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講義録12-4 リスク減少と真夏の電力供給について

 先ほどは、「大飯原発再稼働の8つのリスクの解説」を述べました。
本文に入る前に少し補足しますと、福島原発事故によってリスクが減少した点もあります。それは、関連資料に 「福島第一原子力発電所事故から得られた知見」として、きちんとリスクが明確になった所です。当たり前、と思われるかもしれませんが、これまでの原発では「全交流電源喪失」などは考えなくてよい、という国会答弁もされていました。つまりは、日本国の最高機関で「重大な事故は考えていません」という態度だったのです。それゆえ私は原発を否定していたのです。けれども、今回の事故によって事故対策がこれまでとは打って変わって、進められる足場が出来ました。
 防潮堤を作るのが遅れる、なくても大丈夫である、などの不備は残っていますが、一歩前進していることは明らかです。原発事故を考える時、外部から観ている私には絶望しかなかったのが、少しだけ希望が見えてきています。平成25年度の原子力規制委員会の審査がどのようになるか、にしても、事故前までのものとは明らかに違う、という情報が出てきています。
 原子力発電は日本のエネルギーの安全保障と核装備などの軍事から必要な産業です。そのことを率直に見つめていくことが、さらなるリスク減少につながる、と考えています。

 しかしながら、原子力発電は現在でも「電力会社が赤字になるから」や「真夏の電力供給が足りなくなるから」という観点でしが論じられていません。この観点は福島原発事故前からある観点であり、原発にまとわりつくイデオロギー論争の残滓(ざんし:のこりかす)に過ぎません。詳しくは次の講義で述べるとして、真夏の発電について昨年度問い合わせをしましたので、それを元に述べていきます。以下は全て昨年度の内容です。


 真夏の電力供給とその問題に入ります。

 その前提として、「7月末~8月」の真夏だけである、という点です。福島原発事故以前、あるいは直後には、
 
 「原発がないと日本の電気は止まる」

 と最もらしく唱えられていました。これはデータに基づかない、あるいは偽造データに基づいた主張であったことが、はっきりとした、という前提があります。それでは、関西電力株式会社(講義録11冒頭で書いたように敬称は略させて頂きます)のデータを見ていきます。

配布プリント2枚目(表)
 :関西電力株式会社「今夏の需給見通しと節電のお願いについて」2ページ 「供給力確保の状況(8月)」 
 http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/pdf/0519_1j_01.pdf

 と見ると、昨年夏の実績は2947万Kw→現時点での8月の供給力見通し2542万kwです。 ですから、夏の計画停電や大飯原発再稼動が必要である、そうです。ただし、平成24年6月27日の「第88回定時関西電力株主総会」では、原発の継続的な運用に踏み込んでいました。例えば、総会後の八木誠社長のインタビューです。

 では、現在の「供給力確保の取り組み」を関西電力のHPのデータで見てみましょう。以下引用です。

■自社設備

・自社設備は、火力・揚水・水力とも、定期検査や大規模は補修作業を延期して、全台稼動する計画としております。
…(中略)…
・火力については、長期計画停止機である海南2号機の再稼動や小型ガスタービンを姫路第一発電所に設置します。

 とあります。
海南2号機は、関西電力HPにあります。
http://www1.kepco.co.jp/energy/fpac/community/plant/03.html

運転開始年月    S45.9
定格出力(万kW) 45
燃料       原油と重油

 です。他方、同じ長期計画停止機として、
多奈川第2発電所も、関西電力にあります。:2枚目(表))
http://www1.kepco.co.jp/energy/fpac/community/plant/07.html

運転開始年月    S52.7 S52.8
定格出力(万kW)    60   60
燃料        原油と重油

 です。 ポイントは、多奈川第2発電所は、海南2号機よりも「新しく」、同じ「原油と重油」を使い、「発電量が倍以上ある」ということです。

 もし、多奈川第2発電所を動かすことが出来れば、発電量は120万Kwです。ですから、十分、大型原発1機分の発電量になるのです。どうして、再稼動しないのでしょうか? そこで、関西電力にメールで問い合わせ致しました。


関西電力HP-「節電・電気料金・ご契約・停電」に関する問い合わせコーナーで以下の問い合わせをしました。平成24年6月21日15:09

問合せ・ご意見の内容

長期計画停止中の多奈川第二発電所についてお問い合わせさせて頂きます。
http://www1.kepco.co.jp/energy/fpac/community/plant/07.html

御社の「今夏の需給見通しと節電のお願いについて」2P で「供給力確保の取り組み」「自社設備」の1行目、「全台稼働する計画としております」とあります。

多奈川第二発電所が停止中である理由をお教え下さい。

できましたら、火力発電所よりも複雑な大飯原発3,4号機が3ヶ月掛からずに稼働する理由と比較してお教え下さい。

御回答は、大学の講義等でお話しさせて頂きます。悪しからずご了承くださいませ。

内容種別 お問合せ・ご相談
氏名 高木 健治郎
フリガナ タカギ ケンジロウ
メールアドレス :(非掲載)


----関西電力様からの御回答----

2012/6/21(木) 17:14

高木さま

 弊社HPへのお問い合わせありがとうございます。
 頂戴しましたお問い合わせに関して、以下のとおりご回答させて頂きます。

 お問い合わせのありました多奈川第二発電所は、平成17年より、長期計画停止状態としております。停止運用となってから長期間経過していることから、再稼動には設備の健全性を確認した上で、設備対策が必要となるため、2~3年程度の期間が必要であると見込んでおります。
 一方、大飯原子力発電所3号機は昨年3月、4号機は昨年7月まで運転状態にあり、その後の定期検査にて機器の健全性を確認しておりますので、現在の再稼動工程にて再稼動が可能となっております。

 ご回答は以上でございます。お問い合わせありがとうございました。今後とも関西電力グループをご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

関西電力株式会社
広報室



 以上が問い合わせのメールの内容です。

 高木が引っかかるのは、「全力で発電を行っております」と関西電力のHPでは説明しているのにも関わらず、

 「2~3年程度の期間が必要であると見込んでおります」

 という文章です。

☆「どうして、期限を区切って再稼動を計画しないのでしょうか?」

 2~3年というビジネス上ありえない行動計画、あるいは実施計画に基づいて供給力の確保が行われているのです。そのビジネス上ありえない「いい加減な計画=早くできたらいいし、遅いならしょうがない、という計画」が引っかかります。そのつけを払うのが、関西電力の管轄の企業であり日本国民なのです。

 さらに疑念を続けます。

 海南2号機は、多奈川第2発電所よりも古いのです。どうして海南2号機が稼動でき、多奈川第2発電所は稼動できないのでしょうか。

 これ以上は、技術的な問題になるのかもしれませんが、それならばそれで、日本国政府や関西電力が関わる企業や日本国民に、

 「多奈川第2発電所は何時までに稼動する予定ですから、それまで我慢してください」

 と説明すべきではないでしょうか。関西電力のHPのトップページには、「今後稼動予定の発電所」というコーナーがあるべきではないでしょうか。節電で「足りない」と言い「火力は金が掛かる」と言います。では、

 「足りるようにどうするか」や「金が掛からないようにどうするか」の説明がない

 というのは片手落ちではないでしょうか。以上のことは、講義録11-4で説明したように、数々の独占を電力会社が行ってきた結果の1つかもしれません。情報公開と説明責任を欠いてしまっているのです。高木は、これまでも述べてきた通り、原子力発電そのものに反対ではありません。技術保持を考えるとむしろ賛成です。しかし、こうした独占などによる組織的問題が、福島原発事故以降も残り続けるのならば、事故の再発防止策が十分に取れないと考え、原発に反対です。あるいは原発のあり方に反対です。これが真夏の電力供給における経営的問題です。経営学については素人ですが、以上のように考えました。

 そしてそれは、「原子力発電にしないと赤字になって経営的に困る」という独占していない企業なら考えられない台詞に現れています。例えば、松下電器(パナソニック)が、「アナログテレビにしないと韓国企業に押されて赤字になって経営的に困る」といったら、どうなるでしょうか? 松下電器は韓国企業より安価で素晴らしい液晶テレビを開発するか、有機ELテレビに大規模に投資して未来に掛けるか、でしょう。ですから、電力会社も、

☆「原材料費タダ、研究費が殆ど掛けられていないという意味で未来のある地熱発電に大規模に投資する」

☆「日本海側の日本全国の100年以上分とも言われる有望な天然ガス(メタンハイドレート)の採掘に投資する」

 などの経営判断を考えても良いのではないでしょうか。一般企業ならば、次々に革新していかない経営はつぶれてしまいます。原子力発電は技術革新が最も分野の1つだと高木は考えますが、その経営はずっと変わらないままで、自己改革も出来ないでいるのではないでしょうか。次々と新しく、安い(発電)方式を探って企業を守っていくのが、経営ではないでしょうか。この視点からすると、関西電力の経営的問題がある、と考えます。

全ての解説が終わった後に、問題を出しました。

 問3 大飯原発再稼動で最も大切だと考える点を述べなさい。

ポイントは、「再稼動に賛成ですか?」や「再稼動に反対ですか?」ではない点です。宿題で色々と調べてきて、それとは違う高木の考えを聞いて、再稼動問題が2つの方向から見えれたと思います。その上で、どの点に注目するか、です。これは学生の皆さん1人1人の「自分の心の声が最もどこが大きかったですか?」というのを確認しておく、という意味で大切です。また、原発問題は情報が錯綜(さくそう)し、しかも、扱う情報の範囲がとても広いのです。それゆえ、自分が観る基準点をきちっと認識して欲しいという意味も込めました。

 次に(最後に)、日本海側のメタンハイドレートについて述べます。 

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