「すりすり」が「ずりずり」。「こんこん」が「ごんごん」などです。「サ」とはそこに留まる、触れるの意味。さする、さわる、さらす、などがあります。そして「ナキ」とは「凪」のこと。動かないを意味します。「ナミ」とは「波」のこと、動くことを意味します。この動く原理と動かない原理が合わさって物が出来る、と考えるのです。「イザナキ」とは大切なものが留まって動かない状態、「イザナミ」とは大切なものが留まって動いている状態を意味します。但し他の説もあります。例えば、

三浦佑之訳・注釈『口語訳 古事記 [完全版]』

では「イザは誘いかける語。ナは格助詞「の」で、キとミとは男と女を表す接尾辞。」とあります。続けます。

 そこで、天のぬぼこという棒の前で、イザナキとイザナミが出会います。そこで女性から最初に声を掛けました。「あら、格好いい男ね」と。次に男性が声を掛け「あ、可愛い女だなぁ」と声を掛けました。そして成り合わさって(生殖行為)赤子が産まれますが、蛭子(ひるこ)というちゃんとした子が産まれませんでした。そこで智慧の神様に聞きにいくと、「男から声を掛けなさい」と助言されました。そこで仕切りなおし。男性から声を掛けました。「ああ、可愛い女だね」、次に「あら、格好いい男だね」と。するとちゃんとした子が生まれ、日本列島を始め色々な植物などが出来ていきました。」

 以上が昨年の講義録でした。

ー日本の男女関係

問6 日本の男女は対等ですか?

 私は男女「平等」とは訳語としておかしいし、意味としてもおかしいと思います。というのも「平等」の「平」とは「同じにする」という意味を持っています。しかし、肉体的に男女は異なります。それを「同じにする」とはどういうことでしょうか。男でも女でもない存在にすべての人をする、ということでしょうか。そんなことは不可能です。では、男を女にするのでしょうか。それでは女尊男卑です。女を男にするのは男尊女卑です。これも不可能です。ですから、言葉を正確に使おうとすれば、男女平等とは、まず、どちらかの優位があって、その上で片方を持ち上げる、という前提がなければなりません。これは『聖書』のアダムとエバの物語に由来します。もし女性を男性に格上げするならば、オリンピックを廃止しなければなりません。男女別々であり男女平等ではないからです。他にも色々とあります。この辺は長くなりそうですし指摘だけに留めておきます。
 欧米では男尊女卑の物語がありました。その規定の上に「男女平等」が出てきました。しかし、日本の物語では男女「対等」です。男性と女性が一つになることが大切、という物語があります。それを昨年の講義録から引用します。

「ここから、男性は外では上、女性は下、ということと男性が動かない、女性が動く、ということです。神社で神主さんが必ず左足から進みます。拍手を打つ時、左が上の状態にして手をたたきます。ご飯を食べる時、同じ箸を使う支那では食器も箸も動かしながら食べます。朝鮮では食器を置いて食べます。日本では左手で食器を持って動かさず、右手で箸を動かして食べます。和弓では必ず左手が動かず、右手を動かして矢を射ます。右利きも左利きも関係ありません。モンゴルなど騎馬民族は両方の手で弓が射れるようにしますが、日本では形が決まっています。色々なことで左手を止め、右手が動く、というのがあるのです。他にも沢山あることでしょう。
男が上で女が下ですが、対等なのは留意して下さい。キリスト教では、特にヨーロッパでは男から作られたから女が下と固定されています。アメリカの思想、フェミニズムが日本に入って来ましたが、その人たちは誤解しました。日本では男が上で女が下、をキリスト教的男尊女卑だ、と誤解したのです。
しかし、日本では役割が違う、というだけで対等なのです。神の前で音を鳴らすから神様に通じることが出来ます。その音を鳴らす拍手は男だけ、左手だけでは鳴らせません。女性が居て初めて鳴らせるのです。男女で1組なのです。現在の日常生活でもそうです。外では男が上の役目をしますが、内では女が上の役目をします。
サラリーマンの70%が稼いできた給料を全てかみさん(妻)に渡すそうです。月給35万円を全てかみさんが使えるようにします。その上で、お小遣いをもらうのです。平均3万5千円。なんと稼いできた10分の1しか自由に使えないのです。東アジアの多くの国の留学生に話すと「日本人の女性と結婚したくない」と言います。「なぜって、普通は35万もあれば、生活費に10万円くらい出して、25万は自分で自由に使うのが当然でしょう」というのです。男女平等だから、男女の財産権は平等だから生活費は半分半分、あるいは稼いでいる方が出して後は全部自分のもの、という考えなのです。確かに東アジアの、あるいは欧米の考え方は判ります。他方、日本では実態として、つまり日常生活として、内では女が上なのです。さらに、へそくりの調査をしたある生命保険会社があります。なんと女性は140万円の平均だったのに、男性は40万円だったのです。よく言われるのは男女の収入の格差が言われます。しかし、自由に使えるお金は女性の方が多いのが私達の実際の生活なのです。皆さんも駅前のホテルの高級なランチに行ってみて下さい。食べなくても良いのです、誰が入るか見てみてください。男性と女性のどっちが多いでしょうか? 日本では圧倒的におばさんが多いのではないでしょうか。バスツアーやパックツアーなどの申し込みは、おじさんとおばさんとどっちが多いでしょうか? おばさんの方が圧倒的に多いでしょう。暇もお金もある、のは実際には女性なのです。「かかあ殿下の方が上手くいく」などという諺もありますが、実際の生活です。これは日本の戦国時代に来たイエズス会の資料に同じようなことが書いてあり、驚いています。つまり「日本では女性に財産権もあるし、離婚の権利も与えられているし、人間として扱われている」と書いているのです。日本では男女は対等であり、役割が違う、と考えてきたのです。
皆さんの家はどうでしょうか? 私の両親はおかーちゃんが給料を渡しているのです。男女が対等であれば給料を全部渡す必要がないのです。男性が上であれば稼いでいるへそくりが多いのではないでしょうか? 美味しい物を食べるのも旅行するのもおじさんなのではないでしょうか?」

 以上が昨年の講義録の引用です。もちろん本年度の講義でもお話ししました。日本でフェミニズムが定着しないのは、まず、前提となる事実がないからです。その事実を作り出す物語が異なることを受け入れないからです。欧米の考えを持ってきて日本社会を変えようとしても中々上手く行きません。日本社会は不思議なもので、そうした思想を受け入れるのですが、都合の悪い部分はきれいさっぱり棄て去って、必要な部分だけを抜き出して変形して残していきます。これが実に上手です。

 以上が講義録ですが、最後にまとめたいと思います。

・日本の真・善・美とは欧米と異なる
・日本の真・善・美とは欧米と同じく、物語に規定されている
・真・善・美とは日常生活や男女関係を含めて多くに影響している

 物語の影響の大きさを知ってもらいたいと思います。そして公平性も。敗戦のショックで神話時代、つまり今から2500年前の時代、ローマやカルタゴ、古代ギリシャは自分達の先祖が神であると主張していました。しかし、彼らの国々は滅びたのです。日本だけが生き残りました。だから神話を元にした日本はけしからん、嘘だ、という訳です。では、2500年前に編集された『聖書』には神が出てきます。どうして彼らをおかしい、と言わないのでしょうか。どうして日本だけをおかしい、というのでしょうか。このように事実を日本だけでなく他の地域に広めてみると、新しい視点が出てきます。この面白さ、楽しさを知ってもらいたいのです。
 また、哲学者ソクラテス、プラトン、アリストテレスの時代は丁度日本が出来た頃です。彼らは神の存在を疑っていませんでした。当時に、現在の日本と同じように、神にすがることはしませんでした。その辺りの感覚も覚えて置いて欲しいものです。

 以上です。
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