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講義録13-1 自動車のリスクトレード・オフ と失敗の類型で福島原発事故を見る

 自動車をリスクトレード・オフで考えてみます。

 問1 自動車はリスクトレードオフ出来ますか? 

 全てのクラスで補足を行いました。講義録9-1から引用します。

①トレード・オフ :利益(ベネフィット)と損失(リスクや被害や費用)を比較して判断する

②リスクトレード・オフ :損失と損失を比較して判断する

③リスクヘッジ : どの場合でも出来るだけ損失を少なくなるように判断する

 この問題の場合は、「自動車があることによる損失」と「自動車が無いことの損失」の比較をして、ある損失の方が小さければ、リスクトレード・オフ出来る、となります。これは、自動車がある方が社会全体で損失が少ないことになります。ない場合の方が損失が小さければ、当然、自動車は無い方が良くなります。ただし、これまで述べてきたように、「損失」をどのようにまとめるか、どこまで損失とするか、は各判断でバラバラになります。この点が非常に難しく論争となる点であります。高木は自動車の利益と損益(リスク込み)を以下のようにしました。

利益:自動車は国内輸送の90%を担っている
   http://www.mlit.go.jp/k-toukei/16/handbook/004youran.2-2hyou.xls
   つまり、コンビニ、スーパー、電気、ガス、または遠隔地の介護等々が支えられている。

損益:死者1万人、負傷者100万人がほぼ確実に被害を受ける。石油消費や環境破壊(二酸化窒素など)。

 それでは、リスクトレード・オフで置き換えてみます。

 (高木の回答例)

自動車があることの損失は1万人、負傷者が100万人がほぼ確実に受ける損失である。他にも石油の消費や環境破壊などがある。
自動車がないことの損失は電気・ガス・水道・コンビニ・スーパーなどが完全に止まる損失がある。
私は止まると基本インフラが止まり、1万人以上の人が死亡すると考える。例えば、東日本大震災で復旧復興の中に、電気ガス水道やスーパーなどが基本インフラとして扱われた。
ゆえに、自動車がないことの損失が上回るのでリスクトレード・オフ出来る。

----追記 平成24年7月14日 講義録13-5 学生コメント集を書く前に----

「リスクトレード・オフできる」について4名の学生からコメントをもらいました。2名は「逆ではないか?」というコメントでした。講義録9-1の引用に加えて以下を追記します。

 安全とは、リスクが無い=リスクゼロではなく、懸念すべきリスクがないこと=許容可能なリスクであることを意味します。
 この懸念すべきリスクがないことを考えるためには、リスクの大きさを評価する必要が、逆説的に出てきます。リスクの大きさを評価し比較することで、より少ないリスクを選択出来るからです。選択によってリスクは小さくンなり、安全性が高まっていきます。安全性を高まる選択肢を取ることを、高木はリスクトレードオフ「できる」と表現しました。
 自動車があることによるリスク、自動車がないことのリスクとは極端な選択ですが、あることの選択肢を取ることを、高木はリスクトレードオフ「できる」と表現しました。説明は十分したつもりでしたが、不十分なことが判りましたので、追記します。

 ちなみに、リスクの評価は、「リスクオフセット(同じ対象と同じタイプ)、リスク代替(同じ対象と異なるタイプ)、リスク移転(異なる対象と同じタイプ)、リスク変換(異なる対象と異なるタイプ)の 4 種類に分類」されるそうです。
 岸本 充生「化学物質における経験から考えるリスクトレードオフ社会のガバナンス」 3.リスクトレードオフ評価とは
 :http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/tsuchimizu/27/tsuchimizu27_40.pdf

----追記終了です----

 次に、福島原発事故を整理してみます。

 問2 配布プリント1枚目(表)、表Ⅰ.3 シナリオの共通要素 で福島原発事故の原因と考える箇所に丸をつけなさい

 『失敗百選 : 41の原因から未来の失敗を予測する』15Pの表Ⅰ.3 シナリオの共通要素、という中尾先生の整理した失敗の要素を使って整理してみましょう。高木が異なる点は、要素を最終的に1つにしない点です。

 (高木の回答例)

・1 脆性(ぜいせい)破壊 
 :福島原発は事故が起こる「前」、最も作業員の被爆量が多い原発でした。ということは、材料そのものが経年劣化などによって、あるいは基本構造の欠陥が疑われます。福島原発と同じ型「マーク1」である浜岡原発1号機2号機が経年劣化対策などの総工費が膨大になってしまい、再稼動できなったのです。しかし、福島原発は福島県の知事選挙で原発停止の知事候補(現役知事)をやぶって原発推進派の知事が圧倒的多数で勝ちました。敗れた現役知事は、「東京電力によるトラブル隠しが発覚した後、原発停止に立場を変えました」、とした後、怪しい贈収賄事件で追い詰められ、判決理由も不可解と高木が考える理由で有罪とされました。贈収賄事件と判決理由についてはおいておくも、東京電力のトラブル隠しによって反対に回った知事が落選し、福島原発の継続が決定したことを覚えておいて欲しいのです。
 本日(7月9日)も、「鹿児島県知事選で原発擁護の現職候補が勝利」しました。原発反対の候補と一騎打ちとなり、ほぼ40万票と倍を取りました。投票率は約44%です。
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_474421
 この結果は、日本国民が原発再稼動を賛成している、という結果です。その結果を取るのは、もちろん、鹿児島県民であり、日本国民なのです。福島原発事故もその事故原因は東京電力や日本国にあるにせよ、選挙で原発推進の知事を選んだ福島県民、日本国民にもあるのです。高木は、一方的に東京電力や日本国政府、特に特定の政権や政治家だけを非難する態度には組み出来ません。話は長くなりましたが、このような理由から、脆性破壊があげられます。

・3 腐食
 :1と同じ理由から推測します。

・6 バランス不良
 :前に引用した「マーク1」の耐震不安の指摘がアメリカで80年代に問われてきた経緯からです。

・12 衝撃
 :津波か地震を指します。

・22 天災非難
 :この場合は、海水注入の遅れを指します。

・23 脆性構造
 :冷却系の不備、特に海水面に冷却系を置いたことです

・24 フィードバック系暴走
 :蒸気系の冷却装置の取り外しなどによる暴走を指します。

・28 フェイルセーフ不良
 :冷却系がやられた後の対策不備と原子炉外の予備電源の確保対策不備を指します。

・35 だまし運転
 :講義録14でやりますが、欠陥炉と判った後でも修正しなかったことです。アメリカと浜岡の例からです。

・36 コミュニケーション不足
 :根本的には原子力委員会や原子力安全委員会と原子力安全・保安院ですが、意思決定機関(官邸)や検査機関(電力会社)とのコミュニケーション不足を指します。

・37 安全装置解除
 :蒸気系の冷却装置などなどです。

・企画変更の不作為
 :「マーク1」が欠陥炉と分かってからも、企画変更が出来なかったのです。

 色々な回答がありました。

 次に、費用便益分析から観た「公共サービス」の特殊性です。
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