講義録3-2「3段論法」

 最後は3段論法です。

 3段論法は、アリストテレスによって整備されました。これを高木が松本道弘先生のディベート教室で学んだ経験や本等を参考にして以下のようにしました。

① 3段  = 事実、論拠、結論の3つが論理的文章には必要であること

② 論理性 = 事実と論拠と結論をそれぞれ結ぶ単語が必要であること

③ 方法  = 結論は、問いに対する回答、と考えて、結論⇒論拠⇒事実という順で探していく

 アリストテレス等が示した細かい要件がありますが、例えば格や型、時間の関係上、また実用上から省略しました。詳しく知りたい方は是非とも調べてみて下さい。

 それでは具体的に行きましょう。

 就職活動で必ず聞かれるのは「なぜ、わが社に入りたいのですか?」という問いです。

 この問いに、「給料が高いから」と述べてしまっては、ミスです。何故なら、論理的な説明がされていないからです。まず、聞かれていることに答えていません。答えていると回答者は考えるかもしれませんが、私はコミュニケーションが苦手な人は、自分の考えや事実だけを述べて回答している気になっている人が少なからずいると考えています。
 聞かれたことは、「なぜ? 入りたいのですか?」ですから「~だから、入りたいのです」という文が必要です。
 
 そして私は①結論から逆に発想していきます。

結論 :だから、社員を大切にするので御社に入りたいのです

 次に、②論理性は、単語がつながっていることですから、

論拠 :私は、給料が高いのは「社員を大切にすること」だと考えます。

 次に、②論理性は、単語がつながっていることですから、

事実 :御社は「給料が高い」です。

 結論と事実をひっくり返して並べてみましょう。

事実:御社は給料が高いです。
論拠:私は給料が高いのは社員を大切にすることだと考えます。
結論:だから、社員を大切にする御社に入社したいです。

 日本語は省略の多い言語の1つですが、きちんと順を追って説明すると少々言葉が多いですがこのようになります。
 次に1つ1つ解説します。

 事実は、「客観的事実」や「万人共通」を探します。 新聞や官報や本を引用したり、実験系がデータを出すのは事実を探すためと考えます。

 論拠は、私の考えを持ってきます。私の考えですから特殊なものですし、他の意見も併存する可能性があります。理論系は実験系の出したデータを元にしてアイディア勝負をしますが、この論拠の争いになります。また理系の論文が多くの研究者が連名で提出しますが、実験系と理論系を大勢で担うからです。現在の論文提出はスピード勝負になっていて大勢で担うことで1秒でも早く出せるのです。

 結論は、聞かれたこと、を意識するのが良いのではないか、と最近考えるようになってきました。聞かれたことは、誰か、もありますが、現在の日本の状況や専門分野の現状などから、導き出される聞かれたことがあると思っています。現在、私はポパー哲学研究会という科学哲学者ポパーの日本の専門家たちの集まりに論文を提出して、審査を受けています。1人目の方には「現在の状況にあっている」とコメントを頂きました。それは福島原発の事故対策に何とかポパーの考え方を生かせないか、と考えたからでしょう。そうしたものが現在の日本の状況で聞かれていると考えています。

 少し踏み込みましょう。論拠は私個人の考え方になりますから、以下のようにもなります。

事実:御社は給料が高いです。
論拠:私は給料が高いと大変やる気が出ます。
結論:だから、やる気が持てる御社に入社したいです。

 「やる気」以外にも「両親を安心させたい」や「家族を養える」などでもOKです。事実は万人共通ですが、論拠は私個人の考えを書く。それによって自分の気持ちを表現できます。そこに主張者の個別性が出て来ます。また、就職の面接官なら、「じゃあ、他にやる気が持てるケース(事実)はありますか?」などと広げていくことが出来ます。

 先ほどコミュニケーションのことを素人考えで書きましたが、それは私自身のオタク仲間との会話を振り返った方です。

 「このアニメ、モー最高なんだよ!」
 「めっちゃ、このキャラ可愛いよなぁ~!!」

 という言葉は、私の感想であり論拠です。しかし、万人共通の事実がなければ説得性にかけますし、何より感情の投げかけで共感できない場合は、コミュニケーションが成立しません。「このアニメの、あのシーンのあのセリフは、例えば文学でいえば、誰誰の本と共通しているよね」という万人共通の事実を上げていくと会話も広がりやすいのではないでしょうか。
 また、結論が無いことも指摘できます。つまり、「聞かれたこと」になっていない。相手が聞いてもいないのに、聞かれたこと、を言ってしまうとコミュニケーションが成立しないのです。相手との会話の中で聞かれていることは変化しますが、大体の方向性は決まっています。その方向性から聞かれたことが出てくるのに、自分の思いつき(論拠)をバッ!!と出してしまう。結論を意識していないからこそ、起こってしまうコミュニケーションの不成立。流行っている音楽の話をしているのに、「アニメの音楽はすっごく良いのがあってみんな聞かない。どうしてなんだろう」という風に音楽の話から連想した、社会的問題=みんな聞かないという理由に置き換えてしまうのです。
 以上が素人考えですが、3段論法から考えてみました。

さて、3段論法②単語のつながりを記号にしてみましょう。
事実:論拠:結論:。


事実: A = B : 「御社(A)」は「給料が高い(B)」です。

論拠: B = C : 私は「給料が高い(B)」と大変「やる気(C)」が出ます。

結論: C = A : だから、「やる気(C)」が持てる「御社(A)」に入社したいです

 この説明をした後で問題を出しました。

 問3 結論を書きなさい。

事実: 人は死ぬ     
論拠: 私は人である  
結論: 

 回答:人は死ぬ

事実: A = B : 人は死ぬ     人(B)=死ぬ(A)

論拠: B = C : 私は人である   私(C)=人(B)である

結論: C = A : 私は死ぬ     私(C)=死ぬ(A)

 となります。次に何でも良いので3段論法で書いてもらいました。

 問4 3段論法で文章を書きなさい。

 ヒントとして出したのは、以下の文章です。

あなたは、ツインテールである。

私はツインテールが好きである。

だから、私はあなたが好きである。

 少し笑いが起きました。私はアニメ「らきすた」では「かがみん(キャラ名)」が大好きなので、ツインテールの話をしました。自己紹介をしていないのですが、高木は漫画やアニメやゲームが大好きです。

 最後に

 問5 感想

 回答はブログで、と伝え、質問には答えますと言いました。質問に全て答えるのは、本年度の1つの特徴になりそうです。次に「コメント集」につづきます。


追記:昨年度のブログには3段論法の補足がもう少し入っています。良ければご参考下さい。
  :講義録3-1「6つの工学手安全 三段論法」
   http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-5.html
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