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講義録15-4「原発と地球温暖化説の共通点」

 レポート返却をして私のミスを学生の皆さんから教えてもらう時間を10分~15分取りました。それでも10分~15分時間がありましたので、原発と深い関係にある「二酸化炭素排出による地球温暖化」の話をしました。

 原発と「二酸化炭素排出による地球温暖化」の深い関係は主に2つの点です。

①原発を推進する理由として「運転時には二酸化炭素を出さない」がある

②原発も「二酸化炭素排出による地球温暖化」も米ソ冷戦構造の残りである

 です。

 ①についてはこの講義録で述べてきたことの繰り返しになります。石油よりも核燃料は余分のエネルギー(石油)が掛かる。その点は無視して「運転時」だけを比べることは意味がない。また、核廃棄物の最終処理に石油よりも莫大なエネルギー(石油)が掛かる。この点を考えれば①は大衆向けの宣伝文句でしかない。しかし、「安全でもなく、経済的でもなく、埋蔵量が少ない原発をするのは政治的理由である」ことを知られたくないので、宣伝文句が必要である。だから責任追及するのではない。そうした政治的理由によって支えられているものは多くある(ある学生から自然エネルギーの嘘?代替エネルギーの嘘?もやって欲しい、とコメントがありました。講義の動画でも紹介し、お薦めした本の著者でもある武田邦彦氏を参考にして下さい。私はこの分野はまだまだ勉強不足です)。

 ②については、まず、皆さんに「地球温暖化すると悪いのですか?」と聞きました。「どこが悪いのですか?」と聞きました。時間があれば書いてもらっていましたが残念ながら、ということで予測した答えを書きます。

・海面が上昇する
・温かくなると砂漠化がする
・北極のクマやペンギンが困る
・生物の多様性が守られなくなる
・暑くなるから熱中症になる人が増える

 以上ではないでしょうか。これらは全てNO!か「Yesと言えない」ことばかりです。
 
 ・海面が上昇する
海面は上昇しません。コップの中に氷があったとして、

氷が溶けたら水面は「上昇しますか? そのままですか? 下降しますか?」

と聞いて回りました。半分くらいの人が「そのまま」と答えました。正解です。中学校の理科の知識で、水を個体にして氷にすると体積が増えます。溶けると元の体積に戻ります。増えた分の体積が水面の上の出ている氷なのです。ですから、密度が高く水に近い氷ほど水から上に出ている割合が減ります。空気が入る分だけ氷が水面から出ている、というイメージでも良いと思います。北極の氷は水に浮いていますから溶けても海面は変わりません。
 対して南極の氷は陸の上にあります。南極大陸といいますから。この氷が溶けたら海面が上昇します。しかし、南極の中心はマイナス49度からマイナス50度(あるいはマイナス53度からマイナス54度)に下がっています。これも中学の理科の知識ですが温度が下がると氷が増えます。ですから、現在は

 「二酸化炭素が増えていますが南極大陸の平均気温は低下していて氷は増える」

 のです。ここに相関関係はあっても因果関係はないと考えています。つまり、「二酸化炭素が増える」→「南極大陸の平均気温が低下する」ではないということです。単に「二酸化炭素(ハワイ)が増える」と「南極大陸尾平均気温が低下する」が同時に起こっただけ、という意味です。科学的に観える説明が嘘をつくのは、1つにはこの「相関関係と因果関係の読み違い」があります。これを指摘されて、地球温暖化を主張したいある人々は、「アメリカ大陸とヨーロッパ大陸の間にあるグリーンランドの氷が溶けている」と言いますが、グリーンランドは南極と違って中央の気象データの確実なものが少ないですから、言えない、というのが正確な所です。ですから、海面上昇は起こっていません。これは気象衛星からのデータでも実際に観測されています(数日前ですが気温も上がっていないという記事を観ましたが裏が取れていません)。

 ・温かくなると砂漠化がする
これも怪しい言葉です。イメージだけではないでしょうか。そもそも砂漠化には多彩な原因があり、地球全体の平均気温が0.25度上がっただけで、「具体的にどの地域が何度上がるか」というデータを観たことがある人は殆どいないのではないのでしょうか。

 「地球温暖化(があるとして)」→「日本の温暖化」があるのでしょうか?

 これは「Yesと言えない」のです。何故なら「地球温暖化」はコンピュータシュミレーションの結果ですから、幾つかのコンピュータシュミレーションの結果があるのです。ある結果では「日本は温暖化」ですか他の結果では「日本は寒くなる」となっています。「今年は猛暑、熱中症で昨年よりも40%も多く運ばれた」とNHKで流していましたが「地球温暖化のせい」とは言えないのです。これと同じく「どの地域が暑くなる」とは言えないのです。ですから、砂漠化するとも言えません。
 そもそも義務教育である理科では、「あたたい風が流れ込む(上昇)と雨が降る」という知識が教えられています。つまり、「地球温暖化すれば雨が多くなって砂漠が減る」というのが中学までの知識です。この知識に基づけば「砂漠は減る」と考える方が妥当ではないでしょうか。ただ、この妥当というのは推論が大きすぎますから、やはり「No」とは言えないまでも「Yesと言えない」のです。

 ・北極のクマやペンギンが困る
これも先ほどと同じく「地球温暖化」→「北極が温暖化」とは言えない訳ですから「Yesと言えない」訳です。また、北極のクマたちやペンギンたちは北極から周辺の北アメリカ大陸沿岸部やロシア北部に移動することが出来ます。なにせ100年間も猶予があるのですから。

 ・生物の多様性が守られなくなる
この生物多様性は地球全体として考えられるべきですが、果たして温かくなる方が多様性が出てくるのか、寒くなった方が多様性が出てくるのかははっきりしません。長い地球の歴史を考えると、寒過ぎて地球全体が氷に覆われていた時期があります。この時は氷の下に逃れて生物は生きながらえました。その後気温が上昇し恐竜の時代になり生物の多様性が現れてきます。もちろん二酸化炭素は現在よりも何倍も高かったです。しかし、生物は繁栄ししました。隕石の衝突によって地球全体が寒冷化し恐竜は死滅し、その後哺乳類の、人類の時代になりました。このように眺めると一概には言えませんが、温暖化の方が生物の多様性が保たれると考えるのが妥当ではないでしょうか。この問題も私は「NO」としたいですが、推論が大雑把過ぎるので、「Yesと言えない」が妥当です。

 ・暑くなるから熱中症になる人が増える
これは先ほど触れたように「地球温暖化」→「日本温暖化」に因果関係がみられませんから、「Yesと言えない」が妥当です。

 以上のように観てみると、「地球温暖化が悪い」というのはイメージでしかなく、「Yesと言えない」が妥当となります。しかし、この問題を「悪い」と言い切るのは、政治的理由、特に米ソ冷戦構造の政治的理由が関与しています。この点で原発と同じなのです。「数字に基づかないけれど信じて下さい」というやり方は、結局イメージ戦略、イメージ植え付けによって成立します。こうなると「公平」が大切になってきます。つまり、「地球温暖化は良い」という観点から見てみることです。

 ・食糧増産:耕作地の拡大:ツンドラが溶ける(かも)。雨が降るようになる(かも)。
 ・戦争回避:多くの戦争は食糧、エネルギー獲得戦争
 ・生物多様性の拡大:先ほどの大きすぎる推論で
 
 海面上昇の所で、「南の島は実際に沈んでいるではないか」という反論があると予測します。
小林泉(こばやしいずみ)氏が太平洋諸島研究所の研究雑誌に書いていますが、「諸島は確かに沈んでいる。しかしそれは人口圧力によるものである」と書いています。私もこれは大切なのできちっと裏を取りましたが、ある島は、人口が300人程度から3万人を超えるようになってきた。しかも昔ながらのヤシの木などの家ではなく、コンクリートで道路を引き、電気、水道を使う生活に変わって来ている。建築物の重さや水道水は地下水のくみ上げによるもので、それが地盤沈下の主な原因=人口圧力である、と書いています。その島を支えるサンゴは日本の国土のように固くなくもろいのも原因と書いています。日本でも大阪では地下水のくみ上げで100年間で200センチ(2m)の地盤沈下を経験しました。もちろん沈んでいません。「地球温暖化による海面上昇は同じ100年間で30センチ程度」です。確かに「海面上昇があったとして対応できない範囲でしょうか?」と考えます。

 それではどうして「温暖化が悪い」となったのかに行きたいと思います。それは学生の皆さんも殆ど知らなかった問いで始まります。

 国際舞台で最初に「二酸化炭素による地球温暖化がある」と言った人物を知っていますか?

という問いです。それはソ連のゴルバチョフ書記長です。当時は米ソ冷戦の真っ最中でした。1950年代までは水爆実験に先んじ、宇宙開発でもソ連が優位でした。この優位を抑えるために、講義で使用した動画にあったように、アメリカは「天然ウランは国際的に共同管理しよう」とIAEAを提案しました。それならば、とソ連は「平和利用だから原発を各国に輸出します」と言いだします。日本では誤解が良く聞かれますが、

 「原子爆弾と原子力発電は全く同じ作用」

 です。原爆は一瞬、原発は長い時間の違いだけです。ですから廃棄物も同じです。ソ連は「平和利用だから」とまだ出来ていない原発を世界に広めました。アメリカも「それはいいな」と原発を世界に広めて日本に来ました。ですから原発の大切な部分はアメリカが福島原発後も公開していないのです。そしてアメリカは自分で提案したIAEAを無視しました。イラクなど都合のいい時だけ使う、という態度になったのです。
 話を戻します。その後アメリカはソ連を経済力やコンピュータなどで圧倒していきます。そこでソ連は「アメリカの経済発展は石油を沢山使うからだ」として、実際その通りなのですが、「石油を使わないでくれ」と考えました。しかし「石油を使うのは勝手だろう」と言われては困るので、「石油の出す二酸化炭素が地球温暖化するから、それは悪いことだから石油を使わないようにしよう」と提案するのです。ここが

 「二酸化炭素排出による地球温暖化は悪い」

 が出てきた瞬間です。当時は「地球は寒冷化する」と主張していた学者の方が多かったのですが、これで決まってしまいます。もちろん現在でも「地球は寒冷化する」と主張する学者もいますし、「地球温暖化に疑問を投げかけ続けてきた」学者もいます。私はNEWSWEEKでマサチューセッツ工科大学(MIT)という世界最高峰の理系大学の気象学の学者の説明を読み、自然科学的根拠を得ました。

 その後、ソ連は崩壊して、二酸化炭素排出の問題は、酸性雨などで環境に関心が高まっていたヨーロッパ中心になりましたが、アメリカは方向を転換します。「地球温暖化している」というデータや議論を盛んにしておきながら自分は参加しないスタイルを取っていきます。私は「アメリカは賢い世界戦略を構築している」と見ていました。それはヨーロッパに遅れて日本などで環境意識が高まって行きました。この現実を踏まえると二酸化炭素排出問題が解決案が通ると、次に向かいのは、「核廃棄物」だからです。二酸化炭素は100年で気温が上がるだけですが、「核廃棄物」は人体にとって決定的な悪影響があり、しかも生物の多様性にとって根源的に危険であり、10万年単位の安全管理が必要になる解決不可能な問題なのです。原発を輸出してきたソ連は崩壊してアメリカが「核廃棄物」は一方的に悪人になり続けなければなりません。しかも、下手をすると10万年以上です。これは決定的にアメリカの国益に反します。それならば、環境意識の高い世界の人々を二酸化炭素に目を向けさせておく方が国益にかなうと判断したのでしょう。しかも、中国やインドは二酸化炭素をアメリカよりも使うようになると予測出来ましたから、アメリカは非難されなくなります。

 それを裏付けるニュースが地球温暖化問題で出てきました。「地球温暖化している」というデータを偽造した、というメールが出てきたのです。「地球温暖化している」ことの基礎的なデータを提出していた学者だっただけに大きく取り上げられました。アメリカの国益から考えれば、あるいは過去のアメリカの歴史を踏まえれば、このような情報操作を繰り返してきていますから、日本とアメリカの戦争時も、スペインとアメリカの戦争時も同じことをしています。
 このように「二酸化炭素による地球温暖化問題」は政治的理由で始まり、政治的理由で継続されています。この点は原発と似通っています。


 残りは、私の「二酸化炭素による地球温暖化問題」について、自然科学ではない点について述べて終わます。

①人間がいなくても平均気温は12度から15度くらい前後している。
現在海になっているソ連とアメリカの間のベーリング海峡を人類は渡りました。それだけ寒かったのです。地軸のズレ、とも太陽の放射熱とも言われていますが、自然科学的事実として確定しているのは、ベーリング海峡は渡れた、ということです。南米で日本人と非常に近いDNAを持った人が発見されましたのもその1つの証拠です。ですから、

 「本当に気温が上がっても二酸化炭素によるものである、とは言えない」

 というのが自然科学的な見解ではないでしょうか。何故なら地球はただ1つしかないからであり、自然科学の基本である「再現性(誰が何回しても同じ結果が出る)」が確保できないからです。この当たりについて、カール・ポパーは『歴史主義の貧困』などで述べています。「歴史に科学法則は適用できない」という言葉で。

②100年前に0.1度オーダー(幅)の正確な気温は計れなかった。
0.1度、0.01度を正確に測れる気温計は5,60年前に出来たものです。しかし現在問題になっているのは「100年で0.2度~0.5度」という学説です。①のデータは南極の氷の中の密度で気温が推測されていますが、その幅は10度の幅です。この場合有効誤差は1度の幅ですから自然科学のデータとして認められますが、有効誤差以下の幅の0.2~0.5度は認められません。これは実験を行う際の基本的な条件です。これに反しているので自然科学ではない、と私は考えます。

③コンピュータシュミレーションの欠点
地球温暖化があるはコンピュータシュミレーションの結果に基づいています。しかし、コンピュータシュミレーションは、最初の入力データと数式を変えるだけで結果が幾らでも変えられるのです。ですから、シュミレーションに適しているのです。しかし、その欠点は、「地球温暖化がある」という結果にするために最初の入力データと数式を変えられる点にあります。これは自然科学ではありません。自然科学は

 「なぜか分からないけれどある、物理法則、化学法則などを数式で現すこと」

 であって、

 「人間が決めた数式で出した結果を信じること」

 ではありません。


④「地球温暖化→日本温暖化ではない」
全て「地球温暖化しますというコンピュータシュミレーション」で、「日本は温暖化します」や「日本は変わりません」や「日本は寒冷化します」の全ての結果が出てきています。気象学は地球全体、科学哲学で言うと「全体性」を扱う学問ですから、現在の自然科学の方法の限界を突破したやり方でないと成立しません。それが成立するとして(議論が大いにあります)、それでもまだ、その数式がはっきり分かりません。さらにその分からない数式を使ったコンピュータシュミレーションで、日本が暑くなるか寒くなるかそのままか分からないのです。多くの日本国民は「今年が暑いのは地球温暖化のせい」と考えるかもしれませんが、それは自然科学的には誤りです。無知ゆえの誤りかもしれませんが、反対側から見る、ということが出来ていない結果なのかもしれません。

⑤温暖化の原因の90%が不明なのに温暖化するとは可笑しい
温暖化の原因の90%は、水蒸気、つまり水です。二酸化炭素はせいぜい5~8%です。この二酸化炭素が50%増えて、7~12%になっても残りの90%がどうなるか分かっていません。それでも「温暖化する」というのですから驚きです。二酸化炭素増加による温暖化すれば水蒸気が増えて大雨や台風が増えるかもしれません。結果的に変わらないかもしれません。例は極端かもしれませんが、東京大学と京都大学に毎年入学する学生は約6000人です。同年代は約120万人ですから5%です。温暖化ガスの5%と同じ割合です。この人だけを見て「日本人は細くなった」とか「日本人は一人暮らしが多い」と言っているようなものです。九州や四国、東北、東海、中国などの同年代、18歳から働いている人は一切無視して、「日本人は・・・」と語るようなものです。私は、「誰でも何時でも同じ結果が出る」という自然科学の大切な性質を、たった5%で計ることは出来ないと考えています。この点は自然科学に反している、と考えます。

 以上5点としました。これ以上長く述べてもあまり意味がないと考えるからです。根本は、「温暖化がある」というデータを偽造していた点でしょう。「偽造していなくても①~⑤の点で自然科学的ではない」のです。これが広く社会一般に広がったのも、米ソ冷戦構造という政治的理由からであり、原発と同じである、と説明してきました。
 以上で「原発と地球温暖化説の共通点」は終わります。

 講義も、以上の補足で終わりました。
 どのクラスも10分以上は余裕があり、焦ることなく学生の皆さんと出欠の相互確認が出来ました。補足レポートが欲しいと希望する学生さんには出しまして終了しました。終わる前に何人かが話しかけに来てくれてそれも本当に嬉しかったです。感謝の気持ちで一杯でした。また、話しかけなくてもレポート用紙に沢山の言葉を書いてくれた学生さんも大勢いました。同じく感謝の気持ちで一杯でした。

 最後にコメント集を書いて終わります。
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