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講義録2-1「はやぶさ」と「福島原発」

 川口淳一郎氏の御本は沢山ありますが、私がお勧めしたいのは
 『「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言』 飛鳥新社 1300円+税 です。

 明快、簡潔、具体的だからです。
 時間を多く割いて紹介したかったですが、講義では、14-15Pと42-43Pだけになりました。

14-15P では、2行目から読みあげました。

「何かを評価する時、日本人は100点を満点とする方法を採りがちです。小学校入学以来、繰り返し行われるテストがその典型で、すべての出題に正解すれば100点。間違った場合は、その分を引いていく。つまり減点法です。・・・(中略)・・・
 こうした方法で評価していると、評価を受ける側は100点を目標にするようになります。試験に出そうなとこだけを勉強し、それ以外はやってもムダと考えるわけです。すると、努力し続ければどんどん伸びる可能性があるのに、100点で止まってしまうことになります。」

 先ほどの北澤先生の文章を思い出してみましょう。
「原発は絶対安全」と正解が決まっていた訳です。
 ならば「それ以外はやってもムダと考えるわけです。」となります。すると、「努力し続ければどんどん(安全な方向に)伸びる可能性があるのに、100点(絶対安全の答え)で止まってしまうことになります」
 如何でしょうか。私たちが、東京電力や官僚だけ違う人々、あるいは狂った人々として排除できるでしょうか。

①正解の100点だけを目標にして減点方式という発想で人生を歩んできた人々=テストのできる人々に安全という本質的に常に努力し続けなければならない問題を丸投げしてしまったこと
②減点方式が私たちの生活に深く根ざしていること
③現在の福島原発事故の安全を考える場合、加点方式が大切なこと

 が浮かび上がってきます。川口さんは続けて「元来、宇宙開発はハイリスクな事業です。莫大な費用がかかるうえに、常に試作機一気しか作れません」とあります。事故の実験や検証ができない点で宇宙開発と核開発は似ています。ハイリスクで失敗が膨大な被害を及ぼすからこそ、川口さんの言う①~③は核開発、原子力発電に必要な発想なのではないでしょうか。その出発点にあるのは、日本の根本的な教育方法をしっかり認識することです。 
 さらに加えて言えば、最初に韓流ごり押しのコメントで述べたように、私たちは「政治家を減点方式で見ている」のではないでしょうか。政治家(数人)の腐敗があった場合、「だから政治家(すべて)が信頼できない」と切り捨てるのです。数人の腐敗を全ての人にあてはめる。とするならば、韓流ごり押しをしている一部の社員だけを見てフジテレビ社員全員が悪、と考えるようになってしまいます。あるいは一部の日本人が犯したテロ行為で日本人全員が全て罪人と判断されてしまいます。こうしたことは往々にしてありがちです。東京電力でも全ての社員が可笑しいわけではありません。福島原発事故後を考える場合、東京電力の優秀な社員の協力は不可欠です。東京電力は今では信じられないかもしれませんが、就職希望先ベスト5に入る企業で、優秀な社員が沢山いることでしょう。

 ③についてコメントを加えました。現在の安全の基準も、加点方式にしていくべきです。
電源の2重化は1点、3重化は2点、冷却系の補助装置は1個につき0.5点追加、のように。また、製造から20年経ったのでマイナス1点のようにしてもいいかも知れません。そうすれば、全くあてずっぽうですが、
 浜岡原子力発電所3号機(1987年)、安全基準で5.5点
         5号機(2005年)、安全基準で7.5点
 大飯原子力発電所3号機(1991年)、安全基準で8.5点
となれば、より工学的安全を具体的にわかりやすく提示できると考えます。また、どの原発が最優先で稼働すべきかも明確になります。

 「現在の安全基準では、どの原発も同じ」

 としか伝わってきません。しかし、同じ浜岡原発の中でも構造が異なる原子炉なのです。そうした技術による安全性が反映されていない、あるいは非常に分かりにくい評価なのです。これでは専門家だけが分かる安全基準ではないでしょうか。福島原発事故後、国民に多大な被害を及ぼすことが予見可能になりました。ですから、国民に分かりやすい形で、どの原発を動かさなければならないのか、動かしても比較的安全なんのか(事故の可能性がない原発はありません)をわかりやすく提示すべきです。
 このことも川口さんが、「はやぶさ」ミッション達成度(12P)できちんと明示しています。

 次に42-43Pに行きます。
「人間には現状を肯定する保守性があるので、往々にして「過去の模倣」主義になってしまいます。
 そうしたことに気がつかず、練習問題だけを解き続けていると、教科書の世界から抜け出せず、その外のあるまったく別の世界が見えてきません。私自身も、大学4年間を終えるまでは、教科書や過去の文献から学ぶのが当たり前だと思っていました。・・・(中略)・・・
 そもそも教育とは、国家がその国に貢献する人材を育てるための活動です。言葉は悪いですが、国家による洗脳と言ってもいいでしょう。」
 「原子力ムラ」が惰性で・・・という北澤先生の指摘がありました。「過去の模倣」主義を指しています。川口さんは(学生の)皆さんと同じ理系です。理系は大学院に行ってやっと一人前と言われるくらいですが、それでも「先生の言うことだけ、教科書だけではだめですよ」と言っています。この授業でも最初のコメント返しでありました。「もっと伸びていってください」と。福島原発事故を考える場合も私の知識を吸収するだけではなく、自分で調べてみて色々と考えてください。もちろん、私自身も本当に反省させてもらう言葉になりました。
 川口さんのいう国家による洗脳、という側面もよくよく考えてみてください。その洗脳を疑わなかった結果がどうなったか。「安全神話」に洗脳された結果がどうなったか。福島原発近くの女川原発は、ある技術者が「国家はそういうけれど、これじゃあちょっと危ないから」と高くして今回大災害は免(まぬが)れました。初期の事故予防と再発防止では、「過去の模倣」主義が基準にならないことが判ると思います。
 また、皆さんも人生を豊かにしていく時に、高校に、大学に、その後は会社に入り、結婚して、子供を、家を、貯金を・・・という国家の洗脳があります。それはそれで大事ですが自分の状況をよくよく考えて選んでいってほしいです。
 川口さんは、「天邪鬼(あまのじゃく)のススメ」を次の章のタイトルにしています。

 「はやぶさ」と「福島原発」には意外な共通点があり、比べてみると未来への希望が見つけられると考えました。
 それにしても、川口淳一郎は素晴らしい人ですね。宇宙開発の分野には素晴らしい人が沢山いるそうです。明るくなる『「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言』を是非どうぞ。

 次は、倫理の立ち位置です。
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