国語教室ゼミ録2 「拉致とは」

 ゼミ第1回目から2週間が経ちました。
その間、「ゼミに使えそうなものは・・・」と幾つもの気づきがありました。
ゼミを開催してくれた国語教室の諸先生方の高い意識と、受講してくれたゼミ生の真剣さが心を動かしてくれたからです。素晴らしい出逢いになったことを実感しながら第2回のゼミを迎えました。

第2回

日時:平成24年11月28日 午後6時30分から午後8時10分まで
人数:5名
紹介した本:藤原正彦『祖国とは国語』(新潮文庫版)、堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ』、横田早紀江『めぐみと私の35年』、根岸範子・前田初江『ラオスの民話』
配布プリント:「第2回プリント」、「講義余談「マクドナルドについて」以下URL
URL:http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-132.html

 まず、最初に配布プリントを、次に講義内容をザッと書いていきます。


平成24年11月28日
第2回高木ゼミプリント
   
 紅葉を迎え、北風が木の葉を払い除けるようになり、小雪をありありと感じる気候になっています。前回は4名と多く、意見や質問が沢山出ましたし、楽しいゼミになりました。テーマは「祖国」でした。まとめのレポートは次回第3回に提出して下さい。問いは以下の4問、A4サイズで手書きPC書き何れも可、それぞれ800字以上です。

-第1回レポート 「祖国とは?」-
問1 祖国に必要なものは何か? 
問2 祖国を必要とするものは何か?
問3 祖国とは何か?
問4 レポートをまとめての感想

 では、第2回に入ります。『ぼくらの祖国』 平壌の日の丸の章 でテーマは「拉致」です。何も読まないで以下の問いに答えて下さい。

問1 「拉致」の言葉のあなたのイメージは?

問2 「拉致」の言葉の意味は?

問3 「拉致」という言葉は日常会話の中で聞いたことがありますか? はい・いいえ

問4 現在も日本人の拉致を放置したままの国家はどこでしょうか?

問5 「拉致」と似たような言葉として思い浮かぶ言葉は? 5つくらい

問6 「拉致」と反対の言葉として思い浮かぶ言葉は? 5つくらい

問7 国家による「拉致」は何故起こるのでしょうか?

『ぼくらの祖国』 平壌の日の丸の章を読んで以下の問いに答えなさい。
問8 「拉致」のイメージは変わりましたか? はい・いいえ

問9 「拉致」を何との関連で筆者青山氏は述べていますか? [     ]

問10 「拉致」で問題になっているのは何だと青山氏は述べていますか?

問11 「拉致」を語ることで出来ることは何だと青山氏は述べていますか?

問12 「拉致」をこれまでのように見ないままにするのは何だと思いますか?

問13 北朝鮮による拉致問題を解決するためには、どのような具体的手段を取るべきであると青山氏は述べていますか?

問14 北朝鮮による拉致問題を解決するためには、どのような具体的手段を取るべきであるとあなたは考えますか?

問15 もしあなたの家族が「拉致」されたら見ないままにすると思いますか? 
はい・いいえ
理由を:

問16 もしあなたの家族が「拉致」されたらどのような行動を取ると思いますか?

問17 「誘拐」では世界中で多くの問題が日本国内でも論じられています。2つ簡潔に説明して下さい。(本に無い)




問18 最も印象に残った一文を書いて下さい。

問20 最も説明のほしい一文を書いて下さい。

問21 感想 
「拉致」被害者の言葉を本で聞いてみましょう。
『めぐみと私の35年』 横田 早紀江(よこた さきえ) 新潮社 2012年8月31日出版
静岡市図書館7館中5館にあります(平成24年11月28日午後2時半現在)。1260円

問22 拉致被害者の声を聞いた感想を書いて下さい。

問23 「拉致」について横田さんはどのようであるべきと述べていますか?

問24 問23を受けてあなたはどのようにあるべきと考えますか?

問26(25) 横田さんと青山氏の著書を比べて最も心に残ったのは何ですか?

問27(26) 2冊の本を読んだ後、あなたの「拉致」はどのようなイメージになりましたか?

問28(27) これまでの問をもう1度読み返し、感想を書いて下さい。

次回第3回の予習として動画を見ておいて下さい。
Youtube: “高台に逃げて” 命の呼びかけ 南三陸町一万の命を救った一人の女性
http://www.youtube.com/watch?v=IBUWQVrbdn4&feature=BFa&list=PL71386818F6712129



 ○講義内容

 まず、「こんにちわ(は:ですが、特殊な意味を込めて)」の挨拶から始まりました。が、私が緊張していて間違えたので「ああ、すいません、こんばんわでした」と訂正しました。自主的に希望される学生さんが1名参加されたので自己紹介を全員してもらいました。前回より簡単でしたが、初参加の学生さんは名前をすぐに憶えてくれました。今回は自主的な発表回数は少なかったですが、学生同士の意見交換を求めましたので、そこで十分な意見交換があり、最後に求めた全体の感想でも「他の人の意見を聞けて良かった」という発言が多かったです。

 学生同士の意見交換、というのは第1回のプリントに「問20 最も説明のほしい一文を書きなさい」についての回答を他の学生全員に求めたのです。ですから、1名の学生が発表すると他の3名(1名は初参加でしたので予習なし)が回答し、次の学生が発表すると残りの3名が答える、としました。鋭い意見や的確な発表があり、行ってみてよかったです。必要な所は多少補足しました。

①そのようにして、第1回ゼミプリントの記入分を全員で共有しました。また、高木の内容は時間の関係でこのブログにアップしておくことを伝えました。

 共有してきた際に出てきたのは、「祖国」のあり方、についてでした。「祖国」のイメージや扱われ方に気づきが多く出てきて、祖国の大切さを述べる意見も多く出ました。ただ、「問22~28までの『「祖国」という言葉を、他の本でも探してみましょう。』」では、1名の学生が藤原正彦先生の御著書(『祖国とは国語』とは異なる)を読んで書いてきましたが、1名は途中まで、1名は見当たらない、1名はプリントそのものを忘れ、という状態でした。この点は残念でしたが、事前に諸先生にお聞きしていた通りでしたので、今後教えていきたいと思います。ちなみに第2回プリントでは本を『めぐみと私の35年』に指定しています。

 共有していく際に最も高木の印象に残ったのは、21Pの以下の文章に説明がほしい、と示された時でした。本文を引用します。

「琉球大学に学んでいたひとりの青年が生き方を一変させたのは、彼が自分の頭で考えたからだ。(改行)
 自分の頭で考えたとき、その自分のためだけに生きているのでは救われないと気づくのはなぜか。(改行)
 そこに祖国が立ち現(あらわ)れる。(改行)」

 2文目と3文目に省略があり、意味がとりずらい、と呈(てい)されました。ここでは補足を入れました。
わざわざ(改行)があることで、意味の省略があることを占めている。その意味の省略は前文にある。敢えて省略することで頭の中に前文が入っていないと意味が通じないようにしてあり、分からない場合は前文を読み直すことを求めるようになっている。と高木は考える。
 その前文とは、硫黄島で祖国にいるお祖父さんお祖母さん、女子供を1日でも生き延びて欲しい、と願って「死に場所に向かった1万数千名の日本人」が書いてあります。兵士の訓練をきちんと受けたのは1割ほど、残りは平均年齢30歳を超える、魚屋さん、八百屋さん、学校の先生などなど普通の人々でした。その日本人がいたから私たちはこうして生活出来ているのです。つまり、自分のためだけに生きなかった日本人がいたからこそ、私たち1人1人がこうして安全で安心で平和な生活が送れるのです。
 それは「死ぬ」という特別な行為だけでなく普段の行動でも同じです。
 2階でゼミをしていますが、窓の外の道路も「自分のためだけに生きる人々」ばかりだったら出来ていません。アフリカには大金持ちが沢山います。その人々が「お金は自分だけのものだ」と考えているから道路や信号や電気などのインフラが整わないのです。世界中の多くの国々で大金持ちがいます。けれども、インフラが整い、安全で安心で平和な状態ではないのです。日本には名声を求めない多くの日本人がいたからこそ、積み上げてきてくれたからこそ、現在の日本があるのです。
 そしてそのように生きる人々の心が、「祖国」なのです。そこに気が付いた人を指して青山さんは

 「 そこに祖国が立ち現(あらわ)れる。」

 と書いたのではないでしょうか。私もこうしてゼミを行っているのはお金「だけ」のためではなく、「祖国」に加わりたいからです。『祖国とは国語』の中で藤原先生は、

 「脳の9割は利害得失で占められるのは止む得ないとして、残りの1割の内容でスケールが決まる。」26P

 と書いています。生存のために9割であったとしても残りの1割の時間を使いたいのです。
 以上が最も心に残った個所でした。

②次は、ちょっと頭をリラックスさせるために、私の個人的なアルバムを持ってきて、20歳の頃の写真を見てもらいました。前回、髪の毛の色を染めたんですよ~と話したら、見たい~と言われたので、成人式で頭髪がすべて紫の写真を見てもらいました。「うわ~」などの声があがりました。また、すべて緑の時も見てもらい、「日本人には緑の頭髪がよく似合う」という自論を聞いてもらいました。

③次は、『ルポ 貧困大国アメリカ』65-66Pを読み上げながら実際に文章を見てもらい、前回のアメリカの救急車が高額、手術代が高額などの裏を取ってもらいました。日本では盲腸の手術6万円(~30万弱)ですが、NYでは243万円するのです。ゼミでは思いつくことをその場でポンポン言った後、出典を示したいと考えています。この態度は大学の勉強で重要ですし、人生の中でも大切です。例えば現在、日本では衆議院議員選挙が開始されようとしていますが、投票を決める時にもっとも大切な態度の1つだと考えています。

④次は、「講義余談「マクドナルドについて」URL:http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-132.html
 についてでした。本文内容は殆ど触れませんでしたが重要な点「自分で食べるものを理性的に判断しないのはダメだ、という主張をマックを食べて死ぬ直前までいった人が言っている(3人の医者からドクターストップが掛かったけれど続行した)」、つまり、「公平」な点について触れました。逆に「マックを食べて死にそうになったからマックダメ」と主張していたら採用しません。なぜなら、「不公平」だからです。

⑤次は、「ラオスの民話」です。『ラオスの民話』 根岸範子・前田初江 黒潮社を読み上げ聞いてもらい感想を言い合いました。「なぜ死ぬか?」は数多くの民話で触れられています。日本では『古事記』で、ここが「千と千尋の神隠し」と同じです、また『聖書』でもあります。ラオスの民話では30歳まで人間の寿命、50歳まで水牛からもらった寿命なので働き通し、70歳まで犬からもらったので家にいて財産を守る、90歳まではサルからもらったので、しわくちゃになり腰が曲がり、時々サルのようにおどけて人を笑わせる、というのです。

⑥最後に第2回プリントを宿題にしました。説明をし、第1回のレポートと動画を見てくることを伝えました。2週間でこれくらいの宿題量が出来ないのならば、時間の使い方をもっと上手にすることを考えて欲しい、と次回伝えるつもりです。期末テストなどと重なるようですが、大人になればそういうことも言っていられません。まだまだ高校生ですが大人並みの時間の使い方をしている学生さんも沢山いることも伝えたいと思います。勉強そのもの以外にもこうした勉強を支える数々のことも伝えていきたいです。

 以上で第2回ゼミが終わりました。

 終始和やかな雰囲気で意見も交換でき楽しかった、と最後の感想にありました。私もとっても楽しかったです。心地よく疲れてしまい、早く床に就きました。


付記 次回は、『古事記』と『聖書』で「なぜ死ぬか」の部分の出典を示したいと思っています。また、時間の使い方で東大生の実際の行動を話したいと思います。
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