哲学7-2 学生コメント集

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま(漢字への変換あり)、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。

○ソクラテスは少し、国民を信じ過ぎだと思いました。

★なるほど、そうかもしれませんね。ただ、ソクラテスは老いてボケる前に、最善の人生を送りたい、という風にも言っていました。講義では述べられませんでしたが、そういう一面もありました。

○ソクラテスは責任をなすりつける民主主義を否定しているが、どういう制度にすれば善いのか。

★どういう制度にすれば善いのか、2000年を超えて通じる問題ですね。さて、ソクラテスは民主主義(民主制)を否定しているのではなく、生きているアテナイの人々の在り方を否定しているのです。この点留意して下さい。

○友達に「遊ぼー」って誘われて遊び気分じゃなくても、嘘がつけない上に思いつかなくて、毎回断れません。親友に相談した所、「体調が悪い とか 親と買い物とかあるでしょ?」と言われ、そんな簡単に嘘が出て来る事に逆にビックリしました。(こんな簡単に嘘がつけるなんて親友は病気じゃないか?)って思ってましたが、自分の方が病気なのでしょうか?

★詳しい状況をお聞きしていないので、何とも言えません。お話に来てください。4限が終わった後が空いています。さて、『こころの処方箋』で引用した「うそは常備薬 真実は劇薬」は参考になりましたでしょうか? 嘘は常備薬なのです。ですから、嘘をつけるからこそ日常生活を送れるのでしょう。そのバランスをどうするか、そこが難しい所ではないでしょうか。ちなみに、河合隼雄先生以外の人は、「こころの病気は社会生活が送れないから病気である」と書いていました。○○さんは講義に出れなくなりそうになったら、と思います。私は講義は出れましたが、夏休みは10日間家から出ない(近くのコンビニ以外)、とかありましたよ。

○ロゴスが自然の秩序でノモスが人間の行動というニアンスで良いですか?色々なものがこの考え方で考えられて面白かったです。

★面白かった、嬉しいです。ニアンスでOKです。今後も丁寧に説明していきますので、ニアンスでOKです。

○ソクラテスが採った行動で、国民が気が付くことを待って自分は死ぬという行動こそノモスに当てはまるのではないでしょうか。

★なるほど、面白い視点ですね。ノモスは人間の欲望などによる逸脱です。では、ソクラテスが欲望したことは、ソクラテス個人の利得になったでしょうか? 次の講義でも考えてみて下さい。

○人間の奥深さを知った。

★人間は奥深いですよ。人によって全然違う。人間て面白いですよ。だから、その奥深さを率直に教えてくれる本はいいんですよ~。皆さんのコメントも面白いです。これからも思ったことをどんどん書いてください。

○人間の力だけで国を良き方向へ導こうとしたのは、とても凄いと思うが、人を頼ればもっと良い方向へ進んでいたのではないかと思うので、自分の命を使い法のあり方を伝えようとしたことに疑問。

★いい疑問です。是非とも『反哲学史』を読んでみて下さい。ソクラテスが命を使い法のあり方を伝えようとしたのかどうか。ソクラテスが人を頼らなかったのかどうか(講義ではこの部分に説明をあえてしていません)、は

クセノポン著 内山勝利訳 『ソクラテス言行録〈1〉』

をどうぞ。

○ノモスがどのようなものかよく理解できなかった。ある物や事に対して本質とは異なる解釈で利用するという考え方で合っていますか?

★「各自の」異なる解釈で、なら合っています。詳しくは『反哲学史』を読んでみて下さい。十数頁あります。

○ソクラテス自身の責任ではなく、民衆の責任を気が付かせるために毒薬を飲むというのはどうしてかと思った。民衆はその場では反省するだろうが、また責任逃れをするだろうという予測はできたと思うからだ。自分の気持ちの問題もあったのだろうか。

★鋭いですね~御明察。まさにその通りです。実際のソクラテス像に最も近いと言われているクセノフォン(クセノポン)の言行録に「このまま老いてボケるなら、私は今まで最善の生き方をしてきたのだから」と2つの理由を挙げています。上に挙げたクセノポン著 内山勝利訳 『ソクラテス言行録〈1〉』の最後の2頁にあります。講義でしない内容を推察してくれる、一を聴いて二を知る、とは○○さんのことですね。

○結局のところ、今日の主題であるソクラテスの真の目的とはなんだったのか知りたい

★講義が不十分だったのですね。反省です。真の目的とは、祖国アテナイを救うこと、です。民主制のアテナイでは民衆が賢くなることが祖国を救うことになります。ソクラテスは民主制を肯定しつつ、ノモスに染まるアテナイの民衆を何とかしたかったのです。また、質問して下さい。

○アルキビアデースのような人は今もいますが、ソクラテスのような、人が反省してくれるなら自分はどうなっても良いという人はあまりいないので、もう少し世の中も人のせいにしない人が増えて欲しいと思いました。

★そうですね、そういう世の中にしたいですね。・・・では○○くんはどうでしょうか? どちらでしょうか? まず自分からです。自分を変えなければ世の中を変えていけないと思うのです。森信三著『修身教授録』を是非とも読んで欲しいです。自分はどうなってもいい、社会のために、という人は実は身の回りに大勢いますよ。警察官、消防、自衛隊の人々は自分の命の危険を冒しても、祖国を守って下さっている。海外の幾つかの国を回ると実感すると思います。海外旅行もまたお奨めです。お奨めばかりですが、心にとめて置いてください。

○前回の授業で習った『性相近し 習相遠し』はその通りだと思った。親に注意されて今では遅刻もしないし、約束を破らない。改めて親に感謝したいと思った。

★嬉しいなぁ。嬉しいです。有り難う御座います。素晴らしい親御さんがいらっしゃること、そしてそれを受け継ぐ○○くんがいること、それを知れたこと、感謝です。講義やって善かったです!!

○フュシス、ロゴス、ノモス等、哲学の授業で初めて聞く単語が多かったです。建前、おためごかしの話が面白かったです。将来、学んだ事を生かす自信はないけれど、何か1つは忘れずにいたいです。

★謙虚な姿勢に敬服します。講義はレストランのレシピです。レストランの料理を食べるには、本を読むか日常経験するしかありません。忘れずにいてくれれば、必ず気づきがあると思います。是非とも忘れずに。これからも何かしら残るような講義にしていきたいです。

○(問1 ノモスの例) ゲームのチート ある種息抜きや自己満足、暇つぶしのためのものなのに、それにおいてもズルをする。

★まさに!!その通り。的確ですね。

○(問1 ノモスの例) 冬の薄手のシャツ、暖めたり守ったり隠すための服を、おしゃれに傾けて機能を削る。

★素晴らしい!! その通り。見事です。夏コミュのコスプレはその典型ですね。冬コミュもそうでした。

○(問1 ノモスの例) 足を守るための靴なのに、履かないで高価で見るためだけにコレクションしているのはノモス。

★なるほど、その通り。靴をコレクションしている人、私の頭にはありませんでしたが、確かにいますよね。

○(数多くの人) 自分は意志薄弱タイプな気がします。人との約束を破ってもその場しのぎの謝罪をしている。これから見直したいです。

★偉い!! 自己反省できる所が偉いです。講義の内容を自分自身で考えてくれたのですね。「性相近し 習相遠し」です。これからの習慣で変えること出来ますよ。私は頑張っています。一緒に頑張りましょう。

○字が少し見づらいので改善してほしい。

★ご忠告、有り難う御座います。頑張ります。

○質問:自分の人格で悪い所を治す方法は具体的にはありますか?

★具体的に、ですね。私は友人や親やかみさんに、「これこれしたら注意して」と前もって言っておくことがあります。また、子供に叱る際に理由を説明します。そして「もし、おとーちゃんが悪い言葉遣い(例えば)をしたら、おとーちゃんを注意して」と言います。悪い人格がどういう性質のものか気になってきました、書いてきて。具体的に現在の私がしていることを書きます。朝に神社に参拝しているのですが、①毎日、決まった行動をする、②自分の利益ではなく国家全体のことを考える(拝む時、心の中で「有り難う御座います」と言う)、ということをしています。古来、「朝日を拝む」という習慣がありました。他の宗教でも、他人ために祈る習慣があります。参考になりましたでしょうか。いつも素晴らしい質問有り難う。

○自分は自分が社会に害がある人間であると思っている。他人からよく「君はまじめだね」と言われるが、そうではない。私がルールを必ず守るのは、自分のためである。人に優しくするのも自分のためである。ルールを破れば罰を受けるのは、自分であるし、人に優しくしておくのは、いつか自分が助けてもらえるかもしれないからである。自分は、中学生の頃いじめられていて、今でもその人のことを殺したいと思っている。でもそうないのは、法と刑罰があるからである。法がなければ、私は人を殺してしまうかもしれないし、お金のために何でもすると思う。でも、私は自分が好きである。これで良いと思っている。自分は社会に有害な人間だと、よく自覚している。これからの人生、犯罪者にならずに生きていきたい。

★有り難う。こうして胸の内を書いてくれて。私はそれに値するであろうか、と自問しました。真摯に答えたいと想います。つらかったのだろう、と感じました。同じ辛さではないでしょうが、私も3回いじめを経験しています。相手は私をいじめた、とさえ思っていないかもしれません。それをずっと言えずに20歳を迎えました。親や友人になど恥ずかしくて一度も言えませんでした。そして私は、20歳の頃、「日本に生まれていなかったら、テロリストになっていただろう。フランスなら○○をしていただろう。イギリスなら○○○に入っていただろう」などと考え、親しい友人に漏らしていました。また、私は、カフカ著『変身』を想い出しました。もしよかったら読んでみて下さい。有り難う。

 以上です。

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