FC2ブログ

【學問】『中庸』に教えられた言葉で整理すること


毎朝の会話
 「とっくん(七歳十一か月)、今日の楽しみなことは何ですか? 三つ言って下さい。」

 小学校入学以来、毎朝聴き続けています。

 「えーとね、」

 よく口癖から入ります。頭がしゃっきりしている日は、

 「バスケ。十五周走がんばる。」

 と内容が付け加わります。頭がぼーっとしている日は、

 「・・・(五秒くらい)・・・国語。」

 と答えるまでに時間が掛かるりますし、返事がない日もあります。そういう日は「ちょっと待って下さい、と言いなさい」と会話を続けます。そして、大体、

 「国語、算数、生活。」

 と、その日の科目を言って三秒で終了となります。また、通学路でお友達に逢うと、私はスーッと離れていき、無理には聞きません。お友達ととっくんの会話を大事にします。

 「今日の楽しみなことは何ですか?」に続けて、「今日頑張ることは何ですか? 三つ言って下さい」が毎朝聴くことです。私は、言葉で自分の気持ちを表現し、自然や他人の感情を表現するのは、人間にとって気持ちがいいし、人間にしかできないし、人間にとって最も大切な行為の一つだと考えています。

遠藤先生の『中庸』の御講義
 このような気持ちでいたら、先日の遠藤先生の『中庸』のご講義で感銘を受けました。先生の配布下さったプリントの音読を聴いている時でした。

 「(二)喜・怒・哀・楽などの感情が動き出す前の平静な状態、それを中と謂(い)う。〔それは偏りも過・不及もなく中正だからである。〕感情は動き出したが、それらがみな然るべき節度にかなっている状態、それを和という。〔感情の乱れがなく、正常な調和を得ているからである。〕こうした中こそは世界中の〔万事万物の〕偉大な根本でありこうした和こそ世界じゅうどこでも通用する道である。中と和とを実行しておしきわめれば、〔人間世界だけでなく〕天地宇宙のあり方も正しい状態に落ち着き、あらゆるものが健全な生育をとげることにあるのだ。」
        中庸〔第一章 凡そ二節〕二

 この箇所の音読を聴いている時に、毎朝のとっくんとの会話が思い起こされました。

 「喜・怒・哀・楽などの感情が動き出す前の平静な状態、それを中と謂(い)う。〔それは偏りも過・不及もなく中正だからである。〕」
 は、
 「朝ご飯を食べ終わって、まだまだ頭がぼーっとしている状態を中と謂う。」

 「感情は動き出したが、それらがみな然るべき節度にかなっている状態、それを和という。〔感情の乱れがなく、正常な調和を得ているからである。〕」
 は、
 「感情は動いているが、自分の周りや自分の気持ちを言葉で表現して節度ある状態にしているのを和という。(なぜなら、感情を周りにぶつけると喧嘩になりやすいからである。)」

 「こうした中こそは世界中の〔万事万物の〕偉大な根本でありこうした和こそ世界じゅうとこでも通用する道である。」
 は、
 「感情に乱れがなく言葉で自分の周りを整理整頓するのは世界中どこでも通用する方法である。」

 「〔人間世界だけでなく〕天地宇宙のあり方も正しい状態に落ち着き、あらゆるものが健全な生育をとげることにあるのだ。」
 は、
 「小学校という人間世界だけでなく、宇宙全体も言葉によって整理整頓されて、あらゆるものが健全に扱うことができるのである。」

 と読んだのです。今一度、解釈だけをまとめます。

 「朝ご飯を食べ終わって、まだまだ頭がぼーっとしている状態を中と謂う。
 感情は動いているが、自分の周りや自分の気持ちを言葉で表現して節度ある状態にしているのを和という(なぜなら、感情を周りにぶつけると喧嘩になりやすいからである)。
 感情に乱れがなく言葉で自分の周りを整理整頓するのは世界中どこでも通用する方法である。
 小学校という人間世界だけでなく、宇宙全体も言葉によって整理整頓されて、あらゆるものが健全に扱うことができるのである。」

 つまり、私は、

 「それらがみな然るべき節度にかなっている状態。」
 を、
 「言葉で人が自然や自分の感情を整理整頓している状態。」
 と読み変えたのです。

 考えてみますと、仏教でお経を読むこと、お盆、お彼岸でご先祖様に祈りを捧げること、さらに、あらゆる宗教で祈ることは、全て言葉によって自然(宇宙や神や仏などを含めて)や自分の感情を整理整頓するための行為だと思われるのです。こうして大切な人を失ってしまった悲しみ、死の恐怖、人間関係のわずらわしさ、日々の疲れなどを整えて、今日という一日を大切に生きられるのでしょう。
 『中庸』の本の素晴らしさを実感しました。遠藤先生、深く心に染み入るご講義を有り難う御座いました。

周りを言葉で置き換えられているのか
 毎朝の習慣も一年を超え、回数も三百回程になってきました。「言葉で自然や自分の感情を整理整頓する力もついてきたのではないか」と想い、質問をしてみました。小学校内にある児童クラブにお迎えに行って、帰り道のお堀の橋を通り過ぎるときでした。

 「とっくん。聞きたいことがあるんだけど。」

 「なに?とーちゃん。」

 「とっくんが大切にしていることを教えて。毎日、小学校に行って、バスケとドッチボールをして、ご飯を食べて、宿題して、お風呂に入って寝る中で大切にしていることを教えてちょーだい。」

 「えーとね。
 えーとね、ケガをしないこと。」

 朝ならば理由は聞かないこともありますが、聴くことにしました。

 「それはどうしてなの?」

 「それはね、サマーキャンプがあるでしょ。だから。」

 サマーキャンプとはミニバスケットの公式の大会です。とっくんはチームメンバーが少ないので六年生の出る公式戦に出場しています。

 「ケガをするとサマーキャンプに出れなくなってこと?」

 「うん、チームに迷惑を掛けるから。」

 チームの一員としての役割を果たす意識を持っていることが判りました。続けて聞きました。

 「チームを大切にしているんだね。えらいよ。じゃあ他に二つ、大切にしていることを教えて。」

 「えーとね、友達をきずつけない。」

 「どういう意味なの? どうして傷つけたくないの?」

 「だってね、友達が傷ついたら、友達が嫌な気持ちになるし、自分も嫌な気持ちになるから。悲しいから。」

 「うんうん、そうだね。友達が傷ついたら嫌だよね。えらいね~おとうちゃんも気を付けないとね、良いこと言った。じゃあ、三つめは?」

 「すぐ、泣かない。」

 「それはどういう意味なの?」

 「すぐ泣くと、ダメだって思われるから。」

 「そっか、それはバスケで?それともお友達との関係で?」

 「バスケもそうだけど、〇〇くんがすぐにからかってくるし。」

 「そうか~そうだね、直ぐに泣かないで頑張るのはいいね。」

 「うん。」

 「とっくんありがと、教えてくれて。とっても立派になったね。嬉しかったよ。」

 「うん。サマーキャンプ楽しみ!」

 以上です。「言葉で整理すること」の大切さを『中庸』に教えられました。
 その後、平成三十年七月十四日(土)、十五日(日)に静岡市を中心に、富士市を含め県内外からチームが参加するサマーキャンプが実施されました。葵ミニバスケットボールクラブは、初日三チームのリーグ戦で二勝し一位になりました。翌日は一位になった三チームでの一位リーグ戦でも二連勝し一位になりました。合計九チームの中で優勝しました。とっくんは守備で活躍し、攻めでも守りでも、声だしでも一所懸命でした。
スポンサーサイト
プロフィール

    名前:高木健治郎

書いたもの 令和元年度
書いたもの 平成30年度
科学技術者の倫理(平成30年度)
書いたもの(平成29年度)
科学技術者の倫理(平成29年度)
哲学(平成28年度)
科学技術者の倫理(平成28年度)
書いたもの(平成28年)
科学技術者の倫理(平成27年度)
哲学(平成27年度)
書いたもの(平成27年)
哲学(平成26年度)
「科学技術者の倫理(平成26年度)
講義録「哲学」
書いたもの(平成26年)
書いたもの(平成25年)
論文(高木健治郎の)
講義録「科学技術者の倫理」(平成25年度)
高木ゼミ『銃・病原菌・鉄』
高木ゼミ全6回『ぼくらの祖国』
教養講座6回分(平成24年度)   講義録21~
講義録「科学技術者の倫理」(平成24年度)     講義録1~15
最新記事
講義録「科学技術者の倫理」(平成23年度)
石上国語教室で行われた講演のレジュメです。哲学が足りなかったのが、福島原発事故の原因の1つではないか、と考えています。

「哲学のススメ2」レジュメ

最新コメント
カテゴリ