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講義録3 基本用語「プール・プルーフ」と「フェイル・セイフ」、「冗長性」 技術倫理の判断基準

 皆様、こんにちは。

 私は親しい間柄には「こんにちわ」を使っています。きっかけはヘブライ語を広尾(東京)で習ったことでした。ヘブライ語の「シャローム」は朝昼晩に使える挨拶で「こんにちは」に相当します。意味は「平和」。「今日も平和だから逢えたね。平和でいいね。平和を願うよ。」という意味がある、と日本人の先生に教えてもらいました。
 当時の日本は北朝鮮による拉致問題が徐々に表面化してきており、個人としてもソ連の北方領土侵略、竹島侵略、アメリカの日米構造協議押し付けなど、現在に通じる日本の危機が表面化してきている時期でした。それもあったのでしょう、「平和に感謝する」という風に捉えて、「今日も平和で嬉しい=今日和=こんにちわ」と書くようにしてきました。

 書くのが1週遅れましたが、今回の講義の目玉は「技術倫理から世の中を見ると面白い」です。

 そのキーワードがずらりと題に並んでいます。「フール・プルーフ」、「フェイル・セイフ」、「冗長性」ですし、書いていませんが「予見可能」、「許容可能なリスク」が出て来ます。技術倫理の基本的な視点です。ここでしっかりと理解すると、普段何気なく見ている生活空間が変わってきます。学問の面白い所です。

 さて、それでは本文に入ります。

 この講義から過去の講義録を引用先にして読んで下さい、とするのではなく、転載する形、にしていきます。

紹介(回覧)した資料:静岡新聞社 『浜岡原発の選択』 静岡新聞社 1300円

配布したプリントB4 1枚
        :静岡新聞社 『浜岡原発の選択』 38-39、60-61、84-85頁
        :藤本温編著『技術者倫理の世界 第2版』 16-17P

宿題:なし


 --講義内容--

 配布プリントを見てもらい、説明しました。第1回の宿題に目を通し、学生の皆さんの持つ技術倫理の基礎知識、福島原発を含む原発に対する知識、論理的な文章を書く能力を主に観ました。次に、福島原発に対する思いや浜岡原発再稼働に対する気持ちなども聞きました。大体例年通りの講義内容が皆さんに合っているのを確認することとなりました。次に浜岡原発は身近な問題であり、感情が錯綜(さくそう)しがちです。ここに学問的視点を入れて、皆さんの気付きを、興味を引き付けたいと思いました。つまり、

 「なぜ、浜岡に原発が?」

 です。当たり前すぎの問題ですが、案外語られること、認識されることが少ない問いです。日本のマスコミが偏っていると前回述べましたが、この問題も目先の問題に囚われてしまっていることが多いです。その中で静岡新聞社には、この問題をずっと担当している方がいるそうで、多くの視点が1冊の本の中に提供されています。賛成反対に偏ることない点も素晴らしい点です。ではプリントにある本の抜粋に行きます。38-39頁です。

-「芦浜計画 住民を二分 ー白紙後も消えぬ対立」-

1963年、旧浜岡町の前に三重県の志摩半島の南側にある芦浜地区に原発を作る計画が持ち上がったことが書いていあります。ここから読みとれるのは以下の3点です。

①旧浜岡町に原発が来たのは芦浜で断られたから
②40年過ぎても(2009年になっても)原発立地は地元住民を二分する
③1963年は商業用原子炉が巨大な赤字を出していた時期で、純粋な利益を出すから原発を導入していない点
④原発は基本的にリスクが高いと実行側が考えていたこと

 ①については次に述べます。

 ②について。原発に限らずこれだけ巨大な製造物になると住民を二分します。例えば、ダム、米軍基地など。しかし、原発は特殊な法律などがあり、利益が絡(から)むために住民の対立が深刻化、長期化します。これは原発特有の社会的リスクの1つと考えています。他方、このリスクを消すことは出来ません。何故なら「火力発電などの経済性に劣り、特別に保護しないと原発を続けられない」からです。原発には安全保障上の問題が深く関わっているのです。

 ③原発が稼働時だけを取り出して火力発電と同等になってきたのは80年代です。フランスは原子力発電に関して日本と双璧ですが、その政策は見事です。1960年代以降、沸騰水型、加圧水型など色々な原発のリスクを調べて、リスクの少ない原発にしていきました。巨大な都市の側にあるのも、地質調査をしてそのデータを基に住民を説得したからです(反対派も多いです)。他方、日本では「地質調査をさせて下さい。させてくれるだけでお金を上げます」という政策を取っています。何をするにも「金払うから良いだろう。させてくれ」の態度なのです。科学的データに基づかず、こうした態度では安全性を充分に考慮出来ません。さらに政治がこれを正すこともありませんでした。浜岡原発に津波対策や大飯原発の断層調査をもう1度行っているのも、科学的データが充分でなかったことを意味しています。もう1度きちっとやりなおして欲しいものです。

 ④芦浜地区は大都市名古屋から遠く北側に山があります。浜岡も辛(かろ)うじて浜松、静岡から30キロ以上の距離にあります。関東では太平洋側の東海村です。原発には大量の水が必要とはいえ、必ず大都市の遠くに建設されています。中部電力も清水港に火力発電所用の土地を持っていましたが、大都市の遠くにしました。これは実行側が原発のリスクの大きさを知っていること、事故災害の最小化を考えていたのが判ります。もし、福島原発と同じ規模の災害が東京の西側、例えば、調布や立川で起こっていたら、東京はほぼ数年住めない都市になっていたでしょう。数兆ベクレルの放射性物質が排出されたのですから。そしてこれは日本の原発立地が科学的データに基づかず、かつアメリカ型の原発を導入せざるを得なかった、という条件を考慮すると、最低限のリスク管理が出来ていたことが見えて来ます。
 もし、日本が今後、新規原発を導入するとしたら、

A) 原発立地選定に対して科学的データに基づく事
B) 原子炉の型によるリスク検討を行う事
C) 最低限のリスク管理を行う事

 を求められなければならないと考えます。

 1つの記事で長くなってしまいました。次に行きます。60-61頁

-「旧浜岡町と東海道線ルート案の関係」

 東海道線ルートが旧浜岡町を通るルートから内陸の島田や掛川を通るルートに変更された図があります。廊下移動千ルートの決定は、誤解を含めて旧浜岡の人々のトラウマとなり、「東海道線の過ち(=貧乏になった)を繰り返したいのか、と説得して回った」そうです。
 ここから見られるのが、旧浜岡町という土地特有の歴史的経緯です。先ほどの芦浜地区は実行側の歴史的経緯で、今回は地元の歴史的経緯。最低限ですがそれぞれ1つずつ挙げました。このように「なぜ、浜岡に原発が?」に答えるためには、こうした歴史的経緯を知る必要があります。そうしないと、「なんで東海地震の危険な浜岡に!!」というイデオロギー論争、あるいは政治闘争になってしまうのです。それはそれで重要ですが、学問では1つ1つの事実を押さえていかなければなりません。浜岡に原発が入っていく事実も興味深いです。是非とも『浜岡原発の選択』をお読みください。

 次は原発の良い点です。84-85P

-「海の幸生む温排水」

 「原発の温排水で稚魚などを育てるので、静岡県の栽培漁業マダイ、トラフグ、国内初のクエが成立している」

 「原発ができたから今の静岡県の栽培漁業があるといっていい」と本文に書いてあります。静岡県は日本一、あるいは世界一のメロン、みかん、いちごなどの栽培農業もしており、製造業なども素晴らしい県です。その漁業の一部を支えているのが原発なのです。原発の良い点、素晴らしい点です。

 反対派は、「温排水でエネルギーの60%以上で海水を温めているのだから地球温暖化だ」と言いますが、石油高騰時には副産物としての利益があるのも事実です。私が考える原発の良い所はまだまだありますが、1点の指摘としました。

 ここで最も素晴らしいのは、85頁の後半に、原発賛成の意見、中立の意見、反対の意見がそれぞれ書かれていることです。現在の新聞やマスコミに姿勢は、全て一緒で反対論なほぼ100%反対論になってしまう所です。例えば、TPP賛成、憲法改正反対です。しかし、この記事では1つの記事に、賛成、中立、反対が全てあります。

 最後の記事は、講義内で述べます。区切りが良いので次に続きます。
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