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「哲学のススメ3」レジュメ

 石上国語教室様で「哲学のススメ」の3回目の話を致しました。

総勢18名が参加され、数多くの意見を交わしました。特に現役バリバリで働いていらっしゃる方や、お子さんのお母さんなど、現役の高校生とは違う視点から意見が出て、豊かな意見、幅広い視点が出ました。

 講演は、以下のアンケートを事前にお願いし、皆さんの前で発表してもらいました。その上で、「誰が最も印象的であったか、どの部分が印象的であったか」を他の参加者の皆さんに話してもらいました。それが1時間ほど続き、最後の30分で高木の拙い意見を聞いてもらいました。尻切れトンボのような話になってしまい後悔していますが、前半の皆さんの話し合いがとても実り多かったです。最後に1人1人講演の感想をもらいました。それぞれが違う観点で素晴らしい感想を述べました。計2時間。休憩なしでしたので、さぞ、木の椅子で痛かったと思います。

 「今までは高校生は頼りないなぁ、と想っていたけれど、講演を聞いて素晴らしい!と思いました」

 というある方の感想が心に残りました。


 講演が始まり、皆さんの話し合いの前に前置きとして、「和(やわらかなる)をもって貴(とおと)しとなす」の話をしました。原文は「以和爲貴、無忤爲宗」です。「和(やわら)ぐを以(も)て貴しとし、忤(さか)ふることを無きを宗(むね)とせよ」と読みます。それを高木はもう少し分かりやすくしました。
 意味は、「和(わ)」=「平和」を大切にしないさい。ではなく、「心をやわらかくすることを大切にしなさい」としました。つまり、「偏った見方をしないで、心をやわらかくして色々な人の意見を聞きなさい」ということです。そうやって皆で話し合っていくと大切な点や重要な問題点が見えてくる、と聖徳太子は考えたのでしょう。
 私はこれまで、哲学で哲学全般について話をしてきましたが、この聖徳太子の思想は、日本思想(哲学)の大切な点だと考えています。

 現在、日本では反原発、原発推進で揺れていますが、反原発の人は原発推進の意見を聞きません。原発推進の人は「エネルギーがなくなったらどうするんだ!」とか「電気を使うな」という人までいます。これは「和(やわらかなる」から遠い態度です。

 ですから、今日は皆さんの「勉強と仕事」について意見を聞き合いたい、と思っています。

 というのが講演の枕となりました。以下アンケートと最後の高木のプリントです。

 --事前アンケート--

(後で添付します)


 --高木プリント--

平成24年8月29日

「勉強、とは?:やり直せる勉強とやり直せない仕事 責任が一人だけの勉強-」レジュメ(哲学のススメ2)

 皆さんこんばんは。
勉強と仕事について一緒に考えていきたいと思います。
事前にアンケートをお願いしていますので、最初に皆さんと共有致します。次に、過去の多くの人々がどのように考えてきたか、をお知らせますので、考えてみて下さい。
(皆さんとの話し合いの中で気に止まった点をメモして下さい。)





「やり直せる勉強」と「やり直せない仕事」の違いは、2つあると高木は考えます。

①正解やルールが決まった勉強、正解やルールを作る仕事
②結果を受け取るのが1人の勉強、結果を受け取るのが大勢になる仕事

 ①「正解やルールが決まった勉強、正解やルールを作る仕事」について
高校までの勉強では教科書があります。この教科書に正解が書いてあります。例えば、物体が落ちる時は「F=ma」が正解です、と。そして「F=ma」を使い方を先生が教えてくれ解くのが皆さんです。皆さんが担当するのは、使い方(術)なのです。もし、「F=ma」が間違っていても責任は生じません。
対して、仕事は「F=ma」を作る責任が皆さんに生じます。例えば、ある食品メーカーで働いているとしましょう。「売れるアイスを作る」という仕事で、正解は何でしょうか? これまで沢山出ている「バニラ」でしょうか? スタンダードな「チョコ」でしょうか?それとも「なし味」でしょうか?(がりがりくんのなし味、美味しいですよね)
正解は、決められないのです。
ですから、正解やルールは作るしかないのです。むしろ「仕事の正解は、自分が作る」のです。会社を作って成功する人にワンマンの人が多いのもこうした理由です。携帯電話もスマートフォンも「皆が欲しい」と思ったから出来たのではなく、作って売ったら売れたから正解、なのです。
そこが仕事の怖い所でもありますし、面白い所でもあります。
 ②「結果を受け取るのが1人の勉強、結果を受け取るのが大勢になる仕事」について
 勉強の長所の1つは区別が無い所です。男女区別も地域区別も文化による区別もありません。そして結果が本人だけに限られます。考えてみれば勉強以外で、区別がないことはあるのでしょうか? 恋愛や結婚には相手の家族や自分の家族が関わってきますし、進学可能な大学も家の経済状況などの区別が関わってきます。純粋に本人だけの限られる、というのが勉強の良い所です。大学入試などでは敢えて名前を伏せて採点する大学もあるほどです。
 対して、恋愛や進学可能な大学などよりもはっきりしているのは、仕事です。仕事は他の人と関係が出発点です。まず、仕事にはお金が発生します。お金は他人がいて始めて成立します。無人島に一万円札を持っていっても意味はありません。さらに、仕事で成功すれば会社は儲かりますし、失敗すれば迷惑をかけます。結果を受け取るのが大勢になるのです。そして会社が大きくなればなるほど社会に影響を与えますから、その結果もおのずと大きくなります。会社を辞めれば家族に影響が及びます。
 もう少し具体的に言いますと、高校の定期試験であまり良くない点を取ってしまっても、周りに迷惑はかけません。大学入試で失敗すれば、旅費や受験料などで迷惑を掛けますが、それまでの試験で幾ら悪い点を取っても迷惑とはならないのです。
 対して、仕事は1つ1つの結果が大切です。1回大きな失敗をするとそれ以後の仕事がなくなってしまうからです。皆さんがテストに何回失敗しても大学試験は無くなりませんが、仕事では1回の失敗で無くなってしまうのです。

-勉強を仕事に活かす-
ですから、失敗できる、1人の責任だけの勉強をする時に、「どうやったら自分は力が出せるのか」「どうやったら力が出せないのか」を意識することは大切です。「朝起きてやろう」と思ったら寝過ごし、何回も失敗していたら、その失敗から「私には朝起きてやろうは無理」と学ぶことが大切です。他には「自分で解けない時にどうしたらいいか?」や「効率のいい勉強方法は?」などもあります。「自分で解けない時、友人に聞くのや良いのか、本を読むのが良いのか、ネットで調べるのが良いのか」などがあります。勉強とは違い、仕事は正解やルールも自分で決めなければならず大変です。そうした時に「自分で解けない時にどうしたらいいか?」を意識しておけば、乗り越えられるでしょう。
 (メモ欄)

 ここからは、過去の多くの人々がいいな~と思った考え方=「哲学のススメ」の視点から、勉強と仕事について踏み込んでいきます。
 例えば、大学の試験会場で試験が始まる直前をイメージして下さい。これまでの模擬試験やテストの結果はばっちりでした。しかもそれから勉強を積み重ねて来ました。
A)「良い点をとって合格すればヒーローになれる」と考えると欲で頭や心が固くなるかもしれません。
B)「支えてくれた先生や家族のために頑張る」と考えるのが、勉強の本来の目的でしょうか?

 -勉強と仕事の共通点 「私と公」-
 過去の多くの人々がいいな~と思った答えは、
C)「テストの問題に向かい合える幸せを楽しむ」というのが命の目的である、という答えです。
 イメージしやすいのは、ロンドンオリンピックで日本人選手が「楽しむことがコツです」という台詞でしょう。A)とC)は一見似ているようで誤解されやすいです。決定的な違いは、「公(おおやけ)」です。
A)は「私(わたくし)」だけ=欲=良い大学の入ってえばりたい。楽な人生を送りたい
B)は「他人だけ」=自分がない。だけど、疲れてきませんか? 自分がロボットになったみたいで。あるいは「親の言いなり」ばっかりで。ここには「なぜ勉強するの?」の問いが満たされないのです。つまり、哲学的な問いが満たされていないのです。そして仕事も同じです。
なぜ、勉強を、仕事をするのでしょうか? A)私のためでしょうか? B)家族のためでしょうか?C)では、「勉強が出来るのは家族がいるから、先生がいるから」という意識があります。これが「公」です。そこがA)とは違います。その上で「チャレンジできる」や「楽しい」が出て来ます。楽しいのは自分です。ですから、ここがB)とも違うのです。
 このC)を色々な人が色々な言い回しで何度も何度も言ってきていますが、1つだけご紹介します。

「1粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ1つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」(ヨハネ伝第12章24節)

:(意訳)自分1人の死を恐れて生きれば1人ぼっちだよ。自分の欲を捨てて生きれば多くの人々のお役に立つと嬉しいよ。
:大学試験の結果が成功するか失敗するかを自分だけで考えるなら1人ぼっちだよ。成功するかしないかという欲ではなく、チャレンジできたことに感謝して、大学に入り皆の役に立とうと考えると嬉しいよ。
 現在の日本に広げて考えてみましょう。

「良い大学に行って良い仕事につく、それが幸せだ」

に疑問を感じますか?
日本では疑問を感じている人が多くなって来ました。それは、2つ理由があって1つは、勉強が出来る人=官僚や大企業のトップが失敗しているからです。福島原発事故、年金や社会保障などです。先ほど述べたように、勉強は答えを導き出す手段を問われていますが、仕事は答えそのものを問われるのですから当たり前といえば当たり前です。しかし、敗戦後日本は、東京大学法学部の人が大蔵省(現在の財務省)に入って日本経済を任せて来ました。成功を収めましたが、制度疲労も出て来ました。これは国内の問題です。対してもう1つは国外の問題です。尖閣諸島や竹島問題などが最近、注目を集めますが、その根底にあるのは、

「日本が変わらずにいると、もうやっていけない。
 変わらなければ生きていけないのかもしれないが、どう変わればいいのか掴(つか)めない」

『日本国民が決断する日』という本の一説です。このままの日本社会のシステムで良いのでしょうか? 豊かになれるのでしょうか? 豊かさを維持できるのでしょうか? 幸せになるのでしょうか? 疑問に思いませんか? 
米ソ冷戦時代はアメリカに従うのが正解でした。ソ連が無くなって20年経ちますが、日本はどうするのが正解なのでしょう? 領土は日本人が自分で守るべきでしょうか? 米ソ冷戦時代のままにアメリカにお任せるのが正解なのでしょうか? 
男性はサラリーマンになってお金だけを家に入れるのが正解なのでしょうか? 女性との共働きが正解なのでしょうか? サラリーマンになるのが正解なのでしょうか? ビジネスをするのが正解なのでしょうか?

ここで問われているのは、「どう変わればいいのか?」という哲学の問いです。
皆さんはどのようにお考えになりますか?(思いつくことを書いて下さい)






 御清聴有り難う御座いました。高木健治郎
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