講義録12-2 アメリカ支配により固定化した日本組織

 もう1つの根本原因である、2)アメリカ支配により固定化した日本組織、について述べていきます。

 その典型例は、日本の独立記念日(アメリカからの主権回復記念日)が、4月28日なのですが、多くの人が知らずお祝いもせず、祝日でもありません。なぜ、敗戦を受け入れた8月15日を記念日にしているのでしょうか(日本国だけです)。そしてその日を「『終戦』記念日」と言います。敗戦を受け入れた日です。「終戦」はアメリカの立場から観た言葉です。4月28日はゴールデンウィーク中なのにお祝いをしないのでしょうか。おじいちゃん、おばあちゃんが敗戦の名誉から回復された尊い日です。

 タイトルの言葉通り、敗戦後の日本占領から米ソ冷戦に至る中で、利益を得て既得権益化してきた集団のことです。そうした集団が固定化して、新しい日本の可能性をつぶしているのです。何より重要なのは、それは日本人自身の問題である、という点です。1)米ソ冷戦構造については仕方なく従った、という部分もあるでしょう。
 例えば、国際連合は英語で「United Nations」であり、そのまま、第二次世界大戦の枢軸国(日本、ドイツ、イタリア)と戦った連合国(アメリカ、イギリス、ソ連など)です。ですから、戦勝国が作った組織なのです。それがそのまま国際連合となり、アメリカに支配されたりソ連に左右されながらずっと来たのです。敗戦国である日本に対しては「敵国条項」があり、仮想敵国とされ続けてきたのです。その仮想敵国がお金を沢山払ったので、「敵国では無いのと同じだ」という解釈も出てきました。しかし、きちんと敵国条項がありました。ここから分かるのは、日本は連合国の支配の下に入らざるを得なかった点です。そうしなければ、独立ではなく孤立になっていまうのは、現在国際連合が世界の国々の殆どをカバーしていることからも理解できる出そう。
 対して、2)アメリカ支配により固定化した日本組織、は完全に日本人の問題です。現在日本人が使用している日本国憲法は国際法上、完全に違反の憲法です。占領軍が占領国している国の憲法を作ってはならない、からです。しかし、独立後も日本人は触れてきませんでした。問題にするのは、憲法9条などの細かい問題ばかりで、根本原因を考えて対応してきませんでした。私自身、反省しています。他にも政治活動に参加しにくい、宗教をテロ集団(オウム心理教や他のカルト集団)で考える、自衛隊を日本国民軍にしない、などが実例です。他にも沢山例がありますが、原発に関わる点だけを見ていきましょう。2区分にします。

  アメリカ側             VS  ソ連側
・(アメリカの)原子力発電を推進     VS  原子力発電を反対
・日弁安保同盟賛成           VS  日米安保同盟反対=学生運動
・アメリカに言われて出来た自衛隊賛成  VS  自衛隊反対(憲法違反)
・自民党                VS  社会党(民主党の一部や社民党)や共産党

 この両側が既得権益になっている、という点を見逃さないで下さい。菅直人元首相や仙石元官房長官は、学生運動出身です。彼らが日本の政権を取った時、戦後初めての反米だけの政権(その前に村山元首相が誕生していました)が出てきて大いに警戒しました。菅元首相や仙石元官房長官が政権のトップに立って動揺したのは、自衛隊や警察など日本国の安全を守る人々も同じでした。学生運動は、東大紛争や浅間山山荘事件を引き起こし、警察内の組織で機動隊隊員を殺したり重軽傷を負わせたりしていたのです。有名な例は、この2人は「尖閣諸島中国漁船衝突事件」で日本の名誉を守る行為を行わず、中国に非常に有利な政治判断を下し、日本の司法の根幹を傷つけました。さらに、菅元総理や鳩山首相、さらに民主党全体で「北朝鮮拉致実行犯の子供(北朝鮮で教育を受けた)が日本で政治家に立候補するなどの時に資金援助を行った」のです。信じられないかもしれませんが、2億円以上です。当時の千石官房長官は後に訂正しましたが「自衛隊を暴力装置」と言いました。自衛隊があると、ソ連が日本を占領して支配する時に邪魔なので廃止しよう、というのが敗戦後の進歩的知識人という人々が唱えていました。これが良い悪い、ではなく米ソの冷戦構造が日本の中で既得権益になり、国会議員を数十名も抱えながら、時には100名以上、マスコミや言論界を支配していたのです。学生運動をした人々は、現在50過ぎから70歳ぐらいまでです。マスコミを始め大企業の幹部になる年代です。その象徴が、菅元首相であり仙石元官房長官です。

 他の例も触れておきます。日本共産党は結党当時からソ連から資金提供を受けており、ソ連崩壊後にその内部資料が出てきました。他にも少し古い話ですが、阪神淡路大震災の時に「自衛隊は帰れー!」と現在も現役の国会議員が反対をしました。北朝鮮のミサイル発射の時、沖縄で「自衛隊反対」という小さなデモが起きました。これらも全て米ソ冷戦構造の名残です。

 ですから、自民党側も民主党の一部や社民党、共産党側も、米ソ冷戦構造の中に組み込まれていた点では同じなのです。

 これらがそれぞれ既得権となり新しい日本再生をつぶしているのです。
 そして、最も大切な問題は、「日本の独自性が発揮できない」という点で技術発展が遅れ、さらには、事故対策も遅れる、という点です(念のため、このブログは政治的主張をしたいのではありませんので悪しからずご了解抱けると幸いです)

 結論を先に書きました。戻って続けましょう。
 ですから、アメリカと自民党側は原発推進、ソ連と社会党や共産党側は原発反対となりました。

 「なぜ、原発の話が嫌がられたか、タブー視されたのか、は冷戦構造に組み込まれたから」

 なのです。そして原発推進も原発反対も日本の独立を考えていない点で、もう古いのです。

 私は、福島原発事故後、浜岡原発停止を求める静岡市で初めてのデモ(呉服町の近くの青葉通り公園集合)に参加しました。すると、デモを主催した人がいきなり

 「皆さんは革命家です。ここにいる1人1人が革命家なのです」

 と言いました。赤ちゃんを抱える若いお母さんや夫婦は「ポカン~?」としていました。先ほどの構図で分かるように、ソ連は20年以上前に崩壊しているのに、今でも革命を信じて行動している人が、日本人の中にいるのです。青山繁晴氏の話では、「東大を現役で卒業した人は企業のトップになり、浪人で卒業した人は労働組合のトップになるというコースが決まっている」そうです。労働組合とは学生運動と似た所があり、ソ連側と強い結びつきがありました。ですから、アメリカ側もソ連側も既得権益化しているのです。現在も、民主党の支持母体の1つが労働組合で、民主党が北朝鮮関係に寄付をしたり貰ったりするのも、中国と近いのも冷戦構造の既得権益が残っているからなのです。
 こうした動きが(もちろん自民党側も含めて)、日本海側のメタンハイドレートの調査採掘を無視したり邪魔したり、地熱発電などを止めるなどの動きに間接的に関係しているのです。新しい動きは自分たちの既得権を脅かすことになるのでしょうか。

 さて、ここで先ほどの「革命」について軽く説明しておきます。

 ソ連中心の共産主義であるマルクス・レーニン主義では、通常の共産主義や社会主義とは全く異なる点があります。それは、

 「独裁制⇒共和制・民主制⇒必ず共産制」

 になる、という歴史法則がある、と主張している点です。独裁制から革命が起こり共和制や民主制になり、さらに革命が続いて共産制になるのです。それが歴史上必ず起こる、遅かれ早かれ起こる必ず起こる、つまり「歴史の法則」なのだそうです。これに対して理論上決定的な反論をしたのが、カール・ポパーで『歴史主義の貧困』という本があります。
 当時の学生運動を専門家ではない私が捉えている視点は、東京に出てきて寂しい学生たちが仲間とまとまりたいから学生運動をした、という視点です。ムラ社会が崩壊してその代わりの共同体を求めたら学校に学生が集まる運動があった。そして企業に入ると企業がムラ社会となった、と考えています。バレンタインデーなどが日本企業の中で文化になったのもその現れの1つだと考えます。学生運動ではだから、皆で歌ったり集まったりした訳です。一部の人は政党を作りましたが、殆どの人は企業のムラ社会に吸収されました。資本主義を否定するマルクス・レーニン主義からすると、それは根本的な裏切りに他なりません。しかし、団塊の世代、つまり50歳から70歳くらいの人々は、スッと学生運動を捨て企業の中に入っていきました。決定的なのは学生運動をしている時の自分と企業に就職した自分の分裂に苦しむ人が殆どいなかったのです。つまり、学生運動は、一部の過激派を除き、何かの目的として大きな行動を引き起こさずに、大学卒業時にはその理念をすっかり捨て去ってしまったのです。ですから、必ずしも全員が「共産主義革命」を信じていたわけではないと思います。

 ここで「公平さ」から見つめ直してみます。ソ連が崩壊して20年以上経って、今でも「革命」を語る人がいるのです。これは逆に

 「原発は絶対に日本のためになる」

 と米ソ冷戦が崩壊して20年以上経っても信じている人がいることを予想させます。日本国民が感じている原発に対する根源的な不安の1つは、この20年以上前に終わったことを未だに見直さない無反省さなのかもしれません。

 そしてこれは原発だけではありません。現在、官僚の「天下り」が問題になってマスコミで騒がれています。しかし、「天下り」は民間企業や大学界で普通にあります。大手の企業に入社した人全員が取締役や社長になれる訳ではありません。そういう人々は、徐々に子会社の社長や取締役や理事などになっていきます。これが天下りではなくて何でしょうか。大学界では東京大学出身者で大学の教授職が半分以上という大学は沢山あります。同じく京都大学や大阪大学もあります。これは「東京大学の植民地」と陰で言われたりします。東京大学出身で研究者を目指するのだけれど、同期の中でなれる人は限られているので、なれない人はその下の大学の教員になるのです。つまり、大学教員の「天下り」です。私は有名大学の出身ではありませんから、回りの何人かの先生にこの現実を教えて頂きました。もちろん、この壁を突破して教員になる人もある一定数います。しかし、全体の構図としては有名大学があり、そこで常勤になれない人は、地方などの別の大学の教員のポストが回ってくるのです。これも「天下り」です。あるいは、その大学出身者でなければ先生になるのは不可能である、と言われる大学も何校か聞いたことがあります。
 このように、官僚だけではなく民間企業から大学界まで、敗戦後の既得権益化が隅々まで行き渡っているのです。近年ノーベル賞を取る日本人はアメリカで研究している人が多くいます。この既得権益が、創造性の芽を摘んでいるのかもしれません。詳しく述べるスペースがないので、参考例だけを挙げておきます。そうした中で、日本独自の技術で世界史に残る業績を挙げた「はやぶさ」のプロジェクト、特にマネジメントや加点方式による評価などは見習うべき点ではないでしょうか。そしてこの講義録で何より見習いたいのは、

 「アメリカの影響力を脱して、日本の独自でやり遂げた点」

 です。巨大なアメリカとの関係の取り方に、深い知性があると高木は考えます。未だにアメリカの支配下にあり、既得権益で固定化している日本全体の希望があります。


 最後に希望を書いて終わりにします。

 実は、米ソ冷戦構造は20年前以上に終わりましたが、アメリカの絶対的な支配も終わりを迎えようとしています。理由は幾つかあります。

①9.11テロ 
 :9.11テロでアメリカは軍隊を本土に呼び寄せようと再編計画を進めています。中国が尖閣諸島にちょっかいを出してきたのもアメリカが本土に引こうとしたからです。つまり、アメリカは軍事力を含めた世界支配を縮小させようとしています。ですから、日本が独立するチャンスなのです。

②アメリカの実質的敗戦
 :イラクやパキスタンに10年でアメリカは約400兆円の臨時のお金を使いました。1人当たり120万円です。4人家族なら約500万円の臨時のお金です。アメリカは借金だらけになり、国力が低下しました。それによって物を買ってくれる中国に下手に出ています。ですから、日本はその隙を観て独立するチャンスが来ています。

③EUの崩壊は西欧の没落
 :サブプライムローンの後、数年経ってもヨーロッパの国々は自分たちで問題を処理できませんでした。さらに、スペインでは旧植民地に人口も資金も初めて流出が多くなりました。もはや、「先進国と後進国(途上国)」の区分けが終わりを迎えつつあります。西欧社会の一員だったので先進国と言われていた国々は、没落を迎えています。世界で最も対外資産があり、しかもその運用した利益を受け取っているのは日本なのです。この資産を有効に使えば、日本以外の国々に対抗するすべはありません。ただし、私たちがそのような政治家を支え、選挙で選ぶかが問題ですが。もちろん、既存の政治家の中にも素晴らしい人は何人もいます。

④日本は世界トップの原発企業を持っている
 :アメリカの新規原発受注をしたのは東芝でした。日本は自前で安全基準を作れ、現在の行われている検査を始め、福島原発事故による汚染水や最終処分の技術も有しているのです。フランスやアメリカに頼ることなく自前で出来るでしょう。

 このように、米ソ冷戦が終わり、アメリカの支配も弱まっていっています。そこで次に出てくるのが、日本人自身の問題、特に、とても難しい、組織の問題です。人災の原因と言われている「原子力ムラ」をどのように考えるか、という問題です。この問題は現在も考え中です。

 この講義では「技術と社会背景から観た原子力発電と福島原発事故」を観てきました。最後に希望が述べられて良かったです。
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