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講義録12-1 大飯原発再稼働の8点のリスク

 大飯原発再稼働の要点を先に書いていきます。

 要点を見る視点は、

①事実に客観性を求めること 
②公平性を求めること

 です。
大飯原発再稼働の肯定側の資料(原子力安全・保安院と関西電力)を観て①を担保し、リスクを探し出します。これは、再稼働反対側から出る資料から利益を探し出す行為と対になります。そのことで②を担保します。前者のみになりますが、以下がまとめです。技術倫理の大前提として「リスクがない製造物はない」ことを述べておきます。そのリスクが許容されるかどうか、が判断基準となります。

○1)運転継続のための二次評価を行っていない
 1次評価は試運転のための評価に過ぎません。関西電力は「忙しいから」と2次評価を提出しませんでした。ここは、評価を受けていない、という重大なリスクがあります。

○2)検査、データ分析、評価などの全てを関西電力が行っていて、国は報告を許諾するか拒否するかだけである
 ある自動車が重大事故を起こしました。同じメーカーの車に乗っている場合、どこを検査するか、どのように事故であったか、どのように事故原因を考えるか、検査の実施、検査データの収集、そして分析、さらに評価をするのが、あなた(運転手)なのです。自動車製造メーカーでも国でもありません。ここにデータ偽造や恣意性は入るリスクがあります。

○3)どの値から安全とするかの基準がない
 時速80キロは安全でしょうか? 高速道路のように路面が整備されおり、車検で数値によって検査された車なら安全です。では、何キロからが安全なのでしょうか? この何キロ、という数値により安全基準がないのです。さらには、40年前の自動車が事故起こしましたが、2年前の新車まで運転停止になりました。なぜでしょうか? どの数値より安全かという基準がないからです。ここにリスクを明確に判断できない、というリスクがあります。

○4)最も数値の高い項目だけを列挙する
 原発は数万にも及ぶ部品で構成され、何十もの装置があります。それらの装置の中で最も耐震化できたものを挙げて、安全確保対策は向上しました、と書かれています。最も大切なのは原子炉格納容器ですが、この耐震化や津波対策が施されていません。ここにリスクを混同させるリスクがあります。

○5)柏崎刈谷の原発事故の教訓が生かされていない
 柏崎と福島の原発事故では「地すべりによる送電鉄塔の倒壊等により外部電源喪失」が起こりました。送電鉄塔の耐震化のデータが書かれていません。ここにリスクがあります。

○6)福島原発事故の教訓が生かされていない-①ベント弁がない
 ベント弁とは原子炉格納容器の圧力が高まった時に放射性物質を含む空気を外気に放出する装置です。福島原発事故ではベント弁が開かれ最悪の事態=原子炉格納容器の爆発(チェルノブイリ級事故)が防がれました。このベント弁が大飯原発3号機にはついていません。平成27年度完成予定です。事故発電所である福島原発よりリスクが高いです。

○7)福島原発事故の教訓が生かされていない-②免震重要等がない
 免震重要棟は放射線を遮断する建物で、福島原発事故対応で現在も活躍しています。柏崎の事故で設置されましたが、大飯原発にはありません。平成27年度完成予定です。事故が起こった場合に作業員の被曝線量が高まり事故対応が遅れます。ここに重要な施設がない、というリスクがあります。

○8)福島原発事故の教訓が生かされていない-③津波対策がない
 資料の中に津波によって「非常用ディーゼルや海水ポンプの損壊」が書かれています。つまり、津波は鋼鉄製の構造物を容易に破壊することが実証されました。しかし、1次評価に書かれているのは「浸水対策」であり、「扉にシール」や「拝観貫通部へのシール」に過ぎません。津波の破壊力を考慮していない、というリスクがあります。同時に現在の5メートルの防潮堤を7メートルにする工事の完成予定は平成25年度です。津波対策がない(浸水対策はある)というリスクがあります。

 以上の8点をリスクとして指摘します。

 講義では、細かい点の補足を行いましたし、同時に、推進側の資料からこれまでになかった姿勢が見られ、リスクを減少させている点も指摘しました。これは次の講義録に書きたいと思います。今講義録はリスクの指摘で閉めます。
 



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