講義録1-2 学生コメント集

学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。

 全体の傾向

:1人1人違う意見なのが分かって良かった。
:受講して見ると取っつき易かった。
:1つ1つの言葉「科学」、「技術」、「倫理」の意味を改めて考えると自分の至らなさを知った。
:深い自問、疑問が数多く見られた。

 などがありました。


○善が先か悪が先か、先生はどちらが先だと思いますか?

★面白い、深い質問を有り難う御座います。私は「定義による」と考えます。まず社会で考えてみます。悪は現在の決まりごとを破ろうとすることです。進歩や革新は必然的に悪です。支配的になり善になります。次に個人で考えてみます。人を愛し守っていくことを善とするのですから、この際には善が先になります。善を決めた後、そぐわないものが悪になります。これは排除の対象になります。最後に、「善と悪」には社会上の善と悪、個人の善と悪が混雑しており、なかなか統一して「これが善の定義です」と言い切れません。以上の3点の理由で「善と悪は定義によって後先が変わる」と思います。また質問して下さい。

○毎回この講義では問は、今日ぐらいあるのですか? また紙がうまった場合、ルーズリーフでも有ですか?

★□□(実名を匿名とする)くん、B5の用紙表裏に一杯に書いてくれて有り難う御座います。丁寧に読みました。特に問5の御自身の考えが興味深かったです。さて、返信です。問は大体3~5題です。今回は初回なので多めでした。紙がうまった場合は前にあるのでもう1枚取って行ってください。もちろん、ルーズリーフでも結構です。

○この授業の成績について聞きのがしてしまったのでもう一度説明して頂きたいです。

★はい。毎回提出のレポート用紙が15回で40点、宿題レポート3回が30点、期末テストが30点です。期末テストの半分くらいは毎回提出のレポート用紙に書いてもらう問題から出題しようと考えています。ちなみに期末テストは、「手書きノート、配布プリント持ち込み可」です。昨年と配点は異なりますが、優が5割から6割だったと記憶しています。

○先生の主な情報の入手ばい体(媒体)は何ですか?

★なんと!的確な質問が来ました。ちょっと驚きました。まず、新聞とニューズウィーク日本語版です。これは大学生から年間購読しています。次にBSの世界のニュースを時々みます。NHKBSドキュメンタリーも時々。ネットですがニコニコ動画で見れる「新唐人」やアルジャジーラも何かあれば見ています。後は、購入先は秘密にしておきますが、年間契約で貴重な情報を買っています。また、Democracy Now!は欧米の情報や日本の情報とは異なるので面白いので、サイトをご紹介します。これらは情報のゆがみを知る上で貴重なサイトです。

Democracy Now!日本語版:http://democracynow.jp/

○靖国や憲法改正にはどう思っているか知りたいです。

★日本にとって大切な質問を有り難う御座います。まず、靖国神社です。参拝するのは何ら問題ありません。各国のそれぞれの御霊を祀る場所があり、アメリカ、中華人民共和国、大韓民国、フランス、イギリス等全てにあり、何ら問題ありません。次の段階になります。これを国際政治問題に利用させてしまう原因を作ったのは日本に責任があることを憂(うれ)いています。国際政治問題になった場合、正論を振りかざすだけで問題は解決しません。どのように紐解くか、が大切です。竹島、南千島列島を含む北方領土も同じです。正論を言えば、すべて日本の領土です。しかし、それを成し遂げることは難しいです。この辺りについて安倍総理は深い手を打っています。興味があれば小川榮太郎著『国家の命運』をお読み下さい。次に私は毎年、家族全員で夏のお盆に静岡懸護國神社にお参りしています。「みたま祭り」があるのです。靖国神社も大切ですが、静岡県には護國神社がありますから、地元も大切にお参りしたいと思っています。
 さて、憲法改正です。これについては、坂本多加雄著『象徴天皇制度と日本の来歴』 都市出版に深い感銘を受けました。最近文庫も出たようです。内容は難しいですがお奨めします。要約すると「日本国憲法の正統性は天皇陛下の御名御璽によって公布されている。そして敗戦後の努力の積み上げの上に新しい解釈を加えていく必要がある」というものです。私は憲法が米国憲法を似せて作らされ、自衛権放棄など奴隷化を目指したものという歴史的経緯を知っていますが、他方、天皇陛下によって正統性を与えられ、新しい道としてこれを採用するという御言葉も重く考えたいのです。そしてそうせざる道に踏み込んでしまった大日本帝国臣民の無知、無略をも反省しつつ、新しい憲法解釈や憲法改変をしていきたいと考えています。昭和天皇陛下は明確に大東亜戦争反対でした。特に英米との開戦に反対でした。当時の臣民(国民)と新聞が軍部を戦争へと引きずり込んだのです。軍部の独走は敗戦後に作られた作為的な話です。
 憲法議論は日常生活に関わることですから、身近なことからです。わずかですが憲法記念日には富士で講演会がありお手伝いしています。また、もし憲法改正、解釈変更賛成ならば、現在の安倍総理はその口火を切った人ですから、支持されるのが良いと思いますし、反対なら日本共産党などを支持されるのが良いと思います。いずれにせよ、選挙の投票できちんと意思表明をすることが第一歩だと思います。深い質問でした。日頃考えていた答える機会があり嬉しいです。

○問2の解説で従軍慰安婦は小説家の作った言葉で実在しないと分りました。それを相手に伝えるにはどうすればいいですか?

★良い質問ですね。まず、相手のあることですから、相手を見ないといけないと思います。その相手が、日本の朝日、毎日、読売などの新聞や、NHKを始めとするテレビなどか、大韓民国という反日を国家の求心力にしている国なのか、国連という国際関係の複雑な組織なのか、によって変わります。親や友人などの身近な人であれば、本や雑誌などをみせるだけで済むでしょう。伝えるのは簡単です。もちろん、心から納得してもらうのは難しいですが。日本のマスコミなら独占放映権などを放送法に違反しているとして取り上げると圧力を掛ければいいのです。大韓民国ならば、過去に現在の価値で40兆円以上の援助をしたこと、2度の経済危機を救ったことを広報すればいいと思います。そして「もう二度と救わないぞ」という言葉とセットで。国連は非常に難しいです。地道な広報活動しかないのではないでしょうか。相手が決まっていないので概論的な話になりましたが、如何でしょうか。また質問して下さい。

○ネット右翼、左翼について この2つは本当に日本のことを考えていると思いますか?

★素晴らしい疑問です。私も常々考えていたことです。そうですね、ネット右翼は「本当に」は疑問符はつきますが、日本のことを考えているのは間違いないと思います。左翼は日本共産党や社民党を指すのでしたら、殆ど「いいえ」だと思います。ただし、ソ連に強奪された千島列島を含む北方領土の全土返還を言っている唯一の政党が日本共産党です。他に民主党政権時代に色々と正確な情報を出したのが共産党の新聞「赤旗」でした。このように全て否定ということは出来ないと考えています。日本共産党はソ連解体の時に、「日本をソ連の支配下に置くために資金を出して作った組織である」という文章が出てきていますから、結党時から非合法であり排除されるべき政党でした。日本のことなど考えていなかったのです。それがこれだけ生き残ってきていることの驚きもあります。私はよく分かりませんが、日本のことを考えての行動があったのでしょうか。ネット右翼に戻ります。「ネット右翼」とはどのような定義が不明確ですので、これを元に議論するのは、学問としては危いですが、もう少し踏み込みます。
 フジテレビデモを私はニコニコ動画などで見ました。その時、個人での参加が多く、これまでの日本の組織を中心にしたデモとは全く異なることを感じました。これらのことを否定したい既得権益側は「ネット右翼」とレッテル張りしてつぶしたいのでしょう。しかし、その手法は米ソ冷戦時には有効であってもソ連が無くなって既に20年、有効でなくなってきています。それでも同じ手法を使って、日本が好きだ、や、日本は素晴らしい国だ、という人々をつぶそうとしている団体もあります。これらがごちゃごちゃしているのが、ネット右翼だと思います。ですから、日本のことを本当に考えている人、特に個人と、そうではない反対の意図を持った団体がいると考えています。興味があれば、デモやSNSなどに入ってみて下さい。私もデモやSNSに入ってみて色んな面を見れています。

○先生の原発の話を聴いて思ったのですが、ジェネラルエレクトリック社が根本であることはわかったのですが、東電のその後の処理について問題はなかったのでしょうか?

★的確な質問有り難う御座います。今後話していく内容になりますが、問題はありました。特に「絶対に事故を起こさない」としたこと、「津波対策を怠ったこと」や「避難対策を怠ったこと」です。他方、ベント弁や免震重要棟の設置など対策が十分であったこともあります。

○真実をねじまげて報道するメディアのことをどう思っているのか聞いてみたい。

★メタ視点の質問、良いですね。真実をねじまげて報道するメディアは何時からあったのか。メディアが成立した時からでしょう。特に酷かったのは支那事変以後、英米との開戦に至る過程で朝日新聞を中心として「戦争しろ!!」と言い続けました。臣民(国民)もそれを「朝鮮人が可哀想だ」や「世界に人種差別をなくすためだ」などで賛同しました。当時の大日本帝国はアメリカや英国よりも強かったのですから、新聞が媚へつらったのです。アメリカが来て強くなると、今度はこちらに媚びへつらったのです。それが現在のマスメディアの姿です。本質は何も変わっていません。日本を損なう嘘をつき続けるのを「謝罪」したのは、日本が強くなったからです。日本が経済的にも軍事的にも強くなれば「日本礼賛」をします。その時に、国民がいい気にならない、ようにしなければなりません。多分、私が一命を賭さなければならないのはその時です。それまでに寿命が来れば良いのですが(笑) まあ冗談はおいておいて、私はメディアの本質は「媚びへつらうこと」と思っていますから、その中から丁寧に真実を探すことをしたいと思います。ですから、幾つものメディアから情報を取るのが大切だと考えます。

○問9で、人の本性を善または悪に分ける意味、理由が知りたい。小さな子供に善悪があるように思えない。

★良い疑問です。孔子を例に挙げましょう。孔子は崩れゆく周王室を立て直し、その体制の中で母国「魯(ろ)」を再興しようと考えていました。そのために善が行われなければならない、と考えたのです。つまり、善悪を分けたのは、自分の国を立て直し、ひいては当時の支那(中国北部)に平和をもたらすためでした。翌日の「哲学」の講義でプラトンがどうして善悪を分けたのかの話をしていきますが、これも同じで「自分の国を立て直し、当時の世界に平和をもたらすため」でした。これが後にキリスト教の異端であるローマ・カトリックなどによって神のための善や悪に置き換えられていきます。そこで一気に神学論争になっていきます。その場合は、自分の信仰の正しさを示すために善悪を使うようになっていきます。
 次に、「小さな子供に善悪があるように思えない。」です。私は現在、4歳、2歳、0歳(三ヶ月)の父親です。4歳と2歳はやって善いことと悪いことが判っています。ですから、やって悪いことをした時に、叩かれても、反省すことが出来ます。小さな子供は善悪を判別する心を持っています。それを伸ばしていけるかどうか、は子供の周りの大人たちにかかっています。この辺りは『孟子』の四端(したん)という考え方があります。ご参考下さい。

○問9で悪か善かという事についてですが、問8で先生は定理であり人の定める物と言っていました。私は定理とは常識に近い物だと思うのですが、常識というのは、悪にもなるし、善にもなる中立のものであると思うのですがどうですか。それがB)(補足:人の本性は善だが、その後悪になる)になるのでしょうか?

★これも深い質問です。皆さん、本当に自分の脳みそで考えている。嬉しいです。やる気が出てきます。私は定理と常識とは異なる、と捉えています。例えば、孔子の仁は社会全般の基準となりましたが、これは個人が考え出したものです。そしてある目的を明確に持っています。上の質問で解答したように自国の繁栄と世界平和です。他方常識は、社会の主な構成員の大勢が創り出したものであり、明確な目的はありません。あるのは安寧と利益分配だけです。常識が悪にもなり、善にもなるというのは同意します。その常識に抵抗し、苦しむのは10代20代ですね。30代以降は悩みません。言われる通り、所詮善にも悪にもなる中立なものですから。その中で「どう生きるか」が問われるようになるのが20代以降です。
 結婚するのか、就職するのか、この仕事を一生続けるのか、親とはどういう関係にするか、国家や地域をどのくらい大切にするのか、誰と友達になり、どんな風にお金を使うのか・・・
 私は40代に入りましたが、それらをしっかりと定める年齢になりました。私の周りも大体固まっている人が多いです。これを固めるのに、常識を使うのか、それとも誰かの定めた定理(倫理)を使うのか、自分でなるべく創るのか、です。参考になれば幸いです。

○人は最終的に倫理によって悪を少しでも消すが、では完全に悪がなくならないのはなぜだろう。

★「少しでも消すが」が少し考えました。悪をなくしていこうとする、と解釈しました。その上で、悪が無くならない理由です。善と悪は定義によって変わります。倫理は孔子を見るように自国の復興と世界平和を成し遂げるという明確な目的を持っています。他方、宗教が入ると個人の善悪に神が入ってきます。この点で複雑になります。その複雑なものなのですから、完全に悪は消すことが出来ないのです。泥と水を混ぜた泥水はずっと濁ったままです。泥を取り除き純水にしない限り、濁ったままです。完全には無くなりません。また、自国の復興と世界平和ですが、それに近づくと必ず数十年で破壊しようという勢力が出てきます。世界史の奇跡と言われる江戸時代の平和な時代を経験した日本人は、平和は通常状態と考えがちですが、戦闘のない状態は異常な状態です。現在のイスラエルのテロや内乱は数千年続く通常状態なのです。ですから、自国の復興と世界平和を成し遂げるのは極めて難しいのです。良く云われることですが、「世界中で戦闘がなかったことなど人類始まって以来一瞬たりともない」のです。もし、最初の文の解釈が間違っていたり、質問があったりするなら、またご質問下さい。

○善とは何ですか?

★難しい問題ですね。根本問題です。答えは出ていない、が正確な答えになります。上の質問でも答えているように、社会上の善と個人上の善が大きく分けられます。社会上は社会によって変化します。個人の善は、神道(随神の道)や仏教、修験道から唯一神教などでも変わってきます。私は墨子の義の考え方に共感しますし、孟子、孔子の順で納得しています。もし興味があれば講義の翌日の「哲学」の講義で詳しく取り上げるので受講してみて下さい。もちろん、具体的な事例を挙げながらこの講義でも考えていきます。一緒に考えていきましょう。

○何をすることができたら技術者と呼べるのか?

★自問自答するような素晴らしい疑問です。日本には「日本技術者教育認定機構(JABEE) 」があり、国際的に認められる技術者の養成を目的としています。

日本技術者教育認定機構(JABEE):http://www.jabee.org/

また、技術者倫理では「公衆の福利を第一に考えられる人」と考えることが出来ると思います。具体的な内容は、講義でしていきます。質問にある深い疑問を胸に秘めながら考えて行ってください。一緒に頑張りましょう。

○人間の存在理由とは何でしょうか?という(話が少し出たので)ことを考える機会になったと思うが、答えは分からない。それは分からない、もしくは納得のいくものではない方が良いのかもしれないとも思った。

★何とも素晴らしい疑念です。疑念なので答える必要はないのですが、私の考えを書いておきたいと思います。私は20歳の頃、「誰か分からないが私を操っている存在者がいる」という感覚に襲われいました。それが人間の存在理由である、とも感じたのです。つまり私は誰かに生かされている、そういう理由で生きているに過ぎない、と。後に知りましたが、これは絶対的な唯一の神を祀るユダヤ教やキリスト教などでも、仏教の阿弥陀教にある考え方です。しかし、私は感覚としての共有は認めるが宗教教団化したものに、その純粋な答えはないとも感じていました。次に、では誰かは誰かなのか?と想いました。ユダヤ教のヤハゥエ、キリスト教のゴッド、イスラム教のアッラー、仏教の阿弥陀仏のどれか?と。しかし、理系に進んでいた私は、どうも腑に落ちません。そこで、「生物学的衝動」という考えに至ります。つまり、生物学的な衝動だけが私を創り出し、存在させ、生きながらえさせ、そして殺すのである、というのです。私が存在しているような感覚になるのも、種の多様な生存戦略に過ぎない、というのです。周りの人には理解してもらえませんでしたが。そこから、「私」とは本当にあるのか?と詩や散文を書くきっかけが生まれました。自分の存在理由を探している、とも言えます。この点で、私は従来の哲学(ギリシャ哲学とキリスト教神学の複合)に答えはないと切って捨ててしまいました。そこで科学哲学や禅、日本神話などに興味が向いていきました。現在でも完全に腑に落ちたわけではありませんが、ある程度納得できました。
 □□くんは、この疑念を深めていくことも出来るということを知っておいて欲しいと思いました。


 以上です。深い質問が多くてびっくりしました。嬉しいびっくりです。有り難いことです。

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