講義録8-5 宿題の総括3

 宿題の総括

 宿題の全体の傾向と考察を書いていきます。素晴らしいものは翌週、コピーして配布します。

 宿題

 題1:震災がれきは受け入れるべきである、と述べなさい。(技術的に安全であるとして)
 題2:震災がれきは受け入れるべきではない、と述べなさい。(技術的に危険であるとして)
 題3:題1と題2を踏まえて、自分の考えを書きなさい。

 -全体の傾向-

・環境省のデータとプラムフィールドのデータをきちっと踏まえた内容が多い
・データを踏まえつつ、技術的に安全と技術的に危険の説明がなされているものが多い
・題3の受け入れるべきと受け入れないべきは、それぞれ30%程度でほぼ半々であった。
・きちっと調べた人と付け焼刃の人が比較的分かれた
・福島原発事故発生時やIAEAなどと比較して日本国政府の対応に不信感をもつ意見が多く見られた
・受け入れるべきの論拠として被災者への想いが多く見られた
・プラムフィールドのデータに関して賞賛の声が多く見られた
・最優秀の意見で飛びぬけたレポートが少なかった(提出まで1週間しかなかったのも一因)


 -総括-

 前回の宿題より丁寧にきちんと調べてあるレポートの割合が増えた。他方、飛びぬけた最優秀に該当するレポートが減った。全体の総括である。

 そのポイントは、安全である、と述べる際に日本国政府の情報に偏っていることが挙げられる。「日本国政府の基準を持ってきて安全であると述べる」や「そもそも放射性物質は外部被爆の場合は安全である」などの根本的な説明の提示が少なかった。今後はこうした自分で情報源を考えて探していくのを示して生きたい。

 同時に、「そもそも放射性物質は外部被爆で極微量であっても危険である」や「子供と大人は違う」などの技術的根拠を示したものが極めて少なかったことが挙げられる。

 つまり、根本的な判断基準や、放射性物質の危険性とは何か?を論じなかった点である。教員から示されたデータの基を調べて終わってしまっているのである。厳しいようだけれども、社会(企業や研究分野)ではこれらが求められる。後半分、何とか伝えていきたい。

 良かった点がある。
 それは、肯定側と否定側の両側から問題を、自分の調べで探ったことである。そうすると、物事が単純ではなく、問3のように自分の考えを書く際に迷いが出てくる。迷いながら一応答えを書くことを知れば、現在流布されている情報の偏りや、専門家の断定的な意見が、その判断時に限定されること、その後に事実を知ることでひっくりかえる可能性があることなどが見えてくる。それらに届く、迷いがレポートの中に見られた。

 「国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の論点整理でも述べているように、こうした迷いが技術的安全に結びつかなかったのが、福島原発事故を引き起こした、あるいは拡大させた最大の要因の1つである。この迷いに基づかない原子力政策が現在も継続している。

 技術者倫理は「正解が多数ある」という学問である。その「正解が多数ある」を実感する第一歩が見られた。

 以上が短いが、宿題の総括である。

 最後となり大変失礼を致します。
 プラムフィールドの方々、貴重なデータを公開してくださり大変参考になりました。ここに感謝致します。どうも有り難う御座いました。

 
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