講義録3 新聞の読み方、六本木ヒルズ回転ドア事故と6つの工学的安全、リスクとは、三段論法

 (文意不明、言い回しミス、誤字脱字は沢山あると思います。何とかお読み下されば幸いです。)

 第3回目、穀雨(こくう)という節季に入りました。
 やわらかな雨が降って、穀物の芽が伸びる天気を指すそうです。まさにそのような季節で、講義でも学生の皆さんの芽を伸ばしていきたいと想って頑張りました。

 大学に着くバスの中でも悩んでいましたが、新聞の読み方、六本木ヒルズ回転ドア事故、三段論法にしました。昨年の講義録にあった幾つかの内容は後回しにしました。


目標
  :原発の良い所を自分で考えて見る
  :新聞の読み方の手がかりを見につける
  :「予見可能」が法的責任で問われることを知る
  :福島原発事故の僅(わず)かなチャンスを知る
  :安全には6つの区別があることを知る
  :工学的安全には矛盾が含まれていることを知る
  :論文の書き方の基本である三段論法を知る
  :実際に自分で三段論法で書いてみる
 
紹介した本 
  :『原子力白書 平成7年度版』 原子力委員会 大蔵省印刷局 
  :『原子力安全白書 平成7年度版』 原子力安全委員会 大蔵省印刷局
  :『浜岡原発の選択』 静岡新聞社 静岡新聞社 1300円

配布プリント
1枚目
 (表) :「続浜岡原発の選択58 貯蔵問題一気に深刻化」
 (裏) :「国内原発 燃料返送なら大半停止 原子力委員会 再処理中止で試算」
      出典:静岡新聞平成24年(2012年)4月23日(月曜日) 日刊 (1)
2枚目
 (表) :藤本温(代表) 『技術者倫理の世界 第2版』16,17P
 (裏) :「米の研究利用に1200人 死亡した被爆者赤ちゃん 日本から臓器やカルテ」
      出典:静岡新聞平成24年(2012年)4月22日(月曜日) 日刊 (3) 総合 B


尚、新聞記事については、直前の記事 「講義関係記事「使用済み燃料」と「被爆者並みの医療へ」と「被爆者の軍事利用」」
 http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-104.html
 に詳細があります。

 レポート用紙「2」枚を受け取ってもらいました。その説明から。1枚目は今日の課題用、もう1枚は宿題用です。提出は次回です。

前回の学生コメント:ブログを参考にして下さい、と伝えて省略しました。

宿題
 題1: 原発の良い所を書きなさい。ただし、電力安定供給は除く
 題2: 「米の研究利用に1200人 死亡した被爆者赤ちゃん 日本から臓器やカルテ」を読んで、三段論法で感想を書きなさい。


 -講義内容-

 現在、原発は悪い所ばかり報道されます。この講義もそうなのですが、それでは偏っています。ですから、是非とも良い所を探して欲しい、と宿題を出しました。電力安定供給については周知の事実なので、異論もありますが、除きました。また、原発は反原発派の本に、これはちょっとウソじゃないか?と思う記述もあり、原発推進派のウソは福島原発事故で大分暴かれました。ですから、原発問題に限っては、本が確かな情報源として中々難しいと考えていますので、官報と新聞記事を優先的に紹介しました。

 それが、紹介した本です。『原子力白書 平成7年度版』と『原子力安全白書 平成7年度版』は、日本国政府が出している官報です。
 そうそう、「原子力委員会」と「原子力安全委員会」の違いが分かる人?と挙手を求めると、250名前後で3名だけでした(見落としていたかも知れません)。最後の感想でも「違いが分かって良かった」とありましたから、安全を考える根本の認識がないことが分かりました。ので、説明しました。

 「原子力委員会」 :原発をどんどんやろうー!   :原発推進
 「原子力安全委員会」:原発の危険をチェックしよー!:原発停止

 です。しかし、両方とも内閣府という役所にあります。ですから、推進と停止が1つの大臣の判断にゆだねられる訳です。パチンコを監督と検査を担うのが警察の生活安全課という1つの部署で、腐敗が絶えません。それは両方を一緒にする制度的な問題なのです。日本だけが1つの大臣の判断にゆだねられるのです。これも「原子力ムラ」を生みだした大きな原因の1つでしょう。さらに、経済産業省に「原子力安全・保安院」があります。これは9.11テロを受けて日本でも原子力発電を「保安する必要がある」と認めた部署です。つまり、原発にはリスクがある、と認めたことになります。その意味では前進です。しかしながら、原子力安全委員会とどちらがどのように安全を担当するのか?が不明確になり、安全を考えることが出来なくなりました。また、経済産業省は原発推進の省ですから、推進派が原発停止を考える、という同じく推進と停止が1つの大臣の判断にゆだねられるという同じ問題を抱えていました。これらを学生の皆さんにザッと説明しました。

 続けます。
 官報は論文などでも確証度が高い扱いを受けています。新聞記事は『浜岡原発の選択』という本を。この本は静岡新聞の新聞記事をまとめたもので、福島原発事故前に出た本ですが、原発問題を丁寧に調査し、インタビューし、しかも中立の立場で述べている本です。今さっきAmzonで調べたら「この本は現在お取り扱いできません。」で、大学の図書館にもなく残念です。ただ、静岡市内の本屋などにはあるので参考にして欲しいです。配布したプリント1枚目(表)は、「「続」浜岡原発の選択」です。こちらの方も素晴らしい記事が続くので、こちらも参考にして欲しい、と述べました。『浜岡原発の選択』の中に、原発の良い所が5つは書いてあります。
 また、出典を書くことも求めました。個人ブログやWikiは出典としては、×(ばつ)なことを伝えました。

 記事を読んでの三段論法ですが、詳しくは一番最後に説明するとして、新聞の読み方を説明しました。具体的に、配布プリント1枚目を使いました。

 三段論法は、1段目が事実、2段目が論拠、3段目が結論です。新聞では事実を探します。
新聞記事を見ながら、私が事実として引用した場所に一緒にアンダーラインを引いてもらいました。

 記事「続浜岡原発の選択58 貯蔵問題一気に深刻化」

「想定していないなら想定していないと言って欲しい」1段、3行目
「準備を全くしていないわけではないが、前提は再処理工場の再稼働」と説明した」同段、後ろから3行目 
「浜岡原発には4月2日現在も計6575体(約1100トン)の使用済み核燃料がある」同2段、後ろから5行目
 :数字は説得力があるので注意するといいと指摘。
「貯蔵率は現在65%程度だが、計2560分(約400トン)を保管できる1,2号機の燃料プールが廃止措置で使えなくなるため、使用済み燃料を搬送出来ないと貯蓄率は9割弱と万班に近くになる」3段、1行目
 :この文は長いので、特に重要な箇所に○をつけるようにしています。この場合は「9割弱と満杯」に
「使用済み燃料の処分方法が決まらないと真の意味での原発の後始末は出来ない」5段目、後ろから1行目
「「直接処分」する路線の模索も始めている」6段、2行後
「直接処分の研究開発を全くしてこなかったので、あらゆる問題が生じる」同段、7行後

 以上が、高木が気になった箇所にアンダーらーンを引きました。これらを事実として自分の心の考えを論拠にまとめていきます。

 前回の講義で述べたように使用済み核燃料は、福島原発で放射性物質をまき散らしたことが確実です。その原因と結果が分かっています。原子炉の方は原因がまだ解明されていません。この使用済み核燃の処分の方法が決まっていない、のです。しかも、1つの方法しか考えてこず、他の「直接処分」などの方法を検討してきませんでした。これは冗長性を欠いた政策です。原発は最初から「使用済み核燃料の最終処分」の問題が言われてきました。30年も経てば「科学が進歩するから大丈夫」と考えてきましたが、5段目にあるように技術として確立していません。
 よく、原発は推進派も停止派も「トイレなきマンション」と言います。マンションに住んでいて大便や小便を水洗トイレで、ジャっと流します。その先が青森県でした。しかし、その便がどうやって処分するのか決まっていない、という意味です。さらに、現在は65%%が静岡県の中に便が溜まっていて、これが直ぐに90%近くになってしまうそうです。トイレスペースの「9割弱が満杯」になるそうです。
 という風に事実を私は解釈します。その上で結論として

 「だから、「直接処分」の方法を今からでも探さないといけない」
 「だから、原発は直ぐに火力に変えるべき」
 「だから、前に断られたモンゴルにもう1回お願いすべき」

 などのようにしていいと思います。同じ事実に基づいて違う結論が出てくるのです。

 次の記事「国内原発 燃料返送なら大半停止 原子力委員会 再処理中止で試算」にアンダーラインを引きましょう。

「日本原燃の再処理工場(青森県、試運転段階)に保管中の燃料を発生元に返した場合、大半の原発で燃料の収集力を超え、運転できなくなるとの試算を、国の原子力委員会が22日までにまとめた」1段、前から4行目
「2015年度末に全国50基のうち39基が運転不能になる」同段、後ろから1行目、
「原燃との覚書に基づき三村申吾知事は燃料を返送させる姿勢を示している」3段、前から2行目

 以上が新聞からの事実です。
 横に返送された場合どのくらい運転できるかをまとめた図がありましたので読みあげました。
「泊は24年までなので12年、女川は4年、東通14年、福島はもちろん0年、柏崎刈羽1年、浜岡3年、大飯3年・・・」

 さて、私の論拠に続きます。
 先ほどの記事でもあったように、「原発再稼働」と言いますが、使用済み核燃料の問題が解決されなければ、浜岡は後3年しか使えません。青森県の三村知事が述べているように返送する姿勢ですから、今「再稼働の問題」と騒いでいる大飯原発は3年です。ですから、稼働出来て後3年かもしれません。そうでないなら、福井県や静岡県に中間貯蔵施設を作るしかない。しかし、福島原発事故で拡散してしまった。アメリカでは80年以降新規原発を作りませんでした。住民運動で廃止に追い込んできた理由の1つが、この使用済み核燃料の問題です。世界で、使用済み核燃料の最終処分場は現在、オンカロというフィンランドにしかありません。使用済み核燃料で原発は稼働が止まるかもしれません。先ほど述べたようにトイレからの汚物をどのように処理するか、決まっていないのです。

 結論の例は、
 「だから、使用済み核燃料の問題を考えるべきだ」
 「だから、原発はゆっくりと停止に向かうべきだ」
 「だから、静岡県の牧ノ原に最終処分場を作ればよい」

 などとなります。どれを取っても良いと思います。学生の皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。私自身正直に言うと、これまでの原子力政策の不備ばかり目についていて、どのようにすべきか、が思い浮かばない所です。奇想天外な案として、日本がソ連の原子力潜水艦を処理するためにお金を出したそうですが、そうしておいて日本海の深海に海洋投棄している、という噂を聞いたことがあります。そのようにするのしかないのか、という気もします。まともにやれば、国が潰れるくらいの経費が掛かることは間違いありません。日本には地震に耐えうる地層がほぼありませんから、そうなると海洋しかないのか、と思ってしまうのです。しかし、道義的に難しいというのは理解しています。
 もう1つは、福島原発跡地に大規模な最終処分場を作る案です。これは多くの人が言っていますが、同じ日本国民としてふるさとを思う気持ちを考えると苦しみを感じます。この苦しみは、日本の北方領土でソ連に虐殺され領土を奪われ、今も帰れない人々、竹島で大韓民国に虐殺され今も戻れない人々、日本中で北朝鮮に拉致され今も帰れない日本国民とその家族の方々に感じる苦しさと同じです。静岡県でも浜松市で北朝鮮による拉致が行われました。なんとか、当たり前の日常生活を送ってもらいたい、と願っています。
 どのようにしたら良いか、良い知恵がありません。学生の皆さんと一緒に考えて行きたいです。

 次は、六本木ヒルズ回転ドア事故と6つの安全です。
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