哲学14-2 学生コメント集

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。

 -考察-

・カントの二律背反(理性の限界)が理解できた
・宇宙の果て、が面白かった
・それぞれの哲学者への共感と理解
・問が難しい
・哲学の面白さが解ってきた
・クリスマスの話が面白い

 の意見が多かったです。


○いまだに自分は中二病を引きずっている気がします。どうすれば克服できるでしょうか?

★克服する方法は人それぞれに違います。一般的に言えるのは「中二病以上の体験をする」でしょう。現実世界の「乾いたリアリズム」を知ることが中二病とのバランスを取ると思います。例えば、北朝鮮による拉致事件です。

『めぐみと私の35年』 横田早紀江著 

を読んでみて下さい。そして家族が突然いなくなること、原因を隠されていたこと、を「乾いたリアリズム」で感じてみて下さい。ただし、中二病は悪いことではありませんよ。空想や妄想を小説家や漫画家や企業の社長のようにプラスに換えればいいのです。その換え方を学ぶのも考えてみて下さい。

○先生は中二病な時期はありましたか?

★私は0歳から保育園に入り体が弱く月に1回は38度以上の熱を出していました。寝ている時、天井を見たりして空想に耽(ふけ)っていました。そこから40歳の現在まで空想癖は抜けていません。現在でも中二病ですよ(笑 今も詩を書いているのです、月に2本は。質問有り難う。

○カントの主張が一番しっくりきました。よゆう(余裕)があれば、心の哲学の講義もきいてみたいです。

★カントが一番でしたか、嬉しいです。現代科学から観るとカントでも幾つもの不都合がありますが、大筋ではカントの「理性の限界」は素晴らしい指摘ですよね。是非とも本を読んでみて下さい。私の心の哲学の方も感心を持ってもらって嬉しいです。ターミナルケアから観る現代の死についてです。このブログである文章を紹介します。

△講演記録「哲学から元気がでてくる。不安の受け止め方」
 http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-257.html

△哲学のススメ2 「本質の求め方」レジュメ
 http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-96.html

 参考になれば幸いです。

○結局キリスト教はユダヤ教の真似なのかな。真似のほうが知名度高いのもすごいと思った。

★真似ではありません。他方、講義では共通点だけを抜き出したので○○くんの考えも成り立ちます。違う点を挙げてみます。ユダヤ教は民族宗教で家族(主に母親)にユダヤ人でないと入れません。キリスト教は改宗すれば誰でも入れる普遍宗教です。また、戒律の順守や人間の定義などで様々異なっています。宗教学の時間であればきちんと説明したかったです。哲学なので省いてしまいました。誤解なきようにお願いします。

○今年最後の講義お疲れさまでした。そしてありがとうございました。毎回、毎回、興味深い話で聞いていて楽しかったです。知識も増えましたし、いろんな見方で人を見ることができるようになりました。良いお年を・・・。

★丁寧な言葉を有り難う御座います。良いお年をお迎えください。また、教員として皆さんの成長が読み取れてこれ以上嬉しいことはありません。では、もう1点成長を。目上人に「お疲れ様でした」とは言いません。バイトで朝昼晩「おはようございます」というのと同じく間違ったビジネスマナーです。マナーの知識も覚えておいてくださいね。

○高木教授はクリスマスの日はどう過ごしましたか?

★私は「教授」ではなく、非常勤の講師です。でも、敬意を込めてくれていると受け取ります。有り難う御座います。私はクリスマスは、家族4人で何事もなく過ごしました(うるおぼえですが)。3歳と1歳の赤子がいるので、規則正しい生活を心掛けています。大学、大学院時代は、朝4時5時に寝て、昼に起きたものですが。

○高木先生が尊敬している偉人は誰ですか?

★神武天皇、聖徳太子、坂本竜馬(司馬遼太郎で)、秋山好古(司馬遼太郎で)、吉田松陰、星一(ほしはじめ)などなど沢山います。神武天皇は講義で説明したとおり、日本の民主主義の原点を形づくった「人」です。聖徳太子は「和を以て貴しと為す」や日本の独立、能力主義の導入などを行いました。坂本竜馬は大学時代に司馬遼太郎さんで読み、「こんな風に生きたいなぁ~」と夢見ました。同じく司馬さんで秋山好古を知り、その熱き魂に感銘を受けました(史実でない部分もありますが)。秋山さんが「男は35歳までは結婚してはいかん」というので、「俺は35歳まで結婚しない!!」と22歳の時に決めたのです。それくらい影響を受けました。松陰先生は何と言ってもその辞世の句です。

弟子宛
「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」

家族宛
「親思ふ 心にまさる 親心 けふのおとずれ 何ときくらん」

声に出してみて下さい。
星一は、日本の薬学の先駆者でありドイツ科学を救った高潔な人でした。以下の本をどうぞ参考にして下さい。

『歴史の「いのち」』 占部賢志

○自分が死んだらどうなるのか考えた事が何度かあったが今になってみれば根本的にはキルケゴールが言ったような意味があったと思う。

★うわー嬉しいコメントです。自分の体験が知識と結びついて明快になっていく、というのが学問の深い喜びです。さらに、一歩進めてキルケゴールを本で読んでみて下さいね。得るものがさらにあると思います。

○僕は、はっきり言ってこの両方言う法方(方法)が大嫌です。哲学的な人はみんな使っていますが、心の中の矛盾を言葉にしてしまったら、それは矛盾してはいけない物だと思います。考えるだけならいいけど言うのは間違いだと思っています。

★深い洞察ですね。そして○○くんの独創性が感じられます。「考えること」と「口に出すこと」の違いの基準を、是非とも聴いてみたいです。3年生向けの「科学技術者の倫理」で両方いう方法を使って講義をします。良かったら色々と意見を出してください。

○今日のニヒリズムから自然的存在論に至るまでの話が自分が留年、浪人した時の心情の変化そのままでした。しかし、ありのままを認めた後にどうなるのか気になりました。(そのままなのか前に進むのか)

★不思議ですね。西欧の精神の歴史と○○くんの青春時代の精神の歴史が一致するのですね。その後、どうなるか、是非とも『反哲学史』を読んでみて下さい。ニーチェの後の哲学界の流れが判ります。それを参考にして是非とも今後の人生に生かしていって下さい。

○批判しまくっていてどれが正しいのか分からない。

★哲学の歴史とは、学問の歴史とはこういうものだと捉えて下さい。技術の歴史も批判しまくりですし、自然科学の歴史も学説の批判しまくりでした。批判しながら少しでも真・善・美に近づこう、というのが学問なのです。正しいこと、はそうそう簡単に手に入らない、のですね。何やら密教や華厳経(けごんきょう)のようになってしまいました。今後も正しさを求め続けていって下さいね。

○クリスマスは1人です。

★「クリスマスは1人です」は正しい、と正しくない、の両方から考えてみて下さい。一人じゃない、の意味も観れるようになるとこの講義が少しだけ役に立てると思います。

○プラトン主義、アリストテレス主義の話だけかと思っていたが、反プラトン主義の話が出てきて驚いた。批判ばかりで、肯定した哲学者も知りたいと思った。

★はい。講義中に少し言いましたが、反プラトン主義はアリストテレス主義に通じていますし、反アリストテレス主義はプラトン主義に通じています。また、肯定した哲学者の名前はあまり残っていません。大多数の哲学の講義をしている教員は、自分の考えなく、あるいは自分の考えでプラトン主義を肯定しています。あるいはプラトン主義の影響を受け入れています。そういう人は名前が残らないんです。

○リア充の人達はデート、ディナーetc 非リア充はどうしたらいいのですか?

★「リア充がデートする」というのはマスコミやTVが創り出した幻想です。ですから、無視すれば!無視すれば!良いのです。20歳前後ならネットの情報を得ているでしょうから、日本のマスコミが極端にアメリカ寄り、極端に中華人民共和国より、極端に一部のTVが大韓民国寄りの報道をしているのを耳にしているでしょう。そういう片寄ったマスコミを根拠にして、自分を馬鹿にしたり、貶(おとし)めるのは止めましょう。プラトンが「洞窟のイデア」の話で、縛られていても気が付かない人々を指摘しました。リア充になる必要はありません。リア充になるために、車やお金や格好いい服も必要ありません。たった1人、自分が愛する相手がいれば幸せなのです。クリスマスに自分の愛する人の平安と安寧を願いましょう。
 こんなことを書くと、ソクラテスのように罪なき罪をかぶせられてしまうでしょうか。(笑)

○ユダヤ教とキリスト教が密接しているのは知らなかった。このクラスで一番頭がいいのは先生だと思った。

★有り難う御座います(笑) では、私が生贄となって殺される役目になるのでしょうか。ユダヤ教とキリスト教は密接に関係していますが、違う点もあります。私は以下の本を大学時代に読みました。

『神の歴史』 カレン・アームストロング

5800円もする本ですが、1回ざっと読み、ノートを取って2回読み勉強になりました。「大学時代に1冊だけでも分厚い専門書を読む」というのをお奨めします。

○生物学的な理由以外で生きる理由は義務的なものとしては与えられていないと思うし、生物学的な理由も代わりがたくさんいるから生きる理由はないに等しいと思うけれど、だからこそ、自分の決めた生きる理由で生きたいと思う。

★素晴らしい言葉を有り難う御座います。嬉しいです。講義をやって良かったです。ふっと遠くから友が訪れて来てくれたような嬉しさです。

 以上です。


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