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講義録11「倫理的行動は報われるか? 原発を推進する政治 50年前の原発推進のトレードオフ 論理的な文章の書き方 福島原発の欠陥箇所」

(文意不明、文末の言い回しミス、誤字脱字は沢山あると思います。ご了承下さいませ。また、講義内容に大分加筆しています。)

 今回は福島原発事故の4回目です。

 タイトルは一見バラバラに見えるかもしれませんが、深い部分でつながっています。3回目から私の主張を聞いてもらっていますが、今回は50年前に原発を導入した理由や状況を提示し(NHK番組に基づき)、現在まで続く要素と続いていない要素を見ていきます。その上で、現在の原発はどうなのか、というのを学生の皆さんに考えてもらう手がかりにしました。学問の最も基本的な要素は、偏らない、ということです。個人の感情は個人という1つの立場に偏ります。学問はその感情を他人や過去と比較して偏らない、という視点から出発します。
 現在、私たち日本国民は、福島原発事故を受けてその立場に偏りがちです。原発導入の原点と比較して、偏らない、という視点から出発します。

 さて、前置きが以上です。チャートです。

 「倫理的行動は報われるか?」
   ↓
 「原発を推進する政治」
   ↓
 「50年前の原発推進のトレードオフ」
   ↓
 「論理的な文章の書き方」
   ↓
 「福島原発の欠陥箇所」


 配ったプリント1枚表裏(B4)
A)エネリアのリフォームー静岡ガスー と新聞の切り抜き2枚

 回した本
B)『ヨブ記』 関根正雄訳 岩波文庫 1971年

 
 まず、挨拶から入る。
(補足 大分皆さん返してくれるようになって嬉しい。相変わらず暑いし、設定温度が28度と大教室だと汗ばむが、現在でもクーラーのない生活を送っておられる方々を思うと、むしろ感謝の気持ちが沸いてきた。こうして講義を聞いてくれる学生さんがおり、この場が与えられたことに感謝しながら行った。ただし、ペットボトル(家で入れていった2本を含め)4本を飲み、終わった後図書館で着替えると汗びしょびしょであった。長い補足以上)

 ブログでコメント集を発表しているが、先週は素晴らしい内容があり、そこに答えることから入った(10-4から抜粋)。

・自分は今、サラリーマンの道を進んでいると感じた。自分に覚悟がなくなさけなくなった。覚悟ある人間になりたいです。
私の講義での補足。その気づきがある。もう、サラリーマンではないですよ。サラリーマンは自分が「自分の利益のためだけに生きていていいのかな?」と気が付きません。「家族がいるからとか食べていくためには、などの色々な考えて気が付かないようにします。ですが、この人は気が付いてくれました。ですからこの気持ちがあるならば、サラリーマンではないと思います。


・この講義を通して学んでいる両方の立場から考えるということの印象が今回は特に強く感じた。原発や日本人の希望が僅かながら見えたかなと思った。
私の講義での補足:両方の立場から、を理解してくれ嬉しいです。学問の素晴らしさですね。感情は一方的です。それはそれで大切ですが、学問の素晴らしさは両面から考えられる所です。だからきちっと整理出来ます。皆さんも結婚したら嫁姑問題が出てくるかもしれません。その時に、嫁だけ、姑だけ、の言い分を聞くときちっと整理できないのではないでしょうか。

・内容を変えて欲しい。
私の講義での補足:どう変えて欲しいのか教えて下さい。具体的に書いて下さい。それとその理由もお願いします。その通りにならないかもしれませんが、きちっと聞きたいと思っています。また、他の皆さんも、何か希望があれば書いて下さい。

・問2では(サラ)リーマンが悪い人間みたいになっていますが、責任など自分が泥を被りたくないと言う気持ちは誰だってあると思います。某アニメでは大切な人の為に死ぬ思いで頑張っているのに、その人は自分のことを見てくれない、感謝もしない、そもそも気付いてもらえない、という場面がありました。取り返しのつかない代償を払って、でも自分は決して幸せになれない。となれば、後悔しないワケはないと思いますが、そのような覚悟を持てる人になれればいいなと思いました。
私の講義での補足:そうですね個人を責めるのは問題がズレていますよね。今日の講義で出てきますが、斑目委員長の対応が悪い、国民に情報公開をしないなどなどがありますが、個人の責任を追及すれば終わる話ではありません。また、菅総理の対応が悪いのも責められますが、私も個人的にはそう思いますが、菅総理を止めさせれば原発問題が終わる訳ではないのです。責任追及ではなく原因究明がこの講義の目的です。個人を責めるのはずれてしますよね。
 さて、これから回す本は『ヨブ記』という本ですが、これはこの講義の根幹に関わる問題でもあります。このコメントを書いてくれた人は、「思います「が」!そのような覚悟を持てる人になれればいいなと思いました」と書いてくれています。今回、多くの人が覚悟ある人のことを気に止めてくれました。この講義をやっていてよかったなぁ~と実感しました。さて、その上で、『ヨブ記』の問題です。

 問1 倫理的に正しい行動は、報われるでしょうか? 報われないでしょうか?

 報われる、とはこのコメントの人が書いてくれているように、その人が自分に気が付いてくれない、取り返しのつかない代償を追う=報われない、ということです。正しい行動、善い行動をして、周りから認められたり褒められたりするという報われがあるでしょうか、無いでしょうか?という問いです。

 この問いは、答えが出ています。この問いは多くの人が人生の中で引っかかる問いでしょう。
「どうしてそんなに真面目にやるんだい?損するだけだろう」とか「お金のために働くんだから止めてもいいじゃないか」とか「老人に席をゆずるなんてどうなんだろうね。ここ、優先席でもないのにね」などです。この講義は「技術者倫理」ですから、「倫理」なのです。内部告発をするのも倫理なのです(法律は殆ど守ってくれません)。ではその内部告発した後で、会社も家庭も身の回りも現在より酷くなることが殆どですが、それでもするのでしょうか? するのは報われるためでしょうか? 

 答えは1つです。
 多くの人が迷いがちなこの問いは「報われない」という答えが出ています。
地域や文化、時代を超えて「報われない」という答えなのです。その答え方の1つが、聖書の中の『ヨブ記』です。今ではユダヤの聖書にありますが、聖書とはそもそもユダヤ人が中東の昔話を集めたお話集、日本でいえば、日本昔話という感じです。ですから色々と面白いしためになります。
 ヨブという大変高潔で倫理的な行動をとっていた人がいました。彼は豊かだった財産も失い、家族も失い、病気になりました。何も無くなって乞食になりました。そこへ友人がやってきます。彼らは「何か悪いことをしたからではないか?」とヨブに問うのです。今回の東日本大震災で現在も苦しむ老女が

 「どうしてこんなことになったんだべ。神様がいるかどうかは分からないが(分からんがっども)、真面目に生きてきたつもりだったんだけどなぁ」

 と言っていました。これと同じですね。
これに対してヨブは神様を告発するのです。「どうして高潔に倫理的に正しい行動を行ってきたのに、こんなにひどい仕打ちをするのか?」と。すると神は答えます。「倫理的に正しい行動を行ってきたのは、報いが欲しかったからか?」と。

 これを前回の自分の利益<公衆の福利で考えてみましょう。つまり、神は「倫理的な行動」→「自分の利益(報い)」というのは大切な行動ではない、と言うのです。これは昔話ですから、神様がいるかいないか、という問題で片付けるのではなく、何を伝えたいか、で判断しましょう。私たち日本人はお正月にお賽銭(さいせん)を投げ、願い事をします。「お賽銭」→「願いが適う」でしょうか? お盆やお彼岸のお墓参りで、綺麗にしてお供え物をします。自分の利益だけ考えれば、バカバカしい話です。何も「自分の利益」になりません。また、骨に意識はない、と自然科学的なことを考えてもバカバカしい話です。けれども、日本国民は自然科学的知識が広まっても、づっと続けてきています。「報われる」からしているのではないのです。

 けれども、「報われない」行動は、自分の心を幸せにもしてくれます。
私個人の話で恐縮ですが現在赤ちゃんがいます。結婚前はご飯を食べる場合、5分くらいで作って食べながら、PCやゲームやアニメや本を読んでいました。現在は、赤ちゃんにご飯をあげたり、作る量が増えたりと30~60分くらいかかります。自分のしたいことができませんし、ごはん代は余分に掛かりますし、時間がなくなります。「自分の利益」だけ考えれば損でしょう。けれども、幸せを感じています。
 学生の皆さんは、親が学費を払ってくれているでしょう。親は自分の趣味ややりたいことにお金を掛けず、学費に回してくれています。金銭だけ考えれば損をしています。それでも多くの親がやってくれています。そして現在の日本国民は、そのお返しを期待していません!?(びっくりしますが)。「老後の面倒を見てもらうために子供を育てていない」という回答をした人が6割もいました(他のデータだともっと多い時もあります)。つまり、「報われない」行動をしているのです。では、皆さんのご両親は幸せでしょうか?

 ここに人類の智慧があります。これは知識を沢山つけても学べないことです。この「報われない」けれども「倫理的な行動をとる」というのは先ほど述べたように、地域を、文化を、宗教を、時代を超えています。仏教でも儒教でもイスラム教でも言われています。武士道や教育勅語はお話しした通りですが、1つだけ補足しましょう。古代中国の思想家に荘子(そうじ)が居ます。彼の言葉です。

 「愛とか正義とか色々の道のために努力することも、内心の要求かもしれない。
  だがそれだけでは、本当の理性の命ずるところに忠実であるとは言われないものである。」(第8章)

 「」は『中国聖賢のことば』五十沢二郎氏、下は私の意訳です。

 1行目は、愛や正義のために努力するのは、心(この場合は欲)かもしれない。
 2行目は、その心の欲求だけでは、真に大切なものに従っているとは周りの人は言わないですよ。
  
 さらに意訳すると、

 「報いを求める欲で愛や正義を行うこともありますが、それは真に大切なものに従っていませんよ。」

 です。次も五十沢氏の訳から行きましょう。

 「自分が善というのは、いわゆる愛とか正義とかというものを指して言うのではない。生命の肯定である。」

 私の意訳です。

 「生命という全てを肯定することが善なのです。愛や正義だ、と主張することが善なのではありません。」

 「生命の肯定」は五十沢氏の意訳で、原文では「徳(とく)」です。自分の欲のために行う行為を「徳」とは言いません。そして「徳」は自分が主張するのではなく=周りに認めてもらうから「徳」になるのではなく、「報いを求めない行為」にある、と私は解釈します。『孔子』や『孟子』などには多くの言葉がありますので敢えて一般的でない『荘子』から紹介しました。
 
 また、講義で述べたのは、「本当の宗教とインチキ宗教の違いも此処にあります」と言いました。本当の宗教は「報いを求めない」行為を大切にします。対してインチキ宗教は「報いを求める」行為を大切にします。例えば、「壺が百万円ですよ。買えば幸せになりますよ」というのは、購入→「報いがある」ということです。他には、「5人勧誘してきなさいよ。すると地区長になれますよ」などもあります。会報誌や新聞の読者獲得などによって「報いがある」というのもインチキ宗教です。こうした面は宗教団体維持のために大切ですが、宗教としては大切ではないのです。

 もう1度私たちに戻りましょう。

 「どうして勉強をするのでしょうか?」

 将来良い職に就くため、などのように自分の利益で勉強してこなかったのではないでしょうか。問題は自分の利益「だけ」であった点です。この講義の主張するように、賛成と反対の両側から見て欲しいです。「どうして勉強するのでしょうか?」も自分の利益と同時に反対の公衆の福利からも見てもらいたいです。そして日本国民の中に、テキストを禁止されても営々と続けられてきました。それはビジネスの神様、と言われている松下幸之助氏の言葉です。意訳します。

 「仕事とは自分を探す修行である。修業させてもらってその対価としてお金まで貰える」

 この考え方からすると、仕事は、「沢山働くと沢山お金をもらえる」や「他人より仕事をしているのに認めてもらえない。お金ももらえない」や「自分のしたくない仕事なら辞める」という考え方と反対です。自分の利益になるなら仕事をするけれども、利益にならないなら仕事をしない、という考え方の反対です。

 大分長くなったのでこの辺にしますが、私は「自分の利益」も「公衆の福利」も両面から考えられないと続かない、良い仕事も出来ない、と考えます。そういう考え方で講義をしていきます。

 11-1に「原発を推進する政治」が続きます。

 
追記:同じく、偏りを注意する言葉が『荘子』にあります。

「観ようによって、あるものは肯定される。
 観ようによって、あるものは否定される。
 観ようによって、あるものは必然とされる。
 観ようによって、あるものは偶然とされる。」(27章)

原発全体のようであり、福島原発事故のようであります。

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