哲学5-2 学生コメント集

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。

今回の感想は、「問6 感想で一番良かった所(分ったところ)、一番悪かった所(分からなかった所)」でした。ですので、質問が少なかったです。

 全体の傾向

一番良かった所
:自己紹介から深めていったのが良かった
:自然科学の対象についての話が良かった
:本質の捉え方と説明の仕方

一番悪かった所
:字が汚い
:智慧と魂と宗教についてもう少し説明がききたかった
:宗教が分からない

○ なぜ、外国では国でまとまった考えにしようと強制するのか。

★外国では、民族の殲滅戦が常に行われています。ですから、民族が浄化されないように常にまとまっている必要が出てくるのです。

○分からなかった事。何故、智慧では3つに分かれるのか。

★いい着想ですね。口頭で説明したように、3つに分けたのは、高木の区別です。ですから、厳密には3つではありません。もっと多様な分け方があります。人の数だけ分け方があると思います。例えば、神様は善の反対である、不完全である、などと考えたキリスト教系のグノーシス主義があります。仏教も、阿弥陀教など色々なバージョンがあります。中期のインド思想家龍樹も面白く、3つに入らないかもしれません。

○もう少し換気をして欲しい

★次回気をつけます。また、御自身でも窓を開けて下さい。

○一番良い所:答えが無いような問題を出すこと

★これは一番良い所なのですね。最初は悪い所かと思いました。良い所にした点に深さを感じました。

○死ぬと言うのは苦しいのか? 死ぬとは何なのか。今の自分の自我はどうなるのか。

★死ぬのは苦しくはないです。ただし、肉体の損傷で死ぬ場合は苦しく感じることもあります。ただ、その場合でも脳内物質が出て苦しまない場合もあるそうです。死ぬとは何なのか、については、正直私にも分りません。手掛かりになるとすれば、キューブラー・ロス著『死ぬ瞬間』を読んでみて下さい。死に逝く人間にある一定のパターンがある、と言っています。

○悪かった所:全体的に話の内容が濃かったので、この講義中に問の答えがなかなか出なかった。直感的な答えで良かったのかわからない。

★講義中であれば直感的な答えで結構です。ただし、その疑問を持ったのですから、本を読み、人と話をしてみて下さい。そうやって疑問を深めて言って下さい。

○3番(死後に精神と魂が残る)は受け継げますか?

★受け継げる、と考える教えと、受け継げない、と考える教えと両方あります。例えば、職人で先代から技術というのものは、先人の肉体や精神の持つ癖を受け継げつつ、伝承されていきます。対して、精神には個人の記憶があるのですから、この部分は受け継げない、と捉えることも可能です。

○悪かった所:肉体を自然科学で片付けるところがなんとなく許せない。肉体も神に返却すると聞く。

★とても素晴らしい意見です。また「なんとなく」ではなく、きちんと言葉にして説明出来るようになって欲しいです。意見はまっとうな意見ですし、一神教の正しい解釈「肉体も神に返却する」を踏まえていて素晴らしいです。次に私の意見を書きます。私は講義中に肉体の問題、物質の問題は自然科学の対象である、と言いました。それは再現性の対象になりえるから、と根拠を示しました。ですから、物質が滅びる世界、「最後の審判」の時に肉体を神に返却する、という事象は、過去の一度もなく、そして現在も進行していません。つまり、再現性の対象となりえないものなのです。ですから、肉体も神に返却する、ということは自然科学の対象ではありません。それゆえ、肉体を自然科学で片付けている点と片付けていない点が分れているのです。両方の点があること、留意して下さい。また、ご疑念、ご質問あればいつでもどうぞ。

○悪かった所:先生の詳しい自己紹介をして欲しかった

★そうでしたか。講義の最初に自己紹介をしたので省略しました。そうですね、このブログの右側の一覧に「書いたもの(平成26年)」とあります。この中の【随筆】を読んでみて下さい。私の個人的な話が載っています。詳しくない自己紹介、つまり講義中の設問のものも念のため

「私は高木健治郎です。私が現在考えているのは、いかにして生きていくか、どのような生き方が見事な生き方なのか、私に出来ることとは何なのか、私には個性があるのか?などです。年々深まっていく感覚に喜びを感じています。」

ちょっと変わった自己紹介かもしれませんが、以上です。

○一番良かったこと:本質について少しわかったこと。自分は学歴と性格にコンプレックスがあるけど、それは自分の本質ではなく、自分はいつでも変われると気づきました。

★御自身で気づきをもたれたこと、嬉しく拝見しました。私も25歳くらいまでは学歴と性格、コミュニケーション能力の低いことが自己評価を下げていました。現在もそれは残っています。しかし、哲学を考えて行くと、それらが表象(本質ではない表面的なこと)であると考えるようになりました。学歴ですが、日本の受験戦争の最終的な勝者は、財務省の事務次官です。これ以外の人は全て受験戦争の敗者です。京大は東大に敗れ、東大の文Ⅱは文Ⅰに敗れ、文Ⅰの中でも成績順がつきます。100万人以上が受験戦争の敗者になるのです。要は、その敗北をどのように自分の中に位置づけるか、が問題になるのです。どうでしょうか。またご質問があれば是非。

○自然科学は物事の本質を見ぬく学問ではないのか?という疑問

★直接質問に来てくれたでしょうか。違ったらごめんなさい。問題を整理して伝えていなかったのかもしれませんね。もう一度確認します。自然科学(物理学)は物質(物事)の本質を、数学的体系で切り取り存在論的原理として表記する学問です。その物理を元にして化学、化学を元にして生物学などが出来ています。その際に重要なのは再現性です。何回も何万回も実験して確かめなければならない、という厳しい条件が付けられています。逆に再現性を持たない、心や神話などは対象とはなりません。○○くんのいう「物事」がどの範囲なのかによって変わってきますが、以上の説明をしました。

○あと、どうでもいいことかもしれませんが、「仮面ライダー」の話しが出ましたが、仮面ライダーは「悪と同じ(同質)」であり、「悪から生まれた正義」です。そこを御間違えなく。

★的確なご指摘感謝します。仮面ライダーは悪其の組織に作られたけれども、その悪の組織を裏切って正義を行う存在者ですよね。ご指摘の通りです。ただ、善と悪を区分けして、その区分で上下(優劣をつける)という点で、アンパンマンなどと同じだと私は考えました。それにしても仮面ライダーにこれほど詳しい人がいるとは、驚きました。嬉しいです。

○死者は善行を積むと天に行き、悪行を積むとじごく(地獄)でさばかれる。この理は、仏教の教えだと思うがどうなんだろう?

★仰る通り仏教の教えです。それも初期の仏教ではなく数百年経ってからの、です。「死者は善行を積むと天に行き、悪行を積むとじごく(地獄)でさばかれる」は、前の講義で説明した「六道(りくどう)」そのものです。是非とも、この単語を元に色々と調べてみて下さい。

 以上です。
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