講義録12-2 学生コメント集

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま(漢字への変換あり)、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。


○今日は前半にメタンハイドレードの話が出ました。メタンハイドレードというのは熱分解できる限り無限にエネルギーを供給できるというのを知りました。石油・石炭などは有限なエネルギーなため限りがあるけれど、今の現状から言うと、頼らなくてはいけないと思った。

★メタンハイドレードのこと、を伝えられて良かったです。そしてそこから自分で考えてくれて良かったです。その考えを事実に基づいて検証してみましょう。では、石炭の採掘年数はどのくらいか知っていますか? それを知るとまた別の考えが出て来ると思います。私も知って、へーっと思ってしまったのです。是非ともどうぞ。

○個人的には、放射線は、新しい知識に基づいても、危険であると思います。

★なるほど。では、その危険はどのくらい危険なのでしょうか? 事実を持ってきて調べて見て下さい。あるいはそれを教えて下さい。放射線が危険なら、地球上にいる限り危険なのです。どの程度になれば危険になるのか?というのは専門家の中でも幅があります。是非とも検討してみて下さい。
 私が放射線について調べるために見たレポートの中で最も見やすいものを紹介します。国立がんセンターのレポートです。

「福島での原子力災害による放射線の健康影響に関する解説(Q and A)」
http://jeaweb.jp/activities/tohokuearthquake/pdf/20110413qa.pdf


○原発に関する様々な情報を聞き、無知であることを知った。今回のような似ている事故、事件のケースについても知りたい。

★自らは無知である、と自覚する、学問の態度です。素晴らしいです。嬉しいコメントです。有り難う。そうですね、学問としては、図書館に参考書としてある、吉岡斉著『原子力の社会史』です。社会関係では、静岡新聞社『浜岡原発の選択』も幅広く見れますし、新聞の特集なので読みやすいです。是非、どうぞ。

○原発に対する反対意見、推進意見は穴だらけだと感じた。これらの意見を言った人が問題を分かった上で発言しているのか、分からないで言っているのか、気になった。

★なるほど、当人が知っているかどうか、ですね。周りに、原発反対の人、原発推進の人はいないでしょうか。聴いてみて下さい。なるべく穏やかに。そういう人がいなければ、まあ、これはかなり勇気がいるでしょうが、浜松や静岡の駅まで反対をしている人たちに直接聞き方法もあります。そしてこれが一番無難な方法でしょうが、専用アカントをGmailなどで取ってメールで聞くのが良いでしょう。ちなみに、名前ありませんでしたよ。欠席になるので、申し出て下さい。

○大飯原発での評価は関西電力内で行われ、不十分な評価だったことから、評価をした技術者やそれを管理する責任者の関係に疑問を感じた。

★大いなる疑問を持ってくれて嬉しいです。同じような問題は、パチンコでもあります。警察の生活安全課が、パチンコの許可(推進)と検査(安全管理)をやっているのです。他にも、色々とありますよ。こういう学問の視点を大切にしていって下さい。

○先生の熱の入り方がいつもと違う。原発の話だから?

★そうでしたか(笑) 前回は風邪をひいていたから、かもしれません。あるいは、この原発の問題は、深く潜っていくと敗戦後の利権構造、さらには日本人の「和を以て貴しと為す」の根本的欠点にぶち当たるからでしょう。私は、日本人であるからこそ、日本人の汚い箇所、直さなければならない箇所を指摘し、改正しなければならない、と考えているのです。それを持たなければ、学問の世界にいる意味がない、とさえ考えています。ズバリ!と良い指摘を有り難う御座いました。次回も熱を入れて頑張ります。

○企業の都合によって劣った技術が使われていたり、国益を損なうような事になっているのは良い事なのかどうか疑問に思った。

★その通りですね。劣った技術の使用、国益を損なう。私は良くないと考えます。○○くん、是非、考えてみて下さい。

○質問なんですが、現在、日常的に使われている物のなかで最もリスクが高いものはなんですか。

★タバコです。死者数から観るとです。

○大企業や政治など、様々な要因で科学的知見が無視されているのが現状なら、一体技術者はどうしたらよいのかと思う。もっと科学は強くあるべきだろうか

★「一体科学者はどうしたらよいのかと思う」は、深いテーマですね。そのテーマは技術者の永遠のテーマではないでしょうか。そういう視点で考えていって下さい。色々な答えがあると思います。このテーマを話し合う場所を作りたいですね。是非とも講義後に話に来てください。

○日本も沸騰水型原発の採用を取りやめる日が来るのかが気になる。

★そうですね。そういう視点で原発問題を見ていって下さい。大企業の利益優先で劣った技術が使われ続ける例は、他の分野でも沢山ありますよ。疑問を持ちながら物事を見ていって下さい。

○正直今まで少し退屈でしたが、ようやく興味深くなってきたように思います。

★そうでしたか(笑) 講義なので基礎部分は説明しなければならないのです。発展部分が面白い、なら、是非とも本を沢山読んでいって下さい。そして良いレポートを書いてください。

○講義とは全く関係のない話ですが、もうじきクリスマスですよね。先生は奥さんや子供にどんなプレゼントをしますか? また、去年等クリスマスにどんなものをもらったことがありますか?

★ふふっ(笑) 関係ないですねー。特に何もあげるつもりはありません。必要としていそうなものを上げようと思います。かみさんには温かいパジャマかな。子供には、それぞれ聴いてみます。もう5歳と3歳なので。クリスマスにもらったのは、色々ありすぎますねぇ。便器掃除の道具を貰ったことがありますよ。

○自分も原子力発電所の詳細は知らなかったので、見方が少し変わった気がします。欠点ばかりに目が行っていましたが、自分が知ったことだけが、事実ではないということですね。

★そうですね。私の講義でお話した事実も私が調べた事実の10分の1、いや100分の1にもなりません。その中で厳選してお話ししました。もっと知って欲しいことは沢山あります。観方が少し変わった、というのは嬉しいです。少しずつ少しずつ、見方を高め、広めていって下さい。

○かなり遅く遅刻してくる人が多いですが、先生はどのように思っているのでしょうか? 自分はさすがに遅すぎないか?とか思っています。

★私は、遅刻は別に気にしていませんでした。というのも、大学は自分で勉強する場だからです。遅刻してくれば授業の価値はなくなります。それが支払う授業料に見合わないだけ、という風に考えます。アリストテレス風です。ただ、こうしてコメントをくれたので、次回告知して、遅刻者のルールを徹底します。実は、当のクラスだけ極端に多いのです。けれども、全クラスで徹底します。コメント有り難う。改善につながりました。

○無茶苦茶だというのが正直な感想です。この国は大丈夫なのでしょうか。リスク対策と社会との相補性についてですが、原発も含め、その他の安全設計には特許のようなものが存在しませんか? もし存在するのであれば、それはおかしいことだと思いました。

★確かに無茶苦茶、と感じるかもしれません。ただ、原子炉は安全に停止している、と授業でやった点も認識しておいてください。安全対策をきちんとした箇所はしています。それにベント弁、免震重要棟などもです。また、日本の安全管理は世界トップクラスです。確かにリスク対策に問題はあります。しかし、他国は・・・というレベルなのです。現実とは理想と一致しないもの、いうならばプラトン風になりますが、そういう中で、どれだけ公益のために尽くせるか、が問題になってきます。良い視点です。是非とも考えていって下さい。

○「飛行力学」の講義の課題で堀越二郎の冷戦を読みましたが、技術者の視点から見ても良い本でした。

★それはそれは。良い講義をなさる先生がいることを知れて嬉しいです。それから○○くんが技術者の視点を持っているのも嬉しいです。堀越二郎は素晴らしい技術者ですね。面白い本があります。史実に基づいた記録文学で、吉村明著『零式戦闘機』です。これは記録文学の金字塔で、ワクワクする本でした。最後に・・・いや止めておきましょう。是非とも読んでみて下さい。

○自分で行動を行(起こ)すのも大事な事なのでしょうか? 

★大事です。その行動も、自分で基準を決定した上での行動がより良い経験になります。例えば「1年に100冊本を読む」とか「関東地方の全県で1ヵ所ずつ観光名所を1年で回る」とかです。基準を自分で決めなければそれはただの行為に過ぎません。自分で決めてこそ、自分のためになります。それが失敗しても成功してもです。受験も、目標を決めて努力したのなら、落ちでも受かっても、経験になるのです。人に勧められ、なんとなく受けた、のならそれは何も学ぶべきものはありません。是非、自分で行動を。

○余談 艦これではケッコンカッコカリはしましたか? しているならLvの上限が150→155になったみたいですよ。

★親切さ、身に沁みます。有り難う御座います。艦これは最初に戦艦をそろえてすぐ位に挫折しました。ドイツ戦艦などしりませーん、という感じです。ケッコン、やっていないですねぇ~。でも、教えてくれて嬉しいです。ちょっと調べてみます。

○私は牧之原市に住んでいるが、福島の事故を元に対策をすれば再稼働しても良いと考えていますが、市長はとても反対している。先生はどう考えていますか?

★具体的な質問嬉しいです。まず、問題は2つあります。混ぜるな危険、です。問題の1つは技術者倫理の問題。福島原発事故を元に対策をすれば再稼働しても良い、には賛成です。ただ、その対策が十分にできるか?と言われると、現在の状況では、と思います。問題のもう1つは、民主制度の問題です。市長が反対する、ということは市民全員が反対している、ということです。推進派が出来るのは、では、どうすれば反対がなくなるのか?という点を明確にしてもらい、それをクリアしていくことです。民主制度では市長の選挙が行われます。再稼働賛成で強く推進したいのなら、対立候補を擁立しなければなりません。それが市民の権利であり義務なのです。現在のゆがめられた民主制度では、これらの本質もゆがめられているかもしれませんが、その点を重々考えてみて下さい。2つの問題は根深いですから、もしよければ講義の後に話に来てくださいね。

○情報の分類はとても役に立ちそうだと思った。ネットの変更した情報に嫌気がしていたので、これからはしょうがない物として見れそう。ストレスが減り嬉しいです。

★役に立てて嬉しいです。同じ情報でも偏向の度合いが異なる、それを踏まえるだけで、随分と無駄が減りますよ。まあ、無駄が文化だ、という逆の考え方も味わい深いですが。上でも進めた本は、記録文学の大傑作です。これは面白いと思いますよ、ネットの反対の意味で。

吉村明著『零式戦闘機』

 以上です。
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