講義録3-2 学生コメント集

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。

 全体の傾向

:「フール・プルーフ」や「フェイル・セイフ」が身の回りにあるのに気が付いた。面白い。
:身の回りの多くのことに安全対策が取られているに驚いた。
:もっと物事を広く考えられるようになりたい。
:自分の意見が変わりました。

 などがありました。


○テレビや新聞で原発は安全だがら良いとか、安全ではないからだめとか言われているのを見て何か違和感を感じると思っていましたが、本質的な工学的安全の考えやフール・プルーフ、フェイル・セイフなどに全く触れていないのが原因だと分かりました。だからいつまで経っても結論が出せないで、どちらか一方の考えに知識もないのにとらわれている人が多いのではと思いました。

★核心にズバッと迫る意見を有り難う。共感しました。TVや新聞を見て感じていた「違和感」というのを今後も大切にしていって下さい。同時に「だから結論が出せない」という客観視する視点もです。大変偉い、そして専門家、官僚、電力会社が出てきてもグダグダを続けています。どうしてそうなるのか?ということを考えて行くことが、学問の本質です。今後も大切にしていって下さい。

○二股三股って先生の倫理的にどうなんですか

★ぼそっと喋ったのを拾ってくれて有り難う。倫理的には悪いことです。言うまでもありません。が、そういうことが多少許されるのが結婚前の、しかも、20歳前後だろう、と思って意図的にしてみた、というのがあります。何でもしてみないと分からない種類に私は属しますので。申し訳なかったと今でも想うことはあります。

○ものをどう壊れないように設計するかよりも、壊れた後のことを考えてどう対策するかの方が重要だと感じられました。原発問題の見方が変わりました。

★何よりです。これまで自分が身につけていなかった考え方を知る、というのは大学の善き処だと思っています。技術者倫理の見方は、この20年、特に必要な見方になってきたと思いますし、今後ますます必要になると思います。

○冗長性で繁殖ということで、男と女をみるとしたら、片方:繁殖機能が無くて選んだ場合、どうくくるのかと思いました。

★「くくる」と読み取りました。違う場合は教えて下さい。私は「人間性によって冗長性から離れられた」と肯定評価をします。人間性とは相手に繁殖機能がなくともその相手の人格を上位に考えると言う意味です。人間はある意味において、志向や思考を深めることで、本来持つ欲求やしがらみを上回ることが出来る存在者です。これは素晴らしいことだと思います。

○日本で初めて作られた物という訳ではない物なので外国の回転ドアを参考にしたりはしなかったのでしょうか。ドアの重さについて分かっていれば事故を少なくできたのではないかと思います。

★その通りですね。既にある外国のものを参考にする必要があったでしょう。しかし、現場では往々にしてこのようなことは起こりがちではあります。というのも納期が区切られており、設計段階での時間が余裕が持てず諸外国の製品を取り寄せても、どこが安全上重要なのか?という知識を得られないこともあります。以下のサイトに、詳しい事故原因と分析が載っていますので参考にして下さい。講義でも紹介した本の内容がネットにありました。

失敗事例 事例名称六本木回転ドア事故
http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CZ0200718.html

○許容可能なリスクをどの程度にするかというのは難しい話だなと思った。

★正鵠を射る感想です。まさにその通りで、次の段階として講義で取り扱っていきます。

○字が読みずらかった。

★申し訳ないです。次回、気を付けます。

○問1や問2の問題の答え方が少し難しかった。もう少しわかりやすい説明が欲しい。

★そうでしたか。問の後、質問を受け付けていたので、質問して下さい。また、ブログにて答え方を書いていますので、参考にしてみて下さい。

○技術者倫理の観点からして、これからの日本の原発はどうしたら良いのでしょうか?

★大きく広く大切な質問有り難う。考えてみます。まず、自然科学の知見に基づく政策が取られていない点が最も大きな問題だと思います。福島原子力災害で出た放射性物質は移動させれば飛散します。これは自然科学の知見です。ですから、「最終処分場」としてあの原子炉の跡地を利用するしかありません。現在も「中間貯蔵施設」と言っています。次に再稼働の原発ですが、最新鋭の原子炉と30年前の原子炉とは異なります。各原発によって安全対策も異なります。つまり安全度が異なるのです。これは自然科学の知見です。ですから、それを正確になるべく情報として判り易く公開する必要があります。講義の後で出てくる情報公開と説明責任です。これは「はやぶさ」の川口氏がさらに具体的に述べています。そして最後に安全度を高めるために、私は加点主義と採用し、軍事利用の面を議論する必要があると考えます。その上で、原発をどのように運営するのか、の是非を考えるのが大切である、と技術者倫理の観点から考えられます。現在の原発政策、基準、議論では福島原子力災害前とあまり変わらないのではないか、と疑ってしまいたくなります。良い質問を有り難う御座います。

○自分はオートバイに乗っていますが、こんなに工学的安全を満たしていない乗り物は無いなと思いました。

★説明を受け、直ぐに自分の問題として考えられ、そして謙虚に見つめられる態度、素晴らしいです。感服しました。また、満たさないからと言って「乗らない」ではないです。そこに人間性がある、という考え方もあります。

○身近なものにも事故を防止する対策がきっちりされていることに技術者の熱意を感じた。

★本当にその通りですね。多くの人は気が付かないけれども、その人々を思いやりの心で臨んでいる技術者万歳!! 有り難う御座います。

 以上です。

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