5つの提案と「現場との議論を」-福島原発構内の一連の事故について-

(平成25年4月8日追加記事「「明らかに未収束」元国会事故調委員、衆院委で」を最下部に)


 福島原発内でネズミが配電盤に接触して停電したことは、記憶に新しいことです。

 つい、2時間前には、同様に針金で冷却が停電したとのニュースが流れました(引用記事は最下部に)。

 さらに、1時間程度前には「汚染水120トン漏出か=放射能量「収束宣言」後最大級—東電が推定・福島第1原発」のニュースも流れて来ました(引用記事は最下部に)。

 この1カ月の間に現れてきた福島原発内の災害対策の不備の数々の問題があります。この問題について、これまで通りの、

「事故、事故隠し、トラブル」発覚 → 「東京電力非難」 →「東京電力謝罪」

 で済ましてはならない、と考えます。それは原子力規制庁に直接当てはまりますし、私達日本国民にも広く薄く当てはまる問題だと考えます。ポイントを挙げます。

①現在の体制では「事故、事故隠し、トラブル」は再発する

 現在の体制とは、これまで述べてきたように

1)事故を起こしても隠した方が得をする独占利用体制、
2)事故のデータ、調査、再発防止策を東京電力に任せる検査体制、を指します。

 この2つの体制は、東海村臨界事故でまざまざと見せつけられました。事故の原因を調査する委員会に、東京電力の関係者が入っていたのです。裁判で言えば、裁判官(あるいは調査官)の1人として犯人が入っているということです。

②現在までの事故対応では、「事故、事故隠し、トラブル」は再発する

 現在までの事故体制、とは記事の中にあるように「仮設」配電盤です。事故から2年以上が過ぎているのに、新しい配電盤を作っていないのです。もう1点、汚染水で吸着した汚染物質の行き場がない、ということです。ですから、作業が出来ないのです。技術倫理の立場では「冗長性」を大切にします。今回の場合で簡単に言うと「予備電源を設置する」ということです。必ず、製造物は事故やトラブルが起こります。ですから、起こった場合でも「リスクが低くなるように、同じシステムを備える」=「冗長性」として大切にします。飛行機が片方のエンジンが停止しても、もう片方だけで安全に飛べるように設計されているのが代表例です。そこで以下の3つが問題として出て来ます。

3)「仮設」の施設では事故の再発が起こるのは、2年を経てば当然である。
4) 放射能汚染物質を埋める最終処分場を早く決定する必要がある。
5)配電盤を含めて予備システムを作る必要がある。

 今回の一連の事故を、「東京電力の謝罪」だけで終わらせてはならないと考えます。
 以上の1)~5)のことが大切だと考えます。

 もう1点補足すると、いつも記者会見等で技術者、現場監督の声が出てこないのは何故なのでしょうか。福島原子力災害を繰り返さないために、福島原発事故構内に東京大学を始めとして原子力関係の専門家が常駐し、議論を繰り返さなければ、実効的な再発防止策が出てこないと考えます。そうした技術者や現場監督、専門家を含めた会議が最も大切だと考えます。こうした会議が原子力規制庁の中で行われることを求めたいです。原子力規制庁の中の議論は、どうしても

 「現場を見てない専門家だけの議論」

 としか見えないのです。
 「当時の日本国政府が現場の福島原発の対応を遅らせ、混乱させた」という数々の事故調査報告書の知見があります。この知見とは「現場を見ていない責任者と専門家だけの議論」の実効性の無さ、特に初期事故に対しての実効性の無さ、むしろ有害さを述べているのです。

 私はこの点に留意して今後も福島原発事故災害を観ていきたいです。






-引用記事1-

「福島原発また停電 ネズミの次は針金」

 東京電力は5日、福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却が約3時間にわたって停止したと発表した。ネズミなど小動物の侵入対策として金網を設置中、針金が配電盤の端子部分に触れたことで停電し、冷却が停止したとみられる。現場では4人が作業していたが、感電やけがはなかった。第1原発では3月18日、仮設配電盤にネズミが接触したことが原因とみられる停電で、プールの冷却が停止したばかり。東電は今回の作業手順や管理が適切だったか厳しく問われそうだ。尾野昌之原子力・立地本部長代理は記者会見で「ご心配をおかけして申し訳ない」と謝罪した。

 東電によると、3号機のプールは燃料566体を保管している。午後2時時点の水温は15・1度で、復旧後の測定で約0・1度上昇していたという。周辺のモニタリングポストの放射線量に目立った変化はなかった。午後2時半ごろ、3号機の冷却システムにつながる配電盤が故障したことを示す警報が作動し、その後、冷却システムの停止を確認した。復旧作業の結果、午後5時20分に冷却を再開した。

 3月の停電では1、3、4号機のプール、共用プールの冷却などが止まり、全面復旧に約29時間かかった。東電は停電が発生した約3時間後の午後10時すぎまで事態を公表せず、批判を浴びた。今回の冷却停止は、まず原子力規制庁が警報発生約15分後の午後2時45分ごろに公表。東電が冷却停止を発表したのは午後3時10分ごろだった。

 [2013年4月6日8時24分 紙面から](日刊スポーツ)

-引用記事2-

汚染水120トン漏出か=放射能量「収束宣言」後最大級—東電が推定・福島第1原発
時事通信4月6日(土)11時43分
 東京電力福島第1原発の地下貯水槽から放射能汚染水が周囲の土壌に漏れ出した問題で、東電は6日、貯水槽の容積や水位の低下具合から、漏出量は約120トンに達する可能性があるとの推定を明らかにした。東電は同日朝、隣接する未使用の地下貯水槽への汚染水移送を開始したが、移送完了まで5、6日かかる見込みという。
 東電によると、汚染水の放射能濃度はストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1立方センチ当たり5900ベクレルで、120トンが漏出した場合の総量は約7100億ベクレルに上る。
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は「(政府が収束宣言を出した2011年12月の)冷温停止状態達成後に流出した放射能量としては、最大になる可能性がある」と述べた。
 地下貯水槽は1日400トンペースで増え続ける汚染水や処理後の水の保管先として、敷地内に7カ所建設。容量は計約5万トンで、いずれも地面を掘り下げ、3層の遮水シートを敷いて水をためる仕組みになっている。
 今回漏出した貯水槽の1万3000トン分は使えなくなるが、尾野代理は「長期的なプランの組み換えは必要だ。タンクの増設も進めており、すぐに影響が生じるものではない」と述べた。
 貯水槽は縦60メートル、横53メートルで深さ約6メートル。シート素材の強度などは確認しているが、使用前に水を張った検査などは行っておらず、複数のシートの接合部などから水が漏れた可能性もあるという。 

[時事通信社]



-追記 国会事故調元委員長の答弁 平成25年4月8日―

<福島原発>「明らかに未収束」元国会事故調委員、衆院委で
毎日新聞:記事一覧 2013年4月8日(月)11時24分配信
tweets 6  衆院の原子力問題調査特別委員会が8日、初めて開かれ、東京電力福島第1原発事故を調べた国会事故調査委員会の元委員長、黒川清・元日本学術会議会長ら元委員9人を参考人招致した。黒川氏は、地下貯水槽からの放射性汚染水漏れなど相次ぐトラブルを挙げ「事故は明らかにまだ収束していない」と述べた。

【3月から】福島汚染水漏れ:隣接貯水槽も 最初の水位低下は3月

 参考人招致されたのは、国会事故調の元委員10人のうち、現在は原子力規制委員を務める大島賢三氏を除く9人。黒川氏は冒頭、「汚染水の問題、ネズミによる停電の問題もある。被災者への対応も進んでいない。(事故調の)報告書の内容にどう対応していくか、世界が注目している」と述べた。続いて野村修也弁護士は「汚染水問題などについて、東電と行政に任せきりにしていいのか。国民の代表が専門的知見を持って、国民目線で関与すべきだ」とした。

 特別委は、原子力規制委員会や原子力規制庁を監視する目的で1月に設置された。国会事故調は昨年7月にまとめた報告書で「国会が継続監視すべきである」と常設の委員会設置を提言していたが、与野党の調整が難航。開催までに9カ月を要した。

 また、報告書は福島第1原発事故を「人災」と指摘。旧経済産業省原子力安全・保安院や内閣府原子力安全委員会についても「電気事業者の虜(とりこ)になっていた」と批判した。【鳥井真平】


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