第4回高木ゼミプリント「英霊とは」2 主に質問

 引き続き講義内容を述べていきます。大分講義内容に加筆してあります。

 学生の皆さんからの質問に答える形、学生の皆さんと話しあった内容になります。

○財産の女系相続としての江戸時代の商家

 女性が高い地位をもっていた国の1つとして日本が挙げられますが、その1つの実例があります。財産権が女性に認められていたのは数少ない国が日本です。さらに、女性だけに財産相続が認められている業界もありました。それが江戸時代の商家です。現在まで続く、三井財閥や住友財閥などはその典型例です。

 クイズを出しました。

 「商家を子供5人の内、誰に財産を継がせますか? 商家は20人前後の使用人あり」

長男:できはそこそこ
長女:特に商業に関わらない。
次男:優秀
次女:特に商業に関わらない。
三男:遊び人(酒、女、賭博など)

 長男と次男が多かったです。また、東アジアの学生に聞くと圧倒的に長男が多かったです。正解は、長女です。これは現在でもビジネスの基本として通用するリスク管理の考え方です。

①次男が優秀とはいっても3人の中なので3分の1に過ぎません。使用人の中から最も優秀な人を選ぶ方が優秀な人が選べるのです。ですから優秀な人と長女を結婚させ財産を継がせます。

②実子の場合、親が死ぬと誰も止められなくなりますが、つまり年をとって女やギャンブル、骨董などに狂っても誰も止められなくなりますが、使用人の中からなら離婚すれば良いわけです。これは非常に大きなリスク管理の考え方です。

 つまり、女性が代々財産を受けついていき、男性側は優秀でなければ婚姻関係を維持できない、という風にだったのです。さらに江戸末期には商家の業界に浸透して「実子にはお金を貸さない。養子ならば貸す」という風になっており、その文章も残っています。他方、現在の日本人はどうしてか実子に執着して大きなリスクを抱えているように見受けられます。その他、色々な要素はあるでしょうが、結果として一説には日本には300年以上続く商家の80%以上がある、とも言われています。また、最も古い職人集団は法隆寺を修復する宮大工とも言われています。興味のある人は「西岡常一」さんで調べて見て下さい。

 こうした財産を男性に継がせることに拘らない思想は、武士社会にもあって、幕末期には優秀な弟子を娘婿にして家を継がせ、長男を家から出す、ということもちょくちょく行われました。しかも、優秀な弟子は武家に限らず人口の80%を占めていた農家からも募集したので、日本中から優秀な人間が日本を動かす人々になっていました。代表的な人物は、世界最大の都市江戸を戦火から救った勝海舟(父親から武家)、日本の危機的な外交を軟着陸させた川路聖謨(かわじ としあきら)などです。西郷隆盛や高杉晋作なども高い位の武士ではありませんでしたが優秀さゆえに日本の危機的な状況を救いました。高杉晋作は日本に香港のような島ができるのを最初に救ったのです。日本がヨーロッパの民主制度をすぐに取り入れられたのも、徳川吉宗が「足高(の)制」として優秀な人は1代に限り給料を高くして高い地位につけられるようにする制度を取り入れるなどがあったからです。インドをはじめ、支那、朝鮮では血統に基づく支配体制が打破出来ず、腐敗と無能さで国家が脅かされていたのでした。大日本帝国は再三に渡り改善を求めましたが結局叶わなかったのです。
 日本では優秀な人が活躍できる場所が提供されてきていたのです。そしてそのために、財産が女系で相続されるとしても、なんら問題はなかったのです。ヨーロッパのように「女性に財産は渡せない」という宗教に基づく考え方は弱かったのです。

 すると学生さんから質問が出ました。

 「でも、日本では女性は天皇になれないんでしょう?」

 鋭い質問です。答えは「女性は天皇になれます」です。古代に推古天皇など女性の天皇陛下は何人もいらっしゃいました。きちっと教育の中で「皇室の大切さ」を教えない弊害なのです。高木も学校できちっと教わりませんでした。不思議ですよね、日本人の象徴である、とされているのに「なぜ象徴なのか?」を教えないのですから。私は国家元首になられる立憲君主制を支持していますが、現在の体制でも「なぜ象徴なのか?」を教えないのは教育の本質として可笑しいと思います。ここにも敗戦の影があるのは言うまでもありません。
 さて、「女系による皇位継承」は行われてきていません。日本の皇室は平成25年で2673年目を迎えます。2673年も「男系による皇位継承」が行われた世界で唯一の国家なのです。2673年前はブッダが生まれ、古代ギリシャが反映した時代です。現在のギリシャの神殿は誰も拝むことなく廃墟になっています。しかし、日本ではずーっと現在まで続いているのです。「男系」とはお父さん、おじいさん、ひいおじいさん、と男性側で辿っていける、という意味です。ですから、「父系」とも言ったりします。ずっと辿っていくと神武天皇に辿りつくのです。それが125代続いてきました。世界中の他の国家で男系による相続で続いている次の国は精々、300年です。これを「万世一系」と言います。ですから、お父さんが天皇陛下であれば女性でも天皇になれるのです。
 
 「では、どうして女性宮家とかを騒いでいたのですか?」と質問を受けました。きちんと本質を理解してくれた質問で驚きます。

 まず、事実から行きましょう。12月中旬の衆議院選挙で陰に隠れてしまいましたが、「女性宮家創設問題」が取り上げられていました。パブリックコメントを12月の初頭までに求めていました。結果は26万7千の内、反対意見多数となりました。以下新聞記事です。日本経済新聞12月18日

「「女性宮家」に反対意見が多数 意見公募  2012/12/18 19:24
 政府は18日、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設を検討するとした論点整理について、パブリックコメント(意見公募)の結果を公表した。内訳は公表しなかったが、約26万7千件の多くを反対意見が占めた。次期首相に就任予定の自民党の安倍晋三総裁は反対の立場で、政府が年明けの通常国会で目指していた皇室典範改正案の提出は見送られる。
 政府は10月にまとめた論点整理に、女性宮家の創設を軸に検討を進める方針を明記。12月10日までの約2カ月間、国民から意見を募っていた。」

 本来は、女性宮家問題が出てきた時、女系天皇を誕生させましょう、というのも含まれていました。具体的に言うと、お父さんが天皇であれば女性でも天皇になれます。子供が生まれた場合、夫は一般の人でも良いのですから、子供の父親は皇室と関係ないことになります。そしてお母さん側=女系でつながった子供になります。この子供が天皇に即位しますと、2672年続いてきた伝統が失われてしまうことになるのです。これをやろう、というのが民主党の最初に出してきた女性宮家創設案でした。

 「ならば、女性差別にならないのですか?」と質問が続きました。

 「女性差別になりません」が正解です。よく考えてみてください。皇室に女性ならば入れるのです。男性は皇室に決して入れません。現在の美智子皇后陛下は一般人です。皇族ではありません。しかし、私のように生まれながらにして男性で一般人は決して皇室に入ることは出来ないのです。
 もう1点。血のつながりはなくとも男性だけで続いてきた最も長いのは、ローマ・カトリックの法王の地位です。フェミニズム誕生の地アメリカや、男女平等が五月蠅いほど言われるヨーロッパで「ローマカトリックの法王に女性をつけろ」ということはありません。「神父に女性を認めろ!」という論争はありますが。よき伝統というものは、そのような概念を超越したところにあるのを認めるのが智慧なのです。ただし、後代になって女性差別的な要素が入り込むこともある点には注意です。例えば、ブッダやイエス、ムハンマドなどの初期の言葉を聞くと「男女同等」あるいは「男女平等」として扱っているのに、教団が形成され社会の中で一定の利用価値を政治の側から求められるようになると、「男女不平等」な要素が強くなる、という感想を高木は個人的に持っています。

 もう1点、「女性宮家創設案」を求めるのは日本の伝統文化の破壊である、ことを知った上での行動である、からです。主導者は中華人民共和国です。共産主義の思想は「全員が平等と財産の共有」です。ですから、皇室や王制などには真っ向反対の立場をとっています。ですから、中国の周りの王制の国家、タイでは共産党の後押しによって国家は二分化され大規模なデモが起きました。そして国王の力は弱体化しました。ネパールでは共産主義勢力によって王政は廃止されてしまいました。2008年のことです。このように中国共産党は周辺国の皇室や王制を廃止しようとするのです。
 そのようにするとその国家の伝統が失われ、つまり「祖国」が失われ弱体化します。次にその国家を中華人民共和国に吸収するのです。チベットではダライラマが追放され現在でも敵視されています。宗教指導者という共産主義に反する(共産主義は宗教も禁止)チベット仏教の法王を追放し、中華人民共和国に吸収してしまいました。ウィグルも同様で、吸収した後核実験を繰り返したのは言うまでもありません。現在、尖閣諸島を吸収しようとし、沖縄を狙っています。「沖縄独立!」と言い立てて最後には吸収するのを狙っています。人民解放軍の声明でも「沖縄を中国に吸収するために情報操作やスパイ活動を日本に仕掛けていく」と述べています。
 例えば「オスプレイ配備反対運動」もその顕著な例です。オスプレイは他のヘリ、例えばアパッチなどよりも事故率は極めて低いのです。オスプレイよりも事故率が高いヘリは20種以上あります。しかし、事故を起こす確率を言わずに「オスプレイ反対」を言い立てるのです。「オスプレイ」は最新のヘリであり、中国の人民解放軍にとって脅威であるため、沖縄吸収しにくくなるため、マスコミ等を使って日本への心理作戦を行っているのです。
 「「事故を起こすから配備反対!」という単純な理屈がまかり通る裏に何かあるのかな?」に気が付けるようになってもらいたいです。
 「事故を起こすから配備反対!」というのなら、自動車、バス、電車、バイク、飛行機などなど全ての乗り物は乗ることができません。遊園地のジェットコースターさえ、そうなのです。問題はその事故率と利益を比較して「公衆の福利(安全、安心、利得など)」に叶うかどうかなのです。
 
 補足が大分入りましたが、中国に従う、韓国の言うことを何でも聞く、という民主党政権になって、中国の目指す案が沢山出てきた、という点を観れるようになって欲しいです。それが良いか悪いか、賛成か反対か、の前に国際関係の流れを踏また上で考えられるようになってほしいのです。

 良い意味でも悪い意味でも、アメリカと中国との関係をどうするか、は今後の日本を考えていく上で欠かせません。アメリカや中国の状況を無視して、日本だけの考え方だけで国際政治を捉えることは的外れです。中国は人民解放軍が外へ膨張しようとしており、アメリカは国内に戻ろうとしています。アメリカでシェールガスが見つかり、イラクなどに石油を取りに行く必然性が低下したのが拍車をかけるでしょう。中国は逆に、石油と食糧輸入国になり最も投資していた日本からの資金が逃げていくので、外へ膨張しないと国内の不満をそらせなくなるでしょう。そうした大きな流れがある、と高木は考えています。

 大分盛り上がったのでついつい時間を忘れてしましました。 ここまでで1時間15分くらいが過ぎてしまい、残りの時間で「最も説明の欲しかった一文は?」だけを全員で話し合いました。ほかに質問は?と聞くと

 「どうして、ぼくら、を青山さんは使ったのだろう」という本質を突く質問が出ました。

幾つもの答えの中で「ぼくら」の方がより身近だから、という答えがありました。まさにその通りだと考えます。それを『ぼくらの祖国』の文章で補いました。

 目次の前の前の頁に

「この本では、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字を自債に使っています。同じ言葉でも、この四種を場合によって使い分けます。
 わたしは、ひらがなを創(つく)り出したことから、ほんとうの日本語が始まったと考えています。・・・」

「ほんとうの日本語」が「本当の日本語」ではありません。敢えて「ほんとうの」とひらがなで書いています。青山さんは祖国の出発点の1つとしてひらがなを考えているのが分かります。ですから、『僕らの祖国』ではなく『ぼくらの祖国』なのでしょう。ご本人に確認していませんが。また、私は「ぼくら」の柔らかな表現が心にすーっと入ってくるのを感じます。青山さんは、単に知識を身につけてほしいのではなく(このブログはそうなってしまっていますが)、心の深いところへ届けたかったのではないでしょうか。そんな風に考えています。

 ここで一旦講義は終了しました。

 映画「千と千尋の神隠し」を、「どこから湯屋の国になったと思いますか?」という問いで見てもらいました。沢山の意見が出て、ハッとさせられる鋭い意見が出ました。とっても豊かな時間を過ごすことが出来ました。問いの答えと詳しい内容はいずれまた。

 
 
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