講義録4-3学生コメント集

学生コメント集と高木の返信です。

 一部抜粋している場合があります。誤字脱字の変更、漢字への変換はありますが、本文変更はありません。タイプミスはあるかもしれません。
 「○」は学生のコメント、「返信」は高木の記入コメント、「考察」は記入していないが高木の考えたこと、です。


 -全体の傾向:幸福とは、に戸惑いと興味喚起、自分の視野の狭さの気づき、それと自分の視点で語ろうとする人が増えてきたー

 自分の視点で語ろうとする人が増えて、読んでいて刺激され楽しかった。持ち帰ってきた枚数も最大となった。

○幸福≒幸福ということは絶対ではないと思います。
 例えば自分は大好きな犬を飼っていますが、世話も散歩もしなきゃなので大変(不快)です。しかし、可愛い愛犬とそうして触れ合っていくと少し幸福な気持ちになるのです。また逆のパターンとして、快楽≒不幸という事もあり、例えばテスト勉強せずに遊んでしまうと後々痛い目を見ることがあります。なので私は快楽≒幸福は必ず当てはまるわけではないと思います。

返信:2つのパターンで分けて書いてくれ、また実例が的確で分かりやすかったです。愛犬の例は、他のクラスでも紹介させてもらいました。どうも有り難う御座います。

考察:問題を自分の身近な例から出発できることが素晴らしいです。哲学の、倫理の出発点は身近な例からであって欲しいです。

○今の私の幸福基準がそうなだけであり、年をとることで変わることもあると思う。まだ若いので効率を重視しているだけなのかもしれない。

返信:自分を客観的に眺める視点は素晴らしいです。良さを忘れずに、自分の将来をもっと広げて行って下さい。10年後の自分は今の自分に何を求めるでしょうか? 周りの大人の言葉で考えるヒントをもらって下さい。高木はブログに書いてあります。

考察:自己の客体化、は将来を考える場合、また倫理を考える場合に必要である。大変嬉しい。

○自分がやっているネトゲ(注:インターネットネットで大勢の人が一緒に行うゲーム)でも、会社が金もうけしか考えていないイベントが起こる時があるけど、そういうのが「公衆の福利」に反しているのかぁーと思った。そのイベントでネトゲやめる人が増えるから結果的に損すると思うのだがな。

返信:その通りです。とても的確な良い実例でした。消費者庁がコンプガチャを中止要請することになりました。これは「公衆の福利」に反するからでしょうね。それは射幸心を煽りすぎるからだそうです。

考察:禁止されることを何故進めてきたのかといえば、パチンコがまさに、射幸心を煽りすぎているからでしょう。賭博禁止なのにパチンコが許されている、という違法と合法状態が混在するので、携帯電話のアプリ会社は挑戦した、と考えます。

○先日のバスの事故も会社の悪意の有無はいいとして、これも公衆の福利に何か関係があるんじゃないかと思いました。ツアー会社がバス会社の目先の利益を優先してしまったから、あのような事故が起きたのかもしれないと思いました。

返信:まさしく公衆の福利に反します。その後の記事を読むと「運行指示書を作らない」や「出発前のアルコール確認をしない」などの法令違反が数十項目あったそうです。静岡新聞5月3日1面。この法令が出来るのは「公衆の福利」があるからです。まさしくよい例でした。

考察:根本的な原因は、バス業界に規制緩和が行われ、安さの追求に業界全体が走ったことにある。安さの追求のカウンターバランスとして安全性の確認が行われなければならない。その確認作業として法令があったが、実態としては軽んじられていたのかもしれない。ツアーバスと路線バスなど統一的な基準を検討するよい機会であり、また、バス運転手の採用基準を検討する良い機会である。それにしてもバス業界はすぐに対策が取られるのに、原発はいまだに安全基準ができていない。ストレステストは福島原発事故を含んだ安全基準ではないのである。早く対策の採用された安全基準が出来ることを望む。

○問2の問題で今まで生きてきた20年間の中で初めて、自分を理解できてなかったのかなって思わされました。人に左右されて生きてきたのかなって感じました。そう思ったら、なんだか20年間が恥ずかしいなって思いました。就職とか将来とかすごく不安だな・・・

返信:素晴らしい気づきを持てたのですね。私も、20歳~30歳、いや今でも「自分は随分いい加減で、ひどい人生だな」って思います。20歳の頃は「親に左右されすぎ」とか思っていました。自分を見つめて自分の声を聞いていって下さい。

考察:素晴らしい気づきをしてくれて本当に嬉しい。少しでも講義が役に立ってくれたようで何よりです。

○「オーケストラ指揮法」という本を是非とも読んでみて下さい。

返信:お勧め有り難う御座います。『新版 オーケストラ指揮法 すべての心をひとつにするために』高木 善之著を購入しました。まだ読んでいません。

考察:こうして勧めてもらうのは大変嬉しいです。『心の処方箋』も教え子に教えてもらった本でした。一生残る本になっています。この本もそうなるといいなぁ。

○私には整形や宿題を写したりすることは自分自身の幸福を感じません。自分の努力がないと思います。親から産んでもらったこの体の一部である顔にシリコンを入れて幸福を感じるのは謎だと思います。化粧などしてみて努力すればいいのにと感じてしまいます。

返信:大昔の人も同じく感じていました。『孝経』という儒教の基本となる本に書いてあります。だからピアスや茶髪は就職活動の時ダメなんです。

考察:自分の視点で身の回りを考えらる人がここにも。

○三段論法が全然わかりません。問1のように簡単な回答でも本当に良いのでしょうか?

返信:「論理性」としては良いです。「意味」として良いかどうかは別問題です。また、「内容」として短くて疑問があるかもしれません。ならば、「事例」や「反対の考え方」を足していけば良いでしょう。しかし、それは枝葉であって根幹は「論理性」です。論理が明快であること、が大切なのです。ブログもどうぞ。

考察:三段論法への疑問は、スタート地点に立ったことを意味している。その疑問を晴らしていくことで理解になるからだ。理解したい意欲のない人は疑問に思わない。ただ与えられた仕事だと思う人は疑問を持たない。

○ニート万歳!!

返信:命あるもの万歳!! 命なきものも万歳!!

○幸福との快か不快かというのは、目の置き所によって変わると思う。商品の生産については、開発するまでは不快だが簡単に生産でき、売れるようになれば快だということがわかった。先生は生産の幸福についてどう考えますか?

返信:問2の「幸福は快であり不快でもある。出来ないことを出来るようになるまでは不快であり、出来たなら快である」との○○くんの考え方を前提として考えます。まず、○○くんの快不快の対比に同意します。その上で付け加えたいのは、不快の中に実は快が潜んでいる、ということです。失敗の中に成功が潜んでいる、あるいは失敗は別の視点からすると成功である、という実例が技術史の中に溢れています。快不快を目の置き所で変わる、という指摘もその通りで素晴らしいです。

考察:独自の快不快の解釈だが、自分なりの視座で物事を捉えていて素晴らしい。

○修理して安全な車を作れば人の信用も利益も得ることができると思った。でも自分もフォード社と同じことをしてしまうなと思った。

返信:なんとも正直、誠実。それが倫理の第一歩です。大きな一歩です。

考察:このように他人の欠点を非難するだけでなく、その非難をわが身に振り返って反省できる若者がここにいることに大きな喜びを感じます。こうした正直さ、誠実さがきっと倫理を実践してくれる人々になってくれると感じました。講義ができて良かったです。

○快楽って難しいですね。

返信:快楽に浸(ひた)っていると飽きてきます。快楽主義の逆説、と言います。良ければ調べてみてください。

○:山を足で登り山頂へ行くのは不快であるが、山頂へついた時は幸福である。

返信:なんとも深い言葉です。「なぜ山に登るのか。そこに山があるからだ」より素敵な言葉だと感じました。

○:人の命の重さは同じという考えがあるが、立場などで変わっていってしまって同じとは考えにくいのですが、どのように考えますか?

返信:立場によって違います。同時に立場を超えた地点から観ると同じです。私の親の命は遠い国の人の命と私の立場では同じではありません(愛です)。同時に人間が必ず死ぬという運命を背負っているという地点から観れば同じです。

考察:自分なりの視点からぶつけてくれた疑問。ちゃんと返信できたのだろうか。

○今回の授業も難しい話だった。ただ、働くのは不快というのは自分は違うと思います。日本人は、他の国よりも人間性が豊かだと思うので、「人は働くべき」という考え方があると思います。その根底に、面倒臭い、つまらないというのはないはずです。

返信:自分の意見がきちっと述べてあり素晴らしいです。ただ、「人間性が豊か」の「豊か」は日本人の考える「豊か」に過ぎないことを知っておいて下さい。働かないことが「人間性が豊か」と考える人の方が多いのです。公平に両側から見て、さらに考えを深めていって下さい。

考察:いい気づき、そして意見です。

○レーザー核融合って格好良くありませんか?

返信:格好いいですね。現在の原発も核融合までのつなぎの技術ですね。

○三段論法の説明がゴチャゴチャしすぎていて、余計に混乱した。簡潔に分かりやすくしてほしい。

返信:ブログに丁寧にあります。どうぞ。わからなければ個別に教えますよ。

考察:三段論法は最初の全体の感想にも挙げたように、まだまだ、わからない、という人と、やっとわかった、もう少しという人が半々くらいの割合である。本当は、3コマくらい集中してやるべき内容だが、大学で文章指導もしていると聞いたので、エッセンスだけを示している。また、どこがゴチャゴチャなのかも耳を傾けたい。

○キリスト教の天国を聞いて、キリスト教の人はさっさと天国に行った方が生きているより幸せそうだと思った。まあ、幸福が何かにもよると思いますが。先生の話を聞いてちょっとした疑問も大切にしようと思いました。

返信:嬉しいコメント有り難う御座います。キリスト教への感想ですが、実は古代ローマ人が同じように「死に取りつかれた人々」や「生きていることを肯定しないのはおかしい」などと考えていました。その古代ローマ人が、国が滅びる段階でキリスト教を国教にするのです。塩野七生『ローマ人の物語』新潮社が文庫で出しています。是非どうぞ。

考察:鋭い感性がある。伸びていってもらいたい。

○この授業はたくさん考える授業です。色々な問題が出ますが答えが決めきれません。○○は△△ですか?という問いに、まず、○○が存在していることが可笑しいので、答も何も出ない、という結論に真っ先に辿(たど)りついてしまうのですけれども、それでは問いの答えではないので、なんだかよくわからなくなって来ています。

返信:道は2つです。「○○の存在はなぜ存在するか?」と「問題の答えは?」です。この2つを一緒に答えるのは人間には無理です。ですから誰でも無理です。○○(本名)さんだけではありません。周りの人が答えるのは、「問題の答えは?」だけを選択して答えるからです。でも、「○○の存在はなぜ存在するか?」は解決されません。1人の時にいろんな人の考えを本で参考にしながら、あるいは、高木など周りの人と話しながら自分なりの解決を探していって下さい。それが大学の勉強=研究なのです。

考察:根本的な問題に意識が向くのはとても才能のあること。大学の本当の勉強=研究者向き。

○P.S.余談ですが、先生がアニメやゲームの話に明るくて驚きました。自分もあの花大好きですよ! BD全巻買いました。またそういう話を聞きたいです。

返信:またすると思います。てへぺろ

考察:アニメの感想はあんまりありません。良いのか悪いのか・・・話しても

○三段論法の書き方がいまいち分らない。意見を述べて、実例を書くのではないけないのですか。インドも核のためのミサイル実験をしましたが、そのことについてどう思いますか。

返信:三段論法は今後もやっていきます。アメリカの論文は日本と違い、結論、事実、論拠、結論、の順で書いてあります。問題は、事実、論拠、結論に必ずつながる語彙が必要、という点です。順番は入れ替わってもOKです。
インドのミサイル実験ですが、当然だと思います。中国が毎年軍事費を増大させていて、緊張が高まっているからです。日本だけが軍事費を下げ、中国にお金をあげているのは(ODAなど)可笑しいと思います。

○自分の価値観がよくわからなくなる。流されやすすぎる。

返信:その気づきが第一歩です。とても大きな第一歩です。ソクラテスの「無知の知」、調べてみてください。

○先生の「アメリカの朝食」の話は2者のズレがあると思う。アンさん・・・合理性を幸福に感じる 先生・・・美味しさ、朝食の時間に幸福を感じる。

返信:そのズレに気がつけるのは素晴らしいです。それはどこから来るのでしょうか? 単に個人の考え方の違い、ではないですよね。社会全体がそうなのですから。

○高校の時、世界にはサッカーが出来ない人もいる。足が地雷でなくなってしまった人や、病気で足が不自由な人たちもいる。その人たちの分も自分たちは、サッカーを楽しくやりなさいと言われました。

返信:素晴らし人がいるのですね。私はこの話が聞けて幸福です。有り難う御座います。

○大学の90分の設定は私はおかしいと思った。なぜ日本にいるのにアメリカの労働基準を真似しなければいけないのか?だったら1テーマ何分とした方が私は良い。

返信:「私は」の意見がはっきりと書かれてあり素晴らしいです。現在騒がれているTPPも、「アメリカ基準でないと罰金を払います」というものです。他にも給食にパンを出すのも、原発推進するのもアメリカ基準です。気がつかないところで日本には沢山あります。私もそれを可笑しいと思っています。

○私の幸福は快ではない。快と不快を含むものが私の幸福だ。大学に入ってからの友人と話していると自分の意見を否定されることがない。自分の意見を否定されず、優しそうな言葉を掛けられるのは気持ちが良いことなのかもしれない。相手も自分も他人の話を「うん、うん」と聞いて、先生にも受けがいいような対応をする。それは楽だし、快にも当てはまると思う。しかし、私はつまらないと感じる。
 逆に私の意見を全否定されたら、不快だし幸福ではない。高校の友人(は)私の意見に素直に反応してくれ、ダメだしもあり、肯定もしてくれる。自分も相手に素直に反応できる。気まずくなったりもするが、私は快も不快もある友人といつ時が幸福だと思う。だから、私の幸福は快と不快が両方にあるといえる。

返信:素晴らしい文章!! 実例で分かりやすくそして三段論法にもなっていました。

考察:相手も「自分も」他人の話を・・・ 「自分も」が正直だし誠実だと感心した。

○コンビニのお弁当は楽だし、面倒な皿洗いもない。なのに、自分の生活が荒れている気になる。幸福の話を聞いていて、あーっと思った。

返信:上手な例ですね。「荒れている」気になるのは、○○(本名)さんにしっかりとした倫理基準があるからですね。意識化して自分の基準をはっきりさせていくのも楽しいですよ。自分の心の声、聞いていって下さい。

考察:自分の問題に落としこめるのが素晴らしい。例えも的確でした。


 以上となります。今回は宿題があったので、続きます。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

    名前:高木健治郎

書いたもの(平成29年度)
哲学(平成28年度)
科学技術者の倫理(平成28年度)
書いたもの(平成28年)
科学技術者の倫理(平成27年度)
哲学(平成27年度)
書いたもの(平成27年)
哲学(平成26年度)
「科学技術者の倫理(平成26年度)
講義録「哲学」
書いたもの(平成26年)
書いたもの(平成25年)
論文(高木健治郎の)
講義録「科学技術者の倫理」(平成25年度)
高木ゼミ『銃・病原菌・鉄』
高木ゼミ全6回『ぼくらの祖国』
教養講座6回分(平成24年度)   講義録21~
講義録「科学技術者の倫理」(平成24年度)     講義録1~15
最新記事
講義録「科学技術者の倫理」(平成23年度)
石上国語教室で行われた講演のレジュメです。哲学が足りなかったのが、福島原発事故の原因の1つではないか、と考えています。

「哲学のススメ2」レジュメ

最新コメント
カテゴリ