哲学4-2 学生コメント集 

 学生が書いた感想などと高木の返信をまとめたものです。

 学生の書いた本文はそのまま、とします。高木が補足する場合は()を付けます。○は学生のコメント、★:は高木のコメントです。△は補足です。考察をつける場合もあります。

○江戸時代の女性が家を継いでいるとは思っていなかった。嫁いでいくのが普通だと思っていたが、その時代はいつだったのか気になっている。

★質問でしょうか? 念のため。嫁ぐには嫁ぐのですよ。農家は特にそうです。今回は商家、です。日本には男系の皇室、もあり色々な継続方法があります。1つではない点に留意して下さい。

○ここまで日本の女性が強かった要因は何でしょうか?

★幾つかの要因を挙げられると思いますが、何よりも女性が優秀であったことでしょう。男性の優秀さを真似るのではなく、女性らしい優秀さを兼ね備えた女性が多かったのが第一でしょう。

○今自分達の暮らしがいいと感じているが、見方を変えると色々なことを新しく感じることが出来た。

★嬉しいです。どんどん色々な観方を身につけて世界を沢山観ていってください。大学の醍醐味です。

○自分を一所懸命育ててくれる親にも感謝したい。
○お母さんはすごい!大切にしたい

★講義の最後に言った「親に感謝して下さいね」の一言を受けてくれたのですね。嬉しいです。偉いです。私が親に感謝できるようになったのは、三十歳頃だったと想います。

○南米の国の言語や歴史はヨーロッパからの進(侵)入によって本当に全て無くなったのでしょうか?

★完全になくなった訳ではないでしょう。実際は紹介した文章にあったメキシコの例と同様でしょう。けれども、ネイティブアメリカン、つまり日本人と同じ人種の人々が少数派になり、文字が読めなくなり、言葉が解体されてしまいました。そこからどのように新しく物語を構築し、来歴にして行くかを問われているのではないでしょうか。ヨーロッパでもチェコやボスニアなどの国々は程度の差こそあれ、新しい物語を構築し、来歴にして行くかを問われていると私は考えています。寧ろ日本人は、物語を忘れ、来歴を無視していることで生きているのではないか、と考えています。ですから、ヨーロッパの哲学者の思想を紹介することが哲学になってしまうのです。少し予断でした。

○昔から日本は世界より有能な国なのかな?と思った。

★日本人の視点で「日本は優れている」というのは全世界の各国がやっていることです。健常な精神ですが、学問のもつ公平さに欠ける意見なのは繰り返してきました。今後も講義で説明していきますね。

○国の強さなどないのにつくよくあろうとするのかと思った。

★「国の強さなどない」とはどういう意味でしょうか? 単純には国のもつ軍事力や政治力が国の強さです。本日、中華人民共和国が南シナ海で勝手に埋め立てて自分の領土だ!!と主張したのは、軍事力と政治力という国の強さがあるからです。ベトナムもフィリピンも何もできませんでした。アメリカだけが強く、イージス艦を入れたそうです。日本は国民が国を弱くしているので自衛隊を入れることが出来ないでいます。以上の意味で国の強さはあります。もう少し具体的に知りたい場合は、

『平和の地政学―アメリカ世界戦略の原点』 ニコラス・J. スパイクマン著 奥山 真司訳 をどうぞ。良い本ですよ。

○少々アメリカに対する憎悪が激しすぎなのでは?と私は感じました。

★素直な感想を有り難う。こういう耳の痛い指摘は嬉しいです。最初は弁解の説明をしようと思いましたが止めました。言い訳がましいので。それよりも〇〇〇くんが先生を批判することが健全である点に着目することにします。私も大学時代、1つの講義で1つの疑問や批判をしようと思いながら講義を受けたものでした。感想に書くこともありました。その後、では、自分の意見の裏付けとなる事実を探すことをしました。是非とも、〇○○くんも自分の「憎悪が激しすぎなのでは?」という疑問を裏付ける事実を探してみて下さい。そして意見をまとめ上げて貰えれば、嬉しいです。先生をどんどん踏み台にして伸びていって下さい。

○日本は今より前が良かったのだろうか?

★観方によります。蚤虱(のみしらみ)がいなくなったのが昭和です。それ以前は蚤虱、ツツガムシなど害虫が酷かったのです。それでも昔は善かった、という考えの人もいますから、思想的には善かったのかもしれません。何が善いか、全体として比較するのは難しいでしょう。ただ、昔の善い所を謙虚に取り入れたいものです。諸外国の善い所も是非とも。

○社会では男の人が上みたいなことを良く言われますが、それは何故でしょうか?

★日本では外では男が上、女が下、だからです。家では女が上、男が下です。今回は女性中心なので上ばかりと感じたのでしょうね。

○当時の日本女性のように強く美しく礼儀正しく素晴らしいと認められてきたような姿に私もなりたいと思いました。

★嬉しいです。回覧した石川真理子著『女子の教養』をご参考下されば幸いです。私もある講義を聞き、こんな人になりたいと決意したのを思い出しました。有り難う。

○日本の強さと独特の性質というものは女性を差別しないで、あらゆる分野に招き入れたことによりもの大きいと思います。日本に住んでいてこれに気付けなかったことは、とても残念です。

★正直に自分の誤りを反省する、という姿勢、素晴らしいです。その素直さが○○くんを今後大きくしていってくれることでしょう。大丈夫、日本人でさえ気が付かない人がいるのです。今後は、私の意見が本当なのが、日常生活の中で考えていって下さい。

○外国にあるレディーファーストとはどんな考え方でいつできたのか気になった。

★気になった、のはとても良いことです。講義を聞いて批判や疑問が出てくる、それが学問の第一歩です。是非とも調べてみて下さい。その際ネットではなくきちんとした本を元にして下さいね。ここで答えても良いのですが、折角の疑問を大切にしたいと思います。

○差別を無くす案がどうなったのか気になった。

★講義中に結果を言いましたが、もう1度。アメリカの反対、通常は過半数なのに、議長国のアメリカの「全会一致でないと駄目である」という無茶苦茶な論理で否決されました。詳しく知りたい場合は、第一次世界大戦後のパリ講和会議での珍田捨巳駐英大使の交渉内容を調べてみて下さい。

○親のしつけから学んだ礼儀正しさをこれからも大事にしていきたいと思います。

★素晴らしいご両親なのですね。そういう方が日本にいらっしゃること、誇りに想います。

○女性がいたからこそ今の日本があるんですかね?

★もちろんそうです。と同時に男性も。男性と女性が一致協力してこそ、日本人が続いてきたのですし、続いていくのです。素敵な事ですね。

○できれば、良い所だけではなく悪い所などについても知れたらもっと良かったなと思いました。

★嬉しい意見ですね。是非とも自分で調べてみて下さい。もちろん、今後、講義の中で悪い点も指摘しますし、これまでも指摘してきました。講義を聞いて浮かび上がってくる批判、疑問を大事にして下さい。学問の第一歩です。

○日本人を褒めすぎていて面白くない。日本人の欠点や課題を次からちゃんと言って欲しい。

★先生の意見に対する否定意見、良いですね。上でも述べたように学問の第一歩です。ですから、自分で調べて下さい。残念ながら講義は90分と時間が区切られています。ですから、これまで日本人の欠点と課題を述べてきたので、今回はありませんでした。ただし、男女の一体感が他国とは違うことについては褒めていない点をきちんと押さえておいてください。そうでないと単なる感情論になってしまいます。それから今後、古代ギリシャと比較する中で日本の主に課題を提示していきます。そうでなければ、単に「日本人スゲー!!」で終わってしまいます。それは学問ではないことはこれまで繰り返して述べて来た通りです。今回の否定意見を元にして、○○くんなりの日本人論を作っていって下さい。例えば、以下の本、お奨めです。

 長谷川三千子著 『からごころ』

○日本人の女性が素晴らしいというのは同意だが、現代の若い世代の女性が大人しく慎み深いかとは疑問に思う。

★慎み深くないですよ。昔もそうです。若い時に全員が完璧な日本人の理想像になっていることなど、過去も現在も未来もありえません。今回の講義でも全員ではなく優れた人が素晴らしかったのです。男性も同じではないでしょうか。また、疑問が出てきた時、では実際はどうなのか?と事実を増やしてみましょう。江戸時代の本などを読んでみて下さい。以下の本、お奨めです。

 菅原正子著 『日本人の生活文化』

○日本女性が素晴らしいというのは分るが、男性については何も触れないのでしょうか。

★大枠として日本では男性と女性が一体である、という点に留意して下さい。男性が輝く時、それは女性の支えがあるからです。女性が輝く時それは男性の支えがあるからです。紫式部の『源氏物語』を伝えてきた多くの人は男性です。太田道灌は男性ですが女性の素晴らしさを認めてきました。その話を落語にして言い伝えてきたのは男性です。つまり、日本女性が素晴らしい、という時、そこには男性の素晴らしさが裏にあるのです。また、素晴らしい男性は一般的に知られ過ぎていませんか? 聖徳太子、福沢諭吉などなど。

○今日は世界の女性の素晴らしさを初めて知りました。今回の講義を聞いて今までなぜ女性が虐げられていたのか疑問に思いました。

★勘違いをしていませんか? 今日の主題は黒板に書いたように「日本」女性の素晴らしさを知ろう、であって、「世界」の女性の素晴らしさではないのです。日本と世界とでは物語が異なり、苦労や努力が異なり、来歴が替わることは前回までに述べた通りです。この点を忘れないで下さい。その上で一点。例えば『聖書』では女性は男性に支配されて虐げられる存在者とされます。しかし、支配されるということは、権利と義務が表裏一体ですから、命を懸けて守らなければならない、という意味でもあります。この点を見落としがちなので、留意して下さい。日本人の価値観で諸外国を見て、単純に善悪を決めてはならない、と講義で何度も繰り返しています。ご参考下さい。

○私達がここにいるのも産んでくれた母親の御陰です。改めて母親を大切にしようと思いました。

★合掌(がっしょう)

 以上です。
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