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講義録1「 はじめに 改めて福島原発事故を扱う意義 科学、技術、倫理、存在論的問いと功利的問い 情報収集の前提として 」

 皆様、こんにちは。

 平成25年度の「科学技術者の倫理」の講義録を記していきます。
 受講する学生の皆さんを念頭にしながら書いていきますが、幅広く多くの方々にもお読み頂きたいです。文体が「ですます調」ではなく少々乱暴な言い方に、時に強い感情が入りますが、ご容赦頂ければ幸いです。また、文章を校正することはなく、誤字脱字、読みにくい箇所、意味不明の文章が沢山あると思います。この点もご容赦の程をお願致します。

 このブログを記す意義は、やはりきちんと自分の考えを拙くとも残しておく、という社会的責任を果たすことにあります。東日本大震災以前の私は、自分の研究や興味にこり固まり、ややもすれば独善的で、独我的な行動をしていました。論文を作成するのは自分の考えをまとめるためであり、まとまった考えを論文にすることはありませんでした。それは自分の知にとってあまり意味がないと思えたからです。
 福島原発事故以前に、日本の原発のリスクを技術者倫理から追及しておりましたが、きちんと発信することがなかったのです。東日本大震災を考えた時、私のその行動は、他人から批判されるのを恐れているからではないか、同時に社会的責任を果たしていないのではないか、と反省しました。このブログが東日本大震災によって始まるのもそうした理由からです。ですから多くの方にお読み頂きたいという思いがあります。

 平成25年4月9日に始まる講義は、東日本大震災から2年が過ぎています。儒教では2年と1日を過ぎると「喪があける」と考えます。まだまだ仮設の配電盤など事故対応が十分でないのは残念でなりません。それを踏まえつつ、風化しつつあることも認めていくことが、人類の長い叡智だとも考えます。
 私達は今を生きている、この気持ちを大切にしたいと思います。現在でも哀悼の気持ちはありますが、1年目とは替って来ています。ですから「可哀想」や「風化させないぞ」などの空虚な観念で現在の私達の気持ちを犠牲にしてはならないと考えます。講義でもこれまで行ってきた講義の最初と最後の黙祷(もくとう)をしないこととしました。学生の皆さんにそのように説明しました。私が個人として黙祷を捧げたこと、もし良ければ自身でして欲しいこともお願いしました。

 それでは本文に入ります。

 講義録は、最初に紹介した資料、宿題など、次に講義録と学生コメント集を載せていきます。
本年度は箇条書にし簡素にします。学生コメント集は昨年同様、質問を受けたものは必ず返信することとします。
講義内容は、ほぼ完成しているので、昨年の講義録を基にして行います。

紹介した資料:なし

宿題    :4題

題1 福島原発事故についてどう感じ、考えていますか?

題2 原発再稼働は安全ですか?

題3 浜岡原発は再開OKですか?

題4 「5つの提案と「現場との議論を」-福島原発構内の一連の事故について-」:当の「高木健治郎のブログ」に掲載
 :http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-250.html
 を読んでの感想


 --講義内容--

 全ての内容は昨年度の講義録1を元にしています。
 :http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-98.html

 最初に黒板に宿題を4題書きました。挨拶をし、成績の付け方、技術者倫理の目的、科学、技術、倫理の用語の意味を深めました。その際、学生の皆さんの意見を黒板に書いてもらい共有しました。何故なら、倫理とは正解が多数ある学問だからです。もう1点、福島原発事故の根本原因の1つが「偏差値の高い人に任せておけば大丈夫」と自分の声を出さなかったからです。自分の声を出すこと、そして議論を深めていくことが倫理を実践する際には大切なのです。このようなことも伝えました。

 学生の皆さんの「問4なぜ倫理が出来るのか」の解答が「功利的解答」ばかりでしたので、「存在論的解答」を示しました。「存在論的解答」とは「人間の本性が善だからそれを形にしたのが倫理」という解答です。「功利的解答」とは「倫理が社会を安定させる」という実用、実効からの解答です。
 私達は、飯を食べ、糞を出します。ですから、生活して行かなければなりませんし、現在の日本ではお金を必要とします。それゆえ、「功利的解答」を日常生活の中で幾つも見つけています。
 他方、人間とは必ず死にます。つまり日常生活が終わるのです。「功利的解答」では満たされないのです。また、私達の誰一人として「生まれたいなぁ」と想って産まれてくる人はいません。気がついたら人間で、男女のどちらかで、国籍があるのです。ここにも「私とは何だろうか?」という存在論的解答を求めるきっかけがあります。

 本年度、はっきりと述べたのは、倫理、特に倫理的実践を促すのは「愛」だということです。倫理とは愛です。福島原発と同じ程度の津波が襲った女川(おながわ)原発は、周りの住民が一時避難して生活する場所でした。それは東北電力の技術者が基準では危ないと思ったのでしょう、基準よりも高く原発を作りました。それは東北電力の技術者の、地元への愛があったからなのです。対して、東京電力は自分の管轄内ではない福島県で原発を作り、最も経済規模も大きく儲かっていたのにも関わらず、基準を満たしているから、と余分な対策をしませんでした。

 科学技術者の倫理の目的は、「事故防止」です。初期の事故防止は倫理しかありません。法律は事故「後」に出来るものです。再発防時には「倫理と事故調査」が必要です。両方の事故防止には倫理=行動を促す倫理=愛が必要である、と私は考えます。それゆえ「倫理=愛」と伝えました。

 現在の日本では、「愛」というと男女の愛に限定されていますが、本来は、師弟愛、家族愛、兄弟愛、祖国愛、郷土愛などを指すものでした。愛とは相手を知り、尊敬することで生じます。

 では日本を皆さんは知っているのか? どのくらい知っているのか?を聴きました。

 「皆さん、自分の誕生日を知っていますか? では日本が出来た日(誕生日)を知っていますか?」

 と聴きました。
 残念ながら挙手しての答えは200名以上居て1人もいませんでした。私は前日東アジアの学生10人以上に聴くと全ての学生が答えられたのです。日本は出来て2673年です。皇紀:こうき、と言います。ギネスブックにも「世界最古の国が日本」として登録されています。次に長いのは、スウェーデンが1500年くらい、英国が1000年くらいです。さらに3国の中で王様と国民が同じ民族なのは、日本だけなのです。

 カレンダーの話に行きましょう。

 「4月を日本語でいうと何と言うでしょう?」

 1クラスで答えてくれました。「卯月(うづき)」です。卯月の由来は「卯の花が咲くから」と言われていますが、私は「植月(うづき)」の説を取ります。その理由は日本語の特性からです。日本語は「漢字に意味があるのではなく、音に意味があるのです。あ、には「あ」の意味があり、い、には「い」の意味があるのです。ですから、江戸時代まで、名前をどの漢字で表わすか、ではなく、どの音であるか、が重要でした。有名なのは、「坂本竜馬」です。「坂元龍馬」と書いても良かったのです。「坂本竜馬」の漢字ではなく、「さかもとりょうま」という音が大切だった証拠です。
 すると、「卯月」も「うづき」の音が大切になります。うとは「植える」を意味します。日本で最も大切な食べ物は「稲」です。ちなみに、「い」とは「見えないけれど尊いもの、大切なもの」を意味するという説があります。ですから「い」のち、「い」のり、「い」き、「い」ね、「い」き、などです。神様に捧げる言葉を「のりと」と言いますが、「のり」とは言葉のこと、いのり、とは見えないけれど尊いものに言葉を捧げることを意味します。いき、は見えないけれど大切な体の要素「気」を意味します。稲は、「みえないけれど大切なもの」の「ね」っこ。

 この稲を植えるのが4月なのです。
 日本は明治維新と敗戦で欧米の考えを導入したり、強制させられました。現在の小学校から大学までの制度は敗戦で強制されたものです。しかし、アメリカのように9月スタートではありません。4月に始まります。それは稲を植えるという日本人にとっても最も大切な農業行為が始まるからなのです。だから、「うづき」というのです。

 ではどうして「稲」が日本人にとって特別で大切なのか。それは現存する最も古い書物『古事記』に、神様の国(高天原)から神様が地上に降りる時に持ってきたのが「稲」だからです。そして現在でも天皇陛下は、毎年、御自身でお田植えあそばされます。海外の王様のように自分が働かない、のではなく2673年の伝統を現在まで続けてあそばれているのです。(ちなみに旧暦では現在の5月、6月が卯月になります)

 このように自分の国を知り、尊敬することで愛が出てくるのです。
 東北電力の技術者の方々は、郷土を守りたい、という愛があったからだと考えます。

 そして、学生の皆さんが技術者の現場に入って、汚染物質を日本の国土に流していると知ったとしましょう。その時「この仕事は金を沢山もらっているから、黙っていよう。その内、どっか他の場所に住めばいいや」と考えれば、技術者倫理の目指す行動が出て来ません。

 「いや~高いお金をもらっているし、この国を大切にしたいから、何とかならないか考えよう」

 という気持ちが出てくるのだと思います。
 
 長々と愛について書いてきましたが、これは本年度の新しい内容です。繰り返しますが、他の内容は昨年の講義録1に載っております。

 次に学生コメント集を書きます。
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石上国語教室で行われた講演のレジュメです。哲学が足りなかったのが、福島原発事故の原因の1つではないか、と考えています。

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