講義録9 福島原発事故の最大の事故原因 ニュースの報じ方 3つの視点 技術と社会背景の相補性

 (文意不明、文末の言い回しミス、誤字脱字は沢山あると思います。ご了承下さいませ。また、講義内容に大分加筆しています。)

 土曜日、2年ぶりにバスケットをして全身筋肉痛です。立ち上がる時、腰が曲がります。それでも、沢山の汗を全身にぶっかけられた感覚は甘美で、来週もしたくなりました。20歳頃は、この甘美な想いはスポーツだけと思っていましたが、30歳頃から文学や宗教でも、体感できるようになりました。 
 今までの自分に冷や汗をかきながら、新しい動きに心が躍動(やくどう)し、心の重みを全て洗い流してくれるのです。それまでの思い込みや知ったかぶりだったことに気がついて内心「しまった~!!」と思いつつ、新しいワクワクに惹(ひ)かれてしまってしょうがなくなる感覚です。
 こうした新しい感覚を、学生の皆さんにも同じようにをつかんで欲しいと思っています。

 今回の枕話の長さはボチボチでしょうか。


目標

 :福島原発事故の最大の事故原因を知る
 :情報、特にニュースの報じ方に注目する
 :肯定と否定を考えた後の自分の意見の作り方を知る
 :トレードオフ、リスクトレードオフ、リスクヘッジの3つの意味を知る
 :3つの意味と原発問題をつなげてみる
 :リスクトレードオフと許容可能なリスクをつなげて考える
 :最先端、最新の技術でも社会が捨てることがあることを知る
 :優れた技術があっても劣った技術を社会が採用することを知る
 :軍事利用が技術を促進させてきた技術の歴史を知る
 :社会が技術によって受ける利益を知る
 :技術と社会が相補的であることを知る

紹介した本

 :『銃・病原菌・鉄 (下)』 ジャレド・ダイアモンド著 倉骨彰訳 草思社

紹介した新聞
 
 :静岡新聞 平成24年6月5日朝刊 27面 「全電源喪失 対策不要の根拠を作文 20年前安全委、東電に指示」

配布プリント

 1枚目
  (表) 『銃・病原菌・鉄 (下)』 48,49,52,53P
  (裏) 『銃・病原菌・鉄 (下)』 68,69,76,77P

 2枚目
  (表) 講義録7の宿題 題1~題3 の1名の記入例A
  (裏) 講義録7の宿題 題1~題3 の1名の記入例B

宿題

 なし


 -講義内容-

 まず、プラムフィールドにお礼のメールを書いたことを報告しました。日本国政府や島田市は税金を納めており「全体の奉仕者」と規定されていますから、特段お礼をする責任はありませんが、プラムフィールドは主婦が集まった日本国民の自主的な団体に過ぎません。素晴らしい情報に感謝致します、とメールを出しました。

 次に、ブログの更新が月曜日の夜になることをお詫びしながら、コメント集で書いたことから始めました。講義録8-4からその部分を引用してみます。

「○テレビのニュース等で芸能の話題が多く取り上げられている時は裏で重大な法律が決められていることは本当だと思いますか?

返信:これまでの経緯を見ると、私の狭い情報の中でなら、そういう場合が本当にあった、と思います。しかし、民主党になって国民が厳しい目を持ってチェックしているので、大分減ってきたと思います。ただ、民主党政権が過去最低の法案成立なので、少ないのもあるのでしょう。まあ、質問があればしてくださいね。」

 紹介した新聞:静岡新聞 平成24年6月5日朝刊 27面 「全電源喪失 対策不要の根拠を作文 20年前安全委、東電に指示」

 には驚きました。取り扱いが小さすぎるのです。

 27面の右半分以上は、オウム特別手配の菊池容疑者の記事です。1面もこの記事が載っていました。その側には「全電源喪失 対策不要の根拠を作文 20年前安全委、東電に指示」が、4コママンガ「ゴンちゃん」の間に挟まれています。

 福島原発事故の最大の原因は、「全電源喪失」でほぼ間違いありません。その対策をしなくていい(対策不要)とする根拠を、電力会社に作文するように指示していた、のが明らかになったのです。つまり、福島原発事故の最大の原因がここに示されているのです。高木は、

 今後事件の拡大の可能性がなく、そして首謀者の死刑が確定しているオウム事件 < 現在進行形で拡大の可能性もあり、そして首謀者の特定がされていない福島原発事故

 だと考えます。ですから、一面トップは、「全電源喪失 対策不要の根拠を作文 20年前安全委、東電に指示」だと考えます。しかし、このニュースは、野田内閣の内閣改造(問責決議の出された2大臣の更迭を隠す手法がまた取られました)のニュース、オウム特別手配の菊池容疑者のニュースに隠されてしまいました。

 こうした新聞の報じ方は、講義の当初から問題にしています。この点は、福島原発事故のみならず技術者倫理の数々の事例で浮かび上がってくる日本全体の組織的問題の1つです。

 問題点をまとめてみましょう。

ア) 福島原発事故の最大の原因である全電源喪失の対策を取らなかった組織的要因

イ) 大きいニュースに隠すというマスコミの報じ方と報じられる時期の問題

ウ) 福島原発事故の失策を現在まで曖昧にしている組織体制

 それぞれ述べていきます。

 ア)福島原発事故の最大の原因である全電源喪失の対策を取らなかった組織的要因 について

 日本国民を代表して原発をチェックする原子力委員会や原子力安全委員会が、原発の安全対策について電力会社にお願いしていた、という組織的要因が見て取れます。つまり、ノーチェック、ノープランで電力会社の都合のいいように運用されていたのが、日本の原子力政策だった訳です。もちろん、中にはチェックやプランを出す原子力安全委員会委員長や安全委員会委員長がいましたが、そういう人は静かに首を切られていきます。というのも、これらの委員長などは、事務局が実態として選出するからであり、文句を言わない人、原子力が分からない人がなるからです。現在、チェックする立場にある斑目(まだらめ)原子力安全委員会委員長は、原子炉の専門家ではなく、福島原発事故時に「技術的に間違った判断とアドバイス」をしました。原子力委員長の方は「専門家じゃないから」と重要な現場から逃げ出しました。高木は、彼ら2委員長を責める気はありません。そうした、個人に責任を押し付けても、再発防止にならないからです。問題は、原子力政策全体の問題なのです。

 電力会社の言いなりで、ノーチェック、ノープランだった日本国政府の組織的要因が問題なのです。

 記事に戻りましょう。はっきりと出ています。

「当時の作業部会の配布資料などは安全委がホームページで福島原発事故後に公開したが、作文を支持した文書は公開していなかった。国会の事故調査委員会の支持を受けて公開した安全委(員会)事務局は、「別の作業で忙しく、公開するのを失念していた」と釈明。斑目春樹委員長は、「(報告書の)原案を電力会社にも分担させており、明らかに不適切だ。大変申し訳ない」と謝罪した。」

 とある。
 事務局が「福島原発事故の最大の事故原因」を隠蔽(いんぺい)しており、罰則のある国会の事故調査委員会になら提出するのである。もし、こうした経緯がなければ表に出てこなかった。東京電力が作った事故調査委員会では、「初期対応は困難だった」と結論付けた。日本経済新聞平成24年(2012年)6月6日のニュースより
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05043_V00C12A6CR8000/


「東電「初期対応は困難だった」と主張 原発事故の調査報告書案  :

東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)が批判した事故の初期対応について、東電が「対応は困難だった」とする従来通りの主張を社内調査の最終報告書案に盛り込むことが5日、分かった。 東電は27日の株主総会までに最終報告書を公表し、原因究明作業に区切りを付ける見通し。 東電は、昨年3月11日に弁が閉じて機能が停止した1号機の非常用復水器(IC)について「全電源喪失の状況では、弁の開閉状態を正確に把握することは非常に困難だった」と弁解。・・・」

 作文を作った側(東京電力)と作文を依頼した側(安全委員会事務局)が隠蔽していることが判る。

 これは委員長個人の責任ではなく、組織全体の要因なのである。ただし、斑目委員長は、どうして現在も続けているのか、不思議である。これはウ)で述べる。


 イ) 大きいニュースに隠すというマスコミの報じ方と報じられる時期の問題 について

 先ほども少し述べたが、新聞社を始めとするマスコミは、膨大なニュース(源:ソース)の中から、新聞社が選び出し、ニュースを文字や映像に直して報じている。であるから、順番や選ばないなどのフィルターが掛かっている。そのフィルターがあるのは当然で、なければ、ただの文字の羅列で見にくく、全体の価値が低下する。
 他方、当然、最も大切なニュースが陰に隠されるように報じたり、報じられないことがある。陰に隠されるのは、今回の全電源喪失の作文であり、報じられないのは、例えば平成23年8月21日の「フジテレビ抗議デモ」である。マスコミの組織的問題に対する敗戦後初の大規模デモは、海外では盛んに報じられたのに日本のマスコミでは殆ど報じられなかった。これがマスコミの報じ方の問題である。

 もう1つは、報じられる時期の問題である。これには推測が入るが、オウム特別手配犯逮捕のニュースが出た翌日には特集を組むので、それにあわせるように情報が漏らされたのかもしれない。繰り返すが高木の推測である。より大きなニュースに隠すように時期を選んだのではないか、という問題である。事前にオウム特別手配犯逮捕を知っておれば、合わせるようにニュースを出すことが出来る。
 そして、これが学生コメント集にあった質問の答えとなる。


 ウ) 福島原発事故の失策を現在まで曖昧にしている組織体制 

 国会の事故調査委員会で、菅元総理、海江田元大臣、枝野元官房長官などを代表として質問が行われたが、皆自分の責任逃ればかりに終始している。また、これらは参考人招致であり、失策を行ったという前提に立っていない。第1回の論点整理ではこれまでの原子力政策の組織体制について厳しく追及している反面、実際の失策という前提を踏まえていない。
 菅元総理や海江田元大臣は、福島原発事故の失策で辞めたのではない。また、枝野元官房長官、斑目委員長など殆どの担当者は現在も職に従事している。4月発足予定だった原子力政策を担当する省庁は、2ヶ月を過ぎてやっと話し合いが始まったばかり。福島県内に、担当大臣の細野大臣はおらず、原子力の専門家は、福島第一原子力発電所内にいて、事故の経過の様子を記録し監視していない。
 これでどうやって、福島原発事故を前向きに反省し、今後に生かそうと出来るのであろうか。

 この最大の原因の1つは、福島原発事故の失策を現在まで曖昧にしている組織体制にある。

 福島県と共に日本国の行く先を思うと暗く沈む気持ちになるが、まず前を向かなければならない。

提言:福島原発担当大臣の、福島原発近辺の常駐と、多くの専門家の福島原発事故内での監視とチェック

 をしたい。

 次は、宿題の総括です。
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