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人物で福島原発事故の未来を考える

 福島原発事故で、1つ明らかになってきたのは、

 「人物がいない日本」

 あるいは

 「人物を育てていない日本」

 である。これは他の分野、例えば、政治家、教師の世界などでも言われ続けている。

 少し書いてみたい。

 原発事故後の電気料金値上げ問題がある。しかし、誰(人物)が責任を取るのか、が問題になっていない。

 現在の9つの電力会社は、GHQの指示で分割された結果である。大東亜戦争によって国有化される前に日本の電力の半分以上を支配する会社の社長であった松永安左衛門(まつながやすざえもん)は、分割され民営化したばかりの電力会社の経営基盤安定のため、電気料金の3割UP,続いて3割UPを宣言した。
 政府、首相、財界、労働団体の全てが反対しても押し切った。
 論理は明快である。

 「インフレの原因は物資の不足。物資を安定供給するためにエネルギーの安定供給が必要である。エネルギーの安定供給のために民間の電力会社の財政基盤の確保が必要。」

 この決断が「奇跡の経済成長」と呼ばれた日本経済をエネルギーの面から支えた。

 以上は、福田和也著『怪物伝』新潮文庫27~36頁のほぼ引用である。

 私が念頭にあるのは、現在の議論されている「電気料金の値上げ問題」は、
 
 「誰(人物)が責任を取るのか、その人の論理の組み立てはしっかりしているのか?」

 という問題がどこかに行ってしまっていることである。

 「失敗してもその時の責任者の首を切ればいい」

 という態度に疑問がある。これは小中学校のイジメの問題でも同じである。その時の担任の先生が「気が付けませんでした」と責められる。しかし、親や現在の担任の先生よりも深く関わっている人々(周りの子供も含めて)の責任は問われないのだろうか。

 新潮社が出している月刊誌『波』2011年12月号に、エネルギーマネジメントのパイオニア的存在、株式会社エナリスの池田元英社長が以下のように書いている。

 「今、電力会社がすべて悪者という論調になっています。ただ、私はそうは思いません。確かに独占企業でしたから、正直に言えば、独禁法すれすれなこともやられたりしました(エナリスは電力自由化を目指す会社)。ただ、電力会社が担う役割は公共性が高いのです。お金を集める機能を生かし、長く安定して莫大な額の納税者という役割も果たしてきました。電電公社、NTTなどとは額の桁が違います。
 -(質問)必ずしも富を独占していただけではなくて、税金の形で社会に再配分していたということですね。
 もう1つ、東芝、日立、三菱のような重電メーカーに対して、輸出できるだけの原子力技術を開発・提供し、会社が維持できるだけの費用を払い、さらにはメーカーが納税して、経済がきちんとまわる仕組みになっていたわけでしょう。」

 電力自由化が全く進まない中で数々のエネルギー事業のマネジメントをしてきた池田社長は、その苦労をしてきた。それであっても既存の電力会社に対して「公衆の福利(:高い社会性)」から発言しており素晴らしい。ここで留意すべき点は、現在の9つの電力会社が60年近く体制を保った基礎を作ったのが、轟々(ごうごう)の非難を引き受けても実行した松永安左衛門という人物の存在である。現在、日本のエネルギー政策の再編が問われている。この危機の時に、トップに人物を選ぶ、という視点の大切さが浮かび上がってくる。

 余話、として池田社長の関係する発言のみを続けます(抜粋です)。

 「・・・(先ほどの続きから)・・・私が一番問題視しているのは、原子力は安いんです、と言い、国民を騙してきたことです。ユーザーはバカであるという定義づけをしたと言わんばかりに、ただただ、原子力は安いんですよ、というアナウンスだけをしたことが問題なんです。あげくの果てには、CO2の排出量が少ない、環境にいい発電方式とまで言い出した。とんでもないですよ。電力会社には、ユーザーがバカで幼稚だという決め付けがあるように思うのです。」

 講義「科学技術者の倫理」でも最初に触れた問題です。電力会社の出している情報を見ただけでも「原子力は安くない」ことが分かります。CO2は出さないんですよ、というのも「発電時だけ」でしかない。ユーザーへの情報公開と説明責任は「技術者倫理」の根本的な要素です。これが行われていないのが原子力発電の歴史です。その原因として、講義では①米国による日本支配の継続、②米ソ冷戦構造の継続、③日本の潜在的核武装、④核技術では平和技術と軍事技術が分離的ないこと、などを挙げました。
 現在の電力会社の体制の出発点に注目すると、松永安左衛門という人物が浮かび上がってきます。⑤として人物とその責任という要素もくわえられると考えました。東京電力に人物がいなければ、住専の時のように外部から人物を持ってくる方法も検討してはどうでしょうか。私自身、今後、どのような人物が東京電力会社の社長になるか、に注目して行きたいです。それが福島原発事故後の収束を早目、被害を少なくしてくれるでしょう。福島原発事故は後、20年は処理して行かなければならないからです。

 最後に、具体例を挙げます。
 福島原発事故後の対応で、1人の人物が現れたのは御存知でしょう。
 吉田昌郎所長が事故の拡大を防いでくれたのです。
 今後もどのようになるか、を人物の視点でも見ていきたいです。それが属人的組織風土を作らせず、初期事故と再発防止につながることでしょう。そこに私は未来の希望を見出します。
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