『銃・病原菌・鉄』第1回プリント(記入)

(第1回プリントに高木が記入した内容です)

 建国記念の日(紀元節)を2月11日迎え、日本が建国されて2673年目を迎えました。立春を過ぎ、丁度暖かな日差しと梅の香りが入り混じる頃、晴れ晴れとする季節です。この季節に、さらに気持ちが爽やかになるようにゼミを始めたいです。

・使用本:『銃・病原菌・鉄』(上) ジャレド・ダイアモンド著 倉骨彰訳 草思社
 文庫本もあります
・ゼミ方法:予習:使用本を読みプリントの問を書いてくる。各3章ずつ
     :ゼミ:問いを発表、議論、質疑、講義などなど
     :復習:レポート作成
・ゼミ内容:『銃・病原菌・鉄』を中心として国際政治や科学哲学など数々の分野に踏み込みたい。ただ、皆さんとの対話によって前後する。

第1回 プロローグ、第一部第1章、第2章
何も読まないで以下の問に答えなさい。
何を書いても減点等はありません。自分の心の声で書いて下さい。

問1 世界の中で最も先進地域はどこでしょうか? 出来れば理由も
先進、を工業において捉えるなら日本と欧米。文化と捉えるなら日本とイスラム圏、インド。学問としてとらえるのならば、欧米をセンターとして世界中。工業においては最先端の製造物、文化ならば蓄積と継承、学問ならば競争の激しさ。
問2 世界の中で最も後進地域はどこでしょうか? 出来れば理由も
工業ならばアフリカと中央アジア、文化ならばアフリカと支那大陸近辺など。学問ならばネット環境や図書館の無い地域。工業においては製造物の製造能力、文化ならば、西欧列強によって文化を徹底的に破壊されたアフリカ、自ら文化を破壊した支那大陸近辺。蓄積と継承からすれば文化破壊は後進と考えられる。学問ならばネット環境が学問の競争の激しさを支え、図書館が蓄積と飛躍をもたらすから。
問3 世界の中で最も先進国はどこでしょうか? 出来れば理由も
問1から考えると日本。工業、文化、学問の総合で考えると1位。アメリカは文化の知奇跡と継承が少なすぎる。
問4 世界の中で最も後進国はどこでしょうか? 出来れば理由も
国は特定できないが、例えばカーボベルデなどが候補。
問5 人種による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在しない。欧米人が何百年も探し続けてきたが見つからないから。
問6 性差による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在しない。筋肉量や反応速度は男性がストレス耐性などは女性が優れている。各分野の優劣はあるがまとめてのどちらが優れているというのはない。
問7 文化による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在しない。ただし、蓄積と継承を断絶させる、という点で劣ることはありえる。しかし、文化全体として比較した場合に優劣は存在しない。詳しくは文化相対主義を。
問8 宗教による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在しない。宗教による優劣は2つの意味に捉えられる。1つは「各宗教を比較した場合の優劣」例、キリスト教はイスラム教よりも劣っている。もう1つは「1つの宗教内の教義として人間に与える優劣」例、女性は宗教的悟りに遠いからより修行しなければならない。前者については宗教そのものからすれば存在しない。他方、社会から宗教を捉えると優劣が存在する。それは社会に近い立場をとる宗教と遠い立場をとる宗教である。例えば、キリスト教はローマ帝国(ビザンチン帝国)において皇帝を神である、とした。これは社会と近い立場である。他方、日本は天皇と政治権力のトップである征夷大将軍とを分けた。これは遠い立場である。
 後者は、基本的に各宗教の教祖、仏陀、キリスト、ムハンマドなどは男女対等に近い扱いをしている。しかし、後年、教えを受け継いだ宗教教団は形式化し男性優位に傾いていく傾向がある。この場合には優劣が存在する。
問9 経済による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在する。人間の周りに存在する物を価値に置き換え、貨幣などに換金できるから経済が出発する。その場合、換金できる量は比較可能であり、優劣がつく。
問10 職業による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在するかしないかは各社会の価値判断による。日本では例えば松下幸之助などは職業の優劣を説かない。他方、アメリカや一部のヨーロッパ諸国では「金を稼げる職が優れている職だ」という価値判断がある。日本では会社の社長や校長先生が職場の掃除を率先してすることに不思議はないが、欧米などでは不思議がられ、侮(あなど)られさえする。これは価値判断の違いがあるからである。
問11 年齢による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在しない。青年時は運動能力に優れるが、中年時は仕事量に優れ、老年時は総合判断能力に優れる。問6と同じくそれぞれ優れる面が異なるのである。
問12 知識による優劣は存在するでしょうか? 出来れば理由も
存在するかしないかは各社会の価値判断による。日本や欧米は世界史や自然科学の知識において優れるが、パプアニューギニアは食べられる食材や土地の利用法などにおいて優れる。各社会で個人が生存するための知識が異なるので各社会の判断による。
問13 他の分野、概念などで優劣の存在「しない」ものを挙げなさい。5個くらい
空気、机、家族、祖国、文字、土産、誠実、献身
問14 他の分野、概念などで優劣の存在「する」ものを挙げなさい。5個くらい
消費、売値、利益、偏差値、権利の有無、価格、為替
問15 20世紀に発展した分野を、産業、社会、政治、宗教、学問のそれぞれで挙げなさい。
産業は自動車などの重工業、社会は植民地からの独立を果たした各国家の成立、修正資本主義体制の成立、宗教と社会との距離が離れてきたこと、自然科学の発展、特に量子力学、電磁気学など。
問16 日本に最初に人間が登場した痕跡は何年前にあるでしょうか? 知っていれば
人間をどこで区切るかによるが、700万年、50万年、5万年が大きな区切り。
問17 日本の国が出来たのは何年前でしょうか? 知っていれば
2673年前 平成25年2月27日現在
問18 書いてみての感想を
考えがまとめられてよかった。

宿題分:「プロローグ」~第1部第2章を読んで

問19 頁と行数を示して、本のテーマを引用しなさい。
21頁13-14行目「人類社会の歴史の各大陸ごとの異なる展開こそ、人類史を大きく特徴づけるものであり、本書のテーマはそれを解することにある。」
問20 本のテーマへの反対意見を3つ、簡単にまとめなさい
①説明は、一民族の支配の正当化につながる
②説明は、ヨーロッパ中心の歴史観の肯定につながる
③説明は、産業化社会を狩猟社会よりも優位と位置付ける

問21 ニューギニア人の方が西洋人より頭が良いと考える理由を2つ、簡単にまとめなさい。27P
①知性や遺伝的資質によって淘汰されないから頭が悪い人が残る
②テレビなど受動的な娯楽を享受する西洋人より、大人や友人などと積極的な時間を過ごすニューギニア人の方が知性が発達する

問22 第1章で驚いたこと、初めて知ったことを3つ挙げなさい。
①知性と知識の違い。知性が劣っていても知識の発展している社会は、多量の製造物を製造できること
②製造物の製造には、周辺の幅広い知識の蓄積が必要なこと
③黄色人種と白色人種の遺伝的違いが発見できていないこと

問23 なぜ、南アメリカの入植が最後であったか、理由を2つ引用しなさい。頁と行数も
①人類の歴史は約5万年ほど前に大きく変化し始める。54頁10行目
②シベリアが常に寒かったことと、最終氷河期を通じてカナダ全体が氷で覆われていて人間が通過できなかったこと 64頁後ろから4-5行目

問24 62-71頁の中で人類の定着を決定できないことからわかることを3つ挙げなさい。
①考古学は史料が少ないこと
②少ない史料には多くの解釈が学術的に存在すること
③測定技術の発展に左右され、同時に測定技術の欠点が多くの学術的解釈を生みだしえること

問25第2章で最も驚いたこと、初めて知ったことを3つ挙げなさい。
①同じ民族で生産構造によって、正反対の気質になること。
②人口過剰と環境条件で戦いの放棄や去勢などが選択されること(つまり戦いの放棄は理性によって選択されたものではないこと)
③ポリネシアに世界で最も階級化された社会があること

問26 平和の民と戦いの民の分かれ道の理由が数々あるが、主な理由は何と書いてあるでしょうか。
環境とそれに適応する余剰作物によって社会構造が決定される。社会構造によって対外的な行動、平和の民と戦いの民が分かれる。これは主な理由である。

問27 91頁の「非生産者が生産を増加させる」ことが書いてあるが、日本の歴史上で思いつく例と現代の世界で思いつく例を書きなさい。
日本の歴史の例:江戸時代の集中農業を支えた商人(非生産者)。商人によって堆肥の購入と販売の委託が支えられ、単位面積当たりの収量が増加した。結果、日本国全体として農業生産量が増大した。また、新田開発も武士や商人などの非生産者が中心となっており、別の例として挙げられる。

現在の世界の例:遺伝子組み換え技術で作られた植物の種は、非生産者である技術者や企業によって製造される。この植物の種が各農業生産物において収量を増大させている。

問27 「プロローグ」~第1部第2章を読んで、感想
 確か、3回程読んでいるが、あまり頭に残っていなかったようで、新鮮な驚きがあった。特に人類史を余剰作物から捉える好例としてポリネシアを見るのは驚いた。他方、私は、ミクロネシアのポナペ島に大学生のゼミ旅行で訪れたことがあり、その体験と照らし合わせることが出来、楽しかった。学生の皆さんがどのような感想を書いてくるか、意見を書いてくるか、楽しみである。海外に行って現場を踏む面白さを知ってもらいたい。

問28 「プロローグ」~第1部第2章を読んで、最も疑問に思ったこと
 史料の少なさによって、この説明は支えられている。また、学術的基礎として使っている「祖先種を研究できる遺伝学、分子生物学、生物地理学である。・・・(中略)・・・また、言語学、世界の大陸と大型の島々を研究対象とする文化人類学、そして技術史、文字史、政治史などの多彩な歴史研究がある。」36頁2-7行目が、変わった場合、どのような解釈が可能であるかが疑問に思う。同時に現在のジャレド氏の意見と同等レベルの対立意見を聞いてみたい。この点を最も疑問に考えるのは、ジャレド氏の日本に記述した部分に誤りが多いことが引っ掛かっているからである。

問29 「プロローグ」~第1部第2章を読んで、最も学べた所
 実地調査の経験は重く、第2章冒頭のマオリ族とモリオリ族の対立の箇所は最も学べた。特に、現在の世界では国民国家が成立し、一国家一制度、多様な文化や宗教はあるが一国民が前提になっている。日本では、一国家制度が定着しているような美しき誤解がそれをさらに助長しているように感じている。そうすると、民族は必然的に国家や連邦制の下の自治区など政治単位を持つように考えられがちである。ここから民族と環境の必然的な結びつきである。文化相対主義者の中に、環境によって民族が決定するという考え方もある。例えば和辻哲郎の『風土』。しかし、ジャレド氏のマオリ族とモリオリ族の箇所を読めば、環境と共に余剰作物や家畜なども大きな要素であることが理解できる。この点が最も学べた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

    名前:高木健治郎

書いたもの(平成29年度)
哲学(平成28年度)
科学技術者の倫理(平成28年度)
書いたもの(平成28年)
科学技術者の倫理(平成27年度)
哲学(平成27年度)
書いたもの(平成27年)
哲学(平成26年度)
「科学技術者の倫理(平成26年度)
講義録「哲学」
書いたもの(平成26年)
書いたもの(平成25年)
論文(高木健治郎の)
講義録「科学技術者の倫理」(平成25年度)
高木ゼミ『銃・病原菌・鉄』
高木ゼミ全6回『ぼくらの祖国』
教養講座6回分(平成24年度)   講義録21~
講義録「科学技術者の倫理」(平成24年度)     講義録1~15
最新記事
講義録「科学技術者の倫理」(平成23年度)
石上国語教室で行われた講演のレジュメです。哲学が足りなかったのが、福島原発事故の原因の1つではないか、と考えています。

「哲学のススメ2」レジュメ

最新コメント
カテゴリ