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講義録11-4 大飯原発再稼働の安全基準の構造的問題

 大飯原発再稼働の安全基準の構造的問題を、肯定側の資料から観ていきましょう。

 配布プリント1枚目(裏)
 :原子力安全・保安院 「ストレステストの進捗状況(発電用原子炉)」H24.6.18    「添付 :東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所(3号機)の安全性に関する総合評価(一次評価)に係る報告書(概要)(PDF形式:1,116KB)」の全て。「添付資料1-1」と「添付資料1-2」である。
 http://www.meti.go.jp/press/2011/10/20111028006/20111028006-2.pdf

 なにやら長い文章で読むのが嫌になりますが、この文に「安全基準の構造的問題」が現れています。

 これまで引用してきた資料です。この資料の最初に「1.はじめに(ストレステスト導入の経緯)」があります。その最後の2行を引用してみます。

「それ(前行より:国民・住民に十分な理解が得られていないので、新たな手続き、ルールで安全評価を実施すること)を受け、原子力安全・保安院は、平成23年7月22日に電力事業者に対し、福島第一原子力発電所事故を踏まえた、安全性に関する総合評価(ストレステスト)の指示を出しました。」

 上の資料名と、資料の中身で共通するのは、「関西電力が計画、検査、データをまとめ、報告した」という点です。そしてその報告を「審査」するのが、原子力安全・保安院、であり、原子力委員会であり原子力安全委員会である、という点です。以下の「経済産業省:ストレステストの進捗状況(発電用原子炉)」
:http://www.nisa.meti.go.jp/stresstest/stresstest.html

 を見て下さい。

事業者 発電所(号機)    一次評価 報告年月日 保安院 評価終了年月日 原子力安全委員会への報告年月日 原子力安全委員会 確認終了年月日

関西電力㈱ 大飯発電所(3号機)平成23年10月28日 平成24年2月13日     平成24年2月13日
     平成24年3月23日

 「関西電力が計画、検査、データをまとめ、報告した」のを報告、評価するだけなのです。

 バスの運転手に例えましょう。

 事故が起こったバスの「安全はどうやったら出来るか(計画)」をバスの運転手さんが、考えます。

 事故が起こったバスの「どこを検査するか」をバスの運転手さんが、考えます。

 事故が起こったバスの「検査結果をまとめる」のをバスの運転手さんが、行います。

 事故が起こったバスの「検査結果報告をする」のをバスの運転手さんが、行います。

 一般社会では、バスを作った会社が事故が起こったバスを検査して、報告するのではないでしょうか? あるいは、その修理が終わったバスを実際に検査するのは、運輸省でないでしょうか?

 運輸省や自動車製造企業がチェックをしても、製造物の欠陥は中々無くなりません。それなのに、原子力発電だけは、運転手さんが行うのです。これが原発の構造的な問題なのです。

 では、肯定側の資料で具体的に見ていきましょう。

ア)配布プリント1枚目(裏)
 :原子力安全・保安院 「ストレステストの進捗状況(発電用原子炉)」H24.6.18    「添付 :東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所(3号機)の安全性に関する総合評価(一次評価)に係る報告書(概要)(PDF形式:1,116KB)」の全て。「添付資料1-1」と「添付資料1-2」

 この「添付資料1-1」の右上に「関西電力会社」とあり、その下に「添付資料1-1」とあるのです。

イ) 「1.はじめに(ストレステスト導入の経緯)」があります。その最後の2行を引用してみます。
「それ(前行より:国民・住民に十分な理解が得られていないので、新たな手続き、ルールで安全評価を実施すること)を受け、原子力安全・保安院は、平成23年7月22日に電力事業者に対し、福島第一原子力発電所事故を踏まえた、安全性に関する総合評価(ストレステスト)の指示を出しました。」

 よく見て下さい

 「原子力安全・保安院は、電力事業者に対し、安全性に関する総合評価(ストレステスト)の指示を出しました。」

 とあります。

 原子力政策では、主に原子力発電所関係では、これまで内部告発が多数あり、偽造データが数多く出て来ています。
 
 その根本的な原因は、「電力会社(事業者)が製造物の計画、検査、報告を担当している」という点です。

 この点からすれば、現在検討されている「原子力規制庁が出来るかどうか?」が問題ではありません。

☆「原子力規制庁が、実際に安全性を確認する、計画、検査、報告を担当するかどうか?」

 が問題なのです。
 バスの運転手さんに事故を起こしたバスの安全性を任せずに、バスを作った会社が国が責任をもって検査すべきなのです。そうしないと、データを偽装しても、電力会社に検査を任せるしかないから、何にもなりません。

 もう1つ構造的な問題は、電力会社が地域独占をしている、という点です。ですから、もし、電力会社がデータ偽装をしても、他に検査できないなら、しょうがない・・・もう1回任せるか、となってしまうのです。

 これは、技術者倫理の基本の1つである、情報公開と説明責任を危うくする要素の1つです。

 もちろん、他国の原子力発電は軍事利用に直結しており、全ての情報と説明責任を果たしているケースは高木の知る限りありません。他方、独占によって優位な地位を利用して、偽造データ事件の他にも多数の問題があります。

 最も近い例は、公正取引委員会(独立性の高い委員会)から、電力会社への注意が出ました。大飯原発事故ではなく、発電事業全体での注意です。

「東京電力株式会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について 平成24年6月22日 公正取引委員会」
:http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.march/09033104-01-tenpu.pdf

「公正取引委員会は,東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)に対し,独占禁止法の規定に基づいて審査を行ってきたところ,次のとおり,東京電力の行為は,同法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用)に該当し同法第19条の規定に違反する行為につながるおそれがあるとして,本日,次のとおり文書で注意を行った。」

 とあります。これは、

「適正な電力取引への指針 平成21年3月31日 公正取引委員会」
:http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.march/09033104-01-tenpu.pdf

 を受けています。この中で望ましい行為や禁止の行為などが挙げられています。しかし、東京電力はこれらを受け止めずに注意を受けました。

 高木は、大飯原発再稼働は、「電気が足りないから仕方がない」という考え方に反対です。それは、この注意にあるように、

☆「使える電気が増えるを、電力会社が邪魔をしている」

 のだからです。これは上の公正取引委員会の注意を根拠にしています。

 これも電力会社が独占をして優越的な地位を占めている1つの欠点です。もう1つ挙げたいのは、東京都の猪瀬副知事が近年発言して注目されているように、

☆「電力会社が、情報公開をしていない」

 からなのです。果たしてどのようなものが、電気料金に入っているのかが情報公開されていません。これらのように、電力会社は、送電線の独占や検査計画報告等の独占によって、情報公開や説明責任を欠いた企業になっているように考えます。長所と短所の是非はありますが、組織的問題として指摘します。

 そして、こうした組織的問題が背景にあり、大飯原発再稼働の安全基準の構造的問題が出てきた、と考えます。そして以下のような疑問を持っています。


 安全基準のデータは、偽装されていないのでしょうか? これまで原発では偽装データが多発していたのに。

 安全対策を行ったのが、何が何でも稼働したい関西電力で大丈夫でしょうか?

 安全基準は数値化されておらず、統一もされていないのに、安全と言えるのでしょうか?


 電気会社、今回は関西電力株式会社の資料から、この問題を具体的に考えていきます。

 次は、真夏の電力供給とその問題です。




 
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