哲学10-2 学生コメント集

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま(漢字への変換あり)、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。


○先週の授業が終わってから、見え(見栄?)について考えることが多くなりました。毎朝、化粧をして服を考えていますが、なぜ女だけが化粧をするのか。なぜ、男に化粧を求められないのか。なぜ、化粧がマナーになっているのか。化粧で毎朝、時間を使われるのが嫌になるので、どうにかならないのかと思います。

★哲学の授業が日常生活の当たり前の行動を振り返るきっかけになっていて、何よりです。女性だけが化粧をするのは、「人間が二足歩行をしているから」です。詳しくは、動物行動学か、当のブログか、直接質問に来てください。昼休みや授業後などどうぞ。それよりも、悩んでいるのは「化粧を押し付けられている自分自身の行動」でしょうね。河合隼雄著『心の処方箋』に答えがあるように思いますので、良かったら読んでみて下さい。こちらも、私なりの意見はありますが、もう少しどういう内容が嫌なのか、を教えて欲しいです。そうしないと、大ポカをやってしまうでしょうから。疑問に思った時、調べる癖をつけて下さい。

○モノに対する捕え方は一人一人違うのに、物理法則といい、数学というのは、なぜ、世界共通なのだろうと思うのは、不思議ではないであるのを、ふと思い出しました。

★「ふと思い出しました」なのですね。物事の根本を考えられる人なのだなぁ、と思いました。これからも授業で何か気が付くことがあれば、と思います。また、教えて下さい。

○一番最初の問いは、心になんかグサッと刺さるような感じがしました。自分はこういうことなのかと分かってしまったように思います。

★その「こういうことなのかと分かってしまった」というのは大きいですね。○○くんの人生の中で大きい実感なのではないでしょうか。是非ともそれを深めて行って下さい。

○眠さ等は肉体依存ですが、うつ病等の精神病だと魂に関わるのでしょうか。

★素晴らしい疑問ですね。そうやって研究した精神科医がいます。ユングと言います。是非とも彼の本を読み、○○くん自身の直感を言葉にしていって下さい。

○違う大学の友達にレポートで100個自分の良い所を上げて欲しい言われました。そういう時は、先生はどうしますか?

★うーん。社会常識としてそういう問いには答えられないのが当然です。私なら「言えない」で終わってしまうでしょう。また、その良い所を思想として幅広く取れば、「生きていられる」、「呼吸が出来る」、「話が出来る」、「目を見てくれる」など100個挙げることは難しくはありません。どういう状況で、先生が何を求めてレポートを出したのか、を聞いてみたいです。

○誰もが哲学者になれる訳ではないと思えた。実際に見える物を信じているのは、目に見えない力をどのように考えているのか。

★誰もが哲学者にはなれません。それは仕方のないものです。その条件については講義の内容通りです。人間は都合の良いことをやすやすと信じ、そして都合の悪いことは見ないことにする機能があり、それを発揮している人は多いのです。人は必ず死ぬのです。しかし、日常生活の中でそれにおびえている人は殆どいません。それと同じで、目に見えない力を「都合の悪いこととして観ない」という人が多いのです。それを強引に考えるのが、哲学です。

○一つの法則を再現する方法が複数あるが、一つにまとまったら何で企業は個性を出そうとするのか気になる。

★法則の再現性は一企業の経営形態や企業戦略とは関係がありません。ですから、2つの間に何か補足したいことがあるのでしょう。また、教えて下さい。

○先生は神を信じているんですか? 神などいないというのに。

★私は神を信じてはいません、物質的に。しかし、社会全体が「神を信じていること」を前提にして動いていることは認めます。この2つの違いを考えてみて下さい。その次は、創造神と絶対神、唯一神の3つの次元の違いについて○○くんなりにまとめて観て下さい。もっとすっきりすると思いますよ。

○擬(疑) 3Dモデルで作られた机はどうなるのか?

★物質である質料への依存が低いので、もっともイデアに近い、のかもしれませんね。現代の技術を取り入れた発想、教えてくれて有り難う御座います。面白いですね。

○イデアが完全で不滅ならなぜ人はそれを忘れるのだろうかと思いました。

★授業中に説明しましたが、不十分だったようです。もう1回黒板に書いて説明しますね。先に言うと『国家』の最後に書いてあります。この世に生まれ出でる時に、忘却の川(レテ)の水を飲むので忘れてしまうそうです。是非、日本語訳を読んでみて下さい。

○物理が存在しないのに当てはまるなら、イデアというものも当てはめただけのものなのか。

★2つ、あるいは3つの意味が読み取れそうな難解な文章です。物理が存在しないのに当てはまるなら、は「心の中の状態に当てはまる」と置き換えます。次に、イデアというのも当てはめただけなのか、は、「人間の恣意性を当てはめるだけ」と置き換えます。すると、「心の中の状態に当てはまるなら、人間の恣意性を当てはめるだけ」となります。1人1人の心の中で考えたことを世界に当てはめ、そしてそれが法則に過ぎないとなります。つまり物質的裏付けである実験や物理法則は1人1人の心の中に過ぎない、という考え方ですね。科学哲学の相対主義になります。この点については、小林道夫著『科学哲学』に反証例がありますので、是非とも読んでみて下さい。誤読でしたら、また教えて下さい。

○第1回や第2回の授業で、まわりのものが哲学の塊であることがようやく分かった。

★嬉しいです。何かを掴んでくれて。心の中にストン、と落ちること、楽しんで行って下さい。

○孔子も似たようなことを言っていたが、ローマのように発展できなかったのだろうか。人々にうまく広がらなかったのだろうか。

★戦略学的な、あるいは地政学的な問ですね。的確な素晴らしい問です。そうですね、この問いに答えてくれ、かつ、読みやすいのは・・・講義で紹介した塩野七生著『ローマ人の物語』です。良い本ですよ。

○また、(ディズニーランドなどが)、時間もすぎるのがあっという間なところもあの世だと思いました。

★うまいこと、言いますね~。なるほど。

○机らしさでプラトンの所を書いた時、画家を2、職人を3と書きました。日本人脳でした。喜べばいいのでしょうか。悲しめばいいのでしょうか。

★喜べばいいと思いますよ。それは、○○さんが自分自身を知れたからです。

○”魂の不死”の話で、忘却の佳話の水をもし飲まなかったら、どうなってしまうのでしょうか。この世に行くことができないと私は思いました。

★ほぉー確かに。確かに、生れている人で前世の記憶をもっている人はいないですね。仰る通りでしょうね。

○どうして蛍光の青色が暗くなってもよく見えるんですか?

★経験則です。赤色は直ぐに暗くなります。これはカラーコーディネート2級の資格取得の時に勉強しました。自分でも実際に確かめてみました。また、水色なのは、泥などで汚れやすい工事現場では、泥の反対色である青色が目立つ色になるからでしょう。○○さんも是非とも御自身で調べ、考えてみて下さい。

○私は服が好きなので、先生が最後に話してくれた「なぜ青い服なのか」という話しが面白かったです。そこで先生の質問です。イデア的な服の選び方とはどういうものですか。服は現実に存在するものだから、イデア的選び方なんてないでしょうか。

★深い質問です。嬉しいです。イデアはこの世にありませんが、私達が服と認識できる根本理由でもあります。初めて、考えてみますので、どうなるか。流行や社会や時代を超えた服、とはどういう服なのか?と考えてみますと、そういう服は、登山服、になるのではないでしょうか。服としての機能を万全に果たしている、そこに徹している服です。他には、ちょっと服とは言えないかもしれませんが、体にまとうものとしては、競泳用の水着になるでしょうか。イデア的選び方は、服の機能を十全に果たすものを選ぶ、になると考えます。良い質問有り難う御座いました。

○最近哲学について理解が深まったと思っていたが、今回の講義でまた見えなくなってしまった。なぜ見えなくなってしまったのか、言葉に出来なくて辛い。

★大変結構な「辛い」ですよ。その「辛い」は○○くんが成長していこうとする時に必ずぶち当たる「辛い」です。2000年以上を超える人間たちが悩み理解してきたものが哲学です。そうそうは、スーッと理解できなくて当然です。今後の講義でも、真剣に考えるのを続けていって下さい。

○ところでディズニーのキャラクターの中で何がお好きですか?

★私は、子供時代に手塚治虫の「ジャングル大帝レオ」が大好きでした。そのオマージュ(パクリ)である「ライオンキング」が好きです。ストーリー等もすごく真似ているので良い感じです。

○ミニーやグーフィーなど他のキャラクターも天使など神聖なものに関する由来を持っているのか疑問と興味を持った。

★いいですね~授業を聞いて、その内容を自分自身で広げていける、学問の根本です。○○くんのように感じる人が少ないので、自分自身を大切にするために是非とも調べてみて下さい。

○私はディズニーに行ったことがないので分りませんでしたが、TVとかで流されるのは、イデアとしていいのでしょうか。

★TVで流されているのは、洞窟の例え話でいえば「影」です。ディズニーランド楽しいですよ。何事も体験が一番です。1度、行ってみてはどうでしょうか。格安のバスツアーなどもあります。

○科学哲学に興味がわきました。ぜひ履修したいです。

★当の大学のカリキュラムには「科学哲学」はないと思いました、少し前の知識ですが。本を読むのであれば、A.F.ちゃるマーズ著『新版 科学論の展開』が、お奨めです。読んだら感想など教えて下さい。この分野の質問は責任をもってお答えしないといけないと想いますので。

○「机らしさ」の問をヨーロッパの人が聞いたらどのような反応をするのか、もっと詳しく聞きたいです。

★多分、当たり前に答えるでしょう。プラトンのイデア論はキリスト教を通してヨーロッパに浸透していますので。英語の先生など欧米人に聞いてみてはどうでしょうか?

○日本人は哲学者の考えとは全然違う考え方をしているけれど、他の国には哲学者と同じ考え方をしている人が多い国があるのか気になりました。

★基本は、プラトンの考え方はキリスト教を通して欧米に浸透しています。そういう国々は多いです。イスラムも浸透している、と考えうるので、世界の半分くらい国々は該当するかもしれません。面白い質問ですね。是非とも、周りにいる外国人に聞いてみて下さい。

○学問上での欠陥が、伝聞と体験を同一視したということですが、見ただけで、もしくは伝聞だけで思い通りになってしまった人を天才というのですか?

★うーんと。。。言葉通り読み取りますと伝聞だけで(他人の)思い通りになってしまった人は、愚か者(民衆)、というのです。逆に、民衆を思い通りに「してしまう」人をソフィスト(知識人)というのです。時々、そのソフィストの優れた人を天才、という場合があります。

○魂は1人の人間につき1つしか持つことができないのでしょうか。複数持つことはできないのでしょうか。魂の数は有限なのでしょうか。人口はなぜ増えるのでしょうか。

★沢山の面白い質問ですね。前の2つはそういう設定になっています。次は日本では有限です。プラトンは・・・調べてみて下さい。『国家』の第10巻だった思います。最後は、食料が供給され生殖活動が盛んだから、です。プラトンのイデア論から考えれば、・・・これも書いてあります。是非どうぞ。自分で調べたらまた、コメントに書くか直接教えて下さい。その時に私の意見を言いたいと思います。特に後者の2つの質問は解釈が分かれている質問です。そういう意味で、良い質問です。

○魂の不滅という考え方は日本独自の考え方ですが、魂があると考える部分では日本以外も同じではないかと思いました。

★魂の不滅、はプラトンの考え方です。日本と共通します。説明不足だったでしょうか、次回、もう1度丁寧に説明したいです。

○人によって基準が違ったりする影を選択するかしないかによって人生の大半が変わってしまうと思う。ロゴスとノモスはどう考えているのか。

★影は、ノモスそのものです。ロゴスはなんでしょうね。蝋燭の火が影を作り出す秩序でしょうか。とても良い点に気が付いてくれました。影と知って選択するのか、影と知らずに素晴らしいものとして選択するのか、それの方が人生の本質を決めることになります。今回の気付きを大切にしていって下さい。

○技術は人に幸せをあたえるものであって、人外ではとても意味の解らないことなのでしょうか。

★「人外」が何を指すのでしょうか。動植物のイメージでしょうか。それで答えます。まず、人間の技術をチンパンジーは理解し学習して習得することが出来ます。かなり多くの部分を。それからすれば、人外でも意味が解ることになります。

○先生は何か物事を判断・決める時はロゴスやノモスを考えているのか。

★クフフ。私は、大切な問題に時には、周りの人に聞き(ノモス)、人の道徳から考え(ロゴス)、利益を考え(ノモス)、そしてそれをまとめます。その上で、それらを全て捨てて、「どうしたら死ぬ時に後悔しないか」だけを考えて判断します。「死ぬ前に俺は大学に行かなかった。後悔するだろうか?」と。それで決めたのは「髪の毛の色を、白、金、青、緑、赤、紫などにする」、「日本全都道府県を見る」などがあります。今の道に来て、負け惜しみを言っていられるのも、「私が死んだ後に残る作品を残したいから」です。そのためいはノモス、ロゴスなど打ち捨てても構わない、と思っています。

○哲学と科学はどちらの方が優先度が高いのか気になった。

★その問題設定によります。ただし、哲学無くして科学は成立しません。逆に科学が無くても哲学は成立します。如何でしょうか。

○問4のイデアの順位はまだ納得できない。

★素晴らしい。納得でないことは納得できない、と出来ること。それは○○くんの長所です。多くの人は、スーッと流してしまうのですから。では、どうするか。どうしたら善いのか。是非、実行して下さい。助言が必要なら、またコメントして下さいね。

 以上です。



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
科学技術者の倫理(平成29年度)
書いたもの(平成29年度)
哲学(平成28年度)
科学技術者の倫理(平成28年度)
書いたもの(平成28年)
科学技術者の倫理(平成27年度)
哲学(平成27年度)
書いたもの(平成27年)
哲学(平成26年度)
「科学技術者の倫理(平成26年度)
講義録「哲学」
書いたもの(平成26年)
書いたもの(平成25年)
論文(高木健治郎の)
講義録「科学技術者の倫理」(平成25年度)
高木ゼミ『銃・病原菌・鉄』
高木ゼミ全6回『ぼくらの祖国』
教養講座6回分(平成24年度)   講義録21~
講義録「科学技術者の倫理」(平成24年度)     講義録1~15
最新記事
講義録「科学技術者の倫理」(平成23年度)
石上国語教室で行われた講演のレジュメです。哲学が足りなかったのが、福島原発事故の原因の1つではないか、と考えています。

「哲学のススメ2」レジュメ

最新コメント
カテゴリ