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講義録10-2 国際標準と各国標準

 前回の「自分の国の価値観から離れてみる時に2つの立場」をもう少し広めて見てみます。

1)各国が全部バラバラ 

2)各国がグループとなりバラバラ 

 これは、

1)各国が全部バラバラ      ⇒国際標準を決める

2)各国がグループとなりバラバラ ⇒各グループ標準で良い

 となります。
経済や国際交流の分野で、上のような要求が出て来ます。シルクロードを例に考えると、ローマと支那(しな)の各王朝(漢、南北朝など)の交易は、金や銀などが国際標準となって行われました。交易による富が国際標準として担保されることで盛んになったのです。対して、大和朝廷が当時の世界最大国家「隋(ずい)」と交易を行ったのは、現在で言う「中華(支那)が世界の中心である」という各グループ標準の一部としてでした。隋がグループの中心で各国が支配を受ける代りに貢物をもっていく、という関係です。この関係は、現在の中華人民共和国と北朝鮮、あるいは中国国内の、共産党と各県知事(日本国より広く人が多い場合もあります)の関係と非常に似通っています。
 :『中国共産党 支配者たちの秘密の世界』 リチャード・マクレガー著、小谷まさ代訳  草思社 2415円
 この本は日中関係を考える際に最も読むべき1冊と思いました。

 ちなみに、聖徳太子は、世界最強最大、技術の上でも最先端を走っていた隋と対等外交を行い成功します。支那の近隣国家は、地政学上の影響もあり(海がないなど)対等外交は、ついに(現在まで)出来ていません。対して日本は聖徳太子によって、各グループ標準から抜け出し、日本だけのグループを構築します。
 そのために一命を賭した日本人の物語が本になっています。
 :『語り継ぎたい 美しい日本人の物語』 占部 賢志著 致知出版社 1470円

 ですので、日本は外交は各国で行う。あるいは経済は各国経済である、という意識がしみ込んでいます。しかし、経済や国際政治の実態は、1)国際標準で決める、2)各グループ標準で決める、のいずれかです。そして実際には、1)が強い時代と2)が強い時代が交互にやってきます。
 例えば、大東亜戦争敗戦後、アメリカなどの「連合国(United Nations)」は、そのまま「国際連合(United Nations)」となり、世界支配を継続しようとしました。1)です。その後、米ソが冷戦に入り、2)になりました。世界中に原発が巻かれたのは、米ソの冷戦ですから、つまり、1)⇒2)になったからです。さらに、イギリス、フランスなどは、2)の世界支配を部分的に残していますが、スペインやポルトガルの支配した南米アメリカは、完全にアメリカ(USA)の経済、政治の世界に組み込まれていきました。米ソのグループに対抗して、またきっかけは日本に対抗してEUという各グループ標準を決める、動きが出て来ました。
 世界経済や国際政治を見る時に、1)や2)の間で揺れ動くという視点は重要です。

 この視点で見てみると、アメリカの1)国際標準ルールで決める、のを日本では「グローバリゼーション」と言われます。国際標準ルールに参加してどんどん統一の標準で決めていこう、という動きです。会計ルールや医療、工業、農業などを統一しようという動きの一例が、TPP(環太平洋経済協定)です。
外務省 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/

 これに対する反対意見として、静岡県内で最大手の1つスズキ自動車の会長がTPP参加反対を述べています。軽自動車が日本特有のルールで、TPPに参加すると廃止される可能性が高いからです。もし、TPPに参加すれば、農業だけでなく静岡県の主要な企業であるスズキ自動車は倒産に近い影響を受けるでしょう。何故なら軽自動車に適用される補助金や優遇政策などが廃止されるからです。

 TPPのような国際標準=アメリカ標準に合わせる政策で成功したものは、「日米構造協議」があります。対日赤字を解消するために、アメリカの物を買ってくれ~!と始まった協議です。土地税制や大店法の規制緩和などがあります。これらアメリカにならって大店法を改正することで、浜松市は、郊外にイオンなどの大店舗が出来、浜松駅前がすっかり寂(さび)れてしまいました。そして街中でお洒落をしながらショッピングする女性層は、静岡市へと流れてきました。静岡市外にも大店舗が出来始めていますが、街は活性化しつつあります。
 改正前は地元商店街の意見を聴くことが定められるなど新規店舗が難しかったのです。アメリカの国際標準からすると日本は「閉鎖だから悪い」ということになり、数々の部分が変わっていきました。直接関節はありますが、終身雇用の崩壊、バイトやパートが多くなったこと、コンビニの店舗の急速な拡大(国内は落ち着きましたが)、国立大学の独立行政法人化(金を稼ぐのが大切ですという意味です)などが、学生の皆さんに関わることでしょうか。
 確かにこれらは、プラスの面もありマイナスの面もあります。

 ただ、大切なのは、「アメリカ」=国際標準であるからそれに合わせなさい、という要求が、敗戦後からずーっと日本に押し付けられ続けて来ている、という点です。それに対して、敗戦前の日本は主体的な外交や主体的な提案を行っていました。

 ちなみに、日米構造協議は名前を変え、「年次改革要望書」となりましたが、鳩山政権で廃止されました。その後出てきたのがTPPなのです。年次改革要望書でアメリカ側からの要望で実現されたのは、法科大学院の設置、労働者派遣法の改正(規制緩和)や郵政民営化などです。

 こうした流れは、世界経済の潮流と合わなくなってきています。

 というのも、ギリシャ、スペインなどのEU全体の経済危機が起こり、アメリカも凋落(ちょうらく)し始め、サブプライムローンの時に世界経済を救った中国も落ち込んできました。最も決定的なのは、先進国と途上国(後進国)という対立軸が崩れたことです。中国などが先進国に入る、というのではなく、世界全体を支配してコントロールしてきたヨーロッパという国際標準が崩れた、ということです。
 顕著なのは、スペインというこれまでの先進国から途上国(旧植民地)へ流れる人口の方が多くなった、のが昨年という点です。国際的な資本も10兆円以上流出しました。1)の根本であった欧米という国際標準が崩れてきた、という点です。

 こうした世界経済の潮流があります。

 日本も敗戦後にアメリカの支配に入ることで得てきた利益を得られなくなっています。アメリカの言うことを聞けば日本は安泰。経済は成功してきました。しかし、世界経済で唯一の勝者は日本です。日本が世界中に一番資産を持っており、その金利だけで10兆円以上ありました(東日本大震災以後は低下しましたが)。資産-借金ではアメリカが上回っていますが、アメリカは常時赤字の国です。ですから、日本が今後の世界経済を引っ張っていく時期ですし、その期待もされています。
 この時期に生まれてしまったのが宿命なのでしょうか。運命論だけでなく、選択し自分の運命を切り開いていく(つまり、運命は自分で作れる部分がある)ことを求められているのでしょう。
 
 その最も典型例が原子力政策なのではないでしょうか。
 安全基準にしても「海外がやっているから。アメリカを見習って」ではなく、日本人を信じて日本人が決めていくのが大切だと考えます。この視点を持って原発を今後考えていきたいです。

 話が大きく広がりましたが、ポイントは、

1)各国が全部バラバラ      ⇒国際標準を決める

2)各国がグループとなりバラバラ ⇒各グループ標準で良い

そして、

3)日本は一国で標準となってきた歴史がある、という点です。

 日本には聖徳太子という国際感覚に優れ自分たちで判断してきた歴史があるのです。

 次は、『聖書』と『古事記』に見る労働観です。
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