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講義録12-2 大飯原発再稼働の2つの観点の解説と資料

 平成24年度の大飯原発再稼働のリスクについて、前の「講義録12-1 大飯原発再稼働の8点のリスク」で要点の挙げました。ここでは、もう少し丁寧に解説していこうと思います。資料は最下部に挙げます。

 要点を観る視点は、
①事実に客観性を求めること 
②公平性を求めること
 です。

①事実に客観性を求めること、とは、なるべく1次資料を使うことなどで達成されます。

 1次資料の代表的な例は、自ら取った実験データです。他に、原子力委員会の出す『原子力白書』などの官報や、現場を直接観た人の事実を書いた本やレポートなどです。これに対して2次資料というのは、1次資料を元にして書かれた内容です。このブログも殆どが1次資料を用いた内容ですので、2次資料となります。原発では、技術者以外の人々の書いた本なのです。これらは、事実の持つ膨大な情報の中から、筆者が「情報を捨てること」で成立します。著者の意図の偏向等の問題もありますが、事実が持つ膨大な情報からどこを切り取るか、どこと切り捨てるか、が問題になります。新聞や各論評や本などはそれによって成り立っています。ですから、中々自分の考えを得ることが難しいのです。
 以上のことから、原発という複雑な装置を判断する場合、なるべく1次資料を用いることが大切になってきます。

②公平性を求めること、は肯定側の資料から否定要素を、否定側の資料から肯定要素を探すことの大切さが出てきます。
 
 ①で述べたように2次資料からは「切り捨てられた情報」しか出てきません。どこを切り捨ているか、という恣意性は決して無くすことが出来ません。ここには人間の知の限界があります。詳しくは「書いたもの ○高木の哲学的立場 認識論、存在論、それ以降の突破として」としてをご覧ください。その人間の知の限界を踏まえた上で、問題を考察する際に、有効な手段の1つが、肯定側の資料から否定要素を、否定側の資料から肯定要素を探すことです。結婚しようとしている人の否定要素を敢えて探そうとすることは、結婚生活の短期破綻のリスクを下げる行為です。就職活動で会社は良い情報しか出していません。四季報などで会社の悪い情報を探すことは、倒産によるリスクを下げる行為になります。以上のことから、②公平性を求めることが大切になってきます。

 しかしながら、敗戦後の日本の原子力政策の特徴にも気をつけなければなりません。それは原子力発電の導入から稼働、継続までが、国際政治に大きく作用されおり、イデオロギー論争にまみれてしまった、という点です。
 事故を起こした福島原発1号炉は、アメリカの原子力潜水艦に利用される型です。発電用としては欠陥炉です。後に述べます。そして発電の実証データがそろわない内に、「原発は、未来のエネルギーです。安いのです」というむちゃくちゃな宣伝文句で日本に導入されました。実際に原発が赤字を計上しなくなったのは導入から20年以上の月日が必要でした。日本の原子炉が沸騰水型と加圧水型になっていったのも、アメリカに従ったからです。ソ連は黒鉛減速型でした。日本を始めヨーロッパの導入はアメリカ主導でしたので、沸騰水型や加圧水型で、ソ連主導では黒鉛減速型でした。これは、米ソ冷戦の中で、各国をエネルギーの安全保障上の支配下に置こうとしたからなのです。「ウランは未来のエネルギー」と言いますが、ウランは濃縮しなければなりません。その濃縮をするのが全てアメリカ、という構図なのです。石油はコントロールできないけれど、ウラン濃縮はコントロールできるから、という考えでした(後に崩れます)。
 そして日本では、敗戦後アメリカの言いなりでしたから、沸騰水型と加圧水型を交互に、あるいは同じ数だけ建設していきました。フランスでは60年以降、沸騰水型は本質的にリスクが高い、と実証的に判断して加圧水型に移行していきます。日本では技術的観点からリスクの高い沸騰水型をずーっと続けたのです。これは「技術が社会背景に依存する例」と言えるでしょう。ですから、講義で取り上げているのです。
 さらに、日本では沸騰水型の危険性がアメリカで指摘されても「アメリカが安全と言っているから安全」として日本に地震が多い、や自分たちで実証データを取らない(公開しない)などを行いませんでした。ここにも大きなリスクが「技術が社会背景に依存すること」で出てきてしまったのです。

 さらに、国際政治は原発に介入しつづけます。

アメリカ:原発推進
 VS
ソ連 :原発否定
 
 の構図は続きます。ソ連共産党から資金援助を受けて成立した日本共産党を始め左翼勢力は、反原発一色になります。「アメリカの導入した原発だから全部悪いだけ!」と完全否定するのです。これでは技術改良や技術革新が起こりえません。技術とは最初の段階では未熟なものなのです。同じ構図は自衛隊でも起こります。「アメリカに協力する自衛隊は全部悪いだけ!」というのです。阪神淡路大震災で「自衛隊は来るな~!」と主張した現役の国会議員がいました。自衛隊が悪いのではなく、「アメリカの支配が悪い」のであり「その手先である自衛隊が、原発が悪い」のです。これは2013年現在でも、日本国に残っています。
 公平に反対側からも観てみましょう。この講義は技術者倫理ですから、技術の観点から観てみます。
 すると、原発推進側の日本政府や官僚、企業などは、この左翼運動に甘えました。つまり「国民には原発のことなど分るわけがない」、「事故データなども国民に知らせる必要がない」となってしまったのです。つまり、独善になってしまいました。するとどうなるか。「原発は絶対に事故を起こしません」、「日本国政府の言ったことだから信じてください」というむちゃくちゃなことを押し通してきました。「製造物は必ず壊れる。だから壊れた時に最小の被害になるように対策を事前に考えておく」というのが、フェィル・セイフという考え方です。

「講義録3-1 「フール・プルーフ」と「フェイル・セイフ」と「冗長性」」
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-259.html

 しかし、事故を起こしません、と言ってしまったのです。私は福島原発事故が起こる前、原発推進に反対でした。以上の技術者倫理の理由からです。もちろん、原発推進派からすれば反原発の左翼思想家に観られることもありました。しかし、私は学問上の良心として講義でも話しましたし、曲げませんでした。現在は、「原子力安全神話は間違いであった」と公式に認められました。今回の資料にきちんと載っています。ですから、私の原発推進に反対する思想的な理由が減ってきています。昨年度詳しく述べたように、残っている問題の多くは東京電力などの組織的要因、構造的要因だと考えています。「安全神話の崩壊」は「技術が社会に依存すること」を考えると、原発のリスクの減少、と捉えることが出来ます。

 以上から、国際政治に左右され続けている原発の現状と、公平さを求めることの大切さが伺えます。
 8つの観点は次に述べます。

--資料--

「講義録12」で挙げましたが、昨年度の「講義録11」にさらに詳しい資料があります。

リンク先
「講義録12-1 大飯原発再稼働の8点のリスク」http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-294.html
「講義録12」http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-293.html
平成24年度「講義録11」
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-155.html
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-158.html
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-159.html
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-160.html
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-161.html

 
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