講義録10-1「福島原発事故での希望 新聞記事に観る 」


 前回は、動画の回答実例を紹介しました。続きから行きましょう。

 紹介した本
河合隼雄 『こころの処方箋』 新潮社 1992年1月 大学図書館有り 361.4KA93

 10-1ではチャートです。

 「福島原発事故での希望 新聞記事に観る」
 
 講義に入って行きます。まず、A)新聞の切り抜きから入りました。取り上げた記事は、全て静岡新聞から4つの記事です。

 ①「福島第一 放射性物質の拡散予測図 2000枚作成、公表2枚だけ」 4月19日
本文:開発、運用には約128億円の予算が投じられたが"本番"ではほとんど使われなかった。・・・安全委は、試算図を公表しない理由について「放射性物質の放出量データが乏しい。試算図は実際の拡散状況と異なり、誤解を招きかねない、と説明するが、未公表試算図の中には、実際拡散と近似した傾向を示すものもあった。

私のコメント:まず、日付を見て下さい。4月23日です。観てきてもらった武田氏の動画は3月19日です。この時点で拡散予測図があったにも関わらず公開しませんでした。この点を武田氏は事前に指摘しているんですね。実際に存在したのですから武田氏の指摘はその後証明されました。こうして1つ1つ言っていることを確認していくのは大切です。さらに本文を見ますと、3月23日に初めて公開した、とあります。これは事故から10日以上経ってからです。

A)事故後、放射性物質が多く出ている時には公開しなかった。
B)計算データとは言え現在ある最高のデータを利用して最悪のケースの対応しなかった。
C)3か月が経って実測値が出てもいまだに同心円で対応している(現地の人は法律違反の被曝を許している)。

 B)は動画の中で武田氏が指摘していた通りです。これらは②-15~17を見直して下さい。
これに私の考えを加えれば「実際の図と違うから公開しない」というのなら「そもそもコンピュータシュミレーションなど出来ない」事になる。これでは説明責任を果たしていない。また、「データが取れない」というのは「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」の「緊急時」の対策を欠いていたことになる。税金の無駄遣いでしかない。そもそも原子力安全委員会などは年間10億円、原子力安全・保安院などは300億円を使っている。ここに武田氏はサラリーマン(根性)を指摘する。その他の指摘もあるが、まずはこの点の補足で終了。

 ②「経済 やわらかゼミ」6月19日
本文:特に引用なし。

私のコメント:内容は日本の国債についてです。海外から格付けされているのだけれど、大丈夫?というイラストが付いています。当然海外からの格付けですから、白人が虫眼鏡で日本の国会を覗き込んでいます。しかし、日本の国債は95%が国内消費です。つまり、日本人が日本人の借金を背負っている。こういう国は世界の中で日本だけです。ですから、日本の国の借金は問題ないのです。この点については「日本は例外」と指摘していますがどうも日本国内では報じられません。国債で後300兆円くらいは国内で借金できます。しかし、判断するのは白人です。これは前回の授業で述べたように「外圧」なのです。本当はこの白人は日本人であるべきなのに、日本人では変わらないから、空気を読むから、外人になっている訳です。さらっと外圧が垣間見えるので載せました。

 ③「原発再稼働に協力要請 経産相、自治体訪問へ 安全対策「適切」」 6月19日
本文:コメントの中で引用します。
私のコメント:これは可笑しいですね。まず、浜岡を止めた時に「浜岡以外は大丈夫」と首相がいいました。けれども、その後保安院は全国の原発に「安全対策をして下さい」と言いましたし、指導やチェックにいきました。その指導やチェックがつい先日です。これでは安全対策は実施されていないと考えられます。その後、この結果を踏まえて「安全対策は「適切」」と大臣が言いました。まず、首相と保安院の行動が矛盾しています。さらに保安院が指導を指示して対策が実行されているとは思われないのに「適切」です、と言いました。さらには、「適切」である科学的な基準が示されていません。本文には
 ①「中央制御室などの電源確保」、②「通信手段の確保」、③「水素爆発の防止」
とあり、これが出来た、と数値が示されていません。前回の講義で皆さんが調べてきてくれたように、あるいは①、②の動画で観たように、今回の福島原発事故の最大の原因は電源喪失です。そして、震度6程度の地震で原発は止まるのです。鉄塔の耐震が不十分だからです。鉄塔の耐震工事をするのが、福島原発以後の3か月で出来たのでしょうか? この点から考えるともちろん、首相の「浜岡以外は大丈夫」というのも信じられないものになります。③「水素爆発の防止」も電源喪失によってです。地震で倒れなかった原子炉以外の耐震は出来たのでしょうか。

 ③’「福島第一原発 汚染水浄化を停止 稼働5時間 想定より早く高線量」
本文:見出しのみです
私のコメント:今回の事故の大きな特徴は「想定外」ということです。ここでも「想定外」が起こりました。③の耐震については「想定外」はないのでしょうか。もう1度チェックする必要があります。けれども、そのチェックとはこれまで通り「中部電力の自主点検のデータを見るだけ」で済ましているのでしょう。そして事故が起こると、「データを偽装した中部電力が悪い」というのです。今回の福島原発事故で、国民の負託を受けた内閣総理大臣の下にある原子力安全委員会が「悪い」と思っていないのは、あるいは東京電力が悪い、という態度を取るのは、こうしたサラリーマン(根性)があるから、と武田氏は指摘していました。皆さんに考えてもらいたいのは、福島原発事故後も「想定外」が沢山起こっている訳です。
 また、先日2号機から汚染された空気を放出しました。18億ベクレルと計算されるそうです。その汚染された空気は、「汚染されているが安全だから平気です」と発表しました。しかし、②で挙げた「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」のデータは示されませんでした(私の調べる範囲内で)。汚染水を海に排出する際にも、ブイ(うき)をつけて観測すべきでした。ですからこの場合も「想定外」を予測して飛散方向を示すべきなのです。

 「汚染された空気を出さないといけません。健康には影響がないと思いますが、この方向にこのくらい飛散します」

 とどうして同じ日本国民に知らせないのでしょうか。「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」は実測値と近いものがあると証明されたのです。どうして利用しないのでしょうか。また、最初の小さな希望は、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」が実測値とほぼ同じ結果を導き出せた、という点です。

 ④静岡県から輸送された緑茶 仏で規制超すセシウム 6月19日
本文:フランス政府当局は・・緑茶から規制値を上回る放射線セシウムを検出したため、廃棄処分を決めたと発表した。
   欧州連合の規制値(1キログラム当たり500ベクレ)を超える1038ベクレルを検出した。
   10ベクレル程度となる。飲用茶の暫定規制値の準用値は200ベクレルで、飲んでも全く問題はないものと考えている(川勝知事のコメント)。

私のコメント:この講義では荒茶の問題を取り上げていますから、切り抜いてきました。皆さんは前のプリントで1038ベクレルがどのくらいの高さかは理解していると思います。また、100分の1になるから10ベクレル程度というのもです。もう1度だけ言いますと、アメリカの法定基準は0.1ベクレルですから、100倍になります。ドイツも数ベクレルですから倍以上になります。つまり、日本ではアメリカの2000倍、ドイツの400倍以上です。この点だけ考えておいて下さい。また、お茶の葉を摘んだ後の2番茶は100ベクレル程度ですから下がっていますね。これも放射性物質が上から降り注いできている証拠になります。

 さて、この記事の右下にも数値があります。「県内で観測された最大放射線量」です。東京でも始まりましたが静岡では一足早く調べていて公開しています。これは大変素晴らしいですね。この数値を見ると静岡市も、この付近の磐田市も全く心配しなくていいですね。ただし、外部被曝に関しては。内部被曝の飲み物や食べ物については今後も気をつけて行きましょう。

 以上が新聞記事の紹介です。講義の中でまた幾つか出てきますから、横において置いてください。


最後に希望として挙げられたものをもう1度:「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」が実測値とほぼ同じ結果を導き出せた、という点です。



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