講義録21-1 中華人民共和国における反日デモについて
学生の皆さんに「反日デモについて具体的に聞いてみたいですか?」と問いかけると挙手があっ
たので、解説した内容です。2つ前の記事「尖閣諸島に対する反日デモの論点整理と検討」は論点のみ、以下は具体的な内容に踏み込みます。
☆1)反日デモの正体は、「反米デモ」+「反共産党デモ」
論点1で書いたように、反日デモの根本原因はアメリカの大統領選挙が、オバマ氏とロムニー氏で混戦となっていることです。オバマ氏は議会の協力を得られず、唯一大きな成果は、イラクからの米軍撤退の道筋をつけたことです。医療改革制度も不十分に終わってしまいました。それによって現在、現役大統領としては異例の苦戦をしています。失業率も10%をやや下がったくらい。当選には5%前後が必要といわれています。今年に入ってからアメリカはインドや台湾を含め世界中に5兆円以上の武器を売りました。現在のアメリカは、失業対策として武器を売る国になっていますし、それによって世界中に戦争の火種が広がるけれども、アメリカ国内の失業率、アメリカ国内の権力闘争の方を優先しています。こうした経済の流れは、対外的な軍事行動にも現れています。
日本国内ではある女性ジャーナリストの死によって不幸にも注目されたシリア(「ヨルダン」から訂正します。平成24年10月6日)の民間人大量虐殺ですが、既に3万人を超えています。アラブの春、と言われた運動は、リビアでカダフィを倒し、エジプトでムバラクを倒しましたが、ヨルダンでは平和的なデモに発砲が行われ内乱状態になっています。アメリカはオバマ大統領が選挙で勝つために、軍事行動に出ません。この流れが1年前から続いています。もちろん、シリア(「ヨルダン」から訂正します。平成24年10月6日)の背後には中国とロシアがいることは言うまでもありません。そしてリビアのアメリカ大使がアルカイーダによって殺害されてもアメリカは海外に軍事行動を起こしません。この流れを見て、中国は、これまでもベトナムやフィリピンと争ってきた南沙諸島に進出しようとしました。これに対してアメリカは「関係国で話し合って」と軍事行動をしない、というメッセージを出しました。そして次に、尖閣諸島に手をつけたのです。つまり、「これまでの流れ通り、尖閣諸島にも軍を出さないのか?」と問いかけたのが反日デモなのです。ですから、独裁国家中国で、デモが起こりうる訳です。中国では民主主義に基づくデモを起こせば、逮捕、監禁、殺害の対象となりました。ですから、今回の反日デモも、政府主導のデモであり、政治的なメッセージが込められているのです。NEWSWEEKにはデモが終わった後、デモ隊が投げ捨てたペットボトルが道路一面に散乱し警察官2人がゴミ箱をもって片付ける写真がありました。そのペットボトルがほぼ2種類の色なのです。これはデモ隊に中国政府が配給したことを予測させます。また、警察官が片付けるのは、清掃員ではなく、デモの計画、遂行、終結までを全て警察官が管理していることを意味するのではないでしょうか。日本で反中デモが起こった後、道路を汚せば、清掃員が、あるいは周りに住む住人が片付けるのですから。
そして先週、アメリカ軍のトップ、国防長官パネッタ氏が中国を訪れ、次のトップである習近平氏と中国軍のトップとそれぞれ会談しました。そこではっきり言ったと考えられるのは、「尖閣諸島に中国軍が出てくればアメリカは軍事行動を起こす」という言葉です。この予測は、その後、1000隻の中国の船が領海侵犯をせずに引き返したこと、その代わりに台湾の漁船が出てきたことに基づいています。さすがに1000隻がどこに言ったのか?と問われると格好がつかないので、関心を台湾にそらしたのでしょう。そして台湾の船を出すお金を出したのは中国経由ではないでしょうか。
この流れによって反米デモの要素は一応収束しました。もちろん、今後もアメリカ大統領選挙の行方次第で、情勢が変わります。
☆2)アメリカが尖閣諸島を守るのはアメリカの世界支配の野望のため
アメリカが尖閣諸島を守るのは、日本が好きだから、ではありません。アメリカが世界支配をするためです。アメリカとイラクの戦争時、日本からわざわざ2回も空中で燃料を入れてイラクに戦闘機を飛ばしました。トルコやサウジアラビアなど周りに幾らでも空港があるのにも関わらずです。話をする時に「どうしてだと思いますか?」とよく質問をします。
日本の整備員や部品の質が高いのでメンテナンス(点検保守)の質が高いからです。戦闘機は莫大なお金がかかります。F-15(色々タイプはありますが)で約50億円、パイロット養成に5億円以上、これに年間の維持費などが掛かってきます。戦闘機は戦闘よりも運転中の墜落の割合が多い場合もあるくらいメンテナンスは非常に重要です。ですから、日本からわざわざ高い燃料を払っても飛ばしました。つまり、イラク戦争でアメリカが得た軍事的な教訓の1つは、
「世界支配のためには日本の基地は手放せない」
ということです。フィリピンや大韓民国などでは米軍基地がどんどん縮小するのに、日本では殆ど縮小されず沖縄にある米軍基地の返還が問題になります。普天間基地は約650ha(650万㎡)で、沖縄県の約2万4千ha、日本全国約10万haの1%以下、というわずかに過ぎません。1%以下でも返還ではなく移転なのです。面積やグアムなどの移転が進まないのは、イラク戦争の軍事的な教訓が大きく作用しています。
3)アメリカに解決をお願いする場合のリスク
今回はアメリカに解決をお願いして収束に向かっていますが、過去の事例を見ると諸刃の剣であることがはっきりします。パネッタ国防長官が出てきて軍事行動を抑制したことによって、議論の場は国連や言葉だけの応酬になってきています。日本は、世界で唯一「自分たちをきちんと守れない」という憲法を持っています。これは2つの意味で恥ずかしいことです。というのも、自分で自分を守らない人という人間の尊厳、国家の尊厳に関わる意味です。もう1つは、アメリカが日本を弱体化させて二度と自分たちに歯向かわないように、と押し付けた意味です。その押し付けをズーっと守ってきたのです。私たちは国家間の問題が起これば、誰かに助けを求める、という態度を敗戦後ズーっと続けてきたのです。北方領土は戦争が終わった後ソ連に、殺人、強姦、略奪、強盗が行われながら奪われました。ソ連に拉致された人数が50万人以上、その内、病気などで働けない日本人が北朝鮮に送られて死にました。2万人以上です。この北朝鮮に送られた事実は、今行われている日本と北朝鮮との交渉の中で初めて明らかになりました。敗戦後60年以上を経て初めて分かったのです。さらに、北朝鮮は日本が独立した後も日本人が100人以上拉致し、現在も帰ってきていません。その北朝鮮に小泉首相は、5人を一時帰国せるために1兆円以上のお金を出しました。南朝鮮(大韓民国)には日本がアメリカ支配から回復するちょっと前に竹島をとられ、それまで漁業をしていた日本人を殺害されました。竹島は占領していたアメリカが日本にきちんと返還しなかったこと、返還を求めたけれども朝鮮戦争などで棚上げするように圧力をかけられたことがあります。樺太を含めた北方領土もアメリカが日本に返還する義務があると高木は考えています。北方領土での殺人、強姦、略奪、強盗の賠償もアメリカが日本にすべきではないでしょうか。なぜなら日本の主権を奪っていたのですから。
それでも、敗戦を受け止められない日本は、ズーっと国家間の問題が起こると誰かに頼ることを続けてきました。それが国家間の問題を起こした張本人であったとしても、です。北朝鮮による拉致被害は日本国政府は知っていたと聞いたことがあります。しかし、公式に認められたのはたった15年前、1997年に「拉致被害者を救う会」が出来ました。米ソ冷戦が終わって初めて、こうした情報が出てきたのです。それまでは、アメリカなどの野望がからめば従うだけだったのです。今後も日本人が自分でアメリカに解決をお願いする場合のリスクは、日本人の尊厳を失うこと、日本人が常に被害者になり続けることです。もちろん、利益もありました。
尖閣諸島を守る場合も、最終的にはアメリカがてきました。しかし、今回は東京都の尖閣諸島購入、それへの国民の寄付14億円以上という他国任せにしない行動が出てきました。紆余曲折ありましたが、大きな一歩だったと思います。
4)日本と中国が戦争したら、日本が完勝する
留学生によく質問をされました。この反日デモについて深く考えたのも東アジアの留学生に質問を受けたからです。しかし、戦争の当事国になるかもしれない日本人は話題にならないのです。人任せ、アメリカ任せ、政治家任せ、自分は考えたくもない、という訳です。以下は高木の考えです。
結論:日本が完全に勝利します。
理由1 空軍力が違う
現代の戦争は制空権を持った方が勝利します。空からの地上軍、物資などの輸送があり、また海でも潜水艦探知をするからです。制空権を握るのは戦闘機、世界最高の戦闘機はF-22でアメリカだけが保持しています。沖縄にも配備されています。これに次ぐ戦闘機はF-15改(色々あります)やF-16ですが、中国が持つミグなどとの実戦では0-36という戦績を残しています。イスラエル空軍がF-15が1機も落とされずミグを36機撃墜しているのです(1979年)。これに加えて先ほどのメンテナンスや武器の1つ1つの部品の質をあわせると、自衛隊のF-15は制空権を完全に確保するでしょう。東日本大震災で自衛隊の数が半分になった場合でも中国やソ連からの空域侵犯に対する備えは万全でした。これも1つの根拠です。
理由2 海軍力が違う
日本の新聞に「中国の潜水艦が出港した」と何気なく書いてあります。これは中国の潜水艦の動きを全てアメリカ軍と自衛隊が分かっている、という意味です。これより前に中国の潜水艦を探知できず米軍空母の側に寄られた、という失敗例もあります。ただ、日本の潜水艦部隊は世界で1番、2番目に優秀で中国海軍では一切、探知されません。戦闘行為になった場合、空軍よりもさらに差が付くかもしれません。そのくらい完勝するでしょう。ボクシングで相手のパンチが暗闇から飛んでくるようなものです。中国海軍は暗闇の中のリングのどこに自衛隊がいるかわからないのです。しかし、自衛隊は暗視ゴーグルで相手の動きが完璧に分かるのです。また、自衛隊の持つ最新鋭最強のイージス艦は中国の海に浮かぶいかなる船舶よりも強いのです。海上、海中の何れでも決定的な部分で自衛隊の方が上なのです。
理由3 豊かになった中国の弱点
先ほどの潜水艦を上海や天津などに数隻並べて中国籍の貨物船を沈めれば、中国経済は完全に停滞します。中国が農業だけに頼り貧しかった時代は中国国内だけで経済が回っていたので、ソ連やインド、ベトナムなどとも戦争が出来ましたが、冷戦崩壊で豊かになることを目指した中国は輸出入中心の経済になってしまいました。豊かになることで対外的な戦争がしにくくなったのです。この点は何故かTVやマスコミでも触れられない。リスク・トレードオフからすれば当然なことです。経済から見て中国は戦争を出来ないのです。
理由4 過去の日本軍の強さ
大東亜戦争において日本は、アメリカ、イギリス、オランダ、中華民国(現在の台湾)と戦いました。アメリカには敗れましたが、イギリス、オランダ、中国には勝っています。イギリス、オランダは母国がヨーロッパであり、母国での戦争に力を注いでいた面がありますが、中国は支那(China)大陸が母国です。人口も現在と同じく日本の10倍以上でしたが、他の3カ国と戦いながらも北の満州国から南京以降まで攻め込んで行きました。つまり、陸上戦で日本は10倍以上の中国軍と、他の3国と戦争をしていても勝った、というです。また、当時はアメリカが中華民国に対して武器や食料などの援助を行っていました。それもアメリカとの戦争の原因の1つです。他には欧米人の人種差別などがあります。現在の自衛隊は20万人を超えています。中国軍は200万人前後でしょう。日本は現在、他の3カ国とも戦争をしておらず、武器における優位を確保しています。アメリカとの同盟がなくても、日本は勝利しているのです。
この点について数々の分析がありますが、最も分かりやすいのは、
「中国共産党のために漢人(現在の中国人)は命を投げ出して戦闘をしない。戦闘になればパーッと逃げていってしまう。しかし、日本人は普段は戦争反対。口数も少なくもごもごして自己主張をしないが、いったん戦闘になれば命を投げ出す。つまり夜討などの特攻をするという違いがある。」
この点を3人ほど中国からの留学生に話が終わった後に聞いてみると「ああ、そうですよ、中国人はみんな逃げるよね」と回答してくれた。実にさらり、と返すので、逃げることが恥ずかしい、という意識のある私は、ちょっと驚いてしまった。同時に、納得した。また、この過去の日本人が戦争になれば強いという事例を知っているから、武士のいなくなった日本なのに、今でも世界中で「侍の国日本」とか「武士道」と言われるのでしょう。もう1つだけ決定的な事実を挙げます。
日本の国土を最初に外国の軍隊が侵略した時、日本軍には食糧が殆どなく、武器も全く不十分で、石油も軍事物資も殆どなかったのに、相手のアメリカ軍の死者が多かったのである。アメリカは海からボンボン砲撃をしたのですが、上陸戦では日本人が圧勝しました。その日本軍は平均年齢35歳で教師や魚屋だった民間人が9割の日本軍でした。対してアメリカ軍は軍人としての訓練を受け平均年齢25歳でした。日本人とアメリカ人、そもそも体格も優れていたアメリカ軍を相手にしても相手の死者が多かったのです。日本軍はこれだけ不利な状況でも圧倒的に強い、という歴史的事実を残しました。硫黄島です。
以上の理由から戦争にもしなれば日本が単独でも完勝すると考えています。
大体書いてきましたが、最後にNEWSWEEKの分析と同じく、「反日デモ=反共産党デモ」の視点から書いてみます。長くなったので次に。講義ではさらっと話したものが、大分、文字数が増えています。
たので、解説した内容です。2つ前の記事「尖閣諸島に対する反日デモの論点整理と検討」は論点のみ、以下は具体的な内容に踏み込みます。
☆1)反日デモの正体は、「反米デモ」+「反共産党デモ」
論点1で書いたように、反日デモの根本原因はアメリカの大統領選挙が、オバマ氏とロムニー氏で混戦となっていることです。オバマ氏は議会の協力を得られず、唯一大きな成果は、イラクからの米軍撤退の道筋をつけたことです。医療改革制度も不十分に終わってしまいました。それによって現在、現役大統領としては異例の苦戦をしています。失業率も10%をやや下がったくらい。当選には5%前後が必要といわれています。今年に入ってからアメリカはインドや台湾を含め世界中に5兆円以上の武器を売りました。現在のアメリカは、失業対策として武器を売る国になっていますし、それによって世界中に戦争の火種が広がるけれども、アメリカ国内の失業率、アメリカ国内の権力闘争の方を優先しています。こうした経済の流れは、対外的な軍事行動にも現れています。
日本国内ではある女性ジャーナリストの死によって不幸にも注目されたシリア(「ヨルダン」から訂正します。平成24年10月6日)の民間人大量虐殺ですが、既に3万人を超えています。アラブの春、と言われた運動は、リビアでカダフィを倒し、エジプトでムバラクを倒しましたが、ヨルダンでは平和的なデモに発砲が行われ内乱状態になっています。アメリカはオバマ大統領が選挙で勝つために、軍事行動に出ません。この流れが1年前から続いています。もちろん、シリア(「ヨルダン」から訂正します。平成24年10月6日)の背後には中国とロシアがいることは言うまでもありません。そしてリビアのアメリカ大使がアルカイーダによって殺害されてもアメリカは海外に軍事行動を起こしません。この流れを見て、中国は、これまでもベトナムやフィリピンと争ってきた南沙諸島に進出しようとしました。これに対してアメリカは「関係国で話し合って」と軍事行動をしない、というメッセージを出しました。そして次に、尖閣諸島に手をつけたのです。つまり、「これまでの流れ通り、尖閣諸島にも軍を出さないのか?」と問いかけたのが反日デモなのです。ですから、独裁国家中国で、デモが起こりうる訳です。中国では民主主義に基づくデモを起こせば、逮捕、監禁、殺害の対象となりました。ですから、今回の反日デモも、政府主導のデモであり、政治的なメッセージが込められているのです。NEWSWEEKにはデモが終わった後、デモ隊が投げ捨てたペットボトルが道路一面に散乱し警察官2人がゴミ箱をもって片付ける写真がありました。そのペットボトルがほぼ2種類の色なのです。これはデモ隊に中国政府が配給したことを予測させます。また、警察官が片付けるのは、清掃員ではなく、デモの計画、遂行、終結までを全て警察官が管理していることを意味するのではないでしょうか。日本で反中デモが起こった後、道路を汚せば、清掃員が、あるいは周りに住む住人が片付けるのですから。
そして先週、アメリカ軍のトップ、国防長官パネッタ氏が中国を訪れ、次のトップである習近平氏と中国軍のトップとそれぞれ会談しました。そこではっきり言ったと考えられるのは、「尖閣諸島に中国軍が出てくればアメリカは軍事行動を起こす」という言葉です。この予測は、その後、1000隻の中国の船が領海侵犯をせずに引き返したこと、その代わりに台湾の漁船が出てきたことに基づいています。さすがに1000隻がどこに言ったのか?と問われると格好がつかないので、関心を台湾にそらしたのでしょう。そして台湾の船を出すお金を出したのは中国経由ではないでしょうか。
この流れによって反米デモの要素は一応収束しました。もちろん、今後もアメリカ大統領選挙の行方次第で、情勢が変わります。
☆2)アメリカが尖閣諸島を守るのはアメリカの世界支配の野望のため
アメリカが尖閣諸島を守るのは、日本が好きだから、ではありません。アメリカが世界支配をするためです。アメリカとイラクの戦争時、日本からわざわざ2回も空中で燃料を入れてイラクに戦闘機を飛ばしました。トルコやサウジアラビアなど周りに幾らでも空港があるのにも関わらずです。話をする時に「どうしてだと思いますか?」とよく質問をします。
日本の整備員や部品の質が高いのでメンテナンス(点検保守)の質が高いからです。戦闘機は莫大なお金がかかります。F-15(色々タイプはありますが)で約50億円、パイロット養成に5億円以上、これに年間の維持費などが掛かってきます。戦闘機は戦闘よりも運転中の墜落の割合が多い場合もあるくらいメンテナンスは非常に重要です。ですから、日本からわざわざ高い燃料を払っても飛ばしました。つまり、イラク戦争でアメリカが得た軍事的な教訓の1つは、
「世界支配のためには日本の基地は手放せない」
ということです。フィリピンや大韓民国などでは米軍基地がどんどん縮小するのに、日本では殆ど縮小されず沖縄にある米軍基地の返還が問題になります。普天間基地は約650ha(650万㎡)で、沖縄県の約2万4千ha、日本全国約10万haの1%以下、というわずかに過ぎません。1%以下でも返還ではなく移転なのです。面積やグアムなどの移転が進まないのは、イラク戦争の軍事的な教訓が大きく作用しています。
3)アメリカに解決をお願いする場合のリスク
今回はアメリカに解決をお願いして収束に向かっていますが、過去の事例を見ると諸刃の剣であることがはっきりします。パネッタ国防長官が出てきて軍事行動を抑制したことによって、議論の場は国連や言葉だけの応酬になってきています。日本は、世界で唯一「自分たちをきちんと守れない」という憲法を持っています。これは2つの意味で恥ずかしいことです。というのも、自分で自分を守らない人という人間の尊厳、国家の尊厳に関わる意味です。もう1つは、アメリカが日本を弱体化させて二度と自分たちに歯向かわないように、と押し付けた意味です。その押し付けをズーっと守ってきたのです。私たちは国家間の問題が起これば、誰かに助けを求める、という態度を敗戦後ズーっと続けてきたのです。北方領土は戦争が終わった後ソ連に、殺人、強姦、略奪、強盗が行われながら奪われました。ソ連に拉致された人数が50万人以上、その内、病気などで働けない日本人が北朝鮮に送られて死にました。2万人以上です。この北朝鮮に送られた事実は、今行われている日本と北朝鮮との交渉の中で初めて明らかになりました。敗戦後60年以上を経て初めて分かったのです。さらに、北朝鮮は日本が独立した後も日本人が100人以上拉致し、現在も帰ってきていません。その北朝鮮に小泉首相は、5人を一時帰国せるために1兆円以上のお金を出しました。南朝鮮(大韓民国)には日本がアメリカ支配から回復するちょっと前に竹島をとられ、それまで漁業をしていた日本人を殺害されました。竹島は占領していたアメリカが日本にきちんと返還しなかったこと、返還を求めたけれども朝鮮戦争などで棚上げするように圧力をかけられたことがあります。樺太を含めた北方領土もアメリカが日本に返還する義務があると高木は考えています。北方領土での殺人、強姦、略奪、強盗の賠償もアメリカが日本にすべきではないでしょうか。なぜなら日本の主権を奪っていたのですから。
それでも、敗戦を受け止められない日本は、ズーっと国家間の問題が起こると誰かに頼ることを続けてきました。それが国家間の問題を起こした張本人であったとしても、です。北朝鮮による拉致被害は日本国政府は知っていたと聞いたことがあります。しかし、公式に認められたのはたった15年前、1997年に「拉致被害者を救う会」が出来ました。米ソ冷戦が終わって初めて、こうした情報が出てきたのです。それまでは、アメリカなどの野望がからめば従うだけだったのです。今後も日本人が自分でアメリカに解決をお願いする場合のリスクは、日本人の尊厳を失うこと、日本人が常に被害者になり続けることです。もちろん、利益もありました。
尖閣諸島を守る場合も、最終的にはアメリカがてきました。しかし、今回は東京都の尖閣諸島購入、それへの国民の寄付14億円以上という他国任せにしない行動が出てきました。紆余曲折ありましたが、大きな一歩だったと思います。
4)日本と中国が戦争したら、日本が完勝する
留学生によく質問をされました。この反日デモについて深く考えたのも東アジアの留学生に質問を受けたからです。しかし、戦争の当事国になるかもしれない日本人は話題にならないのです。人任せ、アメリカ任せ、政治家任せ、自分は考えたくもない、という訳です。以下は高木の考えです。
結論:日本が完全に勝利します。
理由1 空軍力が違う
現代の戦争は制空権を持った方が勝利します。空からの地上軍、物資などの輸送があり、また海でも潜水艦探知をするからです。制空権を握るのは戦闘機、世界最高の戦闘機はF-22でアメリカだけが保持しています。沖縄にも配備されています。これに次ぐ戦闘機はF-15改(色々あります)やF-16ですが、中国が持つミグなどとの実戦では0-36という戦績を残しています。イスラエル空軍がF-15が1機も落とされずミグを36機撃墜しているのです(1979年)。これに加えて先ほどのメンテナンスや武器の1つ1つの部品の質をあわせると、自衛隊のF-15は制空権を完全に確保するでしょう。東日本大震災で自衛隊の数が半分になった場合でも中国やソ連からの空域侵犯に対する備えは万全でした。これも1つの根拠です。
理由2 海軍力が違う
日本の新聞に「中国の潜水艦が出港した」と何気なく書いてあります。これは中国の潜水艦の動きを全てアメリカ軍と自衛隊が分かっている、という意味です。これより前に中国の潜水艦を探知できず米軍空母の側に寄られた、という失敗例もあります。ただ、日本の潜水艦部隊は世界で1番、2番目に優秀で中国海軍では一切、探知されません。戦闘行為になった場合、空軍よりもさらに差が付くかもしれません。そのくらい完勝するでしょう。ボクシングで相手のパンチが暗闇から飛んでくるようなものです。中国海軍は暗闇の中のリングのどこに自衛隊がいるかわからないのです。しかし、自衛隊は暗視ゴーグルで相手の動きが完璧に分かるのです。また、自衛隊の持つ最新鋭最強のイージス艦は中国の海に浮かぶいかなる船舶よりも強いのです。海上、海中の何れでも決定的な部分で自衛隊の方が上なのです。
理由3 豊かになった中国の弱点
先ほどの潜水艦を上海や天津などに数隻並べて中国籍の貨物船を沈めれば、中国経済は完全に停滞します。中国が農業だけに頼り貧しかった時代は中国国内だけで経済が回っていたので、ソ連やインド、ベトナムなどとも戦争が出来ましたが、冷戦崩壊で豊かになることを目指した中国は輸出入中心の経済になってしまいました。豊かになることで対外的な戦争がしにくくなったのです。この点は何故かTVやマスコミでも触れられない。リスク・トレードオフからすれば当然なことです。経済から見て中国は戦争を出来ないのです。
理由4 過去の日本軍の強さ
大東亜戦争において日本は、アメリカ、イギリス、オランダ、中華民国(現在の台湾)と戦いました。アメリカには敗れましたが、イギリス、オランダ、中国には勝っています。イギリス、オランダは母国がヨーロッパであり、母国での戦争に力を注いでいた面がありますが、中国は支那(China)大陸が母国です。人口も現在と同じく日本の10倍以上でしたが、他の3カ国と戦いながらも北の満州国から南京以降まで攻め込んで行きました。つまり、陸上戦で日本は10倍以上の中国軍と、他の3国と戦争をしていても勝った、というです。また、当時はアメリカが中華民国に対して武器や食料などの援助を行っていました。それもアメリカとの戦争の原因の1つです。他には欧米人の人種差別などがあります。現在の自衛隊は20万人を超えています。中国軍は200万人前後でしょう。日本は現在、他の3カ国とも戦争をしておらず、武器における優位を確保しています。アメリカとの同盟がなくても、日本は勝利しているのです。
この点について数々の分析がありますが、最も分かりやすいのは、
「中国共産党のために漢人(現在の中国人)は命を投げ出して戦闘をしない。戦闘になればパーッと逃げていってしまう。しかし、日本人は普段は戦争反対。口数も少なくもごもごして自己主張をしないが、いったん戦闘になれば命を投げ出す。つまり夜討などの特攻をするという違いがある。」
この点を3人ほど中国からの留学生に話が終わった後に聞いてみると「ああ、そうですよ、中国人はみんな逃げるよね」と回答してくれた。実にさらり、と返すので、逃げることが恥ずかしい、という意識のある私は、ちょっと驚いてしまった。同時に、納得した。また、この過去の日本人が戦争になれば強いという事例を知っているから、武士のいなくなった日本なのに、今でも世界中で「侍の国日本」とか「武士道」と言われるのでしょう。もう1つだけ決定的な事実を挙げます。
日本の国土を最初に外国の軍隊が侵略した時、日本軍には食糧が殆どなく、武器も全く不十分で、石油も軍事物資も殆どなかったのに、相手のアメリカ軍の死者が多かったのである。アメリカは海からボンボン砲撃をしたのですが、上陸戦では日本人が圧勝しました。その日本軍は平均年齢35歳で教師や魚屋だった民間人が9割の日本軍でした。対してアメリカ軍は軍人としての訓練を受け平均年齢25歳でした。日本人とアメリカ人、そもそも体格も優れていたアメリカ軍を相手にしても相手の死者が多かったのです。日本軍はこれだけ不利な状況でも圧倒的に強い、という歴史的事実を残しました。硫黄島です。
以上の理由から戦争にもしなれば日本が単独でも完勝すると考えています。
大体書いてきましたが、最後にNEWSWEEKの分析と同じく、「反日デモ=反共産党デモ」の視点から書いてみます。長くなったので次に。講義ではさらっと話したものが、大分、文字数が増えています。
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