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講義録11-6 日本海側のメタンハイドレート

 最後に、日本海側のメタンハイドレート(天然ガス)についてです。

 配布プリント2枚目(裏)
 :「新潟県上越市沖の海底に露出した熱分解起源メタンハイドレートを確認、採取に成功」2006/2/28 (画像は転載していません) 発表者 松本 良(地球惑星科学専攻 教授)
 http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2006/03.html

 を事実としました。要点だけを以下に意訳して書きます。

・新潟県上越沖で天然ガス(メタンハイドレート:メタンガスと水分子の結合した物質)を採取した

・メタンガスが海中から出てきて、地球温暖化に影響を与えている。
 :メタンの温室効果は二酸化炭素よりも数十倍大きい(関係ないとの説もあり)

・メタンハイドレートは研究段階であるが、石油に代わるエネルギーと世界中で認識されている

・太平洋側(南海トラフ)では海底の下に埋まっているが、日本海側は海底に出てきている

・熱分解起源のメタンは、有機物(動物や植物など)起源のメタンよりも多いと予想される

 このように有望である石油に代わるエネルギー源が日本にあることが発見されている。現在、日本は大量の石油や天然ガスを輸入しているので、値段を吊り上げられて結果的に高く買わされている。これは日本国の貿易全体にも影響を与えていると新聞などで報じられる程の問題である。
 であるから、日本国の領土内に存在する莫大なエネルギーを採掘する必要がある。日本国政府は、海底の下に埋まっている太平洋側と共に、海底の上に浮かんでいる日本海側にも着手する必要がある、と高木は考える。
 同時に、九電力会社は合同で新規で安価、しかも国内にあるというリスクの少ない新エネルギー源へと研究費を投資すべき、と考える。

 余談になるが、20年前、東京のある理系の大学にいた高木の耳にも、メタンハイドレートは入ってきた。どうして日本独自の、しかも安価でリスクの低い新エネルギー源を採掘しないのか、不思議であった。この講義を通して調べることが出来、長年の疑問に答えが見つかって嬉しい。
 次の講義録12に、その答えを書きたい。

 大分長くなりました。ご拝読に感謝いたします。有り難う御座います。



 以下、松本先生の発表の全文引用となります(コピペそのままです)。

2006/2/28
新潟県上越市沖の海底に露出した熱分解起源メタンハイドレートを確認、採取に成功
発表者
松本 良(地球惑星科学専攻 教授)

海底に露出するメタンハイドレート(JAMSTEC ROV/ドルフィンで撮影)

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概要
海底下数kmの深部ガスに由来する「熱分解起源のメタン(注1)」からなる「メタンハイドレート(注2)」が水深約900 mの海底に広く分布することを無人潜水艇で確認し、試料の回収に成功。同時に、海底から湧出するメタンガスの気泡が海洋中層(~500 m付近)を浮上する様子を映像で捉えることに成功。

東京大学はプロジェクトリーダーとして計画を統括し、調査海域を特定、西太平洋域で最初の海底に露出するメタンハイドレートを発見した。ハイドレートや堆積物の化学分析・同位体分析を行い、過去に現在より遥かに大きなメタンの噴出があった事を示した。


図1:新潟県上越市沖のメタン湧出域

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図2:エコーサウンダー(魚群探知機)が捉えたメタンプルーム(気泡の柱)

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図3:熱分解起源のメタンハイドレート(上越市沖海鷹海脚で回収)δ13C=-40‰

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メタンハイドレート:水が作る籠構造の中にメタン分子を取り込む

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ハイパードルフィン

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解説
背景と経緯
メタンハイドレートとはメタンガスと水からなる固体物質で、海底下数100mの堆積物中に広く分布していることが分かっている。メタンハイドレートはその中に大量のメタンを蓄えており、石油や天然ガスなどの在来型エネルギー資源に代わる新しいエネルギー資源として注目されており、我が国をはじめ多くの国で探査計画が進んでいるが、メタンハイドレート鉱床が発達するための地質条件については殆ど分かっていない。一方、メタンハイドレートは温度や圧力の変化で容易に分解し大量のメタンを周囲に放出するため、長期的かつ劇的な地球環境の変動要因としての可能性も指摘されているが、そのメカニズムや影響を及ぼす範囲は分かっていない。

調査・研究の目的と概要
日本海東縁、上越市沖の海底900~1,000mの小さな高まり“海鷹海脚(仮称)”上には比高数10mの丘やポックマーク(注3)と呼ばれる巨大な窪地が発達し、海底からのガスの噴出を予想させる。私たち東京大学の研究グループは、2004年と2005年の夏、東京海洋大学、独立総合研究所、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構、東京家政学院大学などと共同で、研究調査船による調査を行い、ピストンコア(注4)やグラブによる海底堆積物の採取、CTD/ロゼッタ採水器(注5)による深層~表層海水の観測と採取、エコーサウンダー(計量魚探)(注6)による海水中の気泡のイメージング、さらに無人潜水艇ハイパードルフィン(注7)による海底の観察とサンプル採取を行なった。その結果、(1)海底から放出された大量のメタンによるガスの柱(メタンプルーム)の映像化に成功、(2)日本近海-東アジア周辺の海域で初めて、海底に露出するメタンハイドレートを発見、回収に成功し、これらが海底下数kmの深部に由来する熱分解起源ガスである事を炭素同位体比から明らかにし、(3)ハイカブリニナ類(巻貝類)やハナシガイ類(二枚貝類)など、化学合成生物群集(注8)に特異的に出現する貝類の生息を確認した。さらに、(4)付近の海水のメタン濃度が通常の数10~数1000倍と高いこと、(5)水温の低い海底では、海底に湧出するメタンが表層水塊にまで有効に運ばれていること、(6)微化石の分析から、約2万年~2万5千年前に現在よりはるかに規模の大きなメタン湧出があったことを明らかにした。

研究の意義
南海トラフなど、海洋のメタンハイドレートの多くは海底下数100mに分布しており、上越市沖のように海底にまで露出する例は極めて珍しい。海洋のメタンハイドレートは微生物分解起源の浅所メタンからなる例が一般的であり、今回確認したように熱分解起源メタンハイドレートは少ない。熱分解起源ガスは地球深部に大量に腑存していると予想され、熱分解メタンハイドレートの発見によりメタンハイドレートの資源ポテンシャルが高まったといえる。一方、海底から湧出したメタンが表層水塊付近にまで達しているという事は、海底メタン湧水が地球温暖化に影響を与えている事を意味する。海底地形や堆積物中に残された同位体記録から、最終氷期の頃に、現在よりはるかに規模の大きなメタン湧出があったことも明らかになった。メタンとメタンハイドレートが氷期−間氷期の日本海の海洋環境と気候変動に大きな影響を与えていた可能性を指摘できる。

今後の課題と計画
研究のきっかけとなった巨大ポックマークの成因と生成時期はいまだ解明されていないが、過去数万年以内に海底崩壊を引き起こすような大規模なメタンの噴出があった可能性がある。今後は、調査海域に賦存する全メタンハイドレート量の見積もりおよび過去におけるメタンハイドレートの生成分解の規模とタイミングを明らかにすることが課題である。本年7月には3回目のピストンコアリング、9月には2回目のROVハイパードルフィンによる調査を行う予定である。

共同研究体
東京大学、海洋研究開発機構、東京海洋大学、独立総合研究所、産業技術総合研究所、東京海洋大学

用語解説
熱分解起源メタン/微生物分解起源ガス:有機物は地層中で分解してガスを生産する。海底から~数100 mより浅い地層中では微生物による分解が、深部の高温環境では非生物的に分解する。量的には熱分解ガスの方が多いと予想される。↑メタンハイドレート:水分子とメタンガス分子からなる固体の物質。温度が低く圧力の高い場所で安定に存在するため深海堆積物中や永久凍土域に分布する。新しいエネルギー源として期待される一方、地球環境の劇的な変動要因としても注目される。(参考リンク:メタンハイドレートと地球環境)↑ポックマーク:海底のすり鉢型の窪地。海底からのメタンの噴き出しによって形成されるとの説が有力である。上越市沖のものでは直径500 mにも及ぶ。↑ピストンコアラ:ステンレス製のチューブ。海底に打ち込んで底泥を採取する。↑CTD/ロゼッタ採水器:船上のウインチなどでつり下げて海底付近から海面までの塩分、温度、水深などを測定する装置。海水を採取するための蓋付き塩化ビニル製のチューブ。↑エコーサウンダー(魚群探知機):海水中に一定の周波数の音を発射し跳ね返ってくる音から、魚群の有無を調べる探査装置。海水中の気泡群の探査にも利用される。↑ハイパードルフィン:海洋研究開発機構の無人潜水調査船。ハイビジョンカメラ、マニピュレーター、様々な観測機器を搭載し、海底の観察と試料の採取を行う。↑化学合成生物群集:光合成に頼らず、メタンや硫化水素などから栄養分(有機物)を合成する化学合成細菌を共生・利用することによって深海底熱水・冷水湧出部に群落を形成する生物群集。二枚貝類やハオリムシ類のように鰓に化学合成細菌を共生させてエネルギーを得るものや、ユノハナガニのように細菌(バクテリアマット)を捕食しているものなどがいる。↑

 
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