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講義録10-2 技術史から観た反中、反韓運動の気づき

 講義録10-1から「技術史から観た反中、反韓運動の気づき」に関わる部分だけを抜粋します。

 「発明は必要の母」という言葉がある。

 例えば、スーマートフォン。
 アップルが開発して、サムソンが真似物を作って、世界中でコピーだ、と裁判が起こっている。他方、液晶技術などでも特許侵害論争が起こっている。このスマートフォンだが、「欲しい」と世界中の人がイメージしたから出来たのだろうか? そうであれば「必要は発明の母」である。しかし、

 「あ! スマートフォンっていうんだ。使ってみると使いやすい。だから買おう」

 というのが「発明は必要の母」となる。私の身の回りにある製造物、特に最先端の電子機器はこの通りではないだろうか。過去の大成功の例はSONY「ウォークマン」である。返す返す、アップルに作られたのが残念でならない。日本企業がどうして作らなかったのだろうか。作れない理由があるのだろうか。

 さて、大韓民国のサムソンやLGなどは日本が置いておいた技術を買い取り、日本の技術者を厚遇して国家の資金を投入して現在の成功を収めている。一部の技術者には「サルまねばかりして、盗むだけ。ポッキーのまがい物もあるし、マンガやアニメもそっくりぱくったものもある。ジーンズなども。だからけしからん」という人もいる。もちろん、特許侵害である点は争わなければならないが、技術の歴史を振り返ると、パクったにせよ、正式にライセンスを取ったにせよ、技術は伝搬していく。殆どの技術はそうなのである。オリジナルで作られる技術というのは、僅かでしかない。
 それよりも問題なのは、技術の受容性が、地域や文化や時代によって変わる点である。『銃・病原菌・鉄 (下)』68-9Pを意訳してみる。

 「支那(China:現在の中国のある場所)は15世紀まで世界最高の技術に恵まれていたが、政治的理由で受容性が低下した。対してヨーロッパは世界で最も技術の劣った地域だったが受容性が高くなり現在の繁栄につながった。」

 現在、日本国で大韓民国や中華人民共和国に技術窃盗、あるいは技術奪取に対して強い反応が現れている。技術史を眺めると、アメリカの核技術は最新の注意を払っていてもソビエト連邦に技術窃盗された。その後、各国に広まっていった。スパイ防止法の無い日本の現状で、技術窃盗を防ぐのはほぼ不可能に近い。過日、非公式にアメリカのオバマ大統領と中国の習主席との会談が8時間も行われたが、アメリカ側の要求は

 「技術窃盗を含みサイバーテロを止めて欲しい」

であった。中国人民解放軍のサイバーテロは世界一(あるいは北朝鮮も)であり、アメリカ合州(衆)国でも遅れている状況なのがはっきりと判った。サイバーテロが行われると軍事的優位が崩壊する可能性があるのである。軍事学の基本として航空戦力で地上戦力を圧倒できる、というのがある。その航空戦力は衛星の発する信号や艦船からの通信によって維持されている。現代戦では戦車や兵隊でさえ衛星からのGPS機能に頼っている。サイバーテロが起こればこれら全てが遮断される可能性があるのである。宇宙、航空、地上でアメリカ軍に圧倒されている人民解放軍はサイバー部隊によって優位を取り返そうとしているのである。
 他方、習主席の要求は、日本で伝えられているのが尖閣諸島の問題だけであるが、軍事からすると日米の合同演習の延期、あるいは縮小であったと言われているが、粛々と実行された。習主席は面目をつぶされた訳であるし、明らかに軍事攻撃を念頭に置いているという圧力を掛けた。日本では殆ど報道されていない。ちなみに、尖閣諸島が占拠された場合の奪還作戦も日米合同で行われている。

 以上のように技術によって軍事の優位性が決定されており、その技術は窃盗を含め流出は止められないのである。この事実を踏まえると、日本での大韓民国や中華人民共和国に対する過激な反応の裏に潜む心理が見えてくる。それは、日本の技術に対する日本人の不安である。技術は伝搬していくものである。であるからして、どの国であっても常に技術革新をしなければ優位は保てない。

 「日本が技術革新をしていないからこそ(という不安があるからこそ)、中韓を非難する」

 のではないだろうか。ウォークマンを作ったソニーは世界中を、「あ!」と言わせたが、スマートフォンを作れなかった。サムソンで働く日本人の技術者は「日本社会の非効率的な金、人、資源配分に絶望する」と述べている。であるから、日本社会から大韓民国に移った、そうである。昨年以前の講義で「有機EL」という具体例を挙げたが、その技術者も同じく「有機EL」を挙げていた。

 インドネシアの奥地には現在も原始的な生活を続ける部族がある。彼らは技術への受容性が低いまま保たれているのである。このように技術の受容性は、地域や文化や時代によって変わる。

 もし、スマートフォンなど製造物が今後も日本で作られないとしたら、日本社会(企業)の技術の受容性が低下した、と考えられるのではないだろうか。

 もちろん、高い技術を持つ製造物をSONYは販売し続けている。しかし、それが企業の独善となっており多くの人々に受け入れられないとしたら、それは製造物の大切な要素を見落としている、と言わざるを得ない。
 以上のことから「技術史から観た反中、反韓運動の気づき」として

 「反中、反韓運動の裏には日本の技術に対する不安がある」

 と考える。
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